DRACU-RIOT!~最凶の吸血鬼~   作:TRcrant

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第37話です。

書いている途中で、原作の原文をそのまま書いているということに気づいたため、急きょ書き直しました。
なので、少しおかしくなっているような気もしますが、もし何かありましたら、感想やメッセージ等でご指摘のほうをお願いします。

それででは、どうぞ。




第37話 体調不良

「浩介」

「佑斗君」

 

休み時間、僕は学院の教室で次の授業の準備をしていると、佑斗君に声をかけられた。

 

「お前、エリナの様子をどう見る?」

「やっぱり佑斗君もおかしいって思ってるんだね」

 

佑斗君の問いかけに、返す僕の言葉に佑斗君は頷いて答えた。

 

「アヴェーンさんがどうかしたんですか?」

 

僕と佑斗君がお互いに頷きあっていると、話の内容が聞こえたのか大房さんが声をかけてきた。

 

「ああ。ちょっと朝から体調が悪いようなんだ」

「本人は大丈夫って言ってるけど、ちょっと心配でね」

 

佑斗君の言葉に続くように僕も事情を話した。

 

「具体的にはどういう症状なんですか?」

「俺は全く……浩介は、わかるか?」

 

大房さんの疑問に、佑斗君は首を振ると僕の方に問いかけてくる。

 

「えっと……確か、体が熱いとか言っていたような……」

 

僕は今朝のエリナさんが口にしていた症状を思い出しながら答える。

 

「それって、まるで風邪みたいですね。あれ、そもそも吸血鬼さんって風邪をひくんですか?」

「人間の風邪を引いたという話はあまり聞かないかな。ただ、ヴァンパイアウイルスのバランスが崩れるとそれに似たような症状になることはあるって聞いたことはあるよ」

 

(と言うことは、やっぱりヴァンパイアウイルスの問題ということか)

 

「でも、合成血液は飲んでるんだよね」

「だと思うけど……そういえば、エリナは飲んでいたのかしら? 私たちは一度も見ていないけど」

 

話を聞いていたのだろう、布良さんの疑問に美羽さんが口を開くが、最終的には疑問形になってしまった。

 

「僕は、前に一回だけ見たことがあるよ」

 

なぜエリナさんが人前で合成血液を飲まないのか。

その理由は分からないが、とりあえず僕は誤魔化すことにした。

 

「どっちにしても、この件は浩介に任せた方がいいわね」

「え?」

「そうだね。高月君以外に適任はいないもんね」

 

なぜか生暖かい視線と共に、重大な役割を課されてしまった。

 

「ど、どうして僕が?」

「だって……ねえ?」

「人前で食べさせあいっことかしている仲だからじゃないかな?」

 

僕の疑問に美羽さんは含みのある言い方で答えると、ニコラが話してくれた。

 

「い゛ッ!? 見てたの?!」

「そりゃ、あんな場所でしていれば目立つと思うよ」

 

僕の悲鳴にも似た声に佑斗君はあきれた様子で言ってきた。

 

「でも、すごいですよね。私なんて食べさせあいをすることを考えただけで……ひぇー」

 

何を想像したのか、頬を赤く染めながら目を回す大房さんに、僕はよく知る人物と反応が同じだと思追ってしまうのであった。

 

「それに、高月君にはコネもあるしね」

「コネ?」

 

布良さんの言う”コネ”に思い当たることがなかったため、首をかしげていると補足するように美羽さんが説明してきた。

 

「浩介の知り合いにはとても優秀な医者がいるんだから」

「げ……」

 

それだけで思い当たる人物が一人。

だが、あまり……と言うより、できれば連絡を取りたくない。

確かに優秀なのは事実なんだけど。

 

「……分かった。一度コンタクトをとってみるよ」

「うん、それがいいよ」

 

覚悟を決めた僕に、布良さんは笑顔でそう背中を押してくれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「番号はこれで大丈夫だよね……っと」

 

教室を後にした僕は、残った休み時間を利用して扇先生にコンタクトを取ることにした。

コール音が鳴り響くが、一向に出る兆しがなかった。

 

(もしかして、忙しいのかな?)

