美竹さんはこんなに可愛いんだよ?   作:┌┤´д`├┐

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前書きは特になしです。

さっさと本編へどうぞー







寝起きのあなた

 日は沈みまた昇る。

 

 そうやって毎日何も変わらずに、俺のような下々の民に顔を出してくれるんだろ。はぁ…、あんたも毎日毎日飽きないもんだねぇ…。

 

 ベッドに寝転がっていれば、目覚ましなんぞ無くとも勝手に起こしてくれちゃう天然の目覚まし。…ただ、今日は些か、起こすのが遅すぎたみたいじゃないか?

 現在時刻は8時半を回ろうとしているところ、今から学校に行ったって間に合いっこない。まぁいいか…と、ベッドから立ち上がって体を精一杯延ばした。各関節や節々がポキポキと小気味よい音を鳴らしながらも、意識はまだぼんやりしたまま。

 

 何を考える訳でもなく再びベッドに座って、未だに覚醒しない脳みそで必死に記憶を確認しようとする。

 

 今日は…、確か3月15日、だったかな…?あぁ、そうだった。今は学期と学期の間だから学校は無いんだったよ。確認しなければこのまま学校に向かってしまう所だった。

 

 カレンダーを見てみれば、確かに今日は15日と教えてくれる。二度寝で惰眠を貪る事を即決した俺は掛け布団の内側に素早く潜り込む。あぁ、まだ温もりがあって温度がだが今だぜぃ…。そうして瞼を閉じようとした時。

 

 

 脳裏に稲妻走る。

 

 

 さっき見たカレンダーには15日の欄にだけ大きく、『赤色の色素で丸が描かれていた』事を思い出した。そして同じ欄の下の方には。

 

 

『終業式』

 

 

 

 あー…。

 

 

 ──────────────

 

 

 学校最後の終業式をたかだか寝坊ごときで、おサボり決め込んでからずっと二度寝生活を気持ちよく満喫しておりました。まぁどうせ、お偉いさん方の全く為にならない無駄話とかだろうから、正直どうだっていいよね。

 

 そうして眠り続けて3時を過ぎた頃、唐突に何度も鳴り響いたチャイムで夢の国から現世へと引き摺り戻された。こんなアホみたいな事をする奴は、今のところ1人しか見つからない。誰が来たかなんていうのは、確定的に明らかだよ。

 

 とりあえずこんなチャイムが鳴り響きまくっている状態では、三度寝も決め込むことが出来ない。渋々ベッドから体を起こしてから、部屋着を着込んだ。

 よく寝る時は服を着ないって人いるでしょ?俺はそういうタイプの人間なのだ。家の中を彷徨く時も服は着ない、当然だけどパンツとかは来てるよ?あとシャツもね。どうせこんなマンションに一人暮らししてるんだから、家にいるときくらいはいいでしょ?

 

 「へ〜いどちら様で〜?」

 「出てくるのが遅い」

 「…はぁ…、だからってピンポン連打はどうなのさ…」

 「中、入れて?」

 「へいへい、ほんと昔っから容赦ねぇのな…、蘭」

 「うるさい、なんでもいいじゃん」

 

 一応人前に出れるような格好に着替えて、重い玄関の扉を開け放つ。するとそこには灰色の制服を見に纏った、俺よりも少し小さく、ショートで揃えられた髪の一部には、まるで稲妻のように赤いメッシュを入れている少女――てか同級生だが――がそこにはいらっしゃった。

 

 俺が蘭と呼んだその女は、俺の家がまるで自宅のようにズケズケと侵入してくる。

 

 さよなら僕の幸せな時間。こんにちは僕の甘い時間。

 

 テーブルの周辺に座った蘭に何か飲み物を出してやろうかと思って、適当な菓子類を探しながらそう尋ねる。すると蘭は「なんでもいいよ、あるものでいい」と、なんとも面倒な返答を寄越してくる。なんでもいいってそこそこ困る質問だと思いませんか?

