ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
誤字報告、質問してくださる方々。本当にありがとうございます。ゆっくり修正していきます。
浦の星女学院サッカー部。
その時計の針は、もう動くことは無い。
しかし、彼女らのサッカーは、今でも人々の記憶に濃く濃く残されている。
全国高校女子サッカー大会優勝。
これだけでも快挙であるが、部員数9名という、少数チームでの全国制覇は史上初。
その後、多くのメンバーが日本代表として活躍し、世界一に大きく貢献した。
そんな浦の星女学院のサッカーは、形を変え、別の時計として、新たに動き始めた。
「「「よろしくお願いします!!!」」」
そんな清真高校サッカー部の前に、元気よく現れたのは、前年度大会準優勝校、音ノ木坂学院サッカー部であった。
「千歌ちゃん。久しぶり!」
「穂乃果さんも…!」
FFI以降、清真高校と音ノ木坂学院は月に2回、お互いの学校で合同練習を行っていた。
東京と静岡で距離は決して近くはないが、苦に感じるものは誰もいなかった。
「さあさあ。時間も限られているし、どんどん始めましょ」
「監督!」
音ノ木坂学院サッカー部監督"高海美奈"。
単身赴任中の彼女が、静岡に姿を見せるのは、今やこの合同練習の日のみとなっていた。
もっと帰ってこいと家族から言われてはいるが、
彼女たちを日本一にさせなきゃだから。
これの一点張りだった。
「たく…もっと自分の娘たちのことも考えろよ」
「おはようございます!監督!」
低く厚みのある声が横からした。
頭を掻きながらフィールドに現れたのは、清真高校サッカー部新監督"松浦北也"だった。
「よーし。全員いるな」
「ちょっと。もう少し早く来れない?私たち1時間前から会場準備してたんだけど」
善子が北也に文句を言う。
まるで重役出勤をどうどうと行う上司のようで、無性に腹が立っていたのだ。
「あー悪い悪い。ずっと事務作業してたんだよ。来月に向けて」
「来月?」
「そうだ。この際だから、ここにいるやつ全員聞けー」
一見、気の抜けた話し方に聞こえるが、全員の目が北也に集まる。
一瞬だか、北也の雰囲気がピリッと変わった。
「来月から、全国高校女子サッカー大会の県予選が始まる」
「「「!!!」」」
「今年のお前たちは"狙われる側"だ。油断してると足元すくわれるぞ」
「今日から実践的なゲームを増やす。いつも以上に自分自身の課題を見つめ直せ。迷ったら聞けよ。いいな」
「「「はい!!!」」」
浦の星女学院から監督を継続。
彼は、全国連覇を当然のように狙っている。
「今日は負けませんよ。ルビィさん」
「望むところだけど…無理しないでね。"亜里沙ちゃん"」
ルビィの前に立ったのは、音ノ木坂学院1年の絢瀬亜里沙だった。
彼女は、去年卒業した絢瀬絵里の妹であり、FFIではロシア代表としてルビィたちと戦った。
だが、彼女は再び日本へ戻ってきた。
私たちが勝てなかった日本のサッカー。
私が見てきた日本のサッカー。
私は、そこでサッカーがしたいと思った。
彼女は今年の4月、そう語り、音ノ木坂学院サッカー部へと加わった。
そうして準備は進み、いよいよ午前中の試合が始まろうとしていた。
清真高校
FW……………………黒澤ルビィ
MF………先輩D、高海千歌☆、渡辺曜
MF………………………桜内梨子
DF……………先輩B、津島善子、先輩C
GK………………………先輩A
「穂乃果さんが今日はFW…!」
「GKは…あの子って…」
音ノ木坂学院
FW……………………高坂穂乃果☆
MF………星空凛…………………………園田海未
MF……………絢瀬亜里沙、西木野真姫
DF…………小泉花陽、南ことり、後輩A
GK………………………高坂雪穂
(うわ〜!!すごく緊張する…!!)
