今回のネタは約2か所です。
ちょっと危ない感じもしますが……
ネタに走り出すと止まらなくなる癖があるので、ちょっと怖いなと思う今日この頃です。
「エリナのことが、好きだからだっ。だから、エリナには明るく笑っていてほしかったんだと思う」
「…………」
僕の告白に、エリナは驚きのあまりに目を見開かせて固まっていた。
「好きって………それって」
「友人としてではない。一人の女性として、エリナのことが好きなんだ」
「…………―――――ッ!!?」
僕の言葉に、エリナはしばらく無反応であったが、声にならない悲鳴を上げると意外なことにエリナは顔を赤らめた。
いつもあんな恥ずかしい下ネタを連発するようなエリナがまるで初心な少女のような反応を見せたのだ。
「そ、それって本当の本当? エリナが今まで迷惑をかけたから、その仕返し……じゃないよね?」
「君はいったい僕をなんだと思ってるの? そんなこと、冗談でも言わないし、いう気もないよ」
僕の人生をかける程の覚悟を決めた告白が冗談にされそうになってしまったことに反論する。
地味にショックが強い。
「それじゃ……本当に」
「ああ。何度でもいうよ。僕はエリナのことが一人の女性として好きだ」
目を丸くしているエリナに、僕はもう一度告白をした。
一度言ってしまえば、次から言うのはそれほど恥ずかしくはなくなる。
とはいえ、全く恥ずかしくないというわけではないが。
「でも、本当は今これを言うのは卑怯だと思って、言いたくはなかったんだ」
「卑怯? どうして」
僕の独白に、エリナは首を課し得ながら理由を聞いてきた。
「さっきの血のこともあるし、まるで脅迫しているような気がしてきて。でも、言わないで友人と嘘をつくのも嫌だったんだ。それに、僕はずるくて卑怯な男だから」
「違うよ。コースケは”ずるくて卑怯”じゃないよ」
僕の独白を聞いたエリナは、僕が最後につぶやいた言葉に首を横に振りながら否定した。
「コースケは”すっごくいい”男だよ」
「そ、そう?」
自分としては、そのような自覚がなかっただけに思わず疑問形になってしまった。
「そうだよ。卑怯でも、自分が持てる者は武器にしていかないと。逆にうじうじしたり嘘をつかれる方が女の子にとっては一番傷つくんだよ」
「な、なるほど」
エリナの説得力のある言葉に、僕は頷く。
「なんだか、エリナって男らしいよね」
「何それ!? エリナはれっきとした女の子だよ」
「ごめんごめん」
頬を膨らませるエリナの抗議に、僕は落ち着かせるようにしながら謝った。
「それで、エリナからの返事がまだなんだけど」
「えー……言うの?」
僕の促しに、エリナは視線をそらしながら聞いてきた
「当然です」
「でも、本当にいいの? ワタシこんな体質だし、今以上に甘えるかも……ううん、絶対に甘えると思う。もしかしたらコースケを後悔させるかもしれないよ?」
エリナの上目遣いの言葉、それは彼女にとっては最後の壁なのかもしれない。
「だったら、後悔させて見せてよ。僕は絶対に後悔しない自信があるけど」
「……コースケは本当にいい男すぎるよ。エリナにはもったいないくらい」
僕の宣戦布告に、エリナは苦笑しながらつぶやく。
「もったいないんだったらやめる?」
「もう遅いよ。だってエリナだって、好きで好きで、大好きで仕方がないんだからッ!」
「っと!?」
言葉と共に胸に飛び込んで来たエリナを、僕はちゃんと受け止めた。
「もう絶対に離さないんだから」
「それは僕だってそうだよ。絶対に、離さないよ。僕はずるくて卑怯だからね」
エリナの宣言に、僕も返した。
どうでもいいが、”ずるくて卑怯”と言うフレーズが定着してしまったような気がする。
「でも、良かったよ。エリナからの返答がOKで」
「Noなわけないじゃん。だって、コースケはすごくいい男なんだから」
「そ、そう……」
改めて言われると、照れるところもあり、僕は赤くなっているであろう顔を隠すように顔をそむけた。
「にっひっひ~、コースケ、顔真っ赤~」
「そりゃ、好きな人に言われれば照れもするさ」
からかうようなエリナの視線に、僕は半ば開き直るように反論した。
「でもダイジョーブ。コースケはあれだけフラグをビンビンに立てているんだから」
「フ、フラ?」
あまり聞きなれない単語に、僕は首をかしげる。
「そうだよ。おかげでエリナの○首も○つくらいだもん♪」
「あの、こういう時くらいは普通にしてもらえませんか?」
再び下ネタを口にするエリナさんに、僕は抗議した。
「でも、エリナ普通がどういうものかなんて知らないもん」
「何で?」
目を伏せながら口にするエリナの言葉に疑問を持った僕は、理由を尋ねた。
「だって、エリナには秘密があるから、それを隠そうとして会話をすると、こういう風にしか……。それで、行きついたのが”これ”なんだよね」
最後に”それが地になっちゃったけど”とまとめると、エリナはにひひと笑っていた。
「………」
