ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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今日は平日ですが、仕事が休みでした。




最終章23話「奪還」

 

 

 

『次の試合、誰が目標かわかるな?』

 

その問いに対し、少女はとぼける素振りを見せながら、にやりと答える。

 

黒澤ルビィですね。と

 

『高海千歌もそうだが、我らの目的を達成するためには、黒澤ルビィの存在はあまりにも厄介だ』

 

少女もそれには同感だった。

前任が手も足も出せていないデータを見た時は、少々そのデータを疑った。

"Awaken the power"とかいう自身のパフォーマンスを引き上げる技を使い、格上を圧倒してきたという。

だが、それだけではない。

 

「彼女、"ゾーン"使えると思いまーす」

 

人目でわかった。

彼女の力や精神は"不安定"だ。

すぐにブレて仲間の足を引っ張ることもあれば…爆発的な覚醒もしやすい。

 

「触れないシュートに対してはゴーストミキシマックスで対応できるとしてー」

『ゾーン発動時は?』

 

遮るように老人が問う。

余程焦っているのだろう。

見くびられたものだなと、浮き上がる血管を抑えながら、少女は答える。

 

「ちょっと苦戦しちゃうかもです。でもー、もしそうなった時の作戦を考えたんです」

『作戦?』

 

別に自分たちはサッカーに執着心はない。

はっきり言って手段は関係なく、目的を達成できればいいのだ。

 

「黒澤ルビィを封印しちゃいます♪」

 

 

─────

 

 

ベータ「封印完了!」

 

まるでその場にもともといなかったかのように、ルビィはボールの中に吸い込まれた。

あまりにも突然のことで、仲間たちは身動きひとつ取れていなかった。

 

ベータの言葉でやっと、何が起きたのか理解できた。

 

フェイ「最悪だ…まさか、これが狙い?」

 

気づいた者もいるようだが、もう遅い。

ベータの口角はさらに上がる。

 

本来ならばこんな罠は簡単に回避されるだろう。

だが、国木田花丸の負傷、ゾーン発動による負荷により、隙は大きく作れた。

全て計算通りだった。

 

ベータ「この試合、もういいです」

 

千歌「どういうこと?」

 

ベータ「目的は達成しました。この試合に勝利する理由はな「 ダ メ よ 」

 

ベータ「!?!?」

「「「!?!?」」」

 

ゾクッッッ!!!

身体の体温が一気に奪われる。

威圧感ある声が叫んでもないのに、フィールド全体に伝わる。

ここまで怒りに染った声は初めてだ。

 

北也「美奈…!」

 

それは、長い付き合いである北也でさえ、困惑するほど。

 

美奈「ルビィちゃんは渡さない」

 

闇の力を解放していた。

そうだった。高海千歌の母、高海美奈も厄介な因子の1人だ─────

 

ベータ「!?」

美奈「返しなさい」

 

脊髄反射で躱す。

高海美奈が気づいたらベータの懐にとびこんでいた。

ベンチからここまで、かなりの距離なはず。

 

美奈「何ぼさっとしてるの!!!」

「「「!!」」」

 

美奈「全員でまずはボールを奪う!!」

ベータ「危ない!?」

 

蹴りの音が蹴りでなかった。

何とか躱すが、まるで大木が横切ったような太い音だった。

 

美奈「【クレイジーカウンター】」

 

次々と足を伸ばす美奈。

ベータはなんとか躱し続けるが、スピードとパワーは全盛期を終えたと思えない火力だ。

 

千歌(なに…あの技、)

 

ベータはオーラを出していないし、美奈自身もダメージを負っていない。

にも関わらず、"カウンター"の技を発動し、ベータからボールを奪おうとしている。

 

美奈「いい加減、渡しなさい!!」

ベータ「っっ!(これ以上は耐えられない)」

 

このままだと押し切られると判断し、一気に距離をとる。

その間に、仲間に帰還の指示を出すが、攻撃が止むはずがない。

 

美奈「逃がさないわよ」

ベータ「しつこっ!?」

 

一瞬で距離を詰められる。

この底が見えない実力、やはり高海美奈らの殲滅作戦は、遂行するべきだったと今更後悔する。

そこへ別の風が吹き荒れる。

 

海未「【スピニングフェンス】!!」

 

竜巻が美奈とベータを丸ごと飲み込む。

ベータの誤算は自身のアームドの強制解除だった。

黒澤ルビィとのマッチアップで計算以上にスタミナを消費してしまった。

だが、それだけでガス欠したのには違和感があるが、そうも考えている余裕は無い。

 

美奈「っっ!!!」

ベータ(この風の中でも止まらな───!?)