 

あんな性格でも(すごく失礼だけど)一応は優秀な医者なのだから、かなり忙しいのかなと思いかけていたところで、コール音は途切れた。

 

「やぁ、高月君。どうしたのかな、こんな時間に? 僕はとてもうれしいよ、なんたってあの高月君から連絡をもらえるだなんて。あぁ、まるで夢みたいだ」

「テンション高すぎですっ!」

 

ハイテンションなど生ぬるい感じで高いテンションと早口でまくしたてる扇先生に、僕は思わずツッコみを入れた。

 

「一応真面目な話なんですけど」

「そうかい……それで、話というのは? もしかして体調に変化でも?」

 

僕の言葉を聞いた瞬間に、ハイだったテンションは鳴りを潜め落ち着いた声色で用件を尋ねてきた。

僕は、とりあえず名前を伏せて相談をすることにした。

 

「知り合いの症状ことで、相談がありまして」

「なんだ、他の女か」

 

僕の説明に、扇先生は舌打ちをしながら不満げな声を漏らす。

 

「あの、そこまであからさまに態度を変えなくてもいいんじゃ」

「まぁ、いいけどね。で、その知り合いがどうかしたのかい?」

 

扇先生にしては珍しく引き際がよかったので、首をかしげそうになったが本題に戻ることにした。

 

「ええ、何だか体が熱くてのどが渇く症状を訴えているんです」

「それは、水分を接種してもかい」

 

扇先生の問いかけに、僕は”はい”と答えた。

 

「一応聞くけど、それは吸血鬼なんだよね?」

「ええ」

「だとしたら、合成血液とかは飲んでいるのかな?」

 

僕の返答に、扇先生はさらに質問を投げかけてくる。

 

「おそらくは」

 

見たわけではないので、断言はできないが、飲んでいるはずだ。

そんな僕の答えに考え込んでいるのか、扇先生はしばらくの間無言だったが、電話口から声が聞こえてきた。

 

「申し訳ないけど、電話口で症状を聞かされただけでは何とも言いようがない。実際に診察をすれば分かるんだけど」

「そうですか」

 

やはり、実際に病院で診察を受ける必要があるようだった。

 

「もし、高月君が望むのであればこっちで診るけど」

「本人に確認して連れて行きます」

 

そう答えるしかなかった。

エリナさんが頷くかどうかは分からないが、ここは男の見せ所だろう。

 

「もし、また何かあったら電話してもいいからね」

「ありがとうございます」

 

扇先生の好意に、僕はお礼を言う。

 

「あっ。もちろん用事がなくても連絡してくれてかまわ――――」

 

扇先生の言葉を最後まで聞かずに、僕は電話を切った。

 

(血は飲んでいるんだか、血が足りないわけじゃないんだし……)

 

まず、最初の疑問がそこだった。

もし血が足りないとしても、僕から数日前に吸血したのだから大丈夫のはずだ。

もしくは、特異体質が故の問題なのだろうか?

 

(いいや、そもそも血液パックをどうやって手に入れているんだろう?)

 

市販のものでないのは確かだ。

出なければ、血液パックを共有スペースで飲む姿を一回は見かけるはずだし、人目を避ける必要もない。

ならば、エリナさん特製の血液パックとなるのは当然のことだった。

 

(もしかして、市長?)

 

僕の血液パックと同様に、エリナさんの血液パックも市長が用意しているのだろうか?

