DRACU-RIOT!~最凶の吸血鬼~   作:TRcrant

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本日二話目です。

内容はタイトル通りです。


第23話 大捕り物パニック

放課後、仕事に復帰した僕は大捕り物の現場へと向かっていた。

 

「矢来、そっちに動きはあるか?」

「いえ。まだ見えません」

 

美羽さんの返答を聞いた主任は、僕たちに突入準備をするように告げる。

今日の捕り物は違法な無修正DVDの売人グループの摘発とのこと。

大捕り物の理由としては、本土で主に活動しているからとのこと。

そして、今はぶつの確認中で、確認でき次第突入するという手筈らしい。

 

「あっ!?」

「なんだ?」

 

突然声を上げた布良さんに、主任がいぶかしむように声を上げる。

 

「いえ、あの……その……見えちゃいました」

「ほんとか? お前、恥ずかしくて目をそらしたりとかしてないだろうな?」

 

顔を赤らめて告げる布良さんに主任は疑いのまなざしを向ける。

 

「あ、あんなのちゃんと見れるわけないじゃないですかっ」

「こっちからも見えました。情報に間違いはありません」

「自分も目視しました。物で間違いありません」

 

布良さんの反論をしり目に美羽さんと僕は主任に確認したことを告げた。

ちらっと見えた物の正体が正しければ、あまり気が進まないが、摘発しないことには話が進まない。

 

「よし。全ユニット突入だ!」

 

主任の怒号とほぼ同時に、サイレン音を鳴らしながらパトカーが倉庫前に止まる。

 

「警察だっ! 全員銃を捨てて投降―――」

 

応援に来ていた警察官の言葉を遮るように銃声が鳴り響く。

それは売人グループが撃った銃から鳴り響いたものだ。

銃弾はボンネットに着弾し、火花を上げる。

 

「やはり、本土の暴力団か。あの銃はマカロフか」

「応戦します!」

 

今回の摘発するグループは本土での暴力団グループと言う情報もあったが、まさしくその通りだった。

そんな中、布良さんは素早い動作でハンドガンを構え、真剣な面持ちで暴力団グループに照準を定める。

 

「―――っ!!」

 

無言で気を引き締めたかと思うと、布良さんの手にするハンドガンから3発の銃声が鳴り響く。

 

「がっ!?」

「うぐっ!?」

「っく!?」

 

銃弾は正確に男たちを捉えた。

だが暴力団グループの男たちも黙ってはいない。

着弾した所をかばいながら銃を発砲し続けていた。

 

「くそ。タフな連中だ」

 

その様子に、主任は不機嫌な面持ちで吐き捨てる。

 

「おい布良。俺たちが囮になる。隙を見つけたら一発で仕留めろ」

「了解」

 

主任の指示に従い、布良さんは発砲をいったん止めると物陰に身を潜めた。

それに代わって、控えていた警官たちの銃撃戦が繰り広げられる。

そんな中、地面を張って逃走を図る二人の男の姿があった。

 

「佑斗君、主任への報告任せたっ!」

「了解!」

 

僕は、犯罪グループの二人が外に逃げ出したことの報告を佑斗君に託すと、外に出た。

 

(見事にばらばらだな)

 

思わず舌打ちをしてしまう。

2人の男はそれぞれ反対方向に逃走を図っていた。

 

「浩介!」

「佑斗君、美羽さん!」

 

どうしたものかと考えていた僕の背後から、佑斗君の声が聞こえた。

佑斗君だけではなく美羽さんの姿もあった。

 

「犯人は!」

「一人は向こう! もう一人はこっち!」

 

見事に正反対の方向に、2人の表情が険しくなる。

 

「僕はあっちの方に行くから、2人は向こうの方を頼む」

「分かったわ。追うわよ!」

 

僕の言葉に、返した美羽さんは頷くと佑斗君に声をかけて一気に駆け出す。

 

(それじゃ、こっちも追うか)

 

吸血は先ほど準備段階でしているため、問題はない。

とはいえ、やはり人間の血のため反応は弱いが、しくじるほどではない。

僕は、一気に駆け出し男の前方に回り込む。

 

「もう逃げられないぞ! 怪我をしたくなければ―――」

 

”おとなしくしろ”と言う僕の言葉は、男が放った銃声によってさえぎられた。

 

「っと!?」

「ッち!」

 

僕は銃弾は横に移動することで回避する。

 

「おとなしくしてればいいものを!」

「き、消えた?!」

 

高速で横に移動したため、男には消えたと思えるのだろう。

その隙に、僕は男の背後に回り込んでいた。

 

