少女が歩む道   作:霧熊童子

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遠足編の後半部分です


遠足当日譚②〜高校1年

「野外カラオケ中止にならなかったんだ」

 

野外ステージが近づくにつれて歌声が聞こえてくる。

目的地に到着すると先生監視の下で野外カラオケが再開されていて一人の生徒がステージに上がって歌おうとしていた。

 

「あそこにいるのってメグじゃない!」

 

巡の姿を確認するや否や私は驚き声をあげる。

 

「あの子何歌うんだろうね」

「案外演歌だったりして」

 

2人が巡が何を歌うか勝手に予想を始めた。

 

「―――告げる!おおまえにこのなにおいて――♪*゚」

 

巡が歌っている曲が何か分からないけどその場に座って曲を聴く。そして予想を外した2人は悔しがる。

 

「♪*゚――制限時間も未だ長く さあ 天まで届けとばかりに“始符(はじまりのことば)”を今 掲げ!」

 

巡は歌い終わるとマイクを持っていた手を下ろしリズムに乗る。

 

「次歌う人は――あっ早苗!早苗も歌おうよー!」

 

巡はステージを見渡して私に気付くとそのまま名指しをされる。そして名指しをされ当然の如く私に視線が集まる。

 

「はぁ…一曲歌ってきます」

「私達はここで聴いてるから歌っておいで」

 

ひと息ついてから私はステージへと向かう。名指しをされたんだから巡にはもう一曲歌って貰おうとマイクの持ち主の所に向かう。

 

「マイクってもう一本あるかな?」

「あるよ、ほい」

 

そう言って傍にあったマイクを私に渡す。

ステージに上がると巡に微笑んだ後後ろを向き、

 

「メグの歌って結構良かったよね?もう一回聴きたい人はアンコールをどうぞ!」

 

マイクをオンにして話すとノリのいい男子がアンコールを始め、それが徐々に感染して全体に広がった。

 

「はーい、アンコールありがとうねー。メグ、アンコールに応えるよね?」

「アンコールに応えてもう一曲歌うわ!」

 

私が微笑んで尋ねると巡はヤケクソ気味で答える。そして曲担当の子のところに近付いて至天を頼んでステージに戻る。

イントロが流れてる間にどっちがどっちの部分を歌うか話し合う。

 

「自ら手がけ その戸を潜れ」

「その始まりは その意志に拠る―」

「「こと•*¨*•.¸¸♬︎」」

 

巡とのデュエットは初めてだけど、お互いが歌える曲というだけあって綺麗にデュエットが出来ている。

 

「「――止まることのなく天を(いだ)く迄 さあさあ 終わることなく天に至る迄...♪*゚」」

 

いつの間にか皆の手拍子が追加されており最早野外ライブと化していた。

 

「♪*゚――血沸き立て」

「肉千切らせ」

「心燃やせ」

「骨も砕け」

「さあ」「さあ」「さあ」「さあ」

「「――偉大なるものへと!!」」

 

曲が終わり、私達が歌い終わるといつの間にか人数が増え拍手に混じってアンコールの声が再び響く。

 

「うぇー…三曲連続はさすがに無理…」

「メグお疲れ様。戻ったら良いよ」

 

巡を労うと巡は「うん、そうする」と言ってステージを下り、手に持っていたマイクを男子に返す。

 

「もう一曲だけ歌うねー」

 

私はマイクを使い、そう言ってから再び曲担当の男子の所へ行って今度はうつろわざるものを頼んでからステージに戻る。

 

「•*¨*•.¸¸♬︎かつて純真(ほんとう)(あお)かったのは――♪*゚」

 

そうして2曲目を歌い始める。穏やかな感じの曲風なので先程みたいに盛り上がったりはしない。

 

「――唯一つうつろわざるものへと向けて•*¨*•.¸¸♬︎」

 

そうして歌い終わりアウトロが終わるのを待つ。

 

「次歌う人居ますかー?」

 

次に歌う人を尋ねると諏訪子様が手を挙げていたのを無視して、前にいた男子にマイクを渡して私はステージを降りる。

 