 

(いや、確証もないし今聞くべきことでもないよね)

 

「あの、高月先輩」

「稲叢さん?」

 

考えが脱線しかけている僕に、稲叢さんが声をかけてきた。

その表情はどこか不安げで心配しているという雰囲気が強く伝わって来るものだった。

 

「あの、エリナちゃんのことで話が」

「もしかして、倒れたの?」

 

稲叢さんの表情から推測した僕の言葉に、稲叢さんは首を横に振りながら答える。

 

「いえ、そこまでひどくは……でも、見ているととても辛そうで」

「と言うことは、あまり体調は良くないんだね」

 

その僕の言葉に、稲叢さんは頷くことで答えた。

 

「授業に集中できていなかったので、そのことをエリナちゃんに尋ねると……」

 

稲叢さんがその時の様子を説明してくれた。

その話によれば、尋ねても大丈夫と言うだけだったらしい。

 

「なるほど。やっぱり、稲叢さんの目から見てもエリナさんの体調は良くないの?」

「はい。時間が経つにつれてどんどん悪くなっていくような気がして……とても心配で」

 

(後輩がせっかく頼ってくれてるんだし、少しはそれに答えないと)

 

僕は稲叢さんの返事を聞いてそう心の中でつぶやいた。

 

「だったら、エリナさんのことは僕に任せてくれないかな?」

「お願いできますか?」

「うん。自信はないけど、任せて」

 

(それに、体調が悪いエリナさんを放っては置けないし)

 

どちらかと言うと後者の方が本音だった。

僕は稲叢さんに少し待ってほしいと告げて教室に戻った。

 

「美羽さん」

「何かしら?」

 

僕は近くにいた美羽さんに声をかける。

 

「確か、僕は今日非番だったよね?」

「ええ、そのはずだけど」

 

念のために確認した僕に、美羽さんは頷いて答えてくれた。

これで、最初の関門は突破した。

 

「エリナさんの様子があまり芳しくないみたいで、早退させることにした」

「それがいいわね。でも、私たちは風紀班の仕事があるから、手伝えないけど大丈夫?」

 

僕の言葉を聞いた美羽さんが賛同するように頷くと心配そうに聞いてきたので、僕は頷き返した。

 

「それと、ニコラ」

「何か用かい?」

 

そして今度はニコラの方に声をかける。

 

「エリナさんは今日シフトとか入ってたりする?」

「えっと……たしか、入っていたと思う」

 

ニコラにエリナさんのシフトの確認を取ると、やはり仕事があるようだった。

 

「それじゃ、悪いんだけど休みにさせてもらってもいいかな?」

「うん、わかったよ。フロアチーフには僕から説明をしておく」

 

ニコラにお礼を言いつつ、僕は荷物を持つと教室を後にする。

 

(これで、外堀は完全に埋められた)

 

エリナさんのことだ、少しでもやらなければいけないところがあれば無理をしてでもそれをしようとするだろう。

なので、何もせずにエリナさんに早退するように促しても無駄になってしまうのだ。

だからこそ、前もってそれをふさいだのだ。

そうすれば、エリナさんもさすがに早退せざるを得ないのだから。

 

(何だかやっていることが卑劣なような気もするけど、これもすべてエリナさんの体調のため)

 

僕は、感じていた罪悪感に、そんな風に理由をつけることで封じ込めた。

 

「それじゃ、案内してもらってもいい?」

「はい」

 

そして、稲叢さんに頼んでエリナさんの教室へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、エリナさんは……いた」

 

エリナさんの姿を探すと、意外とすぐに見つかった。

 

「ん……はぁ……はぁ」

「あんな風に苦しそうなんです」

 

机に突っ伏しているエリナさんの苦しそうな息遣いがこちらにまで聞こえてきそうな感じだった。

 

(これは思った以上にまずいな)

 

「エリナさんを寮に連れて行こう」

「はい、私もその方がいいと思います」

 

僕の言葉に、稲叢さんも賛同してくれた。

 

「できれば、高月先輩の方からエリナちゃんを説得してもらってもいいですか? 高月先輩の言葉だったら、エリナちゃんもしたがうと思いますから」

「買い被りだって……でも、できる限り頑張ってみるよ」

 

