ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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最終章 16話「東京から来た仲間たち」

 

 

 

浦の星女学院サッカー部。

 

その時計の針は、もう動くことは無い。

しかし、彼女らのサッカーは、今でも人々の記憶に濃く濃く残されている。

 

全国高校女子サッカー大会優勝。

これだけでも快挙であるが、部員数9名という、少数チームでの全国制覇は史上初。

 

その後、多くのメンバーが日本代表として活躍し、世界一に大きく貢献した。

 

 

そんな浦の星女学院のサッカーは、形を変え、別の時計として、新たに動き始めた。

 

「「「よろしくお願いします!!!」」」

 

そんな清真高校サッカー部の前に、元気よく現れたのは、前年度大会準優勝校、音ノ木坂学院サッカー部であった。

 

「千歌ちゃん。久しぶり!」

 

「穂乃果さんも…!」

 

FFI以降、清真高校と音ノ木坂学院は月に2回、お互いの学校で合同練習を行っていた。

東京と静岡で距離は決して近くはないが、苦に感じるものは誰もいなかった。

 

「さあさあ。時間も限られているし、どんどん始めましょ」

 

「監督!」

 

音ノ木坂学院サッカー部監督"高海美奈"。

単身赴任中の彼女が、静岡に姿を見せるのは、今やこの合同練習の日のみとなっていた。

もっと帰ってこいと家族から言われてはいるが、

 

彼女たちを日本一にさせなきゃだから。

 

これの一点張りだった。

 

 

「たく…もっと自分の娘たちのことも考えろよ」

 

「おはようございます!監督!」

 

低く厚みのある声が横からした。

頭を掻きながらフィールドに現れたのは、清真高校サッカー部新監督"松浦北也"だった。

 

「よーし。全員いるな」

 

「ちょっと。もう少し早く来れない?私たち1時間前から会場準備してたんだけど」

 

善子が北也に文句を言う。

まるで重役出勤をどうどうと行う上司のようで、無性に腹が立っていたのだ。

 

「あー悪い悪い。ずっと事務作業してたんだよ。来月に向けて」

 

「来月?」

 

「そうだ。この際だから、ここにいるやつ全員聞けー」

 

一見、気の抜けた話し方に聞こえるが、全員の目が北也に集まる。

一瞬だか、北也の雰囲気がピリッと変わった。

 

「来月から、全国高校女子サッカー大会の県予選が始まる」

 

「「「!!!」」」

 

「今年のお前たちは"狙われる側"だ。油断してると足元すくわれるぞ」

 

「今日から実践的なゲームを増やす。いつも以上に自分自身の課題を見つめ直せ。迷ったら聞けよ。いいな」

 

「「「はい!!!」」」

 

浦の星女学院から監督を継続。

彼は、全国連覇を当然のように狙っている。

 

 

「今日は負けませんよ。ルビィさん」

 

「望むところだけど…無理しないでね。"亜里沙ちゃん"」

 

ルビィの前に立ったのは、音ノ木坂学院1年の絢瀬亜里沙だった。

彼女は、去年卒業した絢瀬絵里の妹であり、FFIではロシア代表としてルビィたちと戦った。

だが、彼女は再び日本へ戻ってきた。

 

私たちが勝てなかった日本のサッカー。

私が見てきた日本のサッカー。

私は、そこでサッカーがしたいと思った。

彼女は今年の4月、そう語り、音ノ木坂学院サッカー部へと加わった。

 

そうして準備は進み、いよいよ午前中の試合が始まろうとしていた。

 

 

清真高校

 

FW……………………黒澤ルビィ

 

MF………先輩D、高海千歌☆、渡辺曜

 

MF………………………桜内梨子

 

DF……………先輩B、津島善子、先輩C

 

GK………………………先輩A

 

 

 

「穂乃果さんが今日はFW…!」

 

「GKは…あの子って…」

 

 

音ノ木坂学院

 

FW……………………高坂穂乃果☆

 

MF………星空凛…………………………園田海未

 

MF……………絢瀬亜里沙、西木野真姫

 

DF…………小泉花陽、南ことり、後輩A

 

GK………………………高坂雪穂

 

 

 

(うわ〜!!すごく緊張する…!!)