「不意打ち御免!」

「がっ!?」

 

時代劇のようなことを口にしながら、僕は男の首に鋭い一撃を入れて昏倒させる。

 

「よし。後はこの人を運ぶだけ」

 

僕は昏倒している男の人の襟首をつかむと、そのままずるずると引きずっていく。

 

「浩介。そっちの方はうまくいったみたいね」

「ああ。そっちの方も見事だね」

 

分かれた場所に戻ると、既に一人を昏倒させていた湯と君たちが労いの言葉をかけてくるので、僕もそれに応じた。

 

「そっちも終わったか」

「ええ。三人がかりだったのと、浩介が逃走方向を確認していたので、難しくはなかったです」

「こっちの方は……見事に終わってますね」

 

主任の問いかけに答える美羽さんをしり目に、主任の背後を見てみると地面に倒れている男たちの姿があった。

 

「もしかしなくても、布良さんですよね」

「ああ。布良の射撃はうちの中でも一番だからな」

 

主任がきっぱりと言うことは、それだけすごい射撃の腕なのだろう。

とはいえ、前に何度もそれを狭間見ているのだから、当然と言えばそうだが。

 

「すごいな、布良さんは」

「そんな……六連君たちだって新人さんなのにちゃんと犯人を確保できてるじゃない。すごいよ」

「そうだ。お前ら、能力はつかったか?」

 

佑斗君の褒める言葉に、照れたのか頬を赤らめながら逆に佑斗君をほめる布良さんに、主任が能力を使用したかどうかを聞いてきた。

 

「すみません。相手がいきなり発砲したので、俺が体で銃弾を受けとめました。とはいえ、周りが薄暗かったのではっきりと見られてはいないとは思いますが」

「見られたのであれば、報告はしておく後々問題になるからな。報告書の方を早めに提出しとくように」

 

佑斗君の答えに、主任はそう指示を出すと、僕の方に向き直る。

 

「それで、高月は?」

「私は能力は使ってません。ただ、素早く移動したので、もしかしたら疑問は持たれているかもしれません」

 

主任の問いかけに、僕は申告する。

確かに能力は使っていないが、身体能力の方面で怪しまれた可能性がある。

その報告に主任はしばらく考え込むと口を開いた。

 

「とりあえず高月も報告書を書いて提出しておけ」

「了解」

 

僕の返答に、主任は僕から視線を外した。

 

(始末書じゃないだけましか)

 

できればもうあのような思いはしたくない。

とはいえ、今回のも始末書を書くギリギリのラインだったが。

主に勝手な行動をしたという面で。

 

「さて、撤収の準備をするか。そうだ。お前ら、物の確認をしておけよ」

「えぇぇ!? あれをですか?!」

 

主任の指示に布良さんが真っ先に反応した。

その布良さんの頬が少し赤い理由は、察してもらえるとありがたい。

 

「これも仕事だ。我慢しろ」

「「了解」」

「……分かりました」

 

主任の言葉に、僕たちはしぶしぶながら頷くと、倉庫に置かれた物が入っている段ボールの箱を見る。

 

「はぁぁぁ……やだなぁ、もう」

「しょうがないわよ。さっさと済ませちゃいましょ」

 

本当に嫌そうな布良さんを促すようにして、僕たちは段ボールへと歩み寄る。

僕はあえて何も言わないようにしていた。

一歩間違えればセクハラになりかねないからだ。

それは佑斗君も同じようで、無言を貫いていた。

そしてついに、僕は物を手に取る。

 

「確かに、情報通り違法なDVDだね」

 

パッケージを確認すると、女性と男性の姿が映し出されている。

だが、問題はそれが無修正であるということだ。

 

「本当に無修正なものばかりなのね。SMにお尻……理解できない内容だわ。緊縛まであるし」

「あの、内容を口にするのはやめてもらえませんか?」

 

顔を赤くしながらも映像の内容を口にする美羽さんに佑斗君が苦言を呈する。

それよりも、僕が一番心配だったのは、横でわなわなとふるえている布良さんだ。

 

「あ、あぅ、あわわわ。は、はは、裸の、男の人……に、にゃーーー!!」

「お、落ち着いて。気持ちはわかるけど証拠品だからディスクを割ろうとしないでっ」

 

一瞬頭にねこ耳が見えたが、おそらくは錯覚だろう。

そんな布良さんは、パッケージを力強く握りしめて、今にも割らんとする勢いで力を込めていた。

 

「だ、だだだ、だって、こんなの破廉恥でエッチで……うにゃー!」

「だけど、男の人で異性の裸に興味を持つのも仕方がないことよ。ねえ、佑斗、浩介?」

 

再び叫ぶ布良さんに、美羽さんがフォローを入れてくれたが、なぜかこちらに飛び火してきた。

 

「し、しし知らない!」

「俺に同意を求めるな」

 

思わずドモリながら返す僕に続いて、佑斗君が口を開く。

 

(やっぱりだめだ)

 

どうも僕はこういうのは苦手のようだ。

目をそむけてしまう。

 

(これも、童貞の性とでもいうのか?)

