【完結】天才科学者と恋の話   作:オルトルート
<< 前の話 次の話 >>

3 / 8
 


篠ノ之束とデートの話

 某日 正午 某喫茶店にて

 

 

 ☆

 

 

 はろはろー!

 こっちだよ、こっち!

 もう来たんだ。

 意外と早かったね。

 

 

 束さん? そんなに待ってないよー。

 ついさっき着いたばっか。

 でも、女の子を待たせるなんて罪な男だね。

 ふふっ、そんなに狼狽えなくてもいいよ。

 別に怒ってるわけじゃないんだし。

 

 

 とりあえず座りなよ。

 うん、こっちに座ってもいいよー。

 はは、冗談だよ冗談。

 束さんの隣はそんなに安くないの。

 キミなら別にいいけど……。

 

 ……なに? どうしたの急に?

 束さんの格好がどうしたのさ。

 言いたいことがあるなら言っていいよ。

 ……変でしょ? 多分。

 …………似合ってる?

 へ、へー、ありがと。

 

 

 ま、まぁそっちも似合ってるよ!

 うん、なかなか似合ってる。

 特にそのネックレスとか、すっごく似合ってる!

 うん、えへへ。

 

 

 ん、ンン!!

 え、えっと……。

 あの、さ。

 な、何か頼む!?

 

 

 いや、行く前に軽く食べておこうかなー、なんて。

 ちょっと歩くかもしれないからね!

 あはは、はは。

 た、束さんはコーヒーとケーキもらおうかな!!

 

 

 キミも一緒のでいい?

 えと、すいません、あの、コーヒー二つお願いします。

 あとケーキ、二つお願いします。

 はい、お願いしまーす。

 ……ふぅ。

 って、ちょっと、何笑ってるのさ。

 

 

 束さんの言葉遣いがそんなに変?

 ……まぁ、慣れないことしてる自覚はあるよ。

 今は周りから浮かないのが第一目標だからね。

 店員に変な態度とったら一発アウトだよ。

 

 

 なんでそんなことしてるのかって?

 ……ちーちゃんがね、お前はまず目立ちすぎるなって。

 二人で出かけるなら、ちゃんと隠れておけって。

 ……束さん、そんなに目立ちやすい?

 あ、はい。 そんなに。

 そっかー、そうだったかー……。

 

 

 …………ふふ、にしてもよかった。

 なにせ、二年も会ってなかったからさ。

 こんなに急に会ったら気まずいと思ってたんだよ。

 でも、キミはやっぱり変わらないね。

 束さんの杞憂だったみたい。

 

 

 そういえば、この二年どうだった?

 ……いつも通り?

 あのねぇ、束さんはそのいつも通りを聞きたいの。

 何か面白いことあったりしなかった?

 ……あ、ISを動かした事は除いていいよ。

 ちーちゃんからもう聞いてるから。

 

 

 なんで動かせたのかって?

 …………。そりゃ、束さんの……。

 …………わかんない。

 えぇい、わかんない! わかりません!

 この世紀の大天才でもわかりません!!

 

 

 というわけでこの話はおしまい!

 あと、一応極秘事項なんだからね、それ。

 あんまり軽々と話さないほうがいいよ。

 ……いっくんもそうだけど、君も考えが甘いというか。

 

 

 とにかく、それ以外だと何かあった?

 例えばほら、……彼女、とか。

 できたんじゃないの?

 …………いない?

 ほんとに?

 

 

 いや疑ってるわけじゃないよ?

 でもそっか、いないんだ。

 いないんだ……。

 んふふ~。

 いやぁ? 束さんはいつも通りですよ?

 

 

 へ? 束さんに彼氏?

 …………いないよ。

 そもそも束さんに釣り合う人がいたと思う?

 ……でしょ?

 ちーちゃんにも彼氏いないし。

 

 

 ふぅ、じゃあ他には?

 ……ないの?

 嘘だぁ、なんかあるはずだよ。

 ほら、なんか衝撃的なこと言ってみて。

 

 

 告白!!???!??!

 え、ちょ、ホントに!?!??