音ノ木坂学院のゴールを守るのは、今年新たに仲間に加わった高坂雪穂。
何を隠そう、音ノ木坂、そして日本の守護神である、高坂穂乃果の妹である。
「雪穂ー!リラックス、リラックス!」
姉からの激励の声が響いた。
この場にいる人全員に聞かれ、とんでもなく恥ずかしいが、おかげで緊張は吹き飛んだ。
気持ちを切り替え、前を向いたのと同時に、試合開始の笛が吹かれた。
「さて…清真高校はメンバーを揃えてきたわね」
美奈はフィールドに立っている、清真高校の選手の顔を一人ひとり確認し、そう呟いた。
浦の星女学院と統合前から、元々部活動が盛んな学校ということもあり、半数が統合前から清真高校でサッカーをしていた3年生であった。
戦力は相手の方が上。だが、
「だれか絢瀬さんを止めて!!」
こちらも、粒の質なら負けていない。
「【カミウツシ-ファンタスティックキープ-】」
「相変わらず…とんでもない必殺技ね」
絢瀬亜里沙は、天から祝福を受けていると言ってもおかしくない才を持つ。
相手の特徴やオーラを模範し、自分の物としてしまう"カミウツシ"。
これにより、矢澤にこの異次元ドリブルをコピー。
敵陣に切り込んでいく。
「2人、3人、4人、5人…嘘でしょ。どんどん抜かれていく、」
「私が行くわ」
「善子…!」
たじろぐ先輩たちの間を抜け、亜里沙に向かって駆け出したのは津島善子。
(善子さんとの勝負は不利…なら!)
対する亜里沙は構える。
「やばっ!?【Deep────「遅いです!」
「【カミウツシ-アイス・ブルーモーメント-】!!」
バシュウゥゥゥゥゥン!!!
GKの先輩Aが反応するも、神速のシュートはゴールへ突き刺さった。
善子も共鳴が間に合わず、しまったと言わんばかりの表情を浮かべていた。
「さ、早速1点取られちゃったずら…」
「先輩が技を出すのが間に合わない速さ…」
ベンチで試合を見守るメンバーも絢瀬亜里沙のプレーに圧倒されていた。
あんな選手が自分らの歳下?同年代?自信がなくなりそうだが、チームメイトの表情を見るとそんな感情は吹き飛ぶ。
「やるね。亜里沙ちゃん」
「ここからやり返します」
千歌、曜、梨子、ルビィ、善子、彼女らはすでに切り替えて前を向いていた。
清真の先輩たちも同じだったが、彼女らの目は一瞬たりとも光が消えなかった。
気持ちで、押されていない。
「それでこそ、千歌ちゃんたちだね!」
負けじと切り込む清真高校。
対する穂乃果はニカッと笑った。
「…音ノ木坂はGKを穂乃果でなく、1年の雪穂を出してきたか」
美奈と同じく、選手一人ひとりを観察していた北也はそう呟いた。
正直な話、"予想外"であった。
得点の中心となる絢瀬亜里沙がいる中、これ以上音ノ木坂は攻撃力を上げるメリットは少ない。
高坂穂乃果がGKにいる方がよっぽど脅威だ。
強力な攻撃と守備が完成する…が、
「1年GKを出したのがただの経験値目的か…あいつのことだ。何か企みがあるだろ」
北也が合図を出した。
「────!」
その瞬間、動いた選手が1人。
清真高校の指揮者、桜内梨子だった。
「【神のタクトFI】!!」
演奏が始まり、選手たちの動きが一変する。
全員、誰がどこへ、どのように動けばよいか、全てが共有されている。
「行かせないにゃーっ!」
凛のスライディングがボールを捕らえるも、
「ナイスパスよ」
「にゃーっ!?善子!?」
カバーが入り結局ボールは手に入らない。
善子がお返しと言わんばかりにセンタリング。
構える雪穂、対するシューターは────
「ルビィさん…!」
ルビィが走り込んでいた。
フリーだ。確実に撃ってくる。
「……いや、違うわ。雪穂ちゃん!!」
「!?」
美奈の声と同時だった。
「【真ゴッドウインド】!!」
"あの技"を出さければ…いや、間に合わない。
「はぁぁぁぁぁ!!」
右手にオーラを込め、体を回転させながらボールを勢いよく地面に叩きつける。
そのオーラは、とても"熱かった"。
「【極バーニングキャッチ】!!!」
(ルビィさんがしゃがんだと思ったら、飛び越えて曜さんが撃ってきた!?)
