少女が歩む道   作:霧熊童子

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結局遅れてすみません。
別の作品も書いていたんです。
イベクエと重なってしまったんです。
決してサボっていたわけじゃないんです。
内容が思い浮かばなかった訳じゃないんです。


諏訪の花火大会

「うーん……浴衣の着付け、出来る気がしない…」

 

神奈子様に着付けを手伝って貰いながら私はボソッと呟く。

 

「今の子は浴衣や和服を着る機会が少ないからねぇ」

 

神奈子様が私の言葉を聞いて笑いながら答える。

 

「早苗ー、巡から通知が来たよー」

「なんて書かれてますか?」

「えっとね、そっちの方はどう?だって」

「諏訪子様返信お願いできますか?」

「なんて返したらいいー?」

「んー、浴衣の着付けに悪戦苦闘してるとお願いします」

 

巡からlinnが来るが手が離せないので諏訪子様に任せる。1人だと時間を割くことになって準備が遅れる結果になるけど3人だと時間短縮になるから有難く感じる。

 

「後どのくらいかかりそう?だって」

「神奈子様、後どのくらいかかりそうですか?」

「もうすぐ終わるさ」

「だそうです諏訪子様」

 

神奈子様の言葉を聞いて諏訪子様が文字を打ち込んでいく。

 

「よし終わったよ早苗」

「ありがとうございます神奈子様」

 

神奈子様に礼を言って、諏訪子様からスマホを取って花火大会へ行く。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「さて、私達はいつも通り花火の音を聞きながら酒を呑もうとしようかい」

「そうだね」

 

2人は階段を降りてリビングへ向かい、諏訪子は冷蔵庫を開ける。

 

「神奈子ー、酒もジュースも切れてるよー」

「早苗や慧人に買いに行かせようにも早苗は出かけたし、慧人は未成年だし…どうしたもんかねぇ」

「早苗の貯金箱から1000円程借りる?」

「それは悪いから賽銭箱から1000円を探す方がいいんじゃないかい?」

 

神奈子が提案すると諏訪子は外に出て賽銭箱を覗く。

 

「100円玉や500円玉とかそこそこ大きいのはあるかな〜」

 

しかしほとんどが5円、10円、50円で自販機で買うには少々めんどくさい金額だった。

 

「諏訪大社の方の賽銭箱を覗いてくるとしようかね」

「いってらっしゃーい。あったらそのままジュースお願いねー」

 

諏訪子は適当に手を振って見送ると神奈子は諏訪大社へと向かった。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「えーっと集合場所は上諏訪駅ね」

 

家を出てスマホのトーク履歴を遡りながら集合場所の再確認をする。

 

『あと早苗だけだよー』

 

下諏訪駅に到着した所で巡からlinnが来る。集合時間前だけれど皆上諏訪駅に到着したらしい。

 

『あと10分程で上諏訪駅に到着するって皆に言っておいて』

 

巡に返信すると了解のスタンプが貼られ、それを確認してからスマホを仕舞って電車に乗る。

花火大会の日というだけあって電車は凄く混んでいて若干息苦しい。

 

 

 

「皆待たせてごめんね」

 

電車を降りて皆と合流すると開口一番で謝罪する。

 

「まだ集合時間前だから大丈夫だよ」

 

(めい)がフォローすると風音もウンウンと頷く。

 

「そういえば二人って屋台巡りとかする人?」

「屋台とか行かないかな」

「私も」

 

風音の質問に私と巡はそれぞれ答える。

 

「そっか、今から行く場所は屋台から離れてるからね。ちゃんとおやつやジュースも買ってきたし」

 

風音が言うと(めい)が右手の荷物を少し持ち上げる。

 

「二人に支払わせちゃってゴメンね」

「だーいじょーぶだってこのくらい。ね、風音」

「うん」

「それなら良いんだけど……」

「目的地までどのくらいあるか分かんないけどそろそろ移動した方がいいんじゃない?」

 

巡がそろそろ動くように促すと(めい)が「そうだね」と言って歩き始める。私と巡は場所が分からないため(めい)達の後ろを歩く。

 

「お菓子とジュースってどんなのにしたの?」

 

どんなお菓子を買ったか気になるのか、歩きながら巡が尋ねる。

 

「んーと、ジュースはリンゴとオレンジの計2Lとチョコ系のお菓子とか塩が効いてるのとか色々」

「チョコのやつってもしかしてチョコリング?」

「よくわかったねー」

「あれかなり美味しいから大好きなんだよねー」

「あれすごく美味しいよね!」

 

巡と(めい)がチョコリングの話で意気投合する。

 

「アハハ…。お互い苦労するね」

 

会話に取り残された私と風音は苦笑いをする。

 

(めい)と風音って仲良いよねー。幼馴染み?」

「うん、幼稚園の頃からずっと一緒。ちなみに今向かってる場所は私達二人が通った中学校の近くなの」

「へぇー、そうなんだ!」

 

どうやら今向かってる場所は風音達が通った中学校の近くらしい。

 

「早苗とメグも仲がいいと思うけど幼馴染みじゃないの?」

「メグと知り合ったの高校からなんだよね」

「…ちょっと意外」

「そうかな?」

「うん。二人とも、私達と同じくらい仲が良いように見えたから」

 

風音にそう言われて私は内心嬉しくなる。

 

「幼馴染みってさ、やっぱり相手の事がよくわかったりするもの?」

「うん。クセとか弱点とか色々」

「例えばどんなの?」

「ストップストーーップ!!」

 

風音が言おうとすると、巡とチョコリングで盛り上がってた(めい)が話を打ち切って左手で風音の口を塞ぐ。

 

