【完結】天才科学者と恋の話   作:オルトルート

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天才科学者と恋の話
篠ノ之束とアイツの話


 某日 某所 とある貸し切られた喫茶店の中で

 

 ☆

 

 はろはろー、みんなのアイドル束さんだよー。

 どうしたのちーちゃん。直接会うなんて久しぶりだねー。

 

 

 うんうんうん。そーだね、束さんもそう思うよ。

 

 

 うんうんうん。そーだね。束さんもそう思うよ。

 

 

 うんうんうん。そーだね、束さんもそう思うよ。

 

 

 うんうん。じゃあ、束さんは帰るね。

 

 

 

 ちょっとちーちゃん、袖ひっぱらないで。

 服のびちゃう。 服。

 うん分かった、座る。

 座りますから袖離そう? うん。

 

 

 どっこいしょ、と。

 で、どうしたのさ急に。言っておくけどIS作れってのはナシだよ。

 

 絶対やらない。 うん。 四百個も作れば十分でしょ。

 満足してないんだったら一気に稼働停止させてやるからこっちに連絡してよ。

 軍事利用とか許した覚えはないんだけどね、全く。

 

 

 で、本題は?

 ちーちゃんの事だからいっくん絡みのこと?

 でもいっくんってば中々箒ちゃんにアプローチしないし……。

 

 

 ……は? 別の事? 珍しいね、ちーちゃんが他の事なんて。

 それで、何を聞きたいのかな?

 ……アイツの事を聞かせてほしい?

 急にどうしたのちーちゃん? 頭でも打った?

 

 

 痛ったい! 殴ることないでしょちーちゃん!!

 え? アイツがISを動かした?

 

 

 ……いやいやいや、ちーちゃん大丈夫? まだ寝ぼけてない?

 アイツの性別を思い出してみよ? 男だよ?

 アイツは生物学的にも、精神的にも立派に男だよ?

 で、ISの最大にして最も厄介な特性は何?

 そう! 女の子にしか動かせない!!

 

 

 大せいかーい! というわけで多分ちーちゃんの勘違いだよ。

 というわけで束さんはもう帰るよ。

 これからTUT〇YAの旧作をまとめてみる作業が……

 

 

 は? いっくんはどうなんだって?

 ハァ~~……。 ちーちゃん、君はいっくんの何を見てきたのさ。

 

 

 いい? ちーちゃん、いっくんは誰のことが好きだと思う?

 そう!! 我が妹、箒ちゃんだよ!!!

 箒ちゃんだよ? あの箒ちゃん!!

 キュートでプリチィでハイパーかわいい箒ちゃんだよ!!!!

 

 見てこれ箒ちゃんの最新版の写真!! いっくんとツーショットなんだよ!

 あぁ、箒ちゃんはいつ見てもかわゆい……。 すき……。

 

 

 あーダメ! ちーちゃん!! アイアンクローはダメ!!脳みそつぶれちゃう!!

 束さんの偉大な頭脳が消えちゃう!! ヤメテ!!

 

 

 はー、痛かった……。 で、いっくんが動かせたわけ?

 そうだね、いっくんが好きなのは箒ちゃんなんだよ。

 だから束さんは考えたんだよ。

 いっくんと箒ちゃんをくっつけて、ハッピーエンドにしてやろうって……!!

 

 え? 回りくどい? ちーちゃんはせっかちだねぇ。

 えーと、動かせた理由?

 そんなのこの束さんが調整したからに決まってるじゃん。

 逆にそれ以外何かあるとでも? ちーちゃん馬鹿なの?

 

 

 ごめんなさい!! 謝るからソレはダメ!! すっごい痛い!!

 新しいアイデアとんじゃう!! いっくん大好きすぎでしょちーちゃんってば!!

 

 

 ほんとちーちゃんってば物騒だね。 箒ちゃんとは大違い。

 おっと、もうアイアンクローはダメだよ?

 で、アイツがIS動かせた理由だっけ。

 

 

 へぇ、ふーん……。

 ははぁ……、なるほど。

 ちーちゃん、束さんがいっくんと同じくアイツのISに細工したって考えたんだね?