 

音ノ木坂学院のゴールを守るのは、今年新たに仲間に加わった高坂雪穂。

何を隠そう、音ノ木坂、そして日本の守護神である、高坂穂乃果の妹である。

 

「雪穂ー!リラックス、リラックス!」

 

姉からの激励の声が響いた。

この場にいる人全員に聞かれ、とんでもなく恥ずかしいが、おかげで緊張は吹き飛んだ。

 

気持ちを切り替え、前を向いたのと同時に、試合開始の笛が吹かれた。

 

 

「さて…清真高校はメンバーを揃えてきたわね」

 

美奈はフィールドに立っている、清真高校の選手の顔を一人ひとり確認し、そう呟いた。

浦の星女学院と統合前から、元々部活動が盛んな学校ということもあり、半数が統合前から清真高校でサッカーをしていた3年生であった。

 

戦力は相手の方が上。だが、

 

「だれか絢瀬さんを止めて!!」

 

こちらも、粒の質なら負けていない。

 

「【カミウツシ-ファンタスティックキープ-】」

 

「相変わらず…とんでもない必殺技ね」

 

絢瀬亜里沙は、天から祝福を受けていると言ってもおかしくない才を持つ。

相手の特徴やオーラを模範し、自分の物としてしまう"カミウツシ"。

これにより、矢澤にこの異次元ドリブルをコピー。

敵陣に切り込んでいく。

 

「2人、3人、4人、5人…嘘でしょ。どんどん抜かれていく、」

 

「私が行くわ」

 

「善子…!」

 

たじろぐ先輩たちの間を抜け、亜里沙に向かって駆け出したのは津島善子。

 

(善子さんとの勝負は不利…なら!)

 

対する亜里沙は構える。

 

「やばっ!?【Deep────「遅いです!」

 

「【カミウツシ-アイス・ブルーモーメント-】!!」

 

バシュウゥゥゥゥゥン!!!

GKの先輩Aが反応するも、神速のシュートはゴールへ突き刺さった。

善子も共鳴が間に合わず、しまったと言わんばかりの表情を浮かべていた。

 

「さ、早速1点取られちゃったずら…」

 

「先輩が技を出すのが間に合わない速さ…」

 

ベンチで試合を見守るメンバーも絢瀬亜里沙のプレーに圧倒されていた。

あんな選手が自分らの歳下?同年代?自信がなくなりそうだが、チームメイトの表情を見るとそんな感情は吹き飛ぶ。

 

「やるね。亜里沙ちゃん」

 

「ここからやり返します」

 

千歌、曜、梨子、ルビィ、善子、彼女らはすでに切り替えて前を向いていた。

清真の先輩たちも同じだったが、彼女らの目は一瞬たりとも光が消えなかった。

気持ちで、押されていない。

 

「それでこそ、千歌ちゃんたちだね!」

 

負けじと切り込む清真高校。

対する穂乃果はニカッと笑った。

 

 

「…音ノ木坂はGKを穂乃果でなく、1年の雪穂を出してきたか」

 

美奈と同じく、選手一人ひとりを観察していた北也はそう呟いた。

正直な話、"予想外"であった。

 

得点の中心となる絢瀬亜里沙がいる中、これ以上音ノ木坂は攻撃力を上げるメリットは少ない。

高坂穂乃果がGKにいる方がよっぽど脅威だ。

強力な攻撃と守備が完成する…が、

 

「1年GKを出したのがただの経験値目的か…あいつのことだ。何か企みがあるだろ」

 

 

北也が合図を出した。

 

 

「────!」

 

その瞬間、動いた選手が1人。

清真高校の指揮者、桜内梨子だった。

 

「【神のタクトFI】!!」

 

演奏が始まり、選手たちの動きが一変する。

全員、誰がどこへ、どのように動けばよいか、全てが共有されている。

 

「行かせないにゃーっ!」

 

凛のスライディングがボールを捕らえるも、

 

「ナイスパスよ」

 

「にゃーっ!?善子!?」

 