あまりにも重すぎる理由に、僕は返す言葉は見つからなかった。
「これからは一杯甘えるから、覚悟してね」
「もちろん。その代わり僕もエリナが後悔するほど甘えるからね」
エリナの宣戦布告に、僕も返すとエリナを抱きしめる力を少しだけ強める。
それにエリナも応じた。
こうして、僕とエリナは恋人同士になるのであった。
「ん……んぅ」
ふと目が覚める。
何の変わり映えのない日常。
でも、ちゃんと変わっているところもある。
例えば……
「すぅー……すぅー」
隣で幸せそうに眠るエリナの姿とか。
ちなみに、ただ一緒に寝ただけだ。
と言うのも、あの後血だまりとなった床の掃除が少々手間取ってしまったために、何かをする余裕がなかったのだ。
(まさか、ああもツケが高くつくとは……)
まさに予想外の事態であった。
尤も、一番高くついたのは
(まだ首の方が痛い)
自分で切った首だった。
傷はふさがっているようだが、まだ痛みだけが残っているようで、触ると痛みが走るのだ。
もう二度と自分の首を斬らないと、僕は心の底から誓うのであった。
「んみゅ……ん、んん……ふぁぁぁ」
そんなことを思っていると、エリナは静かに目を開けた。
「おー、コースケ。おはよう」
「おはよう、エリナ」
目が僕をとらえると、エリナは若干寝ぼけた様子ではあるが、挨拶をしてきたので、僕もそれに答えた。
(挨拶をするだけなのに)
「何だかこんなに気持ちよく起きれたのは初めてだよ」
「エリナも、こんなに気持ちのいい夜は初めてだよ」
ちょっとだけ関係が変わっただけで、世界観は一変する。
”恋は新たな舞台への扉”と言う言葉を聞いたことがある。
まさしくその通りだなと僕は感じていた。
「何だか、ずっとこうしていたい」
「それはダメ。もうすでに遅いし、これ以上のんびりしていると誰かが起こしに来るよ」
後片付けに追われて寝る時間が遅かった分、起きる時間も遅くなってしまったようで、既に寝坊の一歩手前の状態だった。
「そっか、二人っきりの時間は終わりなんだね」
「そういうこと」
僕の言葉に、エリナは名残惜しそうにベッドから出た。
「それじゃ、部屋を出る前にお願いしたいことがあるんだけど」
「もしかして、血が足りないの?」
改まった様子で言ってくるエリナに、僕はまさかと思いながらエリナに問いかけた。
「ううん。そういうのじゃないの。ただ、抱いてほしいの。昨日のことを含めて今の時間が夢でないことを確かめたいから」
上目づかいでお願いをするエリナに、僕は一瞬胸がときめいた。
(自分で言っておいてあれだけど、ときめくっていう言い方はなんだか気持ち悪いような気が……)
「あっ、抱くといってもセ○○すのことじゃないよ? 抱擁、抱きしめるっていう意味だからね」
「ぴゃー!?」
さっそくのエリナの下ネタに、僕は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「この前から疑問に思っていたんだけど”ぴゃー”って、どういう意味?」
「知らない。何だか口をついで出てくるんだよね」
首をかしげながら聞いてくる謎の奇声だが、僕にも何なのかがわからなかったりする。
「まあ、いいや。お願い、コースケ」
「もちろんだとも」
「あっ」
エリナに答えるように、僕はエリナの体を抱きしめた。
「ち、ちょっと痛いよ」
「ご、ごめんっ」
僕は慌てて抱きしめる腕の強さを弱めた。
「こんなものでどう?」
「うん、ちょうどいい感じ♪」
何とか力加減を調整できたようで、今後はこの加減を覚えようと頭に叩き込んでいた。
「本当に、コースケは温かいね。心も、体も。にひひ」
「笑っているけど、どうしたの?」
にやにやと笑っているエリナに、僕は野暮だと思いつつも尋ねた。
「だって、大好きなコースケに抱きしめられてるんだよ? 笑うくらいはするよ。それともコースケはエリナのことを抱いても嬉しくないの?」
「嬉しいに決まってるじゃない」
にやりと先ほどまでのにやにやとした笑みとは別の表情を浮かべながら聞いてきたので、僕は即答で答えた。
「でも、顔がうれしそうじゃないよ」
「あまりの嬉しさに、顔の筋肉が動かなくなってるだけだよ。というより、緊張しすぎて心臓がバクバク言ってるんだよ」
エリナが不信感を抱くよりも前に、僕は素直に自分の状態を告げることにした。
自分でもわかるほど心臓がどきどきしている。
「おー、本当だ。バクバク言ってるね~」
「でしょ」
胸に耳を当てたエリナはバクバク言っている心臓の音を聞いたのか、からかうような笑みを浮かべながら言ってきた。
「あ、でもお腹のあたりも温かいね」
「ッ!?」
エリナのその言葉に、僕は時間が止まったような錯覚を覚えた。
どこがどうなっているかは想像に任せる。
というより、言いたくない。
「何だか、その……ゴメン」
「謝らなくてもいいって。エリナで興奮してくれるのはとても嬉しいから」
微妙にすれすれのことを言っているような気がするのは、僕がおかしいのだろうか?
