ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
自分に画力と気力があればたくさん絵を描きたいのに、
音ノ木坂学院との合同練習から数日。
高海千歌はやる気にみなぎっていた。
「よーし!今日も頑張るぞー!」
頼もしい仲間が増えて心強いのもあるが、それとは別に、音ノ木坂の選手のほとんどが、世界大会の時よりもレベルアップしていた。
それがとにかく嬉しかった。
より強くなれる、より熱いサッカーができる。
そう考えただけで、グズグズしてなどいられなかった。
「おはよー!」
勢いよく部室のドアを開け、道具の入った荷物をドスッと机に置く。
どうやら部室一番乗りのようで、まだ誰もいない。
それどころか道具もひとつもない。
「もー、みんなやる気あるのかなぁ〜?私その分、自主練しちゃうからね〜」
違和感に気づいたのは、バッグの中からスパイクを取り出そうとした時だった。
………ん?
道具がひとつもない??
何故、部室の中がすっからかんなのか。
まるで今日引っ越してきたばかりの新築のようだ。
部室の場所を間違えた?
今年からこの学校に転入したばっかり、間違うのも無理はないよね。
そう自分に言い聞かせる。だが、
「合ってる…よね?」
部室棟の自販機から一番近い場所。
間違いない。そのせいでジュース買いすぎて破産しかけたからよく覚えている。
混乱する千歌、シーンと静まりかえる部室がだんだん不気味に見えてきた。
そこへ勢いよく扉が開く音がした。
振り向くと、肩で息をしながら梨子が入ってきた。
「り、梨子ちゃん、いろいろ聞きたことが「…ぶになっちゃった」
「え?」
どんなに悪いニュースだったとしても、部室消滅とか、赤点で1週間部活禁止とか、あってもどうにかなるものだと思っていた。
「サッカー部が廃部になっちゃった」
こんなの誰が想像できますか???
─────
「どこだ〜?サッカーボールどこー?」
「ち、千歌ちゃん…」
死んだ目で教室のロッカーを漁る高海千歌。
彼女は今や、サッカーを求めて彷徨うゾンビとなっていた。
「ここにも…ない…」
「チョーク入れの中まで探し始めた…」
探す場所に見境などない。
このままでは校長室や男子トイレにまで足を踏み入れかねない。
早急に止めなければ、だが、止めるにはまず原因を把握しなければならない。のだが、
「私たちもよく分からないよ…朝、学校に来たら急にサッカー禁止って…」
「先生たちに聞いても"ごめんなさい、決まったことだから"って言うだけだし」
曜も梨子も何故、サッカーが禁止なのか理由が分からずにいた。
教室で途方に暮れるまま時間が流れる。
それはルビィたち2年生も同じだった。
「あっちはどうなってるんだろう」
曜がスマホで電話をかける。
少しでも情報が欲しい。
電話の先は音ノ木坂学院のことりだった。
「あ、もしもし…曜で『曜ちゃんごめんなさい!!』
「!?」
『いまちょっと取り込み中なの…!』
『うわー!!!サッカーさせてー!!!』
『穂乃果ちゃんダメにゃー!!』
『凛さん、2人でお姉ちゃんを止めますよ!!』
『わ、私は…知らなかったんです…ぐすっ…知らなかったんです…』
『海未さん…!私は海未さんを全力で守ります!犯罪者になんてさせません!』
『ミンナオチツイテー!?』
『もー!?うるさすぎるわよ!?』
「………」
あちらの方がパニックになっていた。
どうやら、サッカーが禁止になったのは自分たちだけではない。それだけは分かった。
結局、双方落ち着いて話し合いができる頃には、夕方になっていた。
「日本代表選手が暴力行為!?」
それは一ヶ月前に起きたことだった。
『ええ。親善試合は中止。イタリア代表の選手のほとんどが大怪我したのよ』
先輩たちが大騒ぎしている間に、真姫はサッカーが禁止になった原因を調べていた。
真姫の説明を清真高校、音ノ木坂学院のメンバー全員で聞いていた。
そんな中、千歌はその試合に覚えがあった。
見た記憶もある。
しかし、内容は真姫が言うものとは、大きく異なっている。
「私が見た試合は…とても白熱していて、暴力行為とかもなかった…」
話が噛み合っていない。
あれのどこがサッカー禁止と関係が…
「…まさか」
「エルドラドだね」
千歌の心を読むかのように、フェイが口を開いた。
「日本とイタリアの試合に介入したんだ。サッカーは野蛮で危険なスポーツと思わせるためにね」
「……酷い」
『どういうこと?』
清真高校と音ノ木坂学院で記憶に食い違いがある。
原因を説明するために、フェイはお互いの記憶の確認をする。
「みんな、一ヶ月前の試合の結果は覚えてる?」
「3対2で日本が勝った!」
『え…全然違うよ。10対0で始まった後半戦、日本チームの暴力行為で試合中止になったよ』
確認のため、試合の録画を見たが、レッドカード連発。
それでもプレーを止めない日本選手。
見るに堪えない映像だった。
『そうそう、この試合!やっぱり酷いよ…これが日本代表なんて恥ずかしいよ』
「やつらが本来の日本代表と入れ替わり、試合をめちゃくちゃにしたんだ」
「でも、どうして記憶に違いがあるの?」
歴史を変えることによって、時間の新たな流れ、パラレルワールドが出来る。
「これは、清真メンバーは体験したよね」
タイムジャンプし、"日本代表が入れ替わった歴史"の外にいた清真メンバーは、音ノ木坂学院メンバーと違って時間介入の影響を受けない。
しかし、このまま放置すれば、時間介入のあったパラレルワールドが本当の歴史となる。
「じゃあ、このまま放っておくと…まずい?」
「私たちは私たちの未来を失うってことだよね」
徐々に自分らの置かれている状況を察しはじめる。
ならどうすればよいのか?
