ラブライブ!サンシャイン!!輝こうサッカーで! 作:ルビィちゃんキャンディー
岩肌に覆われたマグニード山とはまるで別世界。
それがヘブンズガーデン。
辺り一面に花畑が広がり、雲の隙間から光のカーテンが伸びている。
そんな異世界を更に異質にさせているのが、ヘブンズガーデン内にあるサッカーフィールドだろう。
そこに千歌はいた。
千歌「………」
目を閉じ、時折、深呼吸をしながら、脱力した状態で立っていた。
そんな少女に─────迫る豪速球。
千歌「っっっ!!!」
目を見開き、勢いよく右足を振り切る。
メキッッッッ!!!
足とボールがぶつかったのと同時に、千歌の体は一気に後方へと押される。
千歌「ぐっっっ!!!」
なんとか踏ん張るも、徐々に体勢が崩れ、体ごとゴールの中に吸い込まれていった。
ボールが通ったと見られる場所は深くえぐれていた。
人の域を越えたシュートを放った張本人は、ゆっくりと歩きながら少女に近寄った。
セイン「足りんな」
千歌「ハァハァ…ハァハァ…もう1回」
労いの言葉は無かった。
あるのは、早く立てと言わんばかりに放つ、圧のみ。
千歌はここで、自分を越えるための修行をしていた。
時は少々遡る。
初めてのヘブンズガーデン。
その雰囲気に戸惑うことなく、千歌はセインに頭を下げていた。
戸惑ったのはセインの方だった。
下界の人間がわざわざここを訪ねた理由が、思いもよらないものだったからだ。
セイン『修行?』
千歌『お願いします!』
本来、下界の人間をこの場所に入れること自体、よろしくないことだ。
だが、彼女は例外。
過去に天界を救った大恩がある。
セイン『理由はなんだ?』
千歌『化け物になりたいんです』
セイン『ハハッ。天界で化け物か。もう少し面白い冗談を─────『本気です』
セイン『!』
周りの空気が一気に変わった。
この少女、本気で"化け物"になろうと思っている。
セイン『化け物とは、なんだ?』
少女を試すようにセインも雰囲気を変える。
千歌『あの圧倒的なパワー、全てを捩じ伏せるようなシュート…』
千歌『フラエルさんです』
本来なら激昴していただろう。
自身が崇める存在を"化け物"と言われれば、誰だって黙っているはずがない。
だが、不思議と怒りは湧いてこなかった。
それほどまでに、目の前の少女の目が、覚悟を物語っていたからだ。
セイン『確かに、あの方の力は圧倒的だ。だが、何故そこまで至りたい?』
千歌『"全て"を守りたいから』
セイン「それではあの方には遠く及ばない」
それから何本もセインのシュートを受け、その度に吹き飛ばされることを繰り返していた。
セイン「片鱗が見えるのは、10に1度ほどだ」
千歌「ハァハァ…安定しない」
セイン「人を越えようと言うのだ。そう焦るな」
千歌「…いや、焦るよ」
何度も吹き飛ばされ、ボロボロの姿。
それでも立ち上がり、再び構える。
千歌「みんなも強くなってる。ゆっくりなんてしてられない」
──────────
下界にいる仲間たちは干からびていた。
穂乃果「…………みんな生きてる?」
地面が熱いなど関係なく、体が動かない。
中にはピクリともしない人もいる。
様子を確認したいが、穂乃果も動けない。
亜里沙「このメニューを半日で…?」
凛「おかしい。絶対おかしいにゃ」
どう考えても物理的に不可能なメニューだ。
北也が冗談で言ったのか?
