TRcrantです。
今回は、無謀にも新たな小説を投稿させていただくことになりました。
本文中の矛盾点や疑問等がございましたら感想などでご指摘のほうをお願いします。
本作品は、オリ主をメインに話が進んでいきます。
一部原作の主人公と置き換えただけの状況になっている箇所がございますので、読んでいて合わないようでしたら、お読みになられないことをお勧めします。
白に染まりゆく視界。
「ちょっと、しっかりして! 死んじゃだめだよっ」
そんな中に、少女と思わしき声がする。
(僕は、守れたんだよね?)
意識が遠のく中、僕は心の中で問いかける。
もし守れたのなら、それは男として誇るべきことだろう。
「――――、はまだか!」
(どうしてこうなったんだろう?)
自分の視界が真っ白に染まっていく中で、僕はふと疑問を抱く。
(そうだ。あれは確か――)
こうなるきっかけとなったことを思い起こそうとした瞬間、僕は意識を手放すのであった。
それは半日程前にさかのぼる。
僕は車窓からどこまでも広がる海の景色を眺めていた。
(本当に行くんだ)
自分のことではあるが、妙に実感がわかない僕はどうにも落ち着かない気分だった。
僕、高月浩介はどこにでもいる普通の学生だ。
とはいえ、個人的な理由でどこにでもいるというのは難しいが。
その理由は別の機会に説明したいと思う。
僕が向かっているのは、構造改革特区、海上都市だ。
またの名を『アクア・エデン』と呼ばれている。
日本としては初のカジノや風俗が合法とされた特別な歓楽都市なのだ。
そのためか、そこに行こうとするだけでも、かなり面倒な手続きなどがあった。
アクア・エデンに向かう方法は車か今僕の乗っている『エデンズライナー』のいずれかしかない。
徒歩はどうなのかは知らないが。
だが、ここに入る前(具体的には切符を買うまでだが)には名前や年齢などを公的に証明するものを提示したり荷物検査やなぜか簡易的な血液検査までと、大変な手続きが必要となる。
それほどまでに特別な場所だということなのだろう。
(でも、できれば採血は勘弁してほしかったな)
別に注射が苦手とかそういうことではない。
ただ、なんとなく
(普通の観光だったら、まだわかるんだけど)
僕は心の中でため息交じりにつぶやく。
今日、僕がアクア・エデンへと向かうのは、観光目的ではない。
突然何者かから封書が送られてきたのだ。
その封書には一枚の便箋と、何かの券のようなものが入れられていた。
便箋には、僕をアクア・エデンに呼び出す内容の文面が綴られていた。
――ホテル『オーソクレース』ロビーにて待つ――
それが便箋に綴られていた内容だ。
同封されていた券は、どうやらそのホテルの予約券のようだ。
何せ便箋の最後に『これは手土産じゃ。受け取るとよい』と添えられていたのだから、きっと呼び出した主はホテルの部屋をリザーブしていたのだろう。
(いったい僕を呼び出してどうするんだろう?)
受け取った当初は、アクア・エデンに向かうのを躊躇った。
何せ、怪しさ満載なのだ。
向こうに言ってどのような目に合うのかを想像するだけでも背筋に寒気が走る。
だが、それを僕は否定した。
(僕をどうこうしてもメリットなんてないもんな)
僕には両親がいない。
両親の顔や声すらも覚えていないのだ。
今住んでいる家も、物心ついたころからいた場所なのだ。
税金などの方面がどうなっているのかが気になった僕は役所の人に確認してもらったところ、遠い親戚にあたる人が支払ってくれているとのこと。
お礼の手紙を出そうにも、親戚の人がどこの誰なのかもわからなかったため、かなわなかった。
そんな僕に手を出したところで何のメリットなどないのは明白。
(……なんだか自分で言っていて悲しくなってきた)
暗くなってきた自分に一喝を入れながら、僕は外の景色を眺める。
そんなこんなで、届いた封書なのだ。
それに乗ってみるのも悪くはないと思ったために、僕はアクア・エデンへと向かうことにしたのだ。
『皆様、間もなく終点”アクア・エデン”に到着します。お忘れ物がございませんよう、ご注意ください』
「……ん」
間もなく到着することを告げる車内アナウンスに、車内は荷物をまとめたりなど少しばかりあわただしく動く
人が多くなった。
僕もその一人で、今まで手元に出していた便箋を封筒に入れると、持参していたバッグに入れた。
(さて、何が待ってるんだろう)
どちらにしても、呼び出した主は今日は現れない。
一日早く指定された場所に向かい、翌日の午後3時にロビーで会うというのが相手の指示なのだから。
だったら、待つしかないのだ。
僕は、徐々に近づきつつあるアクア・エデンを目の前にして、覚悟を決めるのであった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
同時刻、とあるビルの一室。
赤色の壁に黒色のソファーといった家具はそこがただの部屋ではなく、社長などの偉い人のための部屋であることを彷彿とさせるのに十分だった。
そんな一室に車いすに腰かける青い髪の一見二十代の女性と、和服を着た一見小学生の子供にも見える肌色の髪の少女の姿があった
「小夜様、本当によろしいのですか?」
「ん? 何がじゃ」
小夜と呼ばれた少女、女性の問いかけに首をかしげて問い返す。
「”彼”です。こちらに来させて問題はないんでしょうか?」
「あー、あ奴じゃな」
女性の言葉に、その真意が分かった少女は納得した様子でつぶやく。
「心配はない……とは言えんのじゃが、あ奴は記憶と人格を消しておる故、大丈夫じゃろ」
心配そうな女性に、小夜は不適の笑みを浮かべながら答える。
「ですが、彼は―――」
「わかっておるわ。だからこそ呼び戻すのじゃよ。もう二度と
「……出過ぎたまね、失礼しました」
小夜の何が何がしらかの決意を秘めたその目に、女性は頭を下げて非礼をわびる。
「気になくても良い。お主の懸念も尤もじゃ。じゃが、これはワシがこの街を築いた目的でもあるのじゃ」
「……」
小夜の言葉に、女性は口を閉ざした。
「ちゃんと案は考えておる。住まわせる場所も、働かせる場所も準備は整っておる。あとはあ奴との話次第じゃ」
小夜はそう言い切ると軽く笑いこぼした。
そんな彼女の様子を見ながら女性はため息交じりに”わかりました”と答えるのであった。
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