DRACU-RIOT!~最凶の吸血鬼~   作:TRcrant

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第45話です。

大変お待たせしました。
RPGゲームにはまっており、投稿が非常に遅れました。
とりあえず、徹夜で書き上げましたので、投稿いたします。


第45話 人として彼氏として

「浩介君」

「ニコラ? どうかしたの?」

 

深夜休み、ノートなどをしまっているとニコラに声をかけられた。

 

「食堂に行こうと思ってるんだけど、浩介君はどうするのかなと思って」

「僕もこれから行こうと思ってたところだよ」

 

ニコラの問いかけに答えなgら、僕は席を立つ。

 

「今日は聖なる金色の雪原を食べたい気分なんだ」

「えっと……それは夕日差し込みたるじゃないの?」

 

ニコラの言葉に、僕はこの間聞いた言葉と違うことに疑問を持って問いかけた。

 

「おー! やっと僕の言葉が通じてくれるようになったか!」

「いや、ただ覚えてただけなんだけど」

「何の話をしてるんだ?」

 

通じたことがうれしいのか、目を輝かせるニコラに冷静に返していると、そのやり取りを聞きつけた佑斗君が声をかけてきた。

 

「聖なる金色の雪原を食べるという話」

「……………あぁ、カレーか」

 

絶対に通じないと思っていた僕の言葉だが、ほんの少しだけ間が空いたがカレーのことだと分かってくれたようだった。

 

(あ、そういえば、あの場にいたんだよね)

 

だとしたらわかって当然か。

 

「カレーの話?」

「食堂のカレーっておいしいですよね」

 

そんな中、”カレー”の単語に反応した美羽さんたちがぞろぞろとやってきた。

 

「こんなに理解者が多いなんてっ。やっぱり同士がいるのっていいよね」

「カレーって不思議な力があるよね。話しているだけで食べたくなっちゃうもんね」

「それに食堂のカレーは美味しいですよね」

 

明るい表情で口にする布良さんの言葉に頷きながら大房さんが言う。

 

(僕も今日はカレーにしようかな)

 

最初はから揚げ定食にしようと思っていたが、皆の会話のやり取りを聞いていると無性にカレーが食べたくなってしまった。

布良さんの言うとおり、やはりカレーというのは僕にはわからない力を持っているようだ。

 

「あの、高月先輩はいらっしゃいますか?」

「稲叢さん? どうかしたの」

 

そんな中入ってきた稲叢さんに、佑斗君が用件を尋ねる。

それよりも……

 

「エリナは?」

「ここだよ」

 

僕の問いかけに応えるように稲叢さんの背後から姿を現したエリナの顔色は、若干ではあるが悪い状態だった。

だとすれば、稲叢さんの心配したような表情にも納得がいった。

 

「あのね、コースケにお願いしたいことがあるんだけど……ここだとダメなことなの」

「………」

 

エリナの言葉で、僕はなんとなくお願いが何なのかがわかった。

 

「悪いんだけど、食堂に先に行っててもらっていいかな?」

「それは別にかまわないけど、エリナ君大丈夫かい? 元気がないみたいだけど」

「うん、へーきだよ。すぐに治るから」

 

心配そうにエリナに声をかけるニコラに、エリナは誤魔化すように笑いながら答えた。

 

「それじゃ、行こうか」

「うん」

 

僕はエリナを促すように声をかけて廊下に向かって歩き出した。

 

「大丈夫か?」

「大丈夫。ありがと」

 

途中小声で声をかけてくれた佑斗君にお礼を言いながら、僕は教室を後にするのであった。

ちなみに、佑斗君と美羽さんには僕とエリナの関係の変化は分かっている。

からかいのまなざしと応援の言葉をかけられたのは、とても嬉しかった。

 

「それで、どこに行く?」

「ここだと人が多すぎるから……体育館の方なんてどう? 人もいないだろうし」

 

僕の問いかけに、エリナは考え込むと場所を提案してきた。

 

「あそこか……確かに人気はなさそうだし、そこに行こうか」

「うん」

 

そして僕はエリナと共に体育館に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、早くやっちゃうか」

「ここだと人が来たときまずくない?」

 

体育館に入ったところで、吸血を始めようとしたがエリナさんは不安そうな表情を浮かべながら聞いてきた。

 

「確かに……」

 

万が一にも、用事などがあってここを訪れるようなことがあれば万事休すだ。

 

「あっちの方に倉庫があるからそこにしよう」

「了解」

 

倉庫と聞いて、変な光景が目に浮かびそうになる自分に喝を入れてエリナに相槌を打つと、僕たちはさらに倉庫の方へと向かった。

 

「ごめんね、学院でこんなことお願いして」

「気にしないで。言ったでしょ、いっぱい僕が後悔するほど甘えてもいいって」

 

謝ってくるエリナさんに、僕は首を横に振りながらエリナさんに言葉を返した。

 

