少女が歩む道   作:霧熊童子

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初代のお話が書きたかったのです笑

一応お話としては独立してます


閑話〜初代の生涯〜

諏訪大戦から幾年が過ぎ、諏訪という名前が浸透し神奈子の存在を当たり前に思うようになった頃。

 

 

 

 

諏訪大社の筆頭神官である彼、東風谷一禮は自室にて筆をしたためていた。諏訪大社の神職一覧、洩矢の成り立ち、洩矢諏訪子や八坂神奈子、ミシャグジ神について、神事の意味など後世が必要になるものを書物にして残していた。

 

彼はかつてこの地を統べていた洩矢諏訪子の子であるために人の身でありながら神の力も備わっていた。その為、風祝と筆頭神官という特殊な位置にいた。

 

「そろそろ田の様子を見に行きますか」

 

一禮はそう言って田んぼの様子を見に家を出る。

 

「一禮様こんにちはー」

「こんにちは」

「ねーねー一禮様、一緒に遊ぼー?」

「今から田んぼの様子を見に行かないといけないんだ。諏訪子様と一緒に遊んでおいで」

 

袖を引っ張って遊ぼうと言ってきた子供達に一禮はやんわりと断りつつ諏訪子に擦り付ける。

 

「うん、そうする!」

「諏訪子様はいつもの場所にいますよー」

 

走り去っていく子供達の背を見ながら諏訪子の居場所を教える。

 

「ありがとー一禮様ー」

「後ろ向いて走るとコケますよ」

「大丈夫だって一禮様ー」

 

走りながら後ろを向いてお礼を言う子供に一禮はコケないように注意してから田んぼに向けて再び歩き出す。

 

目的地である田んぼに到着すると、黄金にたなびく稲穂の海が見事なまでに広がっていた。

 

「一禮様来てくれたんかい!」

「ええ、そろそろ米の収穫の頃と思いまして。それにしても立派に育ちましたね」

「そうだろう!今年は豊作もんだ!一禮様は今年も収穫量の記録に来たんだろう?他にもやる事があるんだろうからこうゆうのは他の神官どもに任せりゃ良いんだよ」

 

体つきがいい男性が笑いながら言う。

 

「神官の方も人手不足なんですよ。でもこうして歩いて見て回ることでこの諏訪の発展が分かるから良いんですよ。無駄話もあれなので稲刈り手伝いますよ」

「毎年手伝ってくれて助かるぜ」

 

そう言って一禮は慣れた手つきで稲刈りを手伝う。

 

「そういえば一禮様は独り身だったよな?」

 

稲刈りしながら男性が尋ねる。

 

「ええ、そうですよ」

「そろそろ女房持った方がいいんじゃないかい?女房はいいぞー、仕事で疲れた体を癒してくれるからな」

 

男性がハッハッハッと笑いながら言う。

 

「そうですか。考えておきます」

 

そう言って稲刈りに集中する。

 

――――――――――

 

稲刈りが終わり、一段落着いた彼らは縁側に座りお茶を飲む。

 

「一禮様今年も手伝ってくれてありがとさん。今年の収穫量は今度言いに行きますわ」

「一禮様今年も稲刈りお疲れ様。はいおにぎりをどうぞ」

 

主人の妻がおにぎりを差し入れてくれたので一禮は一つだけ手にして食べる。

 

「そろそろ帰ります。ごちそうさまでした」

「おう、今日はありがとうなー」

 

一禮は立ち上がり夫妻に一礼し家へと向かう。

 

「おお、一禮様丁度よかった!」

「どうかしましたか?」

 

慌てて来た男性に何事かを尋ねる。

 

「うちの娘が急に倒れちまって……一禮様見てくれないかい?」

「わかりました。では向かいましょう」

 

そう言って一禮は男性の後を追い掛ける。

程なくしてから男性の家に到着する。

 

「一禮様、来てくださったのね!」

「偶然近くにいまして」

 

失礼しますと言って家に上がり10歳程の子供を診る。

 

「ただの風邪なので大丈夫ですよ。一応祝詞も奏上しておきます」

「お願いします」

 

一禮は二礼二拍手一礼した後に祈病祝詞を奏上する。

 

「掛けまくも綾に賢き国造りし―――」

 

夫妻が見守る中、一禮は途切れることなく奏上する。

 

「―――恐み恐みも白す」

 

奏上を終え一礼した後、

 

「恐らく明日頃には治ってると思います」

「ありがとうございます!これは少ないですが…」

 

男性はそう言って巾着を一禮に渡す。一禮は巾着の口を緩め数枚の銭貨を取り出し残りを返す。

 

「私はこれだけで良いので。それではお大事に」

 

そう言って家を出て自宅に向かう。

神社に到着すると子供達がまだ諏訪子と遊んでいた。

 

「皆さん暗くなる前に帰りましょうね」

「はーい」

 

一禮は遊んでいる子供達に早く帰るように促すと子供達は遊ぶのをやめて家へと帰る。

 

「一禮様ばいばーい」「一禮様さよーならー」「諏訪子様また遊ぼーねー」

 

子供達の姿が見えなくなるまで手を振り続け、

 

「それでは夕餉にしましょうか」

 

諏訪子にそう言うとそうだねと返ってきた。

そして家に入りいつも通り3()()()の夕食を用意する。そして作る途中で夕食を食べる3人目がやって来た。

 

「神奈子様、毎日夕餉の時に来ますね」

「一禮の作る飯は美味しいのさ」

 

神奈子が言うと諏訪子が確かにと言って同意する。

 

 

 

 

一禮は流行病を最小限に抑えたり豪雨を鎮めたりと彼の人となりも相まって二柱に匹敵するほどの信仰を得ていた。

その後30歳にして彼は家庭を持つようになり3人の息子たちに諏訪子の血を引いてることを説明した。

60歳を過ぎると体が思うように動かず、1日の大半を自室で過ごすようになった。

一禮が目を覚ますと部屋に諏訪子がおり、一禮は諏訪子を呼ぶ。

 

「洩矢は、とても良い国です……」

「そうだね」

「この先、信仰が薄れていくことが…あるのでしょうか…?」

「何千年後になればあるかもしれないね」

「もし、洩矢が…限界のところまで信仰が薄れてしまったら…再び諏訪子様の前に現れますね」

 

一禮はなんとか言うと再び眠った。

諏訪子は頭を撫で、一禮が言ったことを神奈子に言いに諏訪大社まで行った。

 

 

1ヶ月後に彼は亡くなり、葬儀は盛大に行われた。

 




祈病祝詞は名前からして病気の人に使うのかなーと位しか分からず完全な想像で書いております。
この辺に詳しかったら大分変わるんでしょうね笑

もしかしたら真剣に奏上したら風邪くらいは治せるんじゃないですかね?笑

次回からJK早苗の章に突入する予定
ここから先は投稿ペースが落ちるかもです
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