ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで!   作:ルビィちゃんキャンディー

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最終章25話「ライオコット島で特訓」

 

 

 

ジリジリと燃える砂浜。

海からの風は涼しいどころか、熱風として彼女らに襲いかかっていた。

少しでも暑さから逃げようと、波の届く湿った場所を走り続ける。

すると浜の遠くに、1つのテントとその中で待つ人たちの姿が見えてきた。

 

善子「遅いわよー!」

 

汗はかいているが、息を既に整わせている善子がそこにはいた。

続々とゴールする仲間たち。

もう暑さなど関係なく、ゴール近くの砂浜に力無く崩れ落ちる。

 

穂乃果「し、死んじゃう…」

亜里沙「さすがに…フルマラソンは厳しいです…」

 

ライオコット島での特訓は、初日から過酷を極める内容であった。

何とか命乞いをするメンバー。

だが、この特訓の指導者はそれを許さない。

 

北也「ダメだ。サエから手加減するなと言われているからな。倒れてもやるぞ」

 

そこに救いは無かった。

特訓の始まりは、サエからの指示でミニゲームが行われた。

一人ひとりのステータスを見たいとのことだった。

そして、ゲーム終了後、サエからの感想は、

 

 

サエ『北也がいてこのレベルですか?』

 

 

なんとも辛辣なものだった。

 

 

 

 

北也「さあ、休憩したら次はミーティングだ。体を止めるな。筋肉がおかしくなるぞ」

 

メンバーは体にムチを打ち、フラフラな足取りで宿舎に向かった。

だが、姿の見えないメンバーに気づいた海未が口を開いた。

 

海未「ルビィの姿が見えませんが…」

ことり「確かに…私たちの前を走ってたよね」

 

善子「ルビィならもう1周行ったわよ」

「「「!?!?」」」

 

凛「フルマラソンを…???」

梨子「嘘でしょ…??」

 

驚きを超え、困惑する仲間たちに対し、善子はどこか同情するような雰囲気で言う。

 

善子「まぁ、あんな状態なら、無理ないわよ」

 

放っておきなさいと一言、善子は1番に宿舎へと入っていった。

対して、心配な表情を浮かべながら、砂浜の彼方を望む仲間たち。

しかし、ルビィの姿は見ることができなかった。

 

 

──────────

 

 

サエのコメントには続きがある。

サエの言う"レベル"とは、身体能力のことである。

 

北也「今、お前たちにやってもらっているメニューは毎日やる。体を作り、1からサッカー選手を作り上げるぞ」

 

それは、世界の監督だからこその感想だった。

日本の選手は残念ながら、世界に比べて生まれ付きの体格はそこまで宜しくない。

はっきり言って、必殺技無しの純粋なサッカーならば、日本は優勝は夢のまた夢だろう。

 

ならば、何故日本は世界一になったのか。

 

サエ『美奈に感謝することね』

 

日本の世界屈指の武器は"連携"そして"必殺技"だった。

そうサエはそう言い切った上で続けた。

 

サエ『美奈があなたたちの必殺技を上手く戦術に組み込み、選手・必殺技の相性、全てで相手と勝負できるところまで引き出していた』

 

サエ『あれ以上の、選手を知る指導者を私は知りまセン』

 

だからこそ、日本の弱点が出た。

必殺技や選手が全て分析された中でのプロトコル・オメガとの試合、日本の武器が通用せず、弱みである基礎能力でも差が出た。

 

曜「身体能力を上げるのもそうだし、必殺技が強みなら、その強みもレベルアップさせたいよね」

夢希「レベルアップですか?」

曜「今の技の進化…または、新必殺技とか」

 

体づくりの中で必殺技の成長も目指したい。

それはチーム内の共通の目標とした。

欲張りだが、それだけやらなければ、あのチームには勝てない。

 

穂乃果「大丈夫。頑張って続ければ絶対に上手く行くよ!ね、千歌ちゃん」

千歌「……はい」

 

 

 

 

 

ハァハァハァハァ。

呼吸音が寂しく波に消されていた。

日もすっかり沈み、熱風が生暖かい風へと変わってくる時間帯。

ルビィは砂浜を走っていた。

 

正直、ライオコット島に行くかは迷っていた。

だが、特訓しないわけにもいかないという、双方の気持ちに挟まれて考えた結果、この島にくることを決意した。

 

それでも、1人になりたかった。

 

ルビィ「ハァハァハァハァ」

 

どれだけ走っても、涼しくなっても、頭がスッキリしない。

それどころか、モヤモヤが増えていく。

 

ルビィ「ハァハァハァハァ……っ!!」

 

バシャアン!