 こ、告白……。

 あはは、ま、マジで……?

 誰かに、告白、したの……?

 

 

 ……された?

 は、ははぁ。

 ……断ったの?

 

 

 は、はぁー。

 びっくりした。

 そっか、告白されることもあるよね。

 するだけが告白じゃないもんね。

 いやー、今世紀で一番驚いたよ。

 

 

 …………え? 驚きすぎだって?

 そりゃ驚くでしょ。

 だって、キミだよ?

 束さんとちーちゃんと色々やってたキミがだよ?

 まさか告白されるなんて……。

 

 

 束さんもちーちゃんもそういうのに縁遠いしね。

 ちーちゃんは世界中飛び回っちゃうし。

 束さんは基本的に人と関わらないし。

 ……見てくれはいい、って微妙に失礼だね。

 後でちーちゃんに報告しておくよ。

 ……でも、束さんの見た目は好きってこと、なのかな……?

 

 ……束さんのほう? 

 何か面白いことあったかって?

 ………………。

 ……うーん。

 

 

 強いて言えば……そうだねぇ……。

 あ、束さん最近料理はじめたんだよ。

 意外と面白いね、アレ。

 はじめはめんどくさいと思ってたんだけど。

 最近は楽しくなってきてるよ。

 

 

 そのうち食べさせてあげようか?

 まだ練習中だからあんまりおいしくないから。

 もし上手くなったら、だけどね。

 …………すぐにでも食べたい?

 いいの? おいしくないかもしれないんだよ?

 

 

 ……えへ、えへへ。

 いやー全くしょうがないなぁ。

 そこまで言うなら後で食べさせてあげる――――

 といいたいところだけど、やっぱりまた今度ね。

 いや、なんていうか、こう、ね。

 中途半端なものを出したくない、というか……。

 どうせなら美味しいって言ってもらいたいし。

 

 とにかく!

 キミに今度とっても美味しい束さんお手製料理をご馳走してあげる。

 覚悟しててね?

 ふふ。

 

 

 あ、そんなこんなしてるうちに来たね。

 おー、結構おいしそう。

 さすがちーちゃんオススメのスポットなだけあるね。

 ……ん? 

 その口ぶりからするに、前にここ来たことあるの?

 

 

 ……え。

 子どものころに?

 束さんもちーちゃんと一緒に?

 ここに来たことがあるの?

 

 

 嘘、ホントに?

 えっと、何歳くらいの時?

 ……七歳か八歳。

 ってことは、出会ってすぐのころ?

 

 

 うわ~~。 ……あの頃かぁ。

 束さんすっごいムスーっとしてた時でしょ?

 そうそう、あのかわいげのない感じで。

 あ~、なんか思い出してきた。

 ここアレでしょ。

 仲直りした喫茶店。

 

 

 うわー、やっぱり。

 確かあの時はちーちゃんとキミがそっちに座ってて。

 そうそう、あの母親が束さんの隣だった。

 で、三人で裏山で喧嘩したって言ったらここに連れてこられて。

 三人でケーキ食べてごめんなさいしたね。

 

 

 ふふ、懐かしいねぇ。

 ……というか、ちーちゃんもそのこと言ってくれればいいのに。

 あれかな、ちーちゃんの中だとアレは黒歴史ってやつなのかな。

 ははは、そうそう、一番無双してたのちーちゃんだった!

 束さんもキミもげんこつ食らってたねー。

 

 

 ……というか、よく覚えてたね。

 もう十年以上前の話なのにねぇ。

 そんなに印象的だった?

 あー、やっぱり。

 あの母親凄い圧出してたしね。

 

 

 たまに夢に見る?

 あー、それは……。

 なんていうんだろ、ご愁傷様?

 あそこまでガチで怒ったのはあれだけだしね。

 

 

 ……ん? そっちじゃない?

 じゃあなんなのさ。

 

 

 ……束さんの事?

 ほうほうほうほうほう。

 束さんの事をたまに夢で見ちゃうと。

 ……あー、でもあの時の束さんの事を?

 なんだろ、素直に喜べないというか……。

 

 

 ちなみに、今振り返って当時の束さんのことどう思う?

