ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
暑くなってきました。
このお話もどんどん熱い展開にしていきたい。
気づけば夜になっていた。
学校から帰ったところまでは記憶があるが、今日も日が沈むまで何もせずに終わってしまった。
この生活になってからもう少しで半年経つ。
最初の頃は気まずさと無力感でどうにかなってしまいそうだったが、人間慣れればどうってことはない。
私は、所詮その程度の人間なのだ。
───私はあの日、日本代表選に選ばれなかった。
実力が足りないことは分かっていた。
だからみんなに追いつこうと死ぬ気で練習した。
だが、限界だった。
私は1人じゃ何も出来ない。
練習を重ねても成長を感じない。
そんな中、毎日のようにテレビに映る仲間たち。
あ、そんな技覚えたんだ。
そのプレー見たことない。新しいやつか。
つい口に漏らしていた。
その時、全てがどうでも良くなった。
進めない私、進んでいくみんな、距離が離れていくのを嫌でも感じ、そして、思った。
疲れたな、と。
「最悪だわ」
嫌なことを思い出した。
こんな日は早く二度寝したいが、なかなか寝付けない。
そんな中だった。
「……なんでこの人から?」
私は…迷った結果、その人にメッセージを送った。
──────
「来てくれてありがとう。善子ちゃん」
「…どういうつもりですか?」
呼び出された自宅近くの公園へ向かうと、そこにはすでに、高海志満の姿があった。
「ちょっとね。お願いがあって」
浦の星女学院でサッカーをしていた時、この人が練習に顔を出した時が何度かあった。
その際に連絡先を交換していたのを思い出す。
だが、自分とこの人にそこまでの接点は無い。
「お願い…?」
「そう。お願い」
だが、何故だろう?
「私と…サッカーをして欲しいの」
この人と接点が無いように思えない。
体が勝手にソワソワする。
「サッカーはもう辞めました。清真高校ではもう、」
もうやらない。そう言いかけた時だった。
志満から鋭いパスが飛んでくる。
「っ!?」
「あら、いい反応ね♪大丈夫。あなたをサッカー部に連れ戻しに来たんじゃない」
「ここで、2人でサッカーをやりましょ」
「………」
どんな要件でも、断るつもりだった。
だが彼女の顔を見た途端、口を開くことが出来なかった。
分からない。何故そんな寂しそうな顔をするんだ。
足元でボールを転がすだけの時間が流れる。
そして善子の我慢は限界を迎えた。
気まずさと焦れったさを、全てボールにぶつける。
「…!!善子ちゃん!」
そしてそのボールは、志満の元へ。
「……あれからやってないんで、下手ですよ」
「下手かどうかは関係ないわ」
それからどれぐらいの時間走っただろうか。
「ハァハァ…ハァハァ…」
膝に手をつき、肩から息をする。
頬から流れる汗、疲労を感じる足、どれも久しぶりだ。
悪い気はしない。
「凄いわ善子ちゃん。本当に半年振り?」
ただ気に食わないのは、志満が息切れのひとつもしていないこと。
当然だが、彼女の実力は異次元だ。
自分じゃ練習相手にも…「下を見ないで」
「…!」
「自分なんかじゃ…とか思わないで。自分を1番に信じられるのは、自分自身よ」
この人の言葉ひとつひとつが、心を揺さぶってくる。
「さあ、私からボールを奪ってみて」
そんな無茶なと思いながらも、勢いよく走り出している自分がいる。
諦めたはずのサッカー、もう二度とやらないと誓ったサッカー。
「──────っ!」ギュン!
(速っ!?反応できない!?)
では、自分は今何をしている?
何故そこまでして食らいつく?
「反応…できない?」
津島善子。本当は分かっているのだろう?
(善子ちゃんの…オーラが、)
日本代表に選ばれなかった自分。
逃げ出した自分。
そして、高海志満の足元にも及ばない自分。
全部、全部、全部、
「舐めんじゃ…ないわよっっ!!」ギュン!!
悔しいんだ。
(速い!?だけど躱せる…!)
突っ込んできた善子に対し、志満は冷静だった。
先程のようにスピードで押せ──「そこっ!!」
「!?」
間一髪、善子の足がボールを掠める。
志満の想定よりも速い、いや、"動きを読まれていた?"
