ギルドを出た俺は散々悩んだ末、所属希望のファミリアのホームに向かっていた。
そして、ついにホームの前に着いた俺は覚悟を決めて小さな教会の中に入る。
もうお気づきだと思うが俺が選んだのは、ヘスティアファミリアだ。あれだけ悩んだが理由は単純だ、ベル・クラネルの行き着く先を夢の終着点を見てみたいと思ったのだ。
俺が転生する前の世界で原作はまだ完結していなかったので原作知識による優位性はいずれ失うことになる。
たとえそうなったとしてもベル・クラネルが紡ぐ物語を英雄譚を最後まで見たいのだ。
断じて、ヘスティアの胸が目当てだとか、後々可愛い子が入るからだとかそんな邪な気持ちで選んだ訳ではない。
そんなことを考えながら、俺は教会の中に入る。
「おじゃましまーす」
一応、挨拶しながら入るが返事はない。
さらに奥に進むと地下に降りる階段が出てきた、恐らくこの階段を降りた扉の先に居るのだろう。
俺は階段を降りて扉をノックする。すると中から白髪のに紅い目をした少年が出てきた。
「はーい。どちら様ですか?」
そう扉を開けて出てきたのは遂におでまし原作主人公のベル・クラネルだ。
うん、原作で兎に例えられることが多いが納得する。思ってたより兎だ。
そんなことを考えながら俺は返事をする。
「すいません、ヘスティアファミリアはこちらでよろしいですか?」
「はい・・・そうですけど」
ベル・クラネルはこちらを疑わしそうに見てきた、若干頬が赤いのは見なかったことにしよう。
「ベル君どうしたんだい?お客さんかい?」
次にそう言って出てきた神物を見て俺は、感動のあまり叫び出しそうになった。
我らがロリ神ヘスティア様だ!
うん、どことは言わないがマジでデカイ。
だが、こうして実際に原作の登場人物を見ると本当に転生したんだなと思い知らされる。
いつも、ライトノベルやアニメで見ている人物が目の前に居るのだこの感動は、実際に会った人間にしか分からないだろう。
「あっ神様、実はファミリアに訪ねて来た人がいまして」
「はじめましてヘスティア様、俺は三上 優一と言います。ヘスティアファミリアに入団したくて訪ねてきました。」
「えっ」
「へっ」
俺がそう言うと二人とも信じられないと言うような声を出した。そんなにこのファミリアに入りたいと言う人は少ないのかな?
「それは、本当かい!まぁ、取り敢えず立ち話もなんだし中に入りなよ!」
「それじゃあ、おじゃまします」
「汚いところですいません。」
ヘスティアに中に入るように促され、中に入るとベル・クラネルが汚いと言うが別に特に汚くもないし、少し散らかっているが許容範囲内だ。
「それで、僕のファミリアに入りたいと言うのは本気なのかい?」
「はい!本気です!」
「そうか、1つ聞いても言いかな?なんで、僕のファミリアに入りたいと思ったんだい。こう言っちゃなんだが僕のファミリアは零細ファミリアで君ほどの美少女なら他のファミリアでも歓迎されるだろう。」
「ヘスティア様、俺が男って分かってるのに美少女なんて言わないでくださいよ。理由は簡単です。1から始めるファミリアの方が夢があるでしょ!」
俺が男であることを呆れながら話すと、ヘスティアは意地の悪い笑みを浮かべ、隣のベル・クラネルはものすごく驚いてる。
うん、この美少女だと思ってる奴に男だと明かすときの快感は癖になるわ。
おっと、話がそれたな。
俺が言った何故ヘスティアファミリアにしたかの理由はあながち嘘でもない、1からファミリアを始める方がロマンを感じる。それに、転生者であることは伝えたとしても原作を知っていることを伝えるわけにはいかない。
なぜなら、ここの世界の人々にとってこの世界こそが現実でたった1つの真実だからだ。
原作の内容を話すことは未来を話すことにまるで同じだ下手にはなすことによって何らかの改変があるかもしれない。まぁ俺がこの世界に来たことによって何らかの改変はあるのだろうが。
「はぁー、まぁいいだろう。見た感じ悪い人間でもなさそうだしファミリアの入団を許可する。」
「ありがとうございます!」
「なら早速、恩恵を授けようか。ベル君悪いんだが少し外に出ていてくれるかな。」