 ……ず、随分バッサリ言うね。

 でもそっか、「生意気なヤツ」かぁ。

 ……ふふ、「生意気」ねぇ。

 多分世界中探してもそういうのはキミだけだろうね。

 

 

 そうだよ。 少なくても束さんは違うし。

 あの頃の束さんはねー。

 「生意気」じゃなくて「クソ生意気」だったんだよ。

 んふふ、ちょっと納得したでしょ?

 むー、素直じゃないねぇ。

 ちっちゃかった頃のキミは素直だったのに。

 

 

 でもそっか、もう十数年経ったんだ。

 キミと出会って、色々あって。

 みんな大人になって。

 束さんの夢がようやく叶うところまで来た。

 ふふ、時間がたつのは早いねぇ。

 

 

 おっとっと、コーヒーが冷めちゃう。

 ……あ。 そういえばあの時、キミだけコーヒー飲んでたよね?

 だよね、やけにおいしそうに飲んでた。

 君のをちょっと飲ませてもらったけど苦くて苦くて。

 なんか敗けたみたいな感じだったからよく覚えてるよ。

 

 

 でも今はこうしてキミと同じものが飲めてる。

 苦いものだって克服したんだよ。

 これでキミに並んだわけだ。

 ふふん、束さんも少しは成長するのさ。

 

 

 …………成長、かぁ。

 いや、昔の束さんだったらなんて言うかなーって。

 ほら、あの頃の束さんってもっとサバサバしてたでしょ?

 あの頃思ってた未来とは全然違うカタチになったけど。

 あの頃の束さんなら、後悔したりするのかなー、って。

 

 

 ……今の束さんなら?

 そりゃ、後悔なんてしないよ。

 でも、不安にはなるんだ。

 この選択は正しかったのか。   

 この未来は望んでいたものか。  

 そんなことばっかり考えちゃうんだ。

 

 

 キミはどう?

 今もあの頃と同じミライを夢見てる?

 今みたいな時代になってよかったと思う?

 …………そう。 

 うん、君がそう思うなら、束さんも嬉しい。

 

 

 ……って、なんか恥ずかしい話してるね。

 あ、あはは。

 け、ケーキ! ケーキ食べちゃお!

 交換とかしちゃおう、うん!!

 そっちもちょっとくれると嬉しいな!

 あはは! あはははは!! 

 

 

 ☆

 

 

「じゃあ、今日はありがとね!!」

「おう。 ……なんだ、またな」

「……うん、またね!!!」

 

 

「って感じだったの! 羨ましいでしょちーちゃん!!」

「なんだ束、お前お泊りせずに帰ってきたのか」

「あっ」




登場人物
・束さん
 ちーちゃん経由でオリ主くんを呼び出してデートしてきた。
 お泊りの事はすっかり頭から抜け落ちてた。
 オリ主くんの前だとふふ、って笑う。
 

・オリ主くん
 ちーちゃん経由で束さんに呼び出されてデートしてきた。
 お泊りあるって聞いてたけどさっさと帰ったから用事でもできたのかと思ってた。
 


・いろんな質問
Q.オリ主くん女の子を家に上げることに抵抗ないの?
A.束さんとかよく上がり込んでくるから慣れてる。

Q.オリ主くん女の子を家に泊めることに何とも思わないの?
A.束さんとかよく泊まり込んでたから慣れてる。

Q.オリ主くんモテるの?
A.そこそこモテる。ただ告白されたのは今回が初めて。

Q.この後どこ行ったの?
A.どこにも行かず喫茶店で駄弁ってた。
 ちーちゃんのプランニングは犠牲になった。

Q.オリ主くんは束さんの事どう思ってるの?
A.仲のいい女友達(ちょっと気になってる)
 


Q.もしオリ主くんが冗談みたく彼女いるって言ってたらどうしたの?
A.そっか、おめでと、みたいなことを言って。
 そのあと帰って一人でえんえん泣いて。
 それでもずっとオリ主くんのことを想い続ける。

Q.愛がクッソ重たいなこの兎。
A.束さんも自覚してる。


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。