「ハァハァ…私だって…」
まさか、これがそうなのか。
「もっと…もっともっともっと!!!」
自分(高海志満)が行き着けなかった、これが、
「サッカーをやりたいわよ!!!」
「──────!」
足元を確認しなくても分かる。
ボールは善子の元にある。
不意打ちや、有利不利は関係無く、純粋に奪われた。
やはり、津島善子は私を超える存在だ。
「ハァハァ…ハァハァ…」
善子は何が起きたのか理解できていなかった。
不思議な感覚が体を支配し、気づいた時には体が動き、足元には志満が持っていたはずのボールがあった。
そして、肺が破けそうなぐらい痛い。
疲労で意識が朦朧としている中であったが、志満の声ははっきりと聞こえた。
ありがとう。と
「ありがとう…?なんで…」
「善子ちゃんは気にしなくていい。明日には…決着をつけるわ」
志満の目に、覚悟の炎が宿った。
そしてその炎が、善子に受け継がれることを祈りながら、公園を後にした。
───────
一方、同時刻。
清真高校のグラウンドでは、未だにゴールネットが揺れる音が響いていた。
「ハァ…ハァ…」
彼女の周りには数十個のボールが転がっている。
あれから蹴り続けて、自分に足りないことは何かを考えていた。
「どうして…あんなに強いんだろう」
「ルビィは、志満さんに勝てないまま…」
答えは───簡単には見つかる気がしなかった。
───────
翌日の放課後、サッカー部のメンバーは部室に集まっていた。
これから歴史修正のため、過去へと移動する。
「これを使って。これが私のアーティファクトよ」
志満がフェイに渡したのは、ボロボロのスパイクだった。
高校生の時に使い込んだ、思い入れのあるものだと言う。
「よーし!では、これを使って過去へと行くぞ!準備しろ諸君!」
「でも、本当にいいの?この試合は危険だ。ただのゲームじゃないんだ」
フェイが改めて警告する。
相手は歴史を修正する集団、どんな手を使ってくるのかも分からない。
だが、首を横に振る者はいなかった。
「私たちのサッカーも一度奪われてたんだよね?なら黙って見ているわけにはいかないであります!ね、梨子ちゃん!」
「ええ。私たちもやれることをやります」
止めても無駄だね。フェイは心の中でそう呟いた。
同時に頼もしかった。彼女たちの実力は申し分ない。
プロトコル・オメガとも、十分戦える。
そう確信していた。
「じゃあ…行こうか。場所は○年前の沼津」
「高海志満を洗脳し、帝国女学院ではなく、清真高校へと入学させたプロトコル・オメガたちを止めるよ」
千歌たちを乗せたタイムマシンは空へと消えた。
変わらず、清真高校の校庭では部活の声が響き続けている。
だが、千歌たちの運命は、確実に変わる。
「ねえ、志満は高校どうすんの?」
女子生徒たちの会話が帰路に響き渡る。
そしてその中に、彼女はいた。
「うーん…私は帝国女が───────
先程まで賑やかであった道が、一瞬にして静寂に包まれる。
正確には、静寂に"させられていた"。
「これより、修正を開始する」
未来の技術で作られたサッカーボールで、一時的に時を停止させたアルファ。
ここから《マインドコントロールモード》によって、志満の入学先候補から帝国女学院を消すのだ。
清真高校に入学することにより、志満は選手生命に関わる怪我をすることはなくなる。
それにより、今の善子が生まれ、サニデイジャパンたちの運命が大きく崩れる。
全てが計画通り───────ギュンギュンギュン!!!
「!?」
「間に合った…わね!!」
背後から何かが迫ってくるのを感じ取ったアルファは、その場から弾けるように距離を取った。
そして彼女が見たのは、先程まで自分が立っていた場所に高速で飛び込んできた"ペンギン"。
そして、高海志満であった。
「…エラー発生。高海志満が2人…いや、理解した。未来から来たな」
「理解が早くて助かるわ。そのままお帰り願いたいのだけど」
「それはできない」
当然だ。戦うことは避けられない。
それ相応の覚悟を持ってここへ来た。
「理解できない」
「…?」
突然、アルファが問いかけた。
「お前はこのままだと二度とサッカーができない身体となる。高海志満の選手としての才能を捨ててまで、選ぶ道とは到底思えない」
分かってない。分かってないな。
「何故、自分の輝かしい未来を拒否する?」
「何が輝かしい未来かは、私が決めるわ」
アルファが《ルームモード》を発動する。
それと同時に千歌たちも合流する。
さあ、試合開始だ。
「"私たち"のサッカー、返してもらうわよ」
試合は2、3話で終わらせたい。
やっぱり善子はサッカーやるべきだよ
どっちの方が読みやすいですか?
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千歌「サッカーやろうぜ!」
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「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)