モヤモヤの振り払うかのように、こちらに寄ってきた波を勢いよく蹴り上げた。

だが、今までのような迫力は無く、波は何事も無かったかのように、少女の足を飲み込んだ。

 

ルビィ「……どうしよう」

 

途方に暮れるかのように、海の彼方を見つめる。

そこへ月の光が少女を照らし、赤髪を縛る"金色の髪留め"が光っていた。

 

 

 

 

──────────

 

 

 

翌日、特訓の朝は早い。

21時に就寝を指示され、起きたのは6時。

ほとんどの選手の身体が悲鳴をあげている中、北也の声が変わらず響き渡っていた。

 

北也「今日も1日体づくりをやるぞ」

 

フェイ「あ、あの地獄をまたやるの??」

凛「大丈夫にゃ…そのうち慣れてくる…」

 

北也「明日からはこのメニューを午前でやってもらう。数や負荷は変えないからな」

 

「「「???」」」

 

この人は何を言っているのか。

全員が指示を理解するのに数分かかった。

そんな少女たちを宿舎から叩きだし、ライオコット島特訓の2日目がスタートした。

 

北也「……千歌」

千歌「はい」

北也「体調悪いなら無理するな」

千歌「………」

 

千歌はライオコット島に来る前から様子がおかしかった。

北也はそれを薄々勘づいていたが、初日の特訓は様子を見ていた。

 

北也「昨日からどこか集中できてないな」

千歌「……すいません」

北也「謝るな。責めてるわけじゃない。倒れられたらこっちが困る」

 

この間も下を向きながら北也と目を合わせようとしない千歌。

もう隠せない。そう観念したかのように、俯く少女は口を開いた。

 

千歌「酷いんです」

北也「酷い…?」

千歌「頭痛が…あれから止まらないんです」

 

"あれから"その言葉で北也は察した。

千歌が美奈と闇の力をぶつけたあの時。

千歌が瞬間的に闇の力を爆発させたあの時。

 

千歌「こんなに止まらないのは…去年の、あの全国大会の時以来なんです」

北也「まだ、制御できてないときか、」

 

怖い。

千歌はそう一言、体を震わせながら言った。

 

千歌「また、闇の力が暴走して、みんなを傷つけたらと思うと…怖いです」

 

それが元気が無かった原因か。

北也は何を言うか少し迷ったが、このままでは千歌の何かが変わらないまま終わる。

そんな気がした。

 

北也「いいのか千歌」

千歌「え、」

北也「美奈が捕らわれ、サッカーが奪われ、仲間が傷つけられている今、お前は自分の心配か?」

千歌「私は…みんなが心配で、

北也「いや、自分だな」

 

少し子どもっぽく、千歌の言葉を遮る。

これ以上誤魔化すな。北也は続ける。

 

北也「本当に心配…守りたいと思った時はな、自分のことなんて二の次なんだよ」

北也「美奈はどうだった?」

千歌「…!」

 

もうサッカーが出来ない足なはずなのに。

美奈は真っ先にベンチから飛び出し、ルビィを助け出そうと動いた。

その覇気は敵味方、全てを圧倒していた。

 

北也「お前がこの島で、敵の前に、自分を超えろ」

千歌「自分を…超える」

 

どうすれば超えられるのか。

千歌はその場で考え、再び静かになった。

何分経っただろうか。

突然、千歌は口を開いた。

 

千歌「…北也監督。お願いがあります」

 

 

 

────────

 

 

 

梨子「千歌ちゃんは別メニュー?」

 

仲間たちがそれを知ったのは、フルマラソンから帰ってきてからのことだった。

 

凛「別メニューってなにー?凛もしたいにゃ!」

雪歩「確かに…どんな内容なんですか?」

 

別メニューについて聞かれ答えようとする北也。

だが、何故か困ったかのような表情で腕を組んだまま黙っている。

 

曜「監督?」

北也「……わからん」

曜「え?」

北也「わからん。どっかいったわ」

 

「「「????」」」

 

 

 

 

 

 

 

昨日まで走っていた砂浜の姿は無く、ゴツゴツとした岩だらけの道を千歌は進んでいた。

 

千歌「確か…こっちだよね」

 

周囲は霧で覆われ、視界がはっきりしない。

そんな中でも記憶を頼りに、道なき道を進んでいた。

 

千歌「来た。別れ道」

 

たどり着いたのは左右に別れる分岐点だった。

千歌が進んだことがあるのは片方のみ。

だが今回は、その逆を行く。

 

崖からの落下を気をつけながら、霧の中を進んでいく。

どれぐらい歩いただろうか。

そんなことを考えた時だった。

先程まで覆っていた霧が、急に無くなっていた。

 

千歌「着いた…ここか」

 

たどり着いた場所は、一面を花畑が広がり、神々しい光が空から射し込む場所だった。

千歌は来たことがないが、聞いた話からするとここが、"ヘブンズガーデン"。

 

「久しぶりだな」

 

そして、会いたかった声が突然聞こえた。

 

千歌「お久しぶりです。セインさん」

 

 

千歌は自分を超えるために、天空の使徒の元を訪ねていた。

 

 

 





更新が早くなったことに自分が驚いています。

どっちの方が読みやすいですか?

  • 千歌「サッカーやろうぜ!」
  • 「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)
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