 

何だか変な思考になり始めてきた自分を戒めつつ、確認を続ける。

 

「む、六連君、高月君! 押収品を勝手に持って帰ったらだめだからねっ!」

「帰らないよ!!」

 

よほど僕が物干しそうに見えたのか、布良さんにとがめられてしまった。

 

「寮長として命じます! 月長学院第二寮ではエッチなものは持ち込み禁止ーっ!」

「それに持って帰ったって再生する機械がないし」

「機械があったら持って帰るき!?」

 

職権乱用にも見える布良さんの命令に反論する佑斗君に、思わずそう突っ込んでしまった。

 

「確か、共有スペースに再生用の機械があったはずだけど」

「………マジで?」

「美羽ちゃん! 六連君を誘惑しないの! あと、六連君も誘惑に乗ったらダメっ!」

 

僕以上に反応した布良さんは終始叫びっぱなしだった。

 

「もう確認はいいでしょ! 早く撤収しようよ!」

「そうだね」

 

僕は箱に確認していたパッケージを戻すと段ボールを持ち上げる。

 

「こっちはぶっかけ……」

「あの、頼むから変な知識は増やさないでね」

 

興味津々に内容の確認をしている美羽さんに、僕は思わずそう口にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、全員そろっているな。今日は第3ブロックの方に向かうぞ」

「あの、内容はなんですか?」

 

ある日の放課後、風紀班の支部に集まっていると、一番最後に入ってきた主任の一言に、布良さんが恐る恐ると言った様子で尋ねた。

 

「今日は違法売春の取り締まりだ」

「またですかー!? うぅー、違う捜査がいいです」

 

主任から告げられた内容に、布良さんはいやそうに口にしていた。

 

「ダメだ。分かってるとは思うが、違法売春はここでは重罪だ」

「それはそうなんですけど」

 

この都市では、風俗やカジノなどが特別に認められている場所。

そのため、無許可営業や高レートのカジノなどを放置しておくと、申請をするお店が少なくなってしまうのだ。

よって、違法売春やカジノ系統の犯罪は重罰になっているらしい。

ちなみに今回の取り締まり強化は、前の薬物事件を受けて違法ドラッグの噂があるため、それを摘発するためのものらしい。

 

「どうして最近この手の捜査しかしないんですか?」

「我慢しろ。お前の射撃はうちでは一番だ、違う操作をさせるわけにはいかない。期待してるぞ」

 

布良さんの不満を主任は一言で片づけると、期待の言葉をかけた。

 

「それは卑怯な言い方だと思います」

 

恨めしそうな表情を浮かべる布良さんだったが、どうやら覚悟を決めたようだった。

 

「分かりました。行きます、行ますよっ!」

 

とはいえ、投槍のような気もしなくはないけど。

 

「でも大丈夫かしら?」

「何が?」

 

そんな布良さんを見ていた僕たちに、美羽さんが不安そうな表情で声をかけてきた。

 

「だって、今日は違法売春よ。つまり、そういう際中の男女を捕まえることになるのよ」

「あー」

「確かに、危ないかもな。DVDだけでもああだったのに、実物を見たら」

 

美羽さんの懸念がなんとなくわかったような気がした。

おそらく僕と佑斗君は同じ結論に至っていると思う。

 

「そのためのお前らだろ。頼むぞ、無抵抗な一般市民に発砲だけはさせるなよ」

 

厳しい表情でそう指示を出す主任も、何が起こるかが想像できていたようだった。

 

「まあ、そうなったら浩介に任せよう。先輩だし」

「それもそうね」

 

そんな中、なぜか僕が布良さんの暴走を止める役にさせられていた。

 

「ちょっと待ってよ! 勝手に決めないで! と言うよりこういう時だけ僕を立てるのはやめて佑斗君っ!」

 

いつもは”先輩”なんていう単語入れていなかったのにこういう時だけ入れるのはずるい。

 

「それじゃ、やらないの?」

「いや、やるけど」

 

僕もそういうエッチなことは苦手な方だ。

ならば布良さんの暴走を止める方に専念できるのなら好都合だ。

 

