少女が歩む道   作:霧熊童子

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6/5前に完成するはずが大幅に遅れました(〃・д・) -д-))ペコリン
その分字数はいつもより若干マシマシです
第2回は20話の夏休み前にて少し触れてます


第3回奢り対決

「今回も来ましたよ」

「来たねー」

「今回はどうするー?」

「うーん……。今回もあそこのケーキ屋でいいんじゃない?美味しいし」

 

考査Ⅲが近付き、10分の休み時間に今回の勝負について話す。今のところ第1回が私の勝利、第2回が巡の勝利で1勝1敗となっている。

 

「なんの話してるの?」

「あ、ユッキー。次の考査で点数が低い方がケーキを奢るっていう話をしてたの」

 

勝負の話をしてると由紀がやってきて会話に加わる。

 

「ケーキ屋かー、ちょっと気になってきた」

「そういえばゆきにゃんは茅野市だったっけ?」

「そうだよー」

「茅野市でオススメのケーキ屋ってあるの?」

「あるよあるよー」

 

茅野市のケーキ屋がどんなのか気になってきた。

 

「今回の勝負どっちにする?ピュルテか茅野市のケーキ屋か」

「うーん……第4回もユッキーが参加するなら今回はピュルテで良いんじゃない?」

「勿論第4回も参加するよ!」

 

由紀の参加表明によって今回のケーキ屋は諏訪市に決まる。

 

 

 

 

 

「お二人共、第三回奢り対決が決まりました!」

 

部屋でパチパチと1人手を叩きながら諏訪子様達に報告する。

 

「案外続くねぇ。確か一勝一敗だったかい?」

「はい、そして今回から一人加わって三人での勝負になるのです。あ、諏訪子様は当然お留守番ですからね!」

 

諏訪子様が言い出す前に先手を打つ。今回から人数が増えるため諏訪子様を行かせるわけにはいかない。

 

「じゃあ代わりに何か買ってきてよね」

 

ケーキが食べれないのが悔しいのか諏訪子様がブーと不貞腐れながら言う。

 

「今回は金欠だから無理だけど第4回の時は茅野市のケーキ屋に決まったからその時にそこのケーキを買ってきますね」

 

一応今回は無理という事を伝えつつ代替案を出すと「それでいいよ!」と諏訪子様が目を輝かせて言う。

 

(今回の勝負は最下位だけは回避しないと…!)

 

金銭的余裕が無いため本気でテスト勉強に励む。

 

 

 

 

 

結果発表日、今までと同じように主要科目5科目の合計で競う。そして今回から由紀が参戦した事によって5科目全部が帰ってきた時に点数を開示するという方法になる。

 

「まず何から出す?」

「ウチは世界史から行きたいなー」

「じゃあ世界史の点数を紙に書いてせーのでいこ」

 

3人は手元の紙に世界史の点数を書いて、お互いに見えないように気をつける。

 

「いくよ…せーの!!」

 

私の掛け声と共に世界史の点数をオープンする。

巡の点数は89点、由紀が64点で私は72点だった。

 

「もしかしてユッキーって世界史苦手?」

 

巡の質問に由紀は躊躇いもなくうんと頷く。

 

「得意科目を後に残せば逆転のチャンスもあるしね。次は何にする?」

「次は英語いきたいかな。私英語苦手だし」

「あー、早苗英語ほっんと出来ないもんね」

「こ、今回は超がつくほど英語頑張ったんだから!!」

 

巡にからかわれて私は必死に反論し、それを由紀はポカンと見つめる。

 

「さっちゃんってそんなに英語できないの?」

「前回の英語で赤点スレスレになるくらいには」

 

由紀の質問に巡は笑いを含めながら答えていく。

 

「うう……今回頑張ったからきっと大丈夫だもん」

「はいはい、じゃあそろそろ英語出そっか。せーの……」

「待って待ってウチまだ書いてない!」

 

巡が言いかけて由紀が慌ててストップをかける。

 

「コミュ英と英表のどっち?」

 

両方と答えると由紀は両方の点数を書いていく。

 