「あっはい。分かりました!」
ヘスティアがベル・クラネルに部屋を出ていくように促すと素直に部屋を出ていくベル・クラネル。
そして、ヘスティアと二人になる。するとヘスティアが真剣な眼差しと口調で俺に疑問を口にする。
「それで・・・君は何者だい?」
「何者と言いますと?」
「惚けるんじゃない、僕は仮にも神だ君が何かを隠しているのはわかる。」
そう言うヘスティアに俺は少し感心する。やはりロリ神などと言われていても神は神なのだと。
「はぁー、俺の正体は転生者です。」
俺がそう言うとヘスティアが息を飲む音が聞こえる。
「転生者、噂には聞いていたが本当に存在するとはだが、それなら君に感じた不思議な感覚も納得がいく。それに、嘘もついていないようだしね。まぁ、まだなにかを隠しているみたいだけど今は、それで良いだろう。」
俺がまだ隠し事をしてることを意図も容易く見破ったことに今度こそ本当に感心する。
「まぁ、なにはともあれヘスティアファミリアへようこそ!これからよろしくね!それじゃあ、今度こそ本当に恩恵を与えよう。上の服を脱いでうつ伏せになってくれ」
俺は言われた通りにうつ伏せになる、するとヘスティアがふざけたことを言って来たのでゴミを見る目でヘスティアのことを見ると顔をひきつらせながら謝ってきた。
「・・・君って本当に男だったんだね」
「ヘスティア様は神様なんですからわかってますよね」
「勿論わかっていたさ!ただ改めて見ると男なんだなーってごめんよ!謝るからそんなゴミを見る目で僕を見ないでおくれよ!」
「はぁー、許しますから恩恵をください。」
「あぁ、それじゃあ始めようか」
そう言うと、ヘスティアは俺の背中に跨がり自分の指を針で刺し一滴の血を俺の背中に落とす。
その瞬間、俺の背中が暖かくなり気が付くと終わっていた。
恩恵を授けたあとも俺の背中から降りないヘスティアに疑問を浮かべ、ヘスティアに降りるように言おうとするとヘスティアは叫んだ。
「なんじゃあこりゃーーーーーーーーーーー?!」
「いきなり叫んでどうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないよ少しこれを見なよ!」
ヘスティアはそう言うと俺に1枚の紙を渡してくる、ステータスが書かれた紙だ。
するとそこには、基本的なステータスは全て最低のIだがスキル欄が想像どうりだった。
スキル:武装色の覇気
発動時の力の超補正
武装色は武器に附与することも可能
スキル:見聞色の覇気
ありとあらゆる生物の気配を感じることができる。
予想通りのスキルが出ていた、やはり覇王色は今の段階では現れてないか。それと、俺の知る見聞色が少し進化しているようだワンピースのルフィ達でさえ、まだ万物の声を聞く領域には至っていないだろう。
それと、予想外のことが2つある1つは覇気が魔法の欄にではなくスキルの欄に出てきたことだ。まぁ、これに関しては無駄に魔法のスロットを減らさずにすんだの助かる。
問題はもう1つの方だ俺は神様に成長系のスキルを発現するように頼んだ、だが出ていない。
考えられる要因は2つ【妖刀ひな】と同じように何らかの原因で現れていないか、それともスキルは現れているが意図的にヘスティアが俺に隠しているかのどちらかだ。
俺はベル・クラネルのスキルの件について知っているのでそちらの可能性が高い。
ヘスティアに問い詰めてみるか。
「ヘスティア様スキルはこれだけですか?」
「そっそっそーだよ!フューフュー」
これはもう確実に隠してるな、明後日の方向見ながら吹けもしない口笛を吹いている。
「ヘスティア様、俺はむやみやたらにスキルに関して言いふらしたりしませんから本当のことを教えてください。」
「・・・・はぁー、どうやら大丈夫そうだし本当のことを言おう。これを見たまえ」
そう言ってヘスティアはもう一枚の紙を見せてきたそこには、先ほどなかったスキルが発現していた。
スキル:限界突破
自分の限界に近くなるほど会得ステータス超補正
限界に挑み続ける限り効果は持続する。
要はあれか、死ぬ思いをすれば強くなれる的なやつか?
