ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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気づけば就職。




最終章 14話「プロトコル・オメガ第2戦"あなたが走っていく道は…"」

 

 

 

天才。周りからよくそう言われた。

 

だけど、私は自分のことを天才だと思ったことは無い。

真の天才は、センスでどんなことも簡単にやってのける。

 

 

私は昔からそれが出来なかった。

だから、ただ人一倍に努力しただけ。

器用だったから、上手く環境にも適応できた。

 

当たり前だけど、勝つと楽しい。

プロになってよく分かったけど、この"勝つ"ということがどれだけ難しいことか。

私は環境や仲間に恵まれ、少しだけ、人よりも多く"勝つ"ことができた。

たくさんの人から賞賛され、私自身、毎日世界が輝いて見えた。

 

 

だけど─────

 

 

『ハァ…ハァ…』

 

 

─────勝てなかった。

 

 

『どうしたシマ!?今までそいつに負けたこと無かったろ!?』

 

『ハァハァ…』

 

『いったい…どうしたってんだよ……』

 

 

 

 

 

真の天才には勝てなかった。

 

 

 

最終章第14話"あなたが走っていく道は…"

 

 

 

「ミキシマックスコンプリート…!」

 

フェイと同じく、高海志満のミキシマックスが行われた。

結果は成功。姿や雰囲気も善子にそっくりとなっており、最初、善子が現れたのかと間違うほどだった。

 

明らかに、今までの志満とは違う。

 

「どう…?志満ねえ」

 

「これなら、行けるわ」

 

千歌の問いに、志満は表情ひとつ変えることなく答えた。

静かだ…とても落ち着いている。

不気味な程に。

 

間もなく後半戦が始まる。

攻撃時は志満にボールを集め、力で押し切ることで作戦はまとまった。

 

 

(まだ……震えてる)

 

一方、前半終了間際にチームを救うスーパーセーブを決めた立向居夢希。

彼女の手は、未だに震えていた。

素手で車を受け止めたら、あのような衝撃なのだろう。

シュートを受けてから数分は、そのダメージにより交代を勧められたが、彼女は強引に断った。

 

(止められると分かった…なら、最後まで、倒れるまで足掻いてみせる…!!)

 

決意を新たにしたのと同時だった。

後半開始の笛が鳴る。

 

「まずはマイボールにするわ!ディフェンス集中!」

 

梨子の指示が飛ぶ。

プロトコル・オメガボールでスタートした後半戦、早くも相手は細かいパスから、攻撃を展開してきていた。

 

 

(パスのスピード、精度、貰い方…どれもハイレベル。そう簡単には先輩たちも捕まえられない)

 

(だけど…明確な弱手がある!!)

 

立向居は最後方からフィールド全体を見ていた。

そして、今現在、ボールは早くも最終ラインを突破しようとしていた。

 

「しまった!?」

 

「技は脅威だが、それでも限界はある!」

 

ミキシマックスしたフェイは、自身がアルファを止める存在であることを自覚しすぎていた。

他の選手への視野が狭まっていたのだ。

死角からボールを貰ったレイザは、長くボールを持たず、そのまま流すように─────

 

 

─────アルファへ。

「でりゃあぁぁぁぁ!!!」

 

「!?」

「「「!!!」」」

 

ペナルティエリアよりも外、しかし、スライディングでパスカットしたのは立向居だった。

 

 

「GKがペナルティエリア外へ飛び出して!?」

 

「1つの失点も許されないこの状況で??」

 

これにはプロトコル・オメガの選手たちも動揺を隠せないでいた。

一瞬でもタイミングが早くても、遅くてもアウトだった場面。

並大抵の度胸では無い。

 

「こぼれ球、お願いします!!」

 

「任され…たっ!」

 

上手く拾ったのは曜。

そして繋げるのは─────

 

 

 

「全員で高海志満を止めろ」

 

アルファ以外の全員が、志満へと飛びかかる。

一方の志満は、まだ動かない。

一番近い相手選手は、もう1mの距離にいる。

 

なるほどね。

 

そう呟いた。

まだ動かない。

下を向き、目を閉じ、何かを"感じている"。

 

 

そして、

 

 

「これが」

 

 

「あなたのサッカー(才能)なのね」

 

 

動き出す。"共鳴"が。

 

 

「【Deep Resonance】」

 

 

────相手選手の足が空を切った。

つい先程まで、その場に立っていたはずの標的の姿はどこにも…

 

