ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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ボーナス嬉しいですね。
自分に画力と気力があればたくさん絵を描きたいのに、




最終章 17話 「サッカー禁止」

 

 

音ノ木坂学院との合同練習から数日。

高海千歌はやる気にみなぎっていた。

 

「よーし!今日も頑張るぞー!」

 

頼もしい仲間が増えて心強いのもあるが、それとは別に、音ノ木坂の選手のほとんどが、世界大会の時よりもレベルアップしていた。

それがとにかく嬉しかった。

 

より強くなれる、より熱いサッカーができる。

そう考えただけで、グズグズしてなどいられなかった。

 

「おはよー!」

 

勢いよく部室のドアを開け、道具の入った荷物をドスッと机に置く。

どうやら部室一番乗りのようで、まだ誰もいない。

それどころか道具もひとつもない。

 

「もー、みんなやる気あるのかなぁ〜?私その分、自主練しちゃうからね〜」

 

違和感に気づいたのは、バッグの中からスパイクを取り出そうとした時だった。

 

………ん?

 

道具がひとつもない??

 

何故、部室の中がすっからかんなのか。

まるで今日引っ越してきたばかりの新築のようだ。

部室の場所を間違えた?

今年からこの学校に転入したばっかり、間違うのも無理はないよね。

そう自分に言い聞かせる。だが、

 

「合ってる…よね?」

 

部室棟の自販機から一番近い場所。

間違いない。そのせいでジュース買いすぎて破産しかけたからよく覚えている。

 

混乱する千歌、シーンと静まりかえる部室がだんだん不気味に見えてきた。

そこへ勢いよく扉が開く音がした。

振り向くと、肩で息をしながら梨子が入ってきた。

 

「り、梨子ちゃん、いろいろ聞きたことが「…ぶになっちゃった」

 

「え?」

 

どんなに悪いニュースだったとしても、部室消滅とか、赤点で1週間部活禁止とか、あってもどうにかなるものだと思っていた。

 

「サッカー部が廃部になっちゃった」

 

こんなの誰が想像できますか???

 

 

─────

 

 

「どこだ〜?サッカーボールどこー?」

 

「ち、千歌ちゃん…」

 

死んだ目で教室のロッカーを漁る高海千歌。

彼女は今や、サッカーを求めて彷徨うゾンビとなっていた。

 

「ここにも…ない…」

 

「チョーク入れの中まで探し始めた…」

 

探す場所に見境などない。

このままでは校長室や男子トイレにまで足を踏み入れかねない。

早急に止めなければ、だが、止めるにはまず原因を把握しなければならない。のだが、

 

「私たちもよく分からないよ…朝、学校に来たら急にサッカー禁止って…」

 

「先生たちに聞いても"ごめんなさい、決まったことだから"って言うだけだし」

 

曜も梨子も何故、サッカーが禁止なのか理由が分からずにいた。

教室で途方に暮れるまま時間が流れる。

それはルビィたち2年生も同じだった。

 

「あっちはどうなってるんだろう」

 

曜がスマホで電話をかける。

少しでも情報が欲しい。

電話の先は音ノ木坂学院のことりだった。

 

「あ、もしもし…曜で『曜ちゃんごめんなさい!!』

 

「!?」

 

『いまちょっと取り込み中なの…!』

『うわー!!!サッカーさせてー!!!』

『穂乃果ちゃんダメにゃー!!』

『凛さん、2人でお姉ちゃんを止めますよ!!』

『わ、私は…知らなかったんです…ぐすっ…知らなかったんです…』

『海未さん…!私は海未さんを全力で守ります!犯罪者になんてさせません!』

『ミンナオチツイテー!?』

『もー!?うるさすぎるわよ!?』

 

「………」

 

あちらの方がパニックになっていた。

どうやら、サッカーが禁止になったのは自分たちだけではない。それだけは分かった。

結局、双方落ち着いて話し合いができる頃には、夕方になっていた。

 

 

 

「日本代表選手が暴力行為!?」

 

それは一ヶ月前に起きたことだった。

 

『ええ。親善試合は中止。イタリア代表の選手のほとんどが大怪我したのよ』

 

先輩たちが大騒ぎしている間に、真姫はサッカーが禁止になった原因を調べていた。

 

真姫の説明を清真高校、音ノ木坂学院のメンバー全員で聞いていた。

そんな中、千歌はその試合に覚えがあった。

見た記憶もある。

しかし、内容は真姫が言うものとは、大きく異なっている。

 

「私が見た試合は…とても白熱していて、暴力行為とかもなかった…」

 

話が噛み合っていない。

あれのどこがサッカー禁止と関係が…

 

「…まさか」

 

「エルドラドだね」

 

千歌の心を読むかのように、フェイが口を開いた。

 

「日本とイタリアの試合に介入したんだ。サッカーは野蛮で危険なスポーツと思わせるためにね」

 

「……酷い」

 

『どういうこと?』

 

清真高校と音ノ木坂学院で記憶に食い違いがある。

原因を説明するために、フェイはお互いの記憶の確認をする。

 