「ありがとう、コースケ」

「それじゃ、始めようか」

 

エリナがお礼を言ったのを見計らって、僕はエリナに促した。

 

「うん。何だかここにいると、青○みたいだね♪」

「言うと思ったよっ!」

 

エリナの下ネタに、大体の予想がついていたためツッコミとしてはいまいちな出来になってしまった。

 

(って、僕たちは漫才師を目指しているわけじゃないよ)

 

状況が状況なだけに、かなり舞い上がっている自分を落ち着かせるように、深呼吸をする。

 

「それよりも、体調の方がきついんでしょ? 早く吸う」

「ダー、了解だよ」

 

僕は血を吸いやすいように首筋をさらしながら、エリナが血を吸うのを待つ。

 

「ありがと、コースケ」

 

耳元でエリナの声が聞こえたかと思うと、首筋に鋭い痛みが走った。

それはエリナが牙を立てた証拠でもあった。

 

「ちゅー……ぢゅるる」

 

そして聞こえてくる血を啜る音に、僕は平常心を保つ。

それは、ある意味拷問のような時間であった。

 

「ふぅ……ありがとう、もうダイジョーブだよ」

「そうか。ならよかった」

 

エリナの調子も戻ったようで、僕はほっと胸をなでおろした。

 

(あれ?)

 

すると、鼓動の音がいつもより力強く聞こえるような気がした。

 

「どうかした、コースケ?」

「いや、なんでもないよ。食堂に行こう」

「うん♪」

 

僕の様子に不思議そうな様子で聞いてくるエリナに僕はそう答えると、食堂に向かうのであった。

 

(気のせいかな?)

 

先ほどの感覚に疑問は残るものの、既に先ほどのような現象はない。

きっと、エリナと密着していたから緊張したのだろう。

そう自分に思うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、こっちこっち!」

 

遅れて食堂に向かい注文した料理を手に佑斗君がいるテーブルを探していると、布良さんの声が聞こえてきた。

声の方を見れば布良さんが自分たちの居場所を知らせるように元気よく手を振っていた。

 

「あれ、皆カレーにしたんだ」

「何だか話していたら食べたくなってしまって」

 

カレーの話で盛り上がっていたのでなんとなく予想はついていたが、全員がカレーというのは意外だった。

 

「そういう高月君もカレーなんだね」

「エリナもコースケと同じカレーだよ」

 

皆考えることは同じなんだなと、苦笑するしかなかった。

 

「良かった、エリナちゃんが元気になって……むしろ前より元気になっているような気が」

「それとは反対に、浩介君は疲れた顔をしているけど」

 

ほっと胸をなでおろした様子の稲叢さんはエリナが前より元気になっていることに、ニコラは僕が前より疲れたような様子なのを見て疑問のまなざしを向けてきた。

 

「ちょっと急いできたから疲れただけだよ。さ、冷めちゃうから早くカレーを食べよう」

「………」

 

誤魔化すように言う僕に疑惑の目(と言うよりは不思議そうな視線だが)が強まっていた。

だが、やがてみんなも食事を始めだすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで連絡事項は以上だ。仕事のある者は仕事に向かえ。ない者は問題を起こさないように。解散」

 

思えば、一日はあっという間に過ぎていた。

気づけばもうHRになっていたほどだ。

授業も全く覚えていない。

 

(これ、復習をしておいた方がいいかも)

 

僕は、寮に戻った時に復習をすることを心に誓うのであった。

 

「高月君。一緒に仕事に行こう」

「えっと……今日、僕は非番なんだけど」

「あー、そういえばそんなこと言ってたな」

 

今日が非番であることが伝えられたのは今朝、学院に向かおうとした時だった。

 

「そういえばって……教えてくれたのは佑斗君のはずだけど」

「……忘れてました」

 

僕の追及に、佑斗君はすんなりと忘れていたことを認めた。

 

「そうだったんだ。ゴメンね、勘違いして」

「いや、気にしなくていいよ。佑斗君も」

 

忘れていたことに申し訳なさそうにしている布良さんと佑斗君に、そう声をかける。

 

「それじゃあ一緒に校門まで行こう。美羽ちゃん、美羽ちゃん。美羽ちゃんも今日は出勤だよね? 一緒に行こう!」

 

布良さんは美羽さんを誘い、いつものメンバーで帰ることになった。

 

「あ、や……先輩方もお帰りですか?」

「そうだよ。莉音ちゃんとエリナちゃんも一緒に帰ろう」

 

一瞬一人一人の名前を呼ぼうとしたが、明らかに人数が多いために稲叢さんはまとめて呼んだようだった。

とはいっても、その方が妥当ではあるので別にショックでもないけど。

 

「私、今日は仕事があるのね」

「エリナは今日、仕事は休みだよ」

 

稲叢さんとエリナが今日の予定を口にする。

 

(これは絶好のチャンス)

 