「そろそろいいかな?せーの!!」

 

巡の声に合わせてコミュ英と英表の点数を開示する。私は両方60点で巡が81点と88点、由紀が76点と83点で現時点で私が最下位になる。

 

「このまま早苗が最下位キープかなー?」

「絶対に巻き返すんだから!」

 

続いての数学Ⅰが87・66・70点、生物基礎が86・74・80点、化学基礎が90・79・83点、現代文が73・88・80点、古典が95・66・77点と後半で巻き返していく。

全ての点数を出したので私達は合計点数を計算し紙に書いていく。

 

「じゃあ行くよ……。せーの!!」

 

ドンッと机を叩く音と共に合計点数を開示する。

 

「今回接戦すぎて超危ないんだけど!?」

 

私の紙には623点、巡の紙には631点、由紀の紙には613点と書かれておりどれほど接戦だったのかよく分かる。

 

「初戦負けかぁ……。これは幸先悪そう…」

「まあまあ。次回で最低限最下位にならなかったらいいんだから、ね?」

 

初参戦で負けて落ち込む由紀を励ます。ここで「じゃあさっちゃんが奢ってよ」なんて言ってきたら全力で拒否するけど。

 

「いつにする?」

「うーん……。前回前々回と休日に行ったから今回は放課後にする?」

「放課後だったら沢山食べれないしそうしよ!」

 

少しでもお金の消費を抑えたいのか由紀が私の提案に乗る。

 

「じゃあ今日部活休みだから今日にしよ!ユッキーは今日部活大丈夫?」

「今日部活あるけどテキトーに休みをでっち上げれば、まっ大丈夫でしょ」

(そんなのでいいんだ……)

 

由紀の言葉にそう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

放課後になり、「顧問に休むって伝えるから二人は正門で待ってて」と由紀が言っていたけど……

 

「ねえメグ」

「ん?」

「ズル休みって簡単に通ったりするものなの?」

 

先程から思っていた事を口にすると巡は「んー」と考え込む。

 

「ユッキーがなんの部活に入ってるか知らないけど少なくとも剣道ではズル休みは出来ないかな」

 

「うちの顧問厳しいから」と巡は一言付け足す。

そうこう話をして待っているうちに由紀がこちらに向かってくる 。

 

「おまたせー。じゃあケーキ屋に行こっか!」

「サボり通ったんだ……」

 

由紀の様子を見てぽつりと呟く。

 

「ん?なにが?」

「ゆきにゃんの所のクラブはサボりが通用するほど緩いのかなーって」

「結構緩いよ。けどサボってばっかで全然顔出さない子とかはサボりは通用しないけど」

 

ぽつりと呟いたのが聞こえたのか訊かれたので歩きながら尋ねる。

 

「ゆきにゃんはこれでサボり何回目?」

「んーと、今回で3回目かな」

 

大体3ヶ月に1回のペースでサボってるらしい。

 

「そういえばピュルテ、だっけ?そこってここから何分ぐらいの場所?」

「駅から歩いて5分程のところだから……学校からだったら20分ぐらい?」

「微妙な距離だね……」

 

由紀の言葉にアハハ…と苦笑いをする。

 

「――ワッッ!!!」

「ひゃあ!!!!」

 

KAZUの所で信号待ちしていると突然後ろから誰かに驚かされ、隣にいた由紀は声はあげなかったものの体をビクッとさせて驚く。

 

「成功成功〜!」

 

後ろを振り向くとそこには(めい)が満面の笑みを浮かべていた。

 

「ちょっと(めい)、急に驚かさないでよ!」

「ウチはさっちゃんの悲鳴プラスで驚いたんだけど……」

「アハハ……。ゆきにゃんごめんね。そもそもの話、(めい)が驚かさなかったら済んだ話じゃない」

 

信号が青に変わり、歩きながら由紀謝ったあと(めい)に問い詰める。

 

「こちらに気付いてないってなったら驚かすしかないじゃん!……まぁ近付く途中で巡に気付かれたけど」

「メ〜〜グ〜〜?」

 