はっきり言って、僕が言ってもちゃんと早退させられるという自信はなかった。

 

「悪いんだけど稲叢さんは、担任の先生に早退のことを伝えてもらってもいいかな?」

「はい。高月先輩の期待に添えるように頑張ります」

 

そう答えて職員室の方へと向かっていく稲叢さんに、大げさだなと思いつつ僕は教室に足をふみ入れた。

 

「はぁ、はぁ……」

「エリナさん」

 

彼女の席の横に立った僕は、苦しげな息遣いをするエリナさんに声をかけた。

僕の声に反応して辛そうではあったが、エリナさんは僕の方を見上げてきた。

 

「あり? コースケがどうしてここに」

「稲叢さんから教えてもらったんだ」

「そ、そうなんだ。にひひ……リオも大げさだよ」

 

そう告げるエリナさんの表情は、まったく大丈夫だとは言えない様子だった。

 

「エリナさん、早退するから支度をして」

「え? で、でも……」

「稲叢さんに頼んで早退させてもらえるようにしてあるから大丈夫」

 

突然の早退に、エリナさんが不安げに口を開こうとするのを遮って、僕は彼女に説明をした。

 

「でも、仕事が」

「そっちだったら、ニコラが休みにしてもらうように頼んでくれるらしいから問題はないよ」

「何だかコースケ、根回しがいいね」

 

エリナさんの心残りに、即答するとエリナさんは複雑な表情を浮かべながら言ってきた。

 

「これくらいしないとエリナさんの場合は無理するでしょ」

 

そのエリナさんの言葉に、僕はため息交じりに答える。

 

「今日はこのまま寮に戻るんだ。僕も看病するから」

「え? 看病してくれるの?」

 

僕の言葉に反応を示したエリナさんは、食い付いてきた。

 

「まあ、言いだしっぺだしね。それくらいはするよ」

「そっか……それじゃ、コースケに看病してもらおうかな」

 

そう笑いながら乗ってくるエリナさんだが、その表情はとても苦しげだった。

 

「それじゃ、帰る準備をして」

「了解だよ」

 

そして、エリナさんは少しゆっくり目だが帰り支度を始めた。

 

「すごいです、高月先輩。エリナちゃんが素直に頷くなんて」

「本人も、自覚しているんだから僕じゃなくてもこうなったと思うよ」

 

先生にエリナさんの早退のことを伝えたのか、いつの間にか僕の後ろで尊敬のまなざしを向ける稲叢さんに、僕はそう返した。

 

「エリナちゃん、何か大事なものとかある?」

「うーんと……特には。授業の準備だけだよ」

 

その僕の言葉を聞いた稲叢さんは一歩前に出るとエリナさんに問いかけた。

 

「それじゃ、エリナちゃんの荷物は私が持って帰りますね」

「え……それはリオに悪いよ」

 

稲叢さんの申し出に、エリナさんは困ったような表情で止めようとした。

 

「そうだよ、荷物ぐらいなら僕が持って行けるって」

「大丈夫です。それほど重くなさそうなので、私でも持てます」

 

”だから任せてください”と、一歩も譲らない態度で答える稲叢さんに、僕は何も言うことはできなかった。

 

「それじゃ、お願いしちゃおっかな」

 

それはエリナさんも同じだったようで、エリナさんが折れる形で、エリナさんの荷物は稲叢さんが持って帰ることになった。

 

(稲叢さんだって、早退させることはできるんだよ)

 

僕はそんな稲叢さんに心の中でそうつぶやいた。

 

「それじゃ、エリナさん立てる?」

「んっと……ちょっと待ってね」

 

僕の問いかけに、エリナさんはそう返事をするとゆっくりと立ち上がった。

若干ふらついてはいるものの立ち上がることが出t来た。

 

「うん、ダイジョーブ」

「それじゃ、行こうか」

 

そして、僕はエリナさんを連れて寮に向かうべく、教室を後にするのであった。

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