それにしてはあれから何も言ってこない。
曜「ふぅ…今日も夕方になっちゃったね」
梨子「とりあえず戻って休まない?」
海未「…すごいですね。もう立てるのですか?」
崩れ落ちているメンバーがいる中、すでにケロッとしているメンバーもいた。
共通点は"浦の星女学院"だった。
ことり「浦の星女学院の頃から北也さんが監督だったんだよね?その頃からこんなに走らされていたの?」
善子「ここまで厳しくはなかったけど…まあ、確かにずっと走ってたわね。それよりも、ちょっとズルしてるからかも」
「「ズル?」」
善子の発言に耳を傾ける。
体力が並よりも多いとは、別のヒントがあるのだろうか。
善子「…きつい時、オーラを使うのよ」
穂乃果「きつい時に?」
凛「オーラを?」
海未「ですがそれ…疲れませんか?」
オーラを使うと体力もその分消費する。
これは常識だ。
善子の発言は、まるで矛盾だった。
善子「うーん…だから、あれよ…あれ」
善子「あぁっ!もう!どう説明すればいいのよ!」
どうやら、言葉で説明するのは難しいぐらい、"感覚"の話になってくるようだ。
そんな中、口を開いたのは───────
ルビィ「……オーラを使い分けるんだよ」
「「!」」
首にバスタオルをかけて現れたルビィだった。
その赤髪は自分らと同じように濡れているが、汗ではない。
すでにシャワーを浴びた後のようだ。
ルビィ「みんな、オーラはどんな時に使ってる?」
凛「必殺技を出すときじゃないの?」
穂乃果「速く走ったり、パワーを上げる時にも使うよ」
ルビィ「それとは別の使い方があるんだよ。北也さんは…みんなにそれを習得してもらいたいんだと思う」
「「別の使い方??」」
ルビィの話すことは新たな世界だった。
"エネルギー効率"を高める。
そう説明が始まった。
ルビィ「私たちの身体の中には、素早くエネルギーを作り出すシステムがあるんだよ」
ルビィ「そこにオーラを混ぜることによって、身体能力の向上や必殺技を出している。だけど、その分、エネルギーをたくさん使うから、」
曜「ガス欠する?」
ルビィ「そう。それに酸素も足りなくなる」
そう言うと、ルビィは身体に力を入れ、オーラを高める構えを見せる。
だが、その姿に違和感が1つ。
亜里沙「あれ…?ルビィさん、オーラが見えない??」
ルビィ「よく分かったね。確かにオーラは高めてるけど、"身体の中"でね」
雪歩「ま、待ってください!?」
雪歩がストップを掛ける。
突然の話で理解が追いついていなかった。
先程のガス欠の話と、オーラを"身体の中"?で宿す関係もイマイチ結びついていなかった。
北也「内臓の性能をオーラで上げるんだ」
「「「監督!」」」
遠くから声がした。
半袖短パン、そしてサンダル姿で現れた男性、松浦北也。
やっと気づいたか…と言わんばかりにため息をひとつ。
北也「オーラで肺から身体に入れる酸素を増やせ。オーラで肝臓や筋肉で作るエネルギーを増やせ」
北也「ガス欠よりもエネルギーを作り出す方を勝たせろ」
海未「そんなことができるんですか…」
北也「無意識にはほとんど不可能だ。意識してオーラを扱えるようにならなきゃならねぇ」
北也の無謀な練習指示の狙い、それはオーラの扱い方のレベルアップだった。
北也「結果的に身体能力が爆発したり、思考力の向上だったり、いろいろいい事が起こる」
穂乃果「え、それって…」
まるで、"あの力"の説明のようだった。
北也「ああ。"ゾーン"だ。お前たちには、自分の力でゾーンに近い状態の身体を作ってもらう」
北也の口角が少し上がったのが分かった。
ライオコット島での特訓3日目。
どうやら日本には、まだまだ帰れそうにない。
たくさん走れる、たくさん体力がある
→オーラで肺の機能を強化
早く走れる、パワーが上がる
→オーラでたくさんエネルギーを作る
今まではただ普通にオーラを使っていた少女たちがレベルアップします。
この技術、誰が見つけたのでしょうか…次回わかります。
どっちの方が読みやすいですか?
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千歌「サッカーやろうぜ!」
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「サッカーやろうぜ!」(名前を入れない)