「みんな、一ヶ月前の試合の結果は覚えてる?」

 

「3対2で日本が勝った!」

 

『え…全然違うよ。10対0で始まった後半戦、日本チームの暴力行為で試合中止になったよ』

 

確認のため、試合の録画を見たが、レッドカード連発。

それでもプレーを止めない日本選手。

見るに堪えない映像だった。

 

『そうそう、この試合!やっぱり酷いよ…これが日本代表なんて恥ずかしいよ』

 

「やつらが本来の日本代表と入れ替わり、試合をめちゃくちゃにしたんだ」

 

「でも、どうして記憶に違いがあるの?」

 

 

歴史を変えることによって、時間の新たな流れ、パラレルワールドが出来る。

 

「これは、清真メンバーは体験したよね」

 

タイムジャンプし、"日本代表が入れ替わった歴史"の外にいた清真メンバーは、音ノ木坂学院メンバーと違って時間介入の影響を受けない。

しかし、このまま放置すれば、時間介入のあったパラレルワールドが本当の歴史となる。

 

「じゃあ、このまま放っておくと…まずい?」

 

「私たちは私たちの未来を失うってことだよね」

 

徐々に自分らの置かれている状況を察しはじめる。

ならどうすればよいのか?

そんな音ノ木坂学院メンバーからの疑問に答えたのは、一度時間介入を阻止した経験を持つ、清真メンバーだった。

 

「じゃあ、日本とイタリアの試合前に行って…エルドラドの歴史改変を阻止しなきゃ」

 

『れ、歴史改変??』

 

「タイムマシンに乗って、本来の歴史を取り戻すんだよ」

 

 

 

 

───────

 

 

 

『ゴォォォル!!日本代表、圧倒的な力で5点目をもぎ取った!』

 

『負傷者続出のイタリア代表。試合を続けることはできるのかーっ!?』

 

 

千歌たちは音ノ木坂とのミーティングの翌日、試合のチケットをアーティファクトに過去へと飛んだ。

 

その光景は見るに堪えなかった。

現着した時には前半が終了しており、イタリア代表の選手たちは、ボロボロの姿で地面に倒れていた。

 

「ひどい。これがプロトコル・オメガの試合」

 

彼女らのサッカーとは言えないプレーを目の当たりにし、穂乃果は怒りをにじませていた。

そして、不気味だった。

ここまで酷い光景にも関わらず、審判も、観客も、普通の試合と同じく試合を進行している。

 

「あれだよ」

 

フェイが指さす先には、空中を漂う光り輝くボールがあった。

不気味なオーラが放たれており、説明によると、人を洗脳するものだという。

 

どんな手段を使ってもが似合う組織は彼女ら以上にない。

イタリア代表の代わりに、試合に乗り込もうとした時だった。

 

「あ、あれ?」

 

「千歌ちゃん、どうしたの?」

 

「アルファさんが…いない」

 

何度も対峙した選手であり、プロトコル・オメガのキャプテンのアルファの姿がなかった。

代わりに、初めて見る少女がいた。

 

「千歌さんですね。私はベータといいます♪」

 

「!?」

 

思考を読まれたかのように話しかけられた。

雰囲気はおっとりとしている…が、油断できない。

 

「あなたが考えていたこと、私には分かりますよ〜?」

 

「ここだけの話ですけど…」

 

「プロトコル・オメガは、2.0にアップデートしちゃいました!」

 

ぴょんとジャンプし、喜びをからだで表現するベータ。

アルファと違って、感情豊かな少女のようだ。

 

「待って。アルファはどうした」

 

「さあ?こういうのお払い箱とか言うんでしょうか。残念です…」

 

 

千歌との試合に敗北し、帰還したアルファたち。

待っていたのは、失望の表情の議長らだった。

 

ネタン、ジーニー、クオル、アルファ。

 

4人の解任と"ムゲン牢獄"送りが言い渡された。

それと同時に発狂する者、助けを求める者、失望に言葉を失う者、それぞれだったが、アルファどれでもなかった。

 

(この感情を知ることなく、私は、)

 

紫色の光に包まれ、4人の姿は消えた。

そして新たな追加メンバーと新キャプテンの元、プロトコル・オメガ2.0が始動したのだった。

 

「…で、あなたたちはバージョンアップした私たちと無謀にも勝負しちゃうわけですね♪」

 

「私たちはあなたたちなんかに負けない。サッカーを取り戻す!」

 

「う〜ん、でもやっぱり、あなたたちは勝てないと思います」

 

「そんなの、やってみなきゃわからないよ」

 

「…!」

 

千歌たちは食い下がらなかった。

それが想定外だったのか、余裕の雰囲気を出していたベータの表情が一瞬だけ、固まったように見えた。

 

はあ…しょうがない。

 

と言わんばかりに日本ベンチへ下がるベータ。

いよいよ後半戦が始まることとなった。

 

A『さあ、後半戦開始だ!日本代表VSイタリア代表の親善試合!日本代表に大量得点を許したイタリア、ここから巻き返すことはできるのか!?』

 