そんな音ノ木坂学院メンバーからの疑問に答えたのは、一度時間介入を阻止した経験を持つ、清真メンバーだった。
「じゃあ、日本とイタリアの試合前に行って…エルドラドの歴史改変を阻止しなきゃ」
『れ、歴史改変??』
「タイムマシンに乗って、本来の歴史を取り戻すんだよ」
───────
『ゴォォォル!!日本代表、圧倒的な力で5点目をもぎ取った!』
『負傷者続出のイタリア代表。試合を続けることはできるのかーっ!?』
千歌たちは音ノ木坂とのミーティングの翌日、試合のチケットをアーティファクトに過去へと飛んだ。
その光景は見るに堪えなかった。
現着した時には前半が終了しており、イタリア代表の選手たちは、ボロボロの姿で地面に倒れていた。
「ひどい。これがプロトコル・オメガの試合」
彼女らのサッカーとは言えないプレーを目の当たりにし、穂乃果は怒りをにじませていた。
そして、不気味だった。
ここまで酷い光景にも関わらず、審判も、観客も、普通の試合と同じく試合を進行している。
「あれだよ」
フェイが指さす先には、空中を漂う光り輝くボールがあった。
不気味なオーラが放たれており、説明によると、人を洗脳するものだという。
どんな手段を使ってもが似合う組織は彼女ら以上にない。
イタリア代表の代わりに、試合に乗り込もうとした時だった。
「あ、あれ?」
「千歌ちゃん、どうしたの?」
「アルファさんが…いない」
何度も対峙した選手であり、プロトコル・オメガのキャプテンのアルファの姿がなかった。
代わりに、初めて見る少女がいた。
「千歌さんですね。私はベータといいます♪」
「!?」
思考を読まれたかのように話しかけられた。
雰囲気はおっとりとしている…が、油断できない。
「あなたが考えていたこと、私には分かりますよ〜?」
「ここだけの話ですけど…」
「プロトコル・オメガは、2.0にアップデートしちゃいました!」
ぴょんとジャンプし、喜びをからだで表現するベータ。
アルファと違って、感情豊かな少女のようだ。
「待って。アルファはどうした」
「さあ?こういうのお払い箱とか言うんでしょうか。残念です…」
千歌との試合に敗北し、帰還したアルファたち。
待っていたのは、失望の表情の議長らだった。
ネタン、ジーニー、クオル、アルファ。
4人の解任と"ムゲン牢獄"送りが言い渡された。
それと同時に発狂する者、助けを求める者、失望に言葉を失う者、それぞれだったが、アルファどれでもなかった。
(この感情を知ることなく、私は、)
紫色の光に包まれ、4人の姿は消えた。
そして新たな追加メンバーと新キャプテンの元、プロトコル・オメガ2.0が始動したのだった。
「…で、あなたたちはバージョンアップした私たちと無謀にも勝負しちゃうわけですね♪」
「私たちはあなたたちなんかに負けない。サッカーを取り戻す!」
「う〜ん、でもやっぱり、あなたたちは勝てないと思います」
「そんなの、やってみなきゃわからないよ」
「…!」
千歌たちは食い下がらなかった。
それが想定外だったのか、余裕の雰囲気を出していたベータの表情が一瞬だけ、固まったように見えた。
はあ…しょうがない。
と言わんばかりに日本ベンチへ下がるベータ。
いよいよ後半戦が始まることとなった。
A『さあ、後半戦開始だ!日本代表VSイタリア代表の親善試合!日本代表に大量得点を許したイタリア、ここから巻き返すことはできるのか!?』
いつもの実況がスタジアムに響く。
自分たちがイタリア代表で、相手が日本代表、今にも混乱しそうな状況ではあるが、変わらず、相手に勝つことだけを考える。
「あの人たちはこの試合で、サッカーが野蛮で危険なスポーツだと世界に知らしめるつもり、なのよね」
「らしいな」
今回の戦い、頼もしいことに、両校の監督がベンチに座っていた。
千歌たちは試合前、最後の指示を聞いていた。
「じゃあ逆に教えてあげましょ」
「サッカーがどれほど素晴らしいスポーツか。そして、あなたたちがどれだけ強いか」
「勝ってこい。世界最強軍団」
「「「はい!!!」」」
イタリア代表