これ以上だとさらに危ないことを言いかねないのと、とても恥ずかしくなってきたため僕は体を話した。
「あり? もうおしまいなの?」
「おしまいです。これ以上は時間が本当になくなるから」
物足りないという表情を浮かべているエリナさんに僕はびしっと断言する。
「それじゃ、エリナを着替えさせて」
「断るっ!」
エリナの頼みを、僕は一刀両断した。
「えー。甘えてもいいって言ってくれたじゃない」
「確かに言ったけど、それは甘えすぎだし、恥ずかしすぎる!!」
頬を膨らませて不満そうに文句を言うエリナに、僕は反論する。
ただでさえ抱きしめるのにここまで恥ずかしく感じているのに、着替えさせるだなんてことをしたら絶対に倒れる。
間違いないっ!
(自分で言っていて悲しくなってくるけど)
「じゃあ、エリナが着替えさせてあげる」
「一人でできるもんっ!」
エリナの思いもよらない提案に、某王様のセリフを口にしてしまった。
「おー、まるでN○Kの料理番組みたいだね」
「それ以上は危ないよっ!?」
ものすごい危険なエリナの言葉に、僕は思わずツッコみを入れてしまった。
「とにかく、着替えは自分ですること」
「あ、ちょっとコースケ!?」
僕は半ば強引にエリナの背中を押して部屋から出した。
エリナ自身も満足していたのか、言葉とは裏肌に抵抗する様子はなかった。
「はぁ……僕、大丈夫かな?」
何だかいろいろな場所から干されそうな気がする。
「とりあえず、着替えよ」
僕は気分を入れ替えると、着替えを始めることにした。
その途中考えていたのはエリナのことだった。
(恋人になった余韻に浸るのもいいけど、やることだってあるよね)
まだ恋人になったという嬉しさに心を委ねるのもいいが、僕にはそれができなかった。
別に、エリナへの愛が冷めたわけではない。
冷めるどころか、どんどんと強くなりすぎて困るくらいだ。
僕には恋人と言う”守るべき存在”ができた。
僕はエリナを守らなければいけない。
今後、いろいろな苦難があるはずだ。
それをエリナと共に乗り越えていく覚悟がなければいけない。
それの一歩を、僕は踏みだしていかなければいけないのだ。
(だからこそ)
僕は着替え終わると、携帯電話を手にする。
そして、何度目か分からない、扇先生への番号にコールをする。
以外にも扇先生はほんの3コールで電話に出た。
『高月君、大丈夫だったかい!?』
「な、何がですか?」
突然怒鳴るほどの勢いでまくしたてる扇先生に、僕は思わず携帯電話を耳元から話しながら答えた。
『何がって、前いきなり電話を切って、何度もかけたけどつながらないから心配したんだよ。それはもう心配しすぎて全裸になるほどにね』
「携帯の電源が切れてしまっただけです。ご心配おかけしてすみません」
最後の方は気にせずに、僕は謝りながら理由を告げた。
もちろん嘘だが、本当のことを言えば問題が起こるため、こうするしかなかった。
『電源が切れた……ねえ』
僕の説明に、扇先生は何とも言い難い様子でつぶやいていた。
「何か?」
『別に。それで、用件は? まさか僕とで、デートのお誘いかな!?』
僕の問いかけに、扇先生は非常に期待した声色で聞いてきた。
「違います」
『それじゃ、僕の声を聴きたい―――』
「違います」
扇先生の言葉を遮るように否定する。
『容赦がないね……で、いったい何の用だ?』
「まずは報告を。前にお話ししました拒絶反応の件ですけど」
断固拒否し続けている僕に諦めたのか、それともこれ以上は無理なのかどちらかは分からないが、とりあえず本題に入ることにした。
『まさか、赴くままに動いたとか?』
「いえ、治まりました」
『それはなにより』
報告しなければいけない内容なのかは分からないが、相談したことも考えると報告しておいた方がいいだろうという思い、報告するに至った。
現に、扇先生は安心した様子で相槌を打っていた。
『高月君の口ぶりだと、他にも用件がありそうだけど、そっちが本命かな?』
「ええ」
相変わらず扇先生にはかなわないなと思いながら、僕は用件を口にした。
「ちょっと、今日診断してほしい人がいるんです」
『それは、この間気味が言っていた子かい?』
「はい」
まじめな声色の扇先生の問いに、僕は静かに頷いて答えた。
『分かった。それじゃ、時間のある時にいつでも来てもらえるかい? 準備はしておくから』
「分かりました。よろしくお願いします」
扇先生のOKが出たため、僕は扇先生にお礼を言った。
『何、高月君の頼みだったら、火の中海の中にでも――――』
まだ扇先生は話していたが、経験上危険なことを言いかねないためこちらから強引に電話を切った。
「後は、エリナを連れていくだけか」
ここは男として……彼氏としての見せ場だ。
(頑張ろう)
僕は、そう自分に言い聞かせると、共有スペースに向かうのであった。