 

美奈の足がボールに触れる。

そのまま風に流され、ボールは人のいない場所へこぼれる。

 

クオース「渡さん!」

 

プロトコル・オメガの選手がボールの回収に走る。

こちら側で一番ボールに近いのは曜。

 

曜(ダメだ…あっちの方が近い。普通じゃ間に合わない)

 

仲間のピンチに何を考えている?

普通で無理なら、

 

曜「デタラメだぁぁ!!」

曜「【スプリントワープ】!!」

 

思いっきり飛び込む───頭から。

 

曜「ぐっ!?」

 

そのまま地面に体を強くぶつけるも、先にボールに触れたのは曜。

 

善子「ちょっ、ボールを奪ったのはいいけど、どうやって助け出すのよ!?」

フェイ「完全に封印が完了する前にそのボールを破壊するんだ!!まだ間に合う!!」

 

その疑問にフェイが答える。

ボールを破壊する?そんなことやったことないが、いろいろと考えている暇など無い。

すると、ゴールの方から穂乃果が走ってくるのが見えた。

 

穂乃果「善子ちゃん!ボール!」

 

私に渡せ!と体全体で伝えている。

次々とボールを奪いに来る相手を共鳴でかわしながら、穂乃果にボールを蹴ると、紅く熱いオーラが右手に集まっているのが見えた。

 

穂乃果「でりゃあぁぁぁ!!!」

穂乃果「【ゴッドパンチX】!!!」

 

バキバキバキ!!!

と地面が激しい音と共に砕けていく。

あまりの衝撃に周りの選手たちが吹き飛ぶ。

 

それでも、ボールはビクともしない。

 

穂乃果「くっ…(これでも足りない??)」

美奈「地面じゃダメ!!」

穂乃果「!!」

 

ベータたちの妨害を突破した美奈が駆け寄る。

足には既にオーラが集まってる。

穂乃果はすぐにボールを美奈に渡した。

 

美奈「衝撃と衝撃をぶつけて、"潰さなければならないわ"!手伝いなさい!千歌!!」

千歌「!」

 

突然呼ばれて一瞬固まってしまった。

だが、理由を聞くぐらいだったら、すぐに言われた通りに───

 

千歌「【リベンジカウンター】!!」

美奈「【クレイジーカウンター】!!」

 

千歌(反動とか考えず、今は出せる力を全て出し切るっっ!!!)

千歌「はああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

強力な闇の力同士がぶつかり合い、辺りは嵐のように黒いオーラが吹き暴れていた。

200、いや、300%は出している。

それでも、美奈の方が力が強い。

 

美奈「足りない!!!」

千歌「!?!?」

美奈「仲間を救うのに、躊躇ってんじゃないわよ!!!全てよ!!あるもの全て出しなさい!!!」

 

出してるよ!!

そう言い返したくなるぐらい、全力を出してるはずだ。

もっと出せるならとっくに出している。

 

美奈「あなたは、自分の力を無意識に抑えているっっ!!」

千歌「力を…抑えている、」

美奈「頭の中を真っ白にしなさい───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言われるままに。

徐々に体の感覚を抜いていき、残るのはボールに触れている右足の感覚のみになった。

衝撃により、右足が少し熱くなっている。

少し、いや、かなり痛い。

 

そして、もうひとつ。

美奈のオーラも足を通して感じ取れた。

あれ、おかしい。

オーラが右足にしかない?

他からは一切感じとれない。

 

そうか、これか。

 

 

 

右足に───全てのオーラを込めろ。

 

 

美奈「爆発しなさいっっっ!!!」

千歌「ぐああああぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

千歌の右足から先程とまでとは、比べ物にならないほどのオーラが溢れ出している。

そしてその雰囲気はまるで、"鬼"だった。

 

徐々にボールにヒビが入り始めた。

 

フェイ「もう少しだ!!」

亜里沙「頑張って…!」

 

美奈、千歌「「はああああぁぁぁぁ!!!」」

 

これ以上、仲間を失いたくない。

みんなとのサッカーを、日常を、取り戻すために、絶対に助け出す。

 

 

瞬間、眩い光と共に、ボールが破裂した。

 

ことり「ルビィちゃんが!」

 

すると、光の中から赤髪の少女が投げ出されるように、姿を再び見せた。

ことりが"ワンダーゾーン"で受け止める。

近くにいたフェイと脈や息の確認をするが、どうやら気絶しているだけのようだ。

 

千歌「ハァハァ…ハァハァ、や、やった…?」

 

あまりにも必死だったため、どういう状況か、上手く思考が纏まらないでいた。

だが、ルビィの姿と、安堵の表情を浮かべている仲間たちを見て分かった。

 

美奈「ハァハァ…流石よ。よくやったわ」

 

千歌も美奈も、その場から動けなかったが、ぐーサインで勝利を分かちあった。

 

 

ベータ「あちゃー、壊されちゃいました。でも、」

 

作戦失敗のはずなのに、笑みが消えない。

すると何も無い場所から新たなボールが現れる。

 

ベータ「また封印しちゃえば問題無し♪」

千歌、美奈「「!?」」

 

再び風が吹き荒れ始めた。

先程までの努力が水の泡となってしまう。

どうやっても止められないのか?