ルビィはどの技にもタメがある。
こちらも十分構える時間があると思っていた。
だが、それを梨子と北也が許さなかった。
北也の指示は────
「うわぁぁ!?」
────"何もさせるな"だった。
「…練習試合で出来ないことが、本番で出来るわけねえ。何かあるんだろうが…そう簡単じゃないぞ」
「そう簡単には行かないわよねー」
美奈はそりゃそうだと言わんばかりに、軽く笑って見せた。
「痛たた…びっくりした…」
これで試合は振り出し。
どちらが優勢かは分からない。
分かることは、この試合が決勝に劣らないほど、白熱しているということのみである。
──────
「ハァハァ…もう動けない…にゃ」
グラウンドに倒れ込む凛。
気づけばもう夕方だった。一日中走り回り、体力はすでに底をついていた。
「あーあ!またルビィさんに勝てなかった」
「負けてられないよ」
ここまで全力でぶつかり合えるチームはなかなかいない。
さまざまな課題が見つかり、収穫はたんまりだった。
「ふーっ!穂乃果ももう走れないや!」
「ハァハァ…」
千歌もその1人だった。
オレンジに色付いた雲を見ながら、呼吸を整えていた。
今日は本当に充実していた。明日からも頑張れそうだ。
そう思い、立ち上がろうとした時だった。
「そういえば、千歌ちゃん、何か悩み事とかあるの?」
今考えていたことが全て吹き飛んだ。
急なことすぎて、何も返答できない。
「いやー、なんとなく?プレーがこう…すっきりしていないというか…違和感があったというか…?」
千歌自身も試合に没頭していたため、"あの件"のことはすっかり頭に無かった。
そのはずだ。それなのに、
「あはは…わかります、か?」
「もー!私たちの仲じゃん!教えてよ!お小遣いが足りないとか?それとも、テストの点数が低かったとか??」
「それはあなたでしょ!?」
鋭い海未のツッコミ。
思わず千歌も笑ってしまう。
よし、言おう。千歌の決心は固まった。
事の経緯を全て伝えることに決めた。
全て話した結果、穂乃果の答えは────
「なんで言ってくれないのさ!?」
────まっすぐだった。
穂乃果さんたちを巻き込むわけにはいかない。
そう伝えても、彼女らは譲らなかった。
「でも、お母さんたちの歴史から始まってるんでしょ?穂乃果もお母さんたちとサッカーを守りたかったよ!」
「で、でも…遊びじゃなくて…」
「だからこそですよ」
海未らも気持ちは同じだった。
「戦力は多いに越したことはありません」
「それに、私たちもサッカーを失いたくないよ」
こうなっては、彼女らは譲らないだろう。
危険は覚悟。これはもう答えはひとつだ。
「音ノ木坂のみんな…一緒に、サッカーを守ってくれますか?」
頼もしい仲間が加わった。
それは、世界一頼もしい仲間だった。
「バーニングキャッチ」キャッチ技/高坂雪穂
皆さんお待たせしました。皆さんが大好きな技です。輝こうではちゃんと反時計回りしています。
どっちの方が読みやすいですか?
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千歌「サッカーやろうぜ!」
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「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)