ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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今年の目標達成です。
どっちが勝つと思うか、予想して是非読んでみてください。




最終章 9話 「志満とルビィ」

 

 

 

 

「何が…始まるんですか?」

 

校舎外のあちこちから部活の声が響く中、サッカー部のメンバーはグラウンドに入らず、ベンチでルビィたちを見守っていた。

 

初めてのことに戸惑いながらも質問をしたのは、清真高校に元々入学していたメンバーであった。

 

「ルビィちゃんと志満先輩は、ああやって1対1の勝負をよくするんだ」

 

答えたのは曜だった。

今の時間軸では、千歌たちが浦の星女学院サッカー部であったころから、2人はよく勝負をしていたことになる。

 

「いつからか、恒例行事みたいになってるんだよね。ルビィちゃんは昔から勝負を挑んでたみたいだし」

 

「どっちが…たくさん勝ってるんですか?」

 

「…志満さんが49戦49勝。ルビィちゃんは、一度も勝ったことがないよ」

 

 

一方、グラウンドに立つ2人は既に準備を終え、勝負開始の合図を待っていた。

どちらも並々ならぬ存在感を放っており、まるで公式試合がこの場で行われているような空気。

 

ボールを持つのは志満。

異様なまでに静まったグラウンドに開始の笛が、

 

ピーッ!!

 

鳴った。

 

 

「さて…どう来r───【イグナイトスティール】!!」

 

「「「!!!」」」

 

笛と同時にルビィが消えたと思った瞬間だった。

別方向から炎のスライディング、突然のことに志満の反応が遅れる、と思われだが。

 

「死角から行ったんだけど…!」

 

「予想の範囲内よ。ルビィちゃん」

 

難なく躱す志満。

その表情からまだ余裕が見える。

 

("スプリントワープ"で私の視界から外れて、見失ったところを急襲…いい判断ね)

 

 

「ボールを持つ志満さんからボールを奪って、ゴールに決めればルビィちゃんの勝ち。制限時間5分内にゴールされなければ、志満さんの勝ちよ」

 

「ゴールすれば勝ち…ということは、」

 

「ルビィ先輩は49戦全てでゴールすることが出来ていない…ってことですか??」

 

驚くのも無理は無かった。

元々清真高校の生徒たちの間でも、浦の星女学院の黒澤ルビィの話題は絶えなかった。

高校一年生で日本代表のエースとなり、その期待に応える活躍を見せた化け物。

そんな選手が、一度も勝ったことが無い選手?

 

 

「あの不意打ちで無理なら、もうここからは全力」

 

「…!」

 

「【Awaken the power】!!!」

 

全身を炎で纏うルビィ。

その紅く変化した目は、真っ直ぐに志満を見ていた。

 

「でりゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

「いいわね…!そうこなくっちゃ!」

 

ルビィは勝つ気だ。

気迫こもるプレーがそれを観戦者たちに伝える。

自慢のスピードでボールに食らいつき、なんとかボールの強奪を図る───しかし、

 

 

「ぐっっ…」

 

志満のボールキープ力は異常。

あのルビィがぶつかってもビクともせず、ボールに近づけさせない。

時間だけが流れ、焦れったさが溜まっていく。

 

「さあ、どうする?自慢のスピードも、強化したパワーも、私には通じないわよ!」

 

「まだです」

 

「…!!」

 

志満はルビィの変化を感じ取っていた。

ワンプレーを重ねていく度に、スピード、パワーが徐々に…少しずつ上がっている?

 

ルビィは"全力を出す"と言った。

 

その全力が、"Awaken the power"ではないとしたら───────

 

 

「【Awaken the Full power】」

 

 

──────気づいた時には遅かった。

 

「まずいわn ───────ギュン!!!!