そう思った時だった。

 

美奈「【リベンジカウンター】」

ベータ「!?」

 

バチィン!!

勢いよく何かが弾ける音がした。

ボールから放たれる光、そして風、それらをまるごと"弾き返した"のだ。

 

千歌「お母さん!?」

穂乃果「美奈監督…!」

 

美奈「みんな、ここはいったん下がるわよ!」

 

バチィン!

ベータが再び封印を試みるが、美奈の技が再び弾く。

その目からは"何度でも来なさい"と訴えるような、強い意志を感じる。

 

美奈「残念だけど…今のボロボロの私たちではこの子たちには勝てない…急いで!!」

 

美奈が時間稼ぎを始めた間に、グラウンドの上空からタイムマシーンが現れた。

ワンダバの「早く乗るんだ!」という声が運転席から聞こえる。

仲間たちは次々と乗り込む。

 

曜「痛…いたた、」

海未「曜、もう少しです」

 

終始ラフプレーが多く、負傷している仲間も多い。

まだ全員乗り込むには時間がかかる。

 

穂乃果「歩ける?」

千歌「ち、ちょっと動けないです」

 

オルカ「どーするのリーダー?このままじゃ逃げられちゃうよ?」

 

目標であるルビィと千歌が仲間により、タイムマシーンへと向かっている。

どうしたものか、そう考えている時だった。

ベータの通信機器に"連絡"が入った。

 

───目標の変更の───

 

 

ベータ「イエス マスター♪」

 

美奈(この感じ…狙いを私に!?)

 

気づいた時には、吸い込む力が自分に向けられていた。

徐々にボールの方へと吸い寄せられていく。

カウンターを放つよりも、吸い込む方が強くなってきている。

 

千歌「お母さん!全員乗ったよ!早く!」

 

まだ千歌たちは気づいていない。

ならば、伝えなければ。

 

美奈「千歌、みんな!」

「「「!!」」」

 

美奈「聞きなさい。最後の指示よ」

千歌「え、」

穂乃果「最後、、?」

 

呆気にとられている教え子たちを見ながら、

衰えたなぁ…

そう自分に溜息をつき、美奈は言った。

 

美奈「サッカー、絶対に取り戻しなさい」

 

それと同時に、ドアが閉められた。

まだ美奈がいるではないか。

千歌はドアを何度も叩く。

 

北也「おいクマ!早く出せ!!」

千歌「ダメだよ!まだお母さんが!」

北也「馬鹿野郎っっ!!!」

 

怒号が車内に響く。

その声に圧倒され、ドアを叩く手が止まる。

 

北也「今俺たちが封印されてないのは、あいつが全部足止めしてくれてるからだ!!」

北也「あいつの行動を無駄にするな!!!」

 

北也は分かっていた。

サッカーができなくなった美奈が、あれだけ激しく動いたのだ。

ああやって、立っているだけでも不思議だ。

最初から、タイムマシーンに戻る気はなかったのだろう。

 

美奈「はああぁぁ!」

 

タイムジャンプの準備が整うまでの間も、美奈はカウンターで何度も何度も弾いていた。

仲間には、教え子には、娘には、絶対に手は出させないと。

その姿はまさに──────

 

ベータ「人を超えた…化け物ですね。ですが、」

 

スカッ

音が変わった。

先程までの重みのある音とは違い、まるで、バットが空振りをしたような音がした。

 

美奈「ハァハァ…もう、出せない、わね」

ベータ「時間切れ、ですね♪」

 

タイムジャンプで消えるのと同時に、美奈がボールの中に吸い込まれていくのが見えた。

勝つことができず、母親を救えなかったのにも関わらず、ワームホール内は相変わらず虹色に輝いていた。

 

 




クレイジーカウンター/高海美奈/???技
相手がオーラを使った技を発動していなくても、使えるカウンター技です。仕組みはまた別の時に。

どっちの方が読みやすいですか?

  • 千歌「サッカーやろうぜ!」
  • 「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)
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