「頼むぞ高月。だがな、どさくさに紛れて揉むなよ」

「にょわ!? 高月君、エッチだよ! 破廉恥だよ! 犯罪者だよ!」

 

主任の忠告に反応した布良さんが慌てふためいて叫びだす。

 

「犯罪者はいらないでしょ!? と言うより揉みませんっ!」

 

そんなこんなで終始締まらないミーティングになってしまったが、僕たちは違法売春が行われる第3ブロックに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風紀班です! 動かないで!」

「ッ!?」

 

第3ブロックにある一店舗に一気に突入する。

警察の人や隊員は受付と思われるカウンターのような場所にいた人たちを拘束していき、僕たちは奥の方へと駆けていく。

 

「皆さん! 動かないでくだ――――ッ!?」

 

ドアを開けて突入したまでは良かったが、衣服を纏っていない男女の姿があったため、僕は慌てて背中を向けて視線を逸らした。

 

「あ……」

 

佑斗君と美羽さんが中に入る中、僕はある人物の存在を思い出した。

 

「あ……あぁ……」

 

その人物は僕とほぼ同時に突入した布良さんだった。

見れば布良さんの体は小刻みに震えていた。

それはまるで、噴火前の火山のように。

 

「ひ、ひ、ひにょわ~~~っ!! エッチ、スケッチ、ワンタッチィィィィ!」

「何、その某殺虫剤のCMのキャッチフレーズみたいな悲鳴は!? って、叫びながら銃を抜こうとしないで! 模擬弾でもシャレになんないから!!」

 

やはり、布良さんには耐えられない光景だったようで、叫び声をあげながらハンドガンを構えようとする布良さんを必死に抑え込みながら外へと引きずっていく。

ちなみに、違法ドラッグが出てくることもなければ情報もなかったらしい。

それを知った時の布良さんは非常に疲れ切った様子だった。

 

「今日はご苦労だった。次はこのバーに突入する。各自目を通しておけ」

 

支部に戻った僕たちに主任は労いの声をかけながら僕達に、資料を手渡す。

 

「バーか。それなら普通かな。あ、もしかしてここも違法ドラッグに関係しているんですか?」

 

バーと言うことで、布良さんはほっと胸をなでおろしていた。

 

「ああ。そのバーはハプニングバーで、オプションとしてドラッグを扱っているらしい」

「「ハプニングバー?」」

 

聞き覚えのない単語に、僕と布良さんは首をかしげる。

 

「会話などを楽しみつつ、突発的行為に及ぶ店のことよ」

「突発的行為ってなんだ?」

 

そんな僕たちに説明をする美羽さんの口から出た”突発的行為”の意味が分からず、佑斗君が尋ねた。

 

「佑斗、ヤラシイ」

「なぜ!?」

 

なぜか佑斗君にジト目を向けながら非難する美羽さんに佑斗君が抗議の声を上げる。

 

「女の子にそんなことを言わせて楽しいの?」

 

(あー、もう分かった)

 

その美羽さんの返答で、突発的行為の意味が分かってしまった。

できれば、突入するまで布良さんには知らせないようにしておこう。

僕はそう思い突発的行為の意味を胸の中にしまっておくことにした。

 

「具体的に言えば、見ず知らずの男女がそういった行為に及んだりSMを楽しむことよ」

「結局言うのっ!?」

 

思わずツッコんでしまった僕だが、彼女が反応しないウはずがなかった。

 

「にょわーー!? どうしてそんなお店ばっかりぃぃぃ!!」

 

布良さんの叫び声は、もはや悲鳴に近かった。

 

「だが、違法なドラッグを使っているとなれば感化はできない」

 

主任の言っていることは全く持って正論だ。

正論なだけに、とても厳しい現実でもあった。

 

「うぅ……もぅ……分かりました。行くよ、行きます。行けばいいんでしょっ!」

 

布良さんは、半狂乱になりながら怒鳴り返した。

ここまで来ると、投槍と言う表現は違うものになってくる。

 

(と言うより、またねこ耳が生えたような錯覚が見えたんだけど)

 

僕は疲れてるのだろうかと思うことにした。

確かに、そういうのは精神的にかなりくるものがある。

逆に佑斗君と美羽さんがうらやましいほどだ。

ちなみに、そのハプニングバーでもめぼしい情報は得ることができなかった。

ただ代わりに

 

「ぎにゃーーーーー!!!」

 

布良さんの絶叫だけはよく響き渡ることになったが。

そんな終わりの見えない大捕り物パニックに、僕たちは精神的ダメージを負っていくのであった。

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