うまい具合に休みの日が被ってくれたようで、僕はこの幸運に感謝したいぐらいの気持ちだった。

 

「それじゃ、みんなで校門まで一緒に帰ろ」

 

こうして、僕たちは校門までと言う短い距離ではあるが、一緒に帰ることになった。

 

(いつ言うか……)

 

病院に行くことをエリナに言うタイミングを、僕は見計らっていた。

今でもいいのだが先の食堂での一軒もあるため、あまり怪しまれるような行動は避けるべきだろう。

 

(よし、校門で皆と別れた後にしよう)

 

幸い、今日休みなのは寮のメンバーでは僕とエリナだけ。

つまり、校門から先は僕とエリナの二人っきりだ。

ならば、切り出すタイミングは十分ある。

 

(それに、病院の位置的にも寮に戻る道を経由してもさして遠回りにはならないし)

 

ならば、急いで切り出す必要もない。

皆と別れて誰にも聞かれないように注意さえすれば、問題はほとんどないのだ。

……たぶん。

そんなこんなで、僕たちは校門の方に向かうのであった。

 

「それじゃあね、高月君」

「なるべく早く戻りますね。高月先輩、エリナちゃん」

「皆も仕事がんばってねー」

 

校門にたどり着いた稲叢さんたちは仕事の方へ、僕たちは寮の方へと向かう。

お互いに声を掛け合って、全員の姿が見えなくなるまで手を振っていた。

 

「それじゃ、行こ。コースケ♪」

「そうだね」

 

そして僕たちも寮に向かって足を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あり? どうかしたの? コースケ」

 

寮に戻る途中で立ち止まる僕に、不思議そうな表情を向ける。

 

「エリナ、少し僕に付き合ってもらっていいかな?」

「え?」

 

僕の言葉に、エリナは目を丸くする。

だが、仕方がないのだ。

今いる場所が寮と病院に向かうための道の境目なのだから。

 

「もしかしてホテル? もうエッチだな~コースケってば。順番が違うよ」

「どこをどう取れば、そこに行きつくの!?」

 

予想外のエリナの下ネタに、僕は思わず全力でツッコみを入れていた。

 

「そうじゃなくて。病院だよ、病院」

「それは、ナースのコスプレ……じゃないよね?」

 

”病院”と言う単語を耳にした瞬間、エリナの表情が固まった。

その表情には”不安”と”恐怖”が含まれていた。

 

「無理そう?」

「ううん。そういうことはないんだけど……でもちょっとだけ怖い、かな」

 

そう口にしたエリナに、僕は病院に連れて行くべきかどうか躊躇った。

病院で診てもらわなければいけないのは確実だ。

でもそれは、本人の意思を尊重しなければいけない。

エリナが嫌がっているのならば、それを尊重する。

それが、人として……彼氏としてのあるべき姿だと思ったからだ。

 

「無理なら、別の日にしてもらうけど」

「ダイジョーブだよ。早く何とかしないとって思っていたし、それに……」

 

そう言ってエリナは照れたような表情で言葉を続けた。

 

「コースケも一緒に来てくれるんだよね?」

「もちろん」

 

即答だった。

エリナの問いかけに、僕は間を開けずに答えた。

 

「だからへーきだよ。エリナも、何とかしたいと思っているの。だから……」

 

そこで、エリナはいったん言葉を区切った。

僕は彼女が言葉を紡ぐのを待った。

 

「だから、ワタシと一緒に病院に行ってください」

「喜んで」

 

エリナの言葉の答えは既に決まっていた。

そして僕は、エリナに片手を差し出す。

 

「え、何?」

「何って、手をつなごうって言ってるんだけど」

 

突然の僕の行動に戸惑うエリナに、僕はダイレクトに告げた。

 

「ありがと、コースケ」

「どういたしまして」

 

お礼と共に手を取るエリナの手の感触に、声が震えそうになるのをこらえながら言葉を返した。

エリナの手の感触は、とても柔らかくそして優しい感じを思わせる物であった。

 

「コースケ、手が震えているよ?」

「はは、女子と手をつなぐのはこれが初めてだからね。ごめんね頼りなくて」

 

エリナの指摘に、僕は自分の小さなプライドを捨て、正直に話した。

今ここで変な見栄を張ってもいつかは分かってしまうのだから。

 

「全然頼りなくないよ。コースケは十分に”最高にいい男”だよ♪」

「ありがとう、エリナ」

 

エリナの言葉に、お礼を言って僕は手をつないだまま病院への道を進んでいく。

 

「そういえば、誰が診てくれるの?」

「性格がちょっとあれだけど、腕はとても(たぶん)いい人だよ」

 

エリナの疑問に、僕は扇先生の人となりを簡単に説明した。

とはいえ、ちょっと……いやかなり失礼なことを言っているような気もするが。

そんなこんなで、僕は扇先生の末病院へと向かうのであった。

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