 

 

 全く、ちーちゃんは束さんをなんだと思ってるのさ。

 いいかい? 束さんにとってはアイツは路傍の石ころみたいなものだよ。

 アイツの事なんて全く眼中にないし、アイツを意識なんて全くしてない。

 

 

 そもそも、アイツとは二年十か月と三日も会ってないし。

 アイツの声を聴いたのだって六か月と十二日も前だし。

 アイツの事を考えるのなんて一日に一回だけだよ?

 そんな奴のためにどうしてISの調整なんかするのさ。

 

 

 ちーちゃんは愚かだねぇ、ウププ。

 ま、アイツがISが動かせようと動かせまいと、束さんには関係ないけど。

 ……口元が緩んでる? さぁ、何でだろうねぇ。

 ウププ、かわいいねぇ、ちーちゃん。

 

 

 ん~? ちーちゃん怒った?

 ごめんね~、束さん優秀だけどそういう事分かんないから~。

 ここのデザート奢ってあげるから許して? 一個二百円だよ~?

 

 

 …………え? 何そのノート。 ねぇ、束さんの持ち物によく似てるんだけど。

 ちょっと、もしかして束さんの部屋入った? 勝手に?

 ちーちゃんこっち向いて。 ちーちゃん。

 

 引き出しが開けっ放しだった?

 だからといって持ってくる? ちょっと、ねぇ。

 

 ……中身は見てないよね?

 なんで目そらすのさ。 ちーちゃん?

 中身は見てないよね? うんって言って?

 ちーちゃん。 ねぇ。 こっち向いてって!! ねぇ!!!!

 

 あーダメ!! 朗読はダメだよちーちゃん!!!! 朗読はダメ!!!

 

 困るよちーちゃん朗読はダメ!!

 

 お分かり!!?? 朗読は、ダメ!!

 

 ねぇ聞いてる!??!? 朗読はダメだって!!

 

 ダメって言ってるでしょ!!!!! ねぇダメだって!!

 

 それ渡して!! ほんとに朗読はダメ!! 

 

 あぁ、警備員さん来ちゃう!! ダメだってちーちゃん!

 

 わかった、わかったから早くそれをこっちに渡して!!

 

 はぁ、はぁ、はぁ……。

 ちーちゃん、恐ろしい手段をとってきたね……。

 まぁ、コレを盗み見られたのは痛いけど、なんとか……

 

 

 は? コピーした? 変なこと言ったらばら撒く?

 ……ちーちゃん、マジでこれはダメだよ。

 ううん、冗談じゃなくてマジで。

 ガチでおこ案件だよこれは。 

 

 

 ……これから全部正直に話すからコピーの場所教えて。

 うん。 全部。 断ったらもう二度とISコア作んない。

 マジだよ。 うん。 はやく教えてよ。

 

 

 なるほど……。まぁ、この処分は後でするとして。

 で、これ見たからアイツの事を聞きに来たわけ?

 そっか、うん、そっかぁ……。

 

 

 一応聞いておくけど、このノートの事誰かに話した?

 ん? そりゃあ聞いた奴はちーちゃん以外生かしておけないから……。

 誰にも話してない? はぁ、良かった。 

 

 

 で、束さんの隠された気持ちを暴いた気分はどう? ちーちゃん。

 満足した? ふふ、束さんは死んでしまいたいよ……。

 あぁもう、何で鍵かけるの忘れちゃったかなぁ、もう……。

 

 

 ん? どうしたのちーちゃん。 そんな顔して?

 隠せてると思っていたのか?

 

 

 そりゃあちーちゃん、私は篠ノ之束だよ?

 あの世紀の大天才だよ? そんな束さんが気持ちを隠し通せないなんて。

 

 

 え? ばれてた? いつから? 十数年前から?

 ちょっとちーちゃん、どういう事?

 

 

 え? バレバレだった?

 そそそそんな訳ないでしょ!! この束さんが、束さんがだよ!?

 アイツに対しての気持ちを隠し通せてないわけないでしょ!!

 

 

 へぇ、証拠。 なるほど。

 ……小学生の時の写真? また懐かしいものを持ってきたね。

 で、それが何の証拠になるの? 

 

 

 これ? 道場で撮った写真だね。

 そうそう、アイツがこのとき珍しく道場に来てくれてた時。

 

 ……ん? 束さんはたまたまだよ?

 たまたま、『あ、道場に行きたいな』って思ったからやってきただけだよ?