いつもの実況がスタジアムに響く。

自分たちがイタリア代表で、相手が日本代表、今にも混乱しそうな状況ではあるが、変わらず、相手に勝つことだけを考える。

 

 

「あの人たちはこの試合で、サッカーが野蛮で危険なスポーツだと世界に知らしめるつもり、なのよね」

 

「らしいな」

 

今回の戦い、頼もしいことに、両校の監督がベンチに座っていた。

千歌たちは試合前、最後の指示を聞いていた。

 

「じゃあ逆に教えてあげましょ」

 

「サッカーがどれほど素晴らしいスポーツか。そして、あなたたちがどれだけ強いか」

 

「勝ってこい。世界最強軍団」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

イタリア代表

 

FW…………絢瀬亜里沙、黒澤ルビィ

 

MF………園田海未、高海千歌☆、渡辺曜

 

MF………………桜内梨子、津島善子

 

DF……南ことり、フェイ・ムーン、国木田花丸

 

GK……………………高坂穂乃果

 

 

プロトコルオメガ2.0

 

FW…………レイザ、ベータ☆、エイナム

 

MF……ネイラ、オルカ、ドリム、クオース

 

DF……………ガウラ、メダム、ウォード

 

GK…………………………ザノウ

 

 

A『さあ、イタリア代表のキックオフで試合再開です!』

 

 

亜里沙からボールを受け取り、ドリブルを開始する千歌。

気持ちを新たに、前を向いた瞬間だった。

 

「うわっ!?」

 

思わず声が出た。

それもそのはず、プロトコル・オメガ2.0になり、新しく加わった選手、ドリムが勢いよく突っ込んできたのだ。

千歌は上手く躱したが、

 

「あれ、あのまま当たってたらケガしてたんじゃ…」

 

「身体狙ってたね。なんでもありか、」

 

ボールなど見ていないことは、周りの選手は皆分かっていた。

そんな様子を見て、ベータはクスッと笑う。

 

(所詮、サッカー遊びが大好きな女子高生です♪)

 

ちょっと暴力的な雰囲気を出せば、腰は引け、戦意は失われるはずだ。

イタリア代表の選手たちはそうだった。

だから心と体をぐしゃぐしゃにするのは簡単だった。

 

この人らも同じ────「私が切り込む!」

 

「!?」

 

「みんなはライン上げて!!」

 

A『高海千歌がドリブルで持ち込みます!日本代表は防ぎきれるのか!?』

 

 

想定外の状況だった。

戦意を失うどころか、自ら切り込む?

目の光は、失うどころか、強まっている。

 

「あは♪おバカさんなんでしょうか?」

 

「ただのバカじゃなくて、サッカーバカだよ」

 

 

時は少々遡り、試合再開前のイタリア代表ベンチ。

高海美奈は選手たちに指示を出していた。

 

『あの人たちは、あなたたちにもラフプレーを仕掛けてくるはずよ』

 

『では、上手く様子を見て引き付けながら…』

 

『それではダメよ。梨子ちゃん』

 

『え?』

 

『真っ向勝負しなさい。引いてはダメよ』

 

 

 

「【リバース&Zスラッシュ】!!」

 

A『3人抜いたぁぁ!!変幻自在のドリブルテクニック!高海千歌が止まらない!!』

 

 

『あなたたちに残された時間は、45分』

 

『5点差を逆転しなければならない』

 

 

「このっ、調子に─────「海未さん!」

 

ギリギリまで相手を引き付け、空いたスペースに走り込む海未へ出す。

タイミングはドンピシャ。

それまま勢いよくサイドを駆ける。

 

 

『あなたたちが勝つための絶対条件は2つ』

 

 

左サイド、ペナルティエリアの横まで来た。

海未は鋭いセンタリングを上げる。

中では日本のエース、黒澤ルビィが待つ。

 

「させないわ」

 

「吹き飛ばしてあげる」

 

ディフェンダー2人がルビィに迫る。

海未のセンタリングの到達よりも速い。

だが、

 

「早速1点」

 

「「!?」」

 

ルビィはシュートではなく、オーバーヘッドで後方へパス。

そこでは1人の選手が既に構えていた。

 

「【カミウツシ】」

 

 

『絶対条件、それは…』

 

『これ以上の失点は無し。そして』

 

 

「【アイス・ブルーモーメント】!!!」

 

 

『勝負から───逃げないことよ!』

 

ルビィと距離を置いて上がっていた亜里沙。

ルビィを囮に使い、自分へのマークが薄くなった瞬間、そして…

 

バシュウゥゥゥゥゥン!!!

 

相手が何をされたかもわからぬ間に、畳み掛ける。

 

 

A『ゴール!!!イタリア代表が1点を返したぁぁ!!!』

 

 

 

『大丈夫よ。あなたたちならできるわ。だって、』

 

『世界最強なのよ?ビビる必要ある?』

 

厳しい戦いは何度も経験した。

私たちは最強、それは、私たちが1番知っている。

 




頑張れ花丸ちゃん!

どっちの方が読みやすいですか?

  • 千歌「サッカーやろうぜ!」
  • 「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)
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