 

 冷蔵庫から2Lの烏龍茶を取り出して、俺専用のコップに注ぎ入れる。それとは別に蘭用のカップに温かい紅茶を、一緒にビターチョコ的な菓子を添えて持って行ってやる。

 

 「んで、今日はなんの用?」

 「あんたさ、終業式来てなかったでしょ?」

 「だって蘭が起こしに来てくれないから、普通に寝過ごしちまったんだよ…。お前なんだって今日だけ来なかったんだよ」

 

 そう、昔っからの習慣だ。どうしてかは知らないけど、学校に行く時は毎日決まった時間に起こしに来てくれて、ついでに朝飯も作ってくれるのだ。意外な事に蘭のご飯が結構美味いんだよな…、お陰で俺の胃袋は既にがっしりと蘭に握り締められてる訳だ。

 

 まぁ俺が今日起きれなかったのも、俺がこいつを頼りにしすぎたのも悪いんだろうけど、毎日来てくれるから…、その、自分で起きられなくなってしまっていた。誰だってそうなるよな?俺だってそうなってるんだからさ。

 

 「あ、あたしも今日寝坊しちゃって、急いでたから…。今日ぐらい自分で起きてよ」

 「無理言ってんじゃねぇよ、もうお前無しじゃ生きられねぇっての」

 「あっ…、バッ、バッカじゃないの!?まだそういうのは早いって…!」

 「何言ってんだよ、毎朝ご飯作ってから学校行ってんだから、間違っちゃいねぇでしょ」

 「あっ…、うぁぅぅ……!」

 

 いろいろ恥ずかしい事言ってたら、蘭から湯気が出そうなくらいに顔が真っ赤になってた。こいつはやっぱ普段すげぇキツイけど、こうやってグイグイ前出てやるとすぐあんなんなっちゃうのな。2人の時は一層態度硬くなるけど、それ以上に柔らかくもなる。そこがあいつの可愛いところだな…。

 

 「そ、それより!」

 「それよりなんだよ」

 「あ、えっと…。あ、明日さ…、暇?」

 「なんだそんな事かよ。うん、明日は何も予定はないよ」

 「そ、そっか…。じゃ、じゃあさ、えっと…、明日…どっかに…、あ……

 

 ここがホントに可愛いポイントなのだ。恥ずかしい事を言う時は決まって声がだんだんと小さくなる所な。このまんまじゃ埒が明かないから、俺の方から誘いを入れてあげようかな。

 

 「ごめんな、なんて言ったか聞こえなかったよ。後でその話は聞くけどさ、明日蘭は暇でしょ?」

 「えっ!?う、うん」

 「どっか遊び、行かない?」

 「やっぱり聞こえてたんじゃん…!」

 「さぁ…。元から誘う予定だったってだけかもしれないだろ?それで、行きたい?それとも、行きたくない?」

 

 こういう感じに聞いてあげれば、蘭のことだから直ぐに乗ってきてくれる筈だよ。

 

 「い、行きたい!」

 

 ほら、ね。簡単でしょう?

 

 

 ──────────────

 

 

 その後もしばらくはお茶を飲みながらも、今日あった事とかをいろいろ話してたんだけど。巴がどうだったとか、つぐが今日もつぐらなきゃいけなかったとか。でもなかなか自分の話をしてはくれないのです。俺としては、それが一番聞きたい事なのになぁ。

 

 そうしていると自然と…。

 

 「…すぅ……、ぅぅん……」

 

 段々と瞼が閉じてって、最後には蘭の意識は夢の中…、って感じに床に寝転がって眠り始めてしまった。やっぱり蘭って結構美形だよな…、うちのクラスの中じゃずば抜けて可愛いもんなぁ…。そんな可愛らしい女子が俺の家来て何やってんのかって話だけどね。

 

 「ほ〜ら、こんな所で寝るんじゃないよ。風邪ひいたって知らんぞ〜」

 「ん、んぅ……、えへへぇ……」

 

 こうやって大人しく眠ってる時はさらに可愛いってのになぁ…。普段からもう少し物腰柔らかくなってほしいものだけど、それは無理か…。そういう素直じゃない所も、それはそれで可愛いし、見てて飽きないものだしね。学校じゃ無愛想な感じだけど、いつもの幼なじみと居る時とか、俺たち2人の時とかは割とへにゃへにゃになっちゃうから、そういうギャップも可愛いね。可愛いよね。うん、可愛い。

 

 いつも使ってるベッドに蘭を、お姫様抱っこで運んで優しく下ろす。そのまま掛け布団を胸下ぐらいまで掛けてやって、俺も蘭に近いベッドの端っこの方に座る。

 

 「これからもよろしくな、蘭」

 「…きょう、すけ…。……だい……す……」

 「ふふっ、ありがとうね」

 

 

 それから蘭がまた起きるまでは、ずっとそのままでした。

 




どうだったかしら。


なんか感じたことあればコメントください。鋭い意見を待っております。
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