とこぞのサイヤ人みたいだな。
そんなことを考えているとヘスティアがもう一度釘をさしてきた。
「優一君このスキルのことや君が転生者であることは絶対に誰にも言ってはダメだよ。ベル君にもだよ」
「はい、わかってますよ。それはそうと、ベルにも似たようなスキル発現しているんじゃないですか?」
「んっ?なんのことだい?」
ベル・クラネルにはスキルが発現していない?ヘスティアの様子からして隠してる訳では無さそうだし、まだミノタウロスの一件は起こってないのか。
「どうしてベル君にもスキルが発現してると思ったんだい?」
「いや、俺に発現してるくらいだからベルにも発現してるのかなーっと思って」
「こんなレアスキルは君だけだよ、そんなにポンポンレアスキルが発現したと考えたら頭が痛くなるよ」
御愁傷様です。もうすぐ頭が痛くなる出来事が起こります。
ヘスティアの頭が痛くなる発言に原作を知っている俺は心の中でヘスティアに合掌するのだった。
恩恵を授かった俺をベル・クラネルを部屋の中に呼び戻し挨拶をする。
「俺の名前は三上 優一だ!よろしくな!ちなみに俺は男だ!」
「はじめまして!ベル・クラネルです。気軽にベルって呼んでください。三上さん!」
「了解だベル。俺のことは優一でいいぞ。」
「はい!優一さん!」
お互いに挨拶を終えた俺とベルにヘスティアがこれからどうするのか聞いてきた。
「それで、優一君は今からどうするんだい?ギルドに冒険者登録はしたのかい?」
「あぁ、まだ途中なんで冒険者登録の続きをやりにギルドに行ってきます。武器も調達しないといけませんし」
【妖刀ひな】が使えないのは嫌だがいつまでも無い物ねだりをするわけにはいかないので、手頃な武器を調達することをヘスティアに伝えるが次のヘスティアの放った言葉に俺は驚くことになる。
「優一君、極東の剣であればここにあるよ」
極東の剣すなわち刀のことだそのことを聞いた瞬間、俺は身体中に鳥肌が立つのを感じた。
そして、ヘスティアに刀を持ってきてもらいその刀を鞘から抜いた。
間違いない【妖刀ひな】だ。
「ベル君はナイフを使うから教会の奥にしまっていたんだよ。」
「そうですか・・・ありがとうございます・・・この刀を使わせて貰います」
「あぁ、どうせ誰も使う予定の無かった物だし遠慮なく使ってくれ」
「はい。それじゃあ俺はギルドに冒険者登録の続きをやりに行ってきますね」
「はいよー行ってらっしゃい!」
そう言って、ホームの教会を出た俺は1つの疑問を浮かべていた。
何故、【妖刀ひな】がヘスティアファミリアのホームにあった?
俺は転生させた神様は俺がヘスティアファミリアに行くことを最初からわかっていたのか?
そんなはずはないあの時、俺は所属するファミリアのことなんて全然考えていなかった。
俺が絶対にヘスティアファミリアに行くことなんて予想出来ないはずだ。
まさか・・・・知っていた。
最初から・・・・・これではまるであの神に操られているようじゃないか。