「は……消えた??」

 

「違う!!下だ!!」

 

…いないと錯覚するほど、超低位置まで体を下げていた志満。

まるで地面に吸い付いているようだった。

それと同時に────飛び出す。

 

 

『躱したぁ!!蹴りの軌道よりもさらに低く身を屈めるという荒業!!』

 

 

「このっ…調子に!!」

 

次々とディフェンスに入る相手選手たち。

しかし、まるで相手がどう来るか全て分かっているかのように、志満は軽々と躱した続ける。

 

「な、なにあれ!?」

 

「相手の守備が全部…当たってない…」

 

この時空の清真高校の選手たちも、見るのは初めてだった。

 

「身体の全細胞が相手に共鳴する、ドリブル、ディフェンス…サッカーにおける対人において最強の必殺技」

 

「"Deep Resonance"だよ」

 

「千歌ちゃんはあの技を知ってるの?」

 

「……あれは、本来は善子ちゃんの技」

 

善子ちゃんと共鳴がいたから、私たちは世界一になることが出来た。

千歌はそう続けた。

 

 

「無駄だ。高海志満」

 

「………」

 

一方、7人全員を抜き去った志満はアルファと対峙していた。

 

「その技は発動者の能力を上げるものでは無い。分析では、私のアームドの方がステータスは上だ」

 

「ええ。そうね」

 

ブラジル戦でもそうだった。

善子の足がボールに触るよりも先に触ればよい。

邪魔なら吹き飛ばせばよい。

究極の脳筋勝負では、共鳴は不利だ。

だが、

 

「それでも私は、あなたに勝てると思う」

 

言い放ったのは────宣戦布告。

同時にアルファがボールを奪いにかかる。

 

『なんて激しい奪い合いだ!!アルファ選手がやや優勢…いや、高海志満も負けてないぞ!!』

 

「なに!?────「一瞬の隙」

 

「!!!?」

 

志満が急加速。

一気にアルファを抜き去る。

 

上手い!!!

 

フィールド内の複数人の選手から、同時にこの言葉が放たれた。

志満はミキシマックスしても、確かにアームドしたアルファに、力では及ばないかもしれない。

しかし、上手い。

とにかく上手いのだ。

 

「身体の入れ方…ボールの位置とタッチ…フェイントや勝負のタイミング。どれも、全部上手すぎるよ」

 

「これは…ミキシマックスで得られるものじゃない。常人では理解できないレベルの努力から得た技術だ」

 

 

高海志満は自分を天才だと思ったことは無い。

だからこそ、彼女は人一倍に努力した。

 

「まだだ」

 

「!」

 

『高海志満がシュートの構え!!しかし、アルファ選手が懸命に足を伸ばす!!届くか!?』

 

朝練習はグラウンドに一番乗り。

日が暮れても砂浜を走る。

タイヤを背負いながら筋トレ。

部屋では海外のプロの試合を分析。

 

 

「想定内っっ!!」

 

(なんだと!?)

 

そして、無限リフティング。

これはその応用。

 

(シュートフェイント…!!)

 

志満の足はボールを掠めた。

アルファにとって想定外のフェイントであったため、アルファの足は空振りに終わる。

おそらく、自分の足が間に合わなければ確実にシュートを放っていた。

瞬間的にプレーを変化させる柔軟性…

 

これが…

 

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!」

 

「"Deep Resonance"か!!」

 

 

『ゴール!!清真高校が逆転!!高海志満のスーパーシュートがゴールに突き刺さったぁぁ!』

 

 

志満が放ったシュートは今までとは違ったシュートだった。

スピードとパワーが"皇帝ペンギン・シン1号"よりも上回っており、極めつけは。

 

「タメがない??」

 

「シュートフェイントをした後、回し蹴りですぐにシュートを撃っていた…シン1号とは別の技…」

 

 

シュートを決めた志満はゆっくりとその技の名前を口にした。

この技が、高海志満の運命の分岐のトリガーと言っても過言ではない。

それほどまでに強力で────

 

 

 

────禁断の技だった。

 

 

 

本来の歴史では、帝国女学院で禁断の技である"皇帝ペンギン1号"を放ち、二度とサッカーをすることが出来ない身体となった。

 

「それは間違い」

 

「「「!?!?」」」

 

全員に衝撃が走った。

善子から、北也、そしてフェイから聞いていた情報と違う。

 