カバーが入り結局ボールは手に入らない。

善子がお返しと言わんばかりにセンタリング。

構える雪穂、対するシューターは────

 

「ルビィさん…!」

 

ルビィが走り込んでいた。

フリーだ。確実に撃ってくる。

 

「……いや、違うわ。雪穂ちゃん!!」

 

「!?」

 

美奈の声と同時だった。

「【真ゴッドウインド】!!」

 

"あの技"を出さければ…いや、間に合わない。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

右手にオーラを込め、体を回転させながらボールを勢いよく地面に叩きつける。

そのオーラは、とても"熱かった"。

 

「【極バーニングキャッチ】!!!」

 

(ルビィさんがしゃがんだと思ったら、飛び越えて曜さんが撃ってきた!?)

 

ルビィはどの技にもタメがある。

こちらも十分構える時間があると思っていた。

だが、それを梨子と北也が許さなかった。

 

北也の指示は────

 

 

「うわぁぁ!?」

 

 

────"何もさせるな"だった。

 

「…練習試合で出来ないことが、本番で出来るわけねえ。何かあるんだろうが…そう簡単じゃないぞ」

 

「そう簡単には行かないわよねー」

 

美奈はそりゃそうだと言わんばかりに、軽く笑って見せた。

 

「痛たた…びっくりした…」

 

これで試合は振り出し。

どちらが優勢かは分からない。

 

分かることは、この試合が決勝に劣らないほど、白熱しているということのみである。

 

 

──────

 

 

「ハァハァ…もう動けない…にゃ」

 

グラウンドに倒れ込む凛。

気づけばもう夕方だった。一日中走り回り、体力はすでに底をついていた。

 

「あーあ!またルビィさんに勝てなかった」

 

「負けてられないよ」

 

ここまで全力でぶつかり合えるチームはなかなかいない。

さまざまな課題が見つかり、収穫はたんまりだった。

 

「ふーっ!穂乃果ももう走れないや!」

 

「ハァハァ…」

 

千歌もその1人だった。

オレンジに色付いた雲を見ながら、呼吸を整えていた。

今日は本当に充実していた。明日からも頑張れそうだ。

そう思い、立ち上がろうとした時だった。

 

「そういえば、千歌ちゃん、何か悩み事とかあるの?」

 

今考えていたことが全て吹き飛んだ。

急なことすぎて、何も返答できない。

 

「いやー、なんとなく?プレーがこう…すっきりしていないというか…違和感があったというか…?」

 

千歌自身も試合に没頭していたため、"あの件"のことはすっかり頭に無かった。

そのはずだ。それなのに、

 

「あはは…わかります、か?」

 

「もー!私たちの仲じゃん!教えてよ!お小遣いが足りないとか?それとも、テストの点数が低かったとか??」

 

「それはあなたでしょ!?」

 

鋭い海未のツッコミ。

思わず千歌も笑ってしまう。

よし、言おう。千歌の決心は固まった。

事の経緯を全て伝えることに決めた。

 

 

 

 

全て話した結果、穂乃果の答えは────

 

「なんで言ってくれないのさ!?」

 

────まっすぐだった。

 

穂乃果さんたちを巻き込むわけにはいかない。

そう伝えても、彼女らは譲らなかった。

 

「でも、お母さんたちの歴史から始まってるんでしょ?穂乃果もお母さんたちとサッカーを守りたかったよ!」

 

「で、でも…遊びじゃなくて…」

 

「だからこそですよ」

 

海未らも気持ちは同じだった。

 

「戦力は多いに越したことはありません」

 

「それに、私たちもサッカーを失いたくないよ」

 

こうなっては、彼女らは譲らないだろう。

危険は覚悟。これはもう答えはひとつだ。

 

「音ノ木坂のみんな…一緒に、サッカーを守ってくれますか?」

 

 

頼もしい仲間が加わった。

それは、世界一頼もしい仲間だった。

 

 




「バーニングキャッチ」キャッチ技/高坂雪穂
皆さんお待たせしました。皆さんが大好きな技です。輝こうではちゃんと反時計回りしています。

どっちの方が読みやすいですか?

  • 千歌「サッカーやろうぜ!」
  • 「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)
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