 

 

志満がブロックするよりも先に、ルビィが強引に身体を捩じ込んだ。

ルビィの足がボールに触れる。

志満はなんとか体勢を立て直そうとするも、その時には既にボールはルビィの元へ。

 

 

「「「!!!」」」

 

 

全員の脳内に"チャンス"の文字が過った。

 

 

「ルビィちゃんのスピードなら…行ける…」

 

千歌は思わずそう口にした。

その期待に答えるかのように、地面が抉れるほどの勢いで飛び出したルビィ。

ゴールまで全力の"スプリントワープ"を連発し、一気に勝負を決めるつもりでいた。

 

 

「止まるなっっ…迷うなっっ…走れ…走れ…」ギュン!!

 

ピィーーーッ!!!!!

 

 

「!?」

 

「「「!!!」」」

 

背後から指笛が聞こえる。

志満がペンギンを呼び出した??

だがあれはシュート技で─────ギュン!!

 

「…嘘でしょ」

 

思わず口から漏れる動揺。

それもそのはず、全速力で走るルビィの横を悠々と追い越していったのは、ペンギン。

異次元の速さで空を飛ぶペンギンだった。

 

 

「【皇帝ペンギン・シン2号】」

 

 

「2号!?シュート技をディフェンス技として進化させたってこと!?」

 

「止まらないでルビィちゃん!!志満先輩に追いつかれる!!」

 

ルビィが"皇帝ペンギン・シン2号"を発動させたのはこれが初めてだった。

複数体呼び出されたペンギンは、一羽一羽が凄まじい速さ、そして変則的に襲いかかる。

 

しかし、それらをルビィは全て躱す。

 

 

「…!」

 

さすがの志満もこれには驚いた。

初見の技をこうも対応されるとは、世界のプロプレイヤーも苦戦する技なのだが…いや、

 

逆だ。

 

ルビィはこの技を熟知している。

苦戦はしているのだろう、だが、技を完璧に分析し尽くしている動きだ。

 

「ハァハァ…!!(志満さんが海外でプレーする映像を…何万回見たと思ってるの!!)」

 

ルビィは努力家だ。

"Awaken the power"そして、"ラストリゾート"を一人で完成させたほどだ。

そんな彼女が志満のサッカーを、研究し尽くしていないわけが無い。

ボールの触り方から視線、オフ・ザ・ボール、そして、必殺技。

 

ペンギンの軌道は把握済み。

そして"Awaken the Full power"のスピードがあれば、脳内のイメージだけでなく、現実でも回避が可能。

 

ゴールに一筋の光が───────見えた。

 

 

─────と思うあたり、まだ甘いわ」

 

「「「!!!!」」」

 

声のする方から伸びてくる足。

あと1秒にも満たないうちにボールが奪われる。

そう判断するよりも先に、ルビィは脊髄反射で志満との距離を離した。

 

「危ない…!!もう少しで奪われるところだった!」

 

「ルビィ先輩が…あんな簡単に追いつかれるなんて、」

 

 

「ハァハァ…ハァハァ…」

 

「いい動きね。"シン2号"を使ってなければ分からなかったわ」

 

ルビィは息を切らしながら全力で思考する。

志満が声を発するまで、すぐ隣まで迫っていたことに気づけなかった。

 

"皇帝ペンギン・シン2号"はペンギンたちがボールを奪ったり、相手選手に攻撃する技であるが、志満は別の使い方もしていた。

 

 

「ハァハァ…視界の遮断…」

 

「正解よ」

 

ペンギンたちにより隠された死角からボールを奪う。

多くの選手たちが苦戦していたのを覚えている。

だが、それが分かっていても衝撃だった。

 

 

("Awaken the Full power"のスピードでも…勝てない…)

 

ペンギンに邪魔されたロスがあったとは言え、自慢のスピードが通用しなかった。

ここまで絶望感を味わったのは、いつぶりだろうか。

 

「うーん、いい動きと分析なんだけど…もったいないわね。その燃費の悪さ」

 

「……ハァハァ、」

 