「早苗おつかれー」

 

歌い終えた私に巡が声を掛ける。

 

「まさか私にもアンコールが飛ぶとは思わなかった…もはや野外ライブと化してるから疲れたよ……」

 

私はそう言ってその場に座る。

 

「休憩してるところ悪いけどもうすぐ11時だよ?」

「少しだけ遅れるって皆に言っておいてくれる?」

 

私は巡に伝言を頼むと巡は分かったと言って一足先に戻る。

 

「ふぅ…どちらか120円の缶ジュース一つお願い出来ますか?」

「私が買ってくるさ」

 

神奈子様に120円を渡すと神奈子様は自販機へと向かった。そして諏訪子様の方を見ると手を挙げていたのに無視されたことに拗ねていた。

 

「諏訪子様、今度カラオケに連れていくので機嫌直してください」

(プラス)アイス一つ」

「はいはい」

 

そう言って私は諏訪子様の帽子をポンポンする。

そうしてる間に神奈子様が缶ジュース片手に戻ってくる。

 

「はい早苗」

「ありがとうございます神奈子様」

 

私はお礼を言って缶ジュースを受け取り、それをゴクゴク飲んでいく。

そして飲み終えた私は駆け足気味にBBカフェへと向かい、途中で空き缶をゴミ箱に入れる。

 

 

――――――――――

 

 

「おっ、やっと来たな」

「さなえー、遅いよー!」

「ごめんごめん!」

「もう先に始めてるぞー」

 

私は謝りながら皆の所へと走り寄る。鞄の中から肉は取り出さず先に野菜を取り出す。そして皆の視線が向いてないうちにこっそり諏訪子様達用の肉を取り出してテーブルに置く。

紙皿と割り箸を2つずつ取り出して、その内の1つを神奈子様に渡す。

 

「そういえば皆さっきの時間何してたの?」

 

肉を食べながら尋ねるとそれぞれが答える。

 

「俺達は鬼ごっこをしてたぜ?なあ蓮二」

 

海斗は蓮二に話を振ると蓮二はああと答えた。

 

「佐伯から聞いたけど東風谷は野外カラオケしてたんだってな」

「うん、歌うつもり無かったけどメグに名指しされて……だから仕返しにアンコールで場を盛り上げてメグには追加で一曲歌ってもらった」

 

焼いた肉を神奈子様が持つ皿に入れながら言うと神奈子様達は笑い出す。

 

「野外ステージの近くで絵を描いてたけどすごい盛り上がってたもんね」

「ハルちゃんどんな絵を描いてたの?」

 

瑠璃が遥に尋ねると、まだ出来てないから内緒と言った。

 

「達也君は何してたの?」

「俺か?俺は他の友達と一緒にFPSしてた」

「勝てたの?」

「いや、相手が強すぎてキルされまくった」

 

巡が尋ねると達也は首を横に振って答える。

 

「達也くんでキルされまくったって事はよっぽど強かったんだね」

 

達也は昼休みとかよくスマホを弄ってるけど、一緒に遊んでいる男子は毎回のように「サンキュータツ」とか「タツが居ると頼もしいぜ」とか言ってるのを耳にするのだ。そんな彼がキルされまくったという事は相手は相当強かったのだろう。

そう思って言うと俺はそんな強くないよと謙遜する。

 

皆で楽しく雑談していると

 

「あれ、肉ってこんなに多かったっけ?」

 

海斗が肉の量に疑問を持ち始めたので私はごく自然にこのくらいだったよと言って疑問を晴らす。

私は既に満腹になっているので焼きあがった肉を神奈子様達に横流しする。

 

 

――――――――――

 

 

持ってきた野菜や肉を皆で完食する。

 

「もうお腹いっぱい…」

 

由紀が言うと大半がその言葉に同意する。

 

「食休みにババ抜きでもする?」

「よし、やろう!」

 

蓮二がそう言うと巡はリュックの中からトランプを取り出す。巡はジョーカーを抜いてからシャッフルをして皆に配る。そしてダブったカードを場に捨てていき……

 