(めい)の言葉に目を細めて巡をみやる。が巡は目を合わせようとしない。

 

「ふーん……」

 

それだけ言って巡の背後を取ると両手の人差し指で脇腹を突く。

 

「メグ……この感触、もしかして……」

「あーーー駄目ーーー言わないでーーー!!!最近気にしてるんだからーーー!!!!」

「ん〜〜、ど〜しよっかな〜〜」

 

ニヤニヤしながら巡をいじり続ける。すると後ろの方で声がしたので振り返ると風音が息を切らしながらこちらに走ってくる。

 

「や、やっと……追いついた……」

「風音、だいじょうぶ?」

 

心配で尋ねると、風音は声には出さずなんとか頷くが見るからに大丈夫な顔色ではない。流石に心配なので自販機で飲み物を買うことにする。

 

「ちょっとそこの自販機で飲み物買ってくるね」

 

皆に伝えたあと自販機のあったところまで急いで戻ってスポドリを買って合流する。

 

「はい風音、とりあえずこれでも飲んで」

「早苗、ありがとう……」

 

風音は私から飲み物を受け取ると蓋を開けゴクゴクと飲んでいく。

 

「これからピュルテに行くけど(めい)達も一緒に行く?」

「んー、せっかくだし行こっかな。ね、風音♪」

「うん」

「二人の分は奢らないからね!」

 

先手を打つ由紀に対して(めい)はなんの事か分からずにキョトンとする。

 

「ゆきにゃんは罰ゲームで私達にピュルテのケーキを奢ることになってるの」

「自分が食べた分は自分で払うからだいじょーぶだよ」

 

(めい)に説明すると「そーゆーことね」と納得する。

 

「そういえばニュースでよく高齢者の交通事故取り上げられるよねー」

「ねー。曰く池袋の事故を受けてマスコミが数字稼ぎの為に取り上げてるとかなんとか」

 

そんな根拠の無い噂話をしていると再び信号に引っかかる。

 

「思ったけど尽く赤信号くらってない?」

 

私が内心思っていたことを巡が代弁する。3回信号を渡っているがその3回とも赤信号で引っかかっていた。

 

「誰かの運が悪いんじゃない?」

「そーなのかな」

 

由紀が言うと巡は「うーん…」と考え込む。

 

 

 

 

あの後信号に引っかからずに―というより信号がなかった―無事に目的地に到着する。

 

「ここがそのケーキ屋?」

「そうそう。ささ、入っちゃお」

 

(メイ)と風音の2人が先に入り後に続く。

 

「ん〜〜、いつたへてもほほのへーひはおいひい〜」

「口の中のケーキを飲み込んでから喋ろう?」

 

ケーキを頬張りながら喋る(めい)に風音は控えめに注意する。

 

「どうゆきにゃん、ここのケーキ美味しいでしょ?」

「……思った以上に美味しい」

「でしょ!!」

 

由紀の反応に巡は大きく食いつく。

そうしてケーキを食べながら私達は女子トークに華を咲かせていると、17時を告げるメロディーが響く。

 

「もうこんな時間かー。そろそろ帰るねー」

「あ私も」

 

3人に「じゃあね」と言ったあと私と(めい)は店を出て上諏訪駅まで一緒に歩く。

 

「こうやって二人で帰るのって初めてだねー」

「言われてみれば確かに初めてだね」

 

(めい)に言われ、はたと気づく。巡とはクラスが同じだから一緒に帰る機会が多いけど、(めい)や風音とはクラスが違うからあまり一緒に帰る機会がないのだ。

 

(めい)の所って門限厳しいの?」

「そんなに厳しくないけど遅いと家族が心配するし。早苗もそんな感じ?」

「そうそうそんな感じ。っと(めい)じゃあね」

 

ピュルテから上諏訪駅まですぐそこなのでほんの少ししか会話出来ず、そのまま(めい)と別れ1人電車に乗ってそのまま揺られて家へと帰る。




テスト当日は例の如くカット

早苗たちが時々通っているピュルテは上諏訪駅西のファミマの近くになります。
次回からは(めい)の読み仮名振らないかもです。

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