「プロとして頑張っていくために必要なのは、パフォーマンスの持続よ。そのためにも精度、体力、健康、いろいろあげられるけど…」

 

「必殺技の燃費は最も重要よ」

 

プロはシーズンの間にたくさんの試合を行う。

その中でパフォーマンスの落差がある選手は、長期の活躍は難しい。

どれほどまでに怪我を防止しながら、自分の全力を長く維持できるのか。

 

その観点で見ると、ルビィの足りない部分は明確だった。

 

 

「志満ねえが善子ちゃんに過酷なトレーニングをさせていたのも…」

 

千歌は志満の発言に覚えがあった。

代表合流後の善子の自主練は、まるで自衛隊の訓練のようであった。

体力作りの質と時間が人の倍、就寝も誰よりも早かった。

話を聞くと、師匠…志満ねえが徹底しろと言っていたことだったらしい。

 

その理由を、今聞かされた気がした。

 

 

「ハァハァ…確かにルビィの技は課題だらけ。すぐに体力無くなって、使い物にならなくなる」

 

「それでも、今、勝つことに意味がある!!」

 

「…!」

 

ルビィが飛んだ。

空中で回転し、足にオーラを溜めている。

 

 

「【Awaken the Fire】!!!」ドガァン!!

 

(シュートを地面に…!?)

 

放たれたシュートは地面を砕き、衝撃と砂が志満の視界を塞いだ。

この隙にまた"スプリントワープ"で抜け出されれば少し厄介であるため、志満は数メートル後ろへ下がる。

 

 

────これが、この勝負初めての志満のミスとなる。

 

「…あちゃぁ〜、ルビィちゃんのこと舐めてたわ」

 

志満にこれを言わせるほどだった。

それもそのはず、ルビィは強引に突破すると思わせて、"その場から動いていなかった"。

この技は─────撃つのに時間が必要だ。

 

 

「これで……勝ちっっ!!!」バッ!!

 

煙が晴れた時には既に"完成されていた"。

空気とATPのオーラを混ぜ合わせたその塊は、今か今かと待ちわびている。

 

ゴールに喰らいつける時を。

 

 

「【ラストリゾ───────

 

──────────バギイィィィン!!!

 

 

「!?!?!?」

 

「「「!?!?!?」」」

 

今までに経験したことのない音、そして状況が、目の前で起きていた。

全員が衝撃のあまり、その場で硬直する。

 

 

「なんで…なんで、なんで!?!?」

 

志満は─────"ラストリゾート"が放たれるのと同時に、足で直接ブロックしていた。

 

「ぐっっっ!!はあぁぁぁぁ!!!!」

 

"ラストリゾート"に触れていることは今は考えず、このシュートを放つことだけに、全力を出す。

しかし、志満のブロックが硬すぎるため、シュートを放てない。

 

 

(このままじゃ…押し切られ…)

 

「これがっっっ!!!!」

 

「やば──────────

 

 

 

「世界よ!!!!!」

 

 

 

────ドガァァァン!!!!

轟音と共にルビィの"ラストリゾート"はブロックされ、ルビィは勢いよく吹き飛ばされた。

 

 

「ぐっ!?」

 

まさか"ラストリゾート"に弾かれる衝撃を自分が味わうことになるとは。

起こったことが理解できず、なかなか立てない。

 

そしてフィールドに終了の笛が鳴り響いた。

 

 

 

 





『皇帝ペンギン・シン2号』ディフェンス/高海志満
皇帝ペンギン2号を進化させた必殺技です。呼び出したペンギンたちでシュートするのではなく、ディフェンスをします。
ペンギンでボールを奪う、ペンギンで相手に攻撃する、ペンギンで視界を限定させて死角からボールを奪う、など、さまざまな応用ができます。

感想よろしくお願いします。

どっちの方が読みやすいですか?

  • 千歌「サッカーやろうぜ!」
  • 「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)
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