 その時ホントにたまたま、『ちょっといい服着てみよう』って思ったからその服着てるだけで。

 アイツの姿が見えたから道場におめかしして行ったわけじゃないんだよ。

 

 

 次は? 束さんの部屋だね。

 アイツが掃除に来てくれた時のやつ。

 

 

 ……失礼な、束さんだってたまに掃除したりするさ。

 掃除に手がかかっちゃうからアイツを呼んだだけだし。

 それに、たまに自室でもおしゃれしたいときもあるよ。

 全く、ちーちゃんってばデリカシーがないね。

 

 

 最後に? 神社の境内。

 ふむふむ。 ……ん? 神社の境内?

 ちょっと、ちーちゃんコレってさ。 うん、夏祭りのとき。 ほうほう。

 これについては触れないでおこう。 いいね、ちーちゃん。

 

 

 あー! ちーちゃんダメ!! 解説いらない! やめて!!

 やめてって! わかった、認める! 認めます!!

 あーもう、何でこんなの発掘してくるかな!!

 

 

 そうだよ!! 勢いで初キスした時の写真だよ!!!!

 ちょっと大人っぽいキスだった!!!! 

 

 

 はぁ、はぁ、はぁ……。

 え? 知らなかった? じゃあ、この写真は?

 ちーちゃんがここ。 いっくんがここ。 箒ちゃんがここで。

 …………。 そうだね、ここらへん。 ここでしてる。

 うん。 ……じゃあ、束さん帰るね。

 

 

 離してちーちゃん!! もう生きていける気がしない!!

 あぁ、なんで余計なことまで言っちゃうかな、ホント……。

 

 

 で、今度こそなに?

 ……アイツがISを動かせたわけ?

 うーん、そうはいっても……。

 …………あ。

 

 

 いやいや、なんでもないよ?

 ちーちゃん、残念ながら束さんには見当もつかない。

 これから帰って色々考えてみようと思うんだ。

 だから今日は一旦解散して……。

 

 

 一日デート?

 ………………。 

 …………その程度で揺らぐほど、束さんは安い女じゃ……。

 ……お泊り込み??

 

 

 えーと、ちーちゃんちょっと。

 うん、こっち来て。

 ハリーハリー、早く早く。

 

 

 えっとね。

 …………。

 …………。

 …………。

 

 

 かなー、って思うんだけど……。

 ちーちゃん? ちょっと、顔真っ赤だけど。

 あの、ホントに誰にも言わないでね?

 コレばれたら束さん自殺しちゃうから。

 

 

 はぁ。じゃあ、束さんは今度こそ帰るよ。

 ……ちーちゃん、アイツの予定は確保しておいてね。

 うん、頼んだよ。

 それじゃ、また。

 

 

 ☆

 

 

「というわけで、頑張れ色男」

「マジかよ」

 




登場人物

・束さん
 子供のころに一目ぼれしたオリ主君すきすきウーマン。
 オリ主君のことを考えてるとウププって笑う。
 IS開発したけど割と平和に過ごしてる。多分白騎士事件起こしてない。

・ちーちゃん
 束さんの無自覚ラブアピールに嫌気がさしてきたので追い詰めてみたら面白い話が聞けたウーマン。
 束さんの親友兼ライバルみたいなもの。なお束さんは気づいてない模様。

・オリ主くん
 名無し。多分イケメン。
 束さんとちーちゃんと同い年で幼馴染。
 好きなタイプはおっぱいが大きい人。

・いっくん
・箒ちゃん
 原作主人公と正ヒロインみたいな名前してる。
 出番は少ない。

・いろんな質問
Q.束さん何読まれたの?
A.多分ラブポエム。

Q.束さん指名手配されてなかった?
A.知ら管

Q.この世界だとアラスカ条約どうなってんの?
A.知ら管

Q.この世界だとISってどんな立ち位置なの?
A.第一世代しか普及してない感じ。
 束さんが余計なブレイクスルーをしないので平和です。

Q.IS学園はできるの?
A.できない。 ちーちゃんはIS動かしたい人向けの指導員みたいなことしてる

Q.いっくんとオリ主くんIS動かしてるけどこの先どうなるの?
A.束さんが何とかしてくれる

Q.なんで束さんこんなに甘いの?
A.オリ主くんすきすきの影響でちーちゃんの性格矯正をまともに受けた世界線かも

Q.続きは?
A.気が向いたら


Q.怪文書っぽい
A.Exactly

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