「高校時代の私は既に完成させていたわ。"シン1号"を」

 

つまり、負担を軽減させるシュートが開発済みであった…のならば。

なぜ、サッカーが出来ない身体になったのか。

 

「それがこの技…」

 

 

 

全ては"皇帝ペンギン"を作り出した理由が関係していた。

高海志満は高校入学時、すでに壁にぶつかっていた。

 

『ハァハァ…さ、さすがに…強いわね…』

 

一年生で一軍でサッカーをしている時点で十分、能力が高いことを示していた。

しかし、中学校の時と比べて、一気にサッカーのレベルが跳ね上がった。

自分のサッカーが通用しない時もあった。

 

まだ自分には技術、スピード、パワー、スタミナ、どれもこれも足りていなかった。

どうにかして強くなりたい。

そう考えた志満はある技を開発した。

 

『なにそれ…ペンギン??』

 

『ただのペンギンじゃないわよ』

 

自分のオーラを詰め込んだペンギンを作り出し、シュート時にペンギンと同時に蹴り込むことにより、数倍の威力のシュートを得ることに成功した。

しかし、

 

『ぐっっ!?』

 

反動は大きかった。

脚にペンギンのエネルギーを直接注入する"皇帝ペンギン1号"は、ダメージの量が尋常ではなかった。

 

ペンギンのオーラを直接脚に注入してはいけない。

そこから技は派生し、"シン1号"と"2号"が生まれた。

 

それでも、

 

 

『さあ、試合終了まで残り数分!帝国女学院、あと1点で県大会優勝も見えてくるが厳しいか!?』

 

適わなかった。

志満のシュートは全て止められた。

相手のキーパーが土壇場でゾーンを発動したのだ。

そこから1点も決められなくなっていた。

 

『ハァハァ…』

 

『高海!!もう時間がない!!』

 

『ハァハァ……』

 

『ここまで…来たのに…』

 

『…………』

 

私は天才じゃない。

だから、結局天才に全てひっくり返される。

どんなに努力しても、私はその領域に踏み入ることは…

 

 

『…違う』

 

 

そこで私は────────

 

 

『そんなの…絶対に嫌だ』

 

 

────天才を超えてみることにした。

 

皇帝ペンギンは、オーラで作り出したペンギン。

体内のオーラを一時的に体外でペンギンとして貯めておく。

これを応用した。応用だけは、得意だった。

 

 

『でえぇぇぇりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

オーラを体外ではなく、体内の1ヶ所に全て凝縮させてみた。

右脚に、ペンギン経由無しで、本来の数十倍のオーラを詰め込んだ。

 

"皇帝ペンギン1号"のダメージの量が尋常でないのならば、この技は"破壊的"だ。

 

ペンギンを出さずに撃つが、皮肉も込めて、この名前を付けた。

 

 

「【皇帝ペンギン0号】」

 

 

見ると、志満の右足はボロボロになっていた。

まるでショートした機械のように、煙が立っている。

 

「な、なんでそんな危ない技を使ったのさ!?」

 

たまらず千歌が口を開いた。

二度とサッカーが出来ない身体になるような技を躊躇わず発動するなんて、まるで…

 

「あっ、」

 

分かってしまった。

そして思い出してしまった。

 

「もう、これで最後だから。サッカーをするの」

 

高海志満の覚悟だった。

だが、その言葉を聞いて、千歌は今にも泣き出しそうになっていた。

まだ試合は終わっていないのに。

 

「最後ぐらい、悔いなくやりたいじゃない。天才に勝つなんて、なかなか出来ない体験なんだから」

 

その言葉に迷いはなかった。

これが、もうすぐ消える人の目なのか。

 

「本来の私は、この技を撃つ運命なの。これが、」

 

「私の走っていく道なのよ」

 

 

なんでこんなに、キラキラしているんだろう。

 

 

 




皇帝ペンギン0号/シュート/高海志満
高海志満がサッカーが出来ない身体になった本当のシュートです。皇帝ペンギン1号との明確な違いは「火力」と「スピード」。皇帝ペンギンを発動する時間をも短縮し、かつ、破壊的なシュートとなっている。
シュートを放つ際、脚は高濃度のオーラを詰め込むため、まるでオーバーヒートしたかのように、発動後は脚が焼き焦げる。

感想お願いします。

どっちの方が読みやすいですか?

  • 千歌「サッカーやろうぜ!」
  • 「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)
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