「風音ってばほんと油断ならないわ」

 

口ではそう言いつつもどこか楽しそうに見える。普段こういった感じでじゃれてるのかなと2人を見ながら思う。

 

 

――――――――――

 

 

「ほら……。目の前に見えてきたよ」

 

皆で雑談しながら15分程歩いていると風音が前方を指さしながら言う。けど目の前はカーブになってるだけでそれ以外は特にない。

 

「あのカーブの所がそう?」

 

巡も同じ事を思っていたのか2人に尋ねる。

 

「そうだよー。あそこまで行ったら分かるから!」

 

(めい)はそう言ってカーブの所まで駆け出す。私と巡も置いていかれないように走り、風音は走らずに自分のペースで歩く。

 

「ホテルとか美術館とかがアレだけど見晴らしいいね」

 

カーブに到着して諏訪湖の方を見ると障害物があまりなく、人も少なく知る人ぞ知る穴場スポットとなっていた。

 

「あらめいちゃん、今年はお友達を連れてきたの」

「こんばんはおばあちゃん。同じ高校の巡と早苗」

「初めまして、東風谷早苗です」

「佐伯巡です」

 

(めい)に紹介され私達は挨拶をする。

 

「ご丁寧にありがとうね。二人はめいちゃんと同じクラスかい?」

「いえ、私達は7組なのでクラスは違いますね」

「そうなのかい。これからもめいちゃんをよろしくね。……ところでめいちゃんや、かざねちゃんが見えないけどどうしたんだい?」

 

おばあさんは私達によろしくと伝えると、風音について(めい)に尋ねる。

 

「風音だったらすぐそこまで来てるよ」

 

(めい)が道路の方を向くとそれに合わせて風音が到着する。

 

「お久し振りですおばあちゃん。山吹も久しぶりだね」

 

風音は姫柊さんに挨拶をした後、彼女のペットの柴犬の顔を撫でてスキンシップを取る。そこが気持ちいいのか山吹と呼ばれた柴犬は顔をトロンとする。

 

「場所取りするのでそろそろ失礼しますね」

「引き止めてしまってごめんなさいね」

「いえいえ、こうして話が出来て良かったです」

 

そうしておばあさんとの会話を終わらせて場所取りをする。

 

「ねえ(めい)、あの人って……」

「中学の三年間私達がお世話になった人かな」

 

2人とどういう関係なのか訊こうとすると質問の内容が予想出来ていたのか言い終える前に(めい)が答える。

 

「あの人の家がすぐそこだから学校帰りに風音と2人でよく行ったんだ。高校に入ってから全く行けてないけど私達2人にとっては家族同然かな」

「家族同然……」

 

(めい)の家族同然という言葉に私は諏訪子様達を思い浮かべながら繰り返し呟く。

 

「花火が打ち上がる前に早く場所決めよっか」

「ん、そうだね。って言っても何処が良いか分かんないから二人に任せるよ」

 

私は(めい)と風音に言うと「こっちはどう?」とかそういった声が聞こえてくる。

そうしてる間に花火が打ち上がり、慌てて場所を決めてブルーシートを広げ、ジュースとお菓子を取り出して飲食する。

 

「いつ見てもここの花火って凄いよね」

「日本屈指の花火大会だもんね。確か打ち上げ数も約四万二千発でしょ?他のところはどうなのかな?」

「岡谷の花火大会は約二千発だったかな。灯篭流しもするから派手に出来ないんだろうけど」

 

巡の言葉を聞くと今までなんとも思ってなかった四万二千という数字がものすごく大きく感じてしまった。

 

「諏訪子様達も音を聞いてるのかな…」

「早苗、なんか言った…?」

「ううん、なんでも」

 

風音に聞かれ、私は咄嗟に誤魔化す。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「始まったみたいだねぇ」

 

神奈子は酒缶を開けてグイッと呑む。諏訪大社まで行った彼女は多めに1500円を持って缶ビール12本を自販機で買って守矢神社に戻ってきたのだった。

 

「花火はやっぱり目で見るんじゃなくて音で楽しむものだね」

 

守矢神社からは花火が見えず音しか聞こえないため、諏訪子と神奈子は毎年酒を呑みながらその音を聞いて花火を楽しむ。

 

「こうしてあんたと酒を呑みながら花火を楽しむのも何年目だろうねぇ」

「何年になるのか忘れたよ」

 

諏訪子は笑いながら酒を呑む。

 

「諏訪子、あんたはどうするんだい?」

「私は別にこのまま消えてしまってもいいと思ってる。ヒトは神ではなく科学を信仰していくことを選んだのだから」

 

神奈子は「そうかい」とだけ言うと1缶目を空にして2缶目に手を伸ばす。

 

「神奈子はどうするの?」

「私はこのまま消えるつもりは無いよ」

「この現状を変える手段でもあるの?」

 

諏訪子も1缶目を空にして2缶目を呑み始める。

 

「あるにはある。けどあの子の力も必要になるかもしれないから今は何とも言えない」

 

神奈子は空を見上げながら話す。

 

「さて!辛気臭い話もここまでにして今はこの酒宴を楽しもう」

 

グイッと2缶目を仰ぎ、空にする。

 

「そうだね。どっちから辛気臭い話になったんだっけ?」

「そんなもの忘れてしまったさ」

 

神奈子がそう言いながら3缶目を呑むと諏訪子は笑いながら2缶目を呑み干して3缶目を開ける。




恐らく次話でAt least one wordに必要不可欠な人物が登場するハズ
(内容に触れるとは言っていない)

実は二柱のやり取りは辿/誘の神様たちの事情に当てはまるのではないか、そんな気がしてきました。
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