FW…………絢瀬亜里沙、黒澤ルビィ
MF………園田海未、高海千歌☆、渡辺曜
MF………………桜内梨子、津島善子
DF……南ことり、フェイ・ムーン、国木田花丸
GK……………………高坂穂乃果
プロトコルオメガ2.0
FW…………レイザ、ベータ☆、エイナム
MF……ネイラ、オルカ、ドリム、クオース
DF……………ガウラ、メダム、ウォード
GK…………………………ザノウ
A『さあ、イタリア代表のキックオフで試合再開です!』
亜里沙からボールを受け取り、ドリブルを開始する千歌。
気持ちを新たに、前を向いた瞬間だった。
「うわっ!?」
思わず声が出た。
それもそのはず、プロトコル・オメガ2.0になり、新しく加わった選手、ドリムが勢いよく突っ込んできたのだ。
千歌は上手く躱したが、
「あれ、あのまま当たってたらケガしてたんじゃ…」
「身体狙ってたね。なんでもありか、」
ボールなど見ていないことは、周りの選手は皆分かっていた。
そんな様子を見て、ベータはクスッと笑う。
(所詮、サッカー遊びが大好きな女子高生です♪)
ちょっと暴力的な雰囲気を出せば、腰は引け、戦意は失われるはずだ。
イタリア代表の選手たちはそうだった。
だから心と体をぐしゃぐしゃにするのは簡単だった。
この人らも同じ────「私が切り込む!」
「!?」
「みんなはライン上げて!!」
A『高海千歌がドリブルで持ち込みます!日本代表は防ぎきれるのか!?』
想定外の状況だった。
戦意を失うどころか、自ら切り込む?
目の光は、失うどころか、強まっている。
「あは♪おバカさんなんでしょうか?」
「ただのバカじゃなくて、サッカーバカだよ」
時は少々遡り、試合再開前のイタリア代表ベンチ。
高海美奈は選手たちに指示を出していた。
『あの人たちは、あなたたちにもラフプレーを仕掛けてくるはずよ』
『では、上手く様子を見て引き付けながら…』
『それではダメよ。梨子ちゃん』
『え?』
『真っ向勝負しなさい。引いてはダメよ』
「【リバース&Zスラッシュ】!!」
A『3人抜いたぁぁ!!変幻自在のドリブルテクニック!高海千歌が止まらない!!』
『あなたたちに残された時間は、45分』
『5点差を逆転しなければならない』
「このっ、調子に─────「海未さん!」
ギリギリまで相手を引き付け、空いたスペースに走り込む海未へ出す。
タイミングはドンピシャ。
それまま勢いよくサイドを駆ける。
『あなたたちが勝つための絶対条件は2つ』
左サイド、ペナルティエリアの横まで来た。
海未は鋭いセンタリングを上げる。
中では日本のエース、黒澤ルビィが待つ。
「させないわ」
「吹き飛ばしてあげる」
ディフェンダー2人がルビィに迫る。
海未のセンタリングの到達よりも速い。
だが、
「早速1点」
「「!?」」
ルビィはシュートではなく、オーバーヘッドで後方へパス。
そこでは1人の選手が既に構えていた。
「【カミウツシ】」
『絶対条件、それは…』
『これ以上の失点は無し。そして』
「【アイス・ブルーモーメント】!!!」
『勝負から───逃げないことよ!』
ルビィと距離を置いて上がっていた亜里沙。
ルビィを囮に使い、自分へのマークが薄くなった瞬間、そして…
バシュウゥゥゥゥゥン!!!
相手が何をされたかもわからぬ間に、畳み掛ける。
A『ゴール!!!イタリア代表が1点を返したぁぁ!!!』
『大丈夫よ。あなたたちならできるわ。だって、』
『世界最強なのよ?ビビる必要ある?』
厳しい戦いは何度も経験した。
私たちは最強、それは、私たちが1番知っている。
頑張れ花丸ちゃん!
どっちの方が読みやすいですか?
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千歌「サッカーやろうぜ!」
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「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)