「早苗マジかよ!?」「嘘でしょ!?」

 

皆が私を見て叫ぶ。そうしてしまうのも無理はない。何故なら1人6、7枚配られ始まってもないのに私の手持ちのトランプが1枚だからだ。

巡が場に捨てられたトランプにおかしな点がないか探すが見つからない。

そうしてババ抜きが始まり蓮二が私のトランプを引く、すると……

 

「はい上がり〜」「があああああ!」

 

同時に2つの声があがる。

 

「私からのお土産、気に入った?」

「マジかよちくしょう……」

 

私が持っていた最後の1枚はジョーカーであったためにそれを引いた蓮二が思わず声をあげてしまう。しかも声をあげたことによって蓮二がジョーカーを持ってることもバレるという負のコンボ。

試合を見守ってると瑠璃が2番目に上がって海斗が3番目に上がる。真っ先にジョーカーを引き当てた蓮二は5番目に上がる。

巡と遥と達也の3人がまだ残っており6番目が中々決まらない。

 

「やっと上がれた〜」

 

そんな声を出したのが遥である。それに続いて達也が上がる。そして当然ジョーカーを持っているのが、巡である。

 

「もう1回しよう!」

 

負けた事が悔しいのか巡は再び勝負を仕掛けてきた。

 

「充分休憩になったし俺はいいかな」

「うん私も」

 

みんながそう言って勝負を断る。巡は項垂れたあとトランプを片付ける。

私は曲を聴きに野外ステージへと向かうが昼食を食べているのか野外カラオケはしていなかった。

再開されるまで私は適当に座って待つことにする。が、再開されるよりも早く満腹による眠気が私を襲う。

 

「私達が見守ってるから少し眠るといいさ」

「そうさせてもらいます」

 

そう言って私は昼寝をする。

 

 

 

 

 

「あの子に言わなくていいのかい」

 

座って寝ている早苗を尻目に神奈子は言う。

 

「うん、今はまだ言う時じゃないからね。言うとしたら、一年後かな」

 

それを聞いて神奈子はそうかいとだけ言って眠る早苗の隣に座る。

 

「もうすぐ三年になるのか…」

 

神奈子は空を見上げてポツリと呟く。

 

「そうだね…早苗のお陰でこの三年は今までの千年より充実したよ」

「ははっ違いない」

 

神奈子が笑いながら返す。昌幸みたいに感じ取る人は度々現れてもこうしてコミュニケーションが取れなかったため退屈していたのだ。

2柱が思い出に浸っていると向こうから巡がやってくる。

 

「早苗は…寝てるのかな?」

 

早苗が寝てることを確認した巡がイタズラ顔を浮かべた後ポケットから油性ペンを取り出す。

 

「あの子イタズラ好きだね〜」

「そうだねぇ、あの子のために止めないと」

 

そう言って神奈子は巡から油性ペンを取り上げるとそれをバキバキに砕く。

 

「面倒だけど一応忠告をしておくかい」

 

神奈子は白狐を呼ぶとそれを通じて巡にだけ聞こえる声で話しかける。

 

『イタズラしすぎると後で痛い目を見るから程々にするんだよ』

「もしかしてこの子が…?」

『分かったかい?』

 

巡の質問には一切答えず神奈子は念を押す。

コクコクと巡が頷くのを見てから白狐を戻す。

 

「あの狐、どこいったんだろー」

 

巡は付近を探すが見つからず、段々と遠くを探すようになっていった。そうして野外カラオケが再開して早苗は目を覚ます。

 

 

 

野外カラオケの音で私は目を覚ます。

 

「早苗、よく眠れた?」

 

諏訪子様が尋ねてきたので欠伸を噛み殺してよく眠れたと言う。そして解散するまで私はみんなの歌を聴いて楽しんだ。

 




巡が歌った曲は始符「博麗命名決闘法布告之儀」で早苗と巡のデュエット曲が至天、そしてソロで歌った曲がうつろわざるものです。
神使のやり取りは完全なる想像で書いております
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