美竹さんはこんなに可愛いんだよ?   作:┌┤´д`├┐

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ソロモンよ!



私は帰ってきたァァァ!





茶番、終わり。

お久






繋がれた願い

溢れかえる雑踏の中を、離れないようにがっしりと結ばれた俺達の手。

 

 

互いがそこにいる事を、その手がちゃんと証明してくれている。

 

 

あたしは絶対にひとりじゃないって。

 

 

絶対に一人にはしないって。

 

 

 

それは――まだ知り合ったばかりだった、昔とは違った点だった。

 

 

 

──────────────

 

 

「じゃ、最初は何がお望みですか?」

 

「うーん、響介に任せるよ」

 

「お前二人の時はそればっかだなぁ……。ま、いいけどさ」

 

押し寄せる人の波を上手いこと避けつつ、食べ物を販売している屋台を探してみる。今の気分的には、焼きそば……もしくはたこ焼きらへんがあると結構嬉しいんだけど。逆に甘いのとか来たら最悪だ、食い始めが甘味ってのは絶対に避けたいところ。

 

「あ、響介。あれってさ」

 

「ん、どれ……って、いつものたこ焼き屋じゃんか!幸先がいいじゃないの」

 

「え、なに。たこ焼きがそんなに食べたかったの?」

 

「そうだな、最初は焼きそばかたこ焼きがいいなーって思ってた所だったからさ。さ、行こーぜ」

 

「うん、さっさと並んじゃお」

 

過去何回かからずっと値段据え置きで奮闘している、たこ焼きの屋台の列に加わる。300円で8個入りという相当安い価格設定に惹かれたのか、既に十数人程度が列を成していた。

 

「あ、そうだ」

 

「ん、なに」

 

ひとつ気になった事があったな。蘭はいっつも五人の幼なじみと一緒に行動しているのだ。では今日もそういう予定の筈だと、俺は思っていたのだが……。

 

「それ、去年も聞かれたよ……」

 

呆れ顔でそう返される。一年前のことなんて覚えてられないってのに。

 

「それで、なんでなのさ」

 

「……言わなきゃだめなの?」

 

「そんな恥ずかしい事なのか?」

 

「はぁ……。そんなの響介と一緒に回りたかったからに決まってるじゃん」

 

「あっ、そ、そうでしたか……」

 

少しばかり口元に笑みを浮かべながら、蘭はそんな恥ずかしい事を俺に言ってくれる。今日は恥ずかしがる事無く、余裕そうに構えている蘭に少々驚かされるなぁ……。

 

「響介だって、嬉しいでしょ?」

 

「そりゃ当たり前じゃん。俺にはお前が必要だからな」

 

「ふふっ、それはあたしにとっても同じ」

 

「……らしくないな。どうした蘭、今日はなんだってそんな素直に喋ってくれるんだ?」

 

「いいじゃん、二人っきりなんだしさ。変に気を張る必要も無いかなって」

 

意識的に態度を軟化させていたとは、思いもよらなかった。てっきり素直になる薬でも使ってきたのかと……、いや、うん。無いなそんなものは。多分あったって、蘭はそんなもの飲まなそうだし。

 

「うぃっす、おっちゃん」

 

「こんばんは」

 

「おう!熱々カップルじゃねぇか!毎年あんがとなぁ!」

 

「熱々って……」

 

「まぁ、間違いじゃないでしょ?」

 

「そりゃ、そうだけど……」

 

やっと回ってきた俺達の番。毎年毎年頑張ってる屋台のおっちゃんに軽く挨拶と軽口を交わす。まだまだ元気そうで何よりだな。って、あんたまで知ってるもんなのか、俺達のことって。

 

「そりゃあ、なんてったってそっちの嬢ちゃんのパパさんが、いちいち自慢してくるわで、嫌でも耳に入ってくるのさ」

 

「父さん……!」

 

どうもそういった情報の出処は、めちゃくちゃ近いところにあったみたいです。蘭は怒るのか、照れるのかどっちかにして下さい。なんか女の子にあるまじき顔になってるから。

 

「ほらたこ焼きだ、受け取れぃ!」

 

「おっちゃん、またオマケしてくれたのか」

 

「気にすんなってそんな事!ここは俺の店なんだから俺のやりたいようにやるんだよ!」

 

「おっちゃんは毎年それ言ってるな……。ありがとう、今年も味あわせて貰いますよ」

 

「毎年いつもありがとうございます」

 

二人してたこ焼きのおっちゃんにお礼を言って、屋台を立ち去る。ここの商店街は、みんなしてさっきのおっちゃんと同じ位に社交性が高いのが特徴だ。だから毎年変わらずにお祭りを開催し続ける事が出来るんだろうけどね。

 

「ほら蘭、あーん」

 

ベンチに座って、おっちゃんがオマケしてくれたお陰で、数が8個から10個に増えたたこ焼きのひとつに爪楊枝を突き刺して、そのまま蘭の口元へと運んでやる。

 

「ちょっと待って、そのたこ焼き出来たてだけど」

 

「うん、知ってるけど」

 

「じゃあ絶対熱いって分かるでしょ?」

 

「あー……、確かに」

 

確かに熱いよな、そりゃ蘭も断るわけだよなぁ……。じゃあどうしようかと思って、たこ焼きを突き刺した爪楊枝を自分の口元へと持っていってから。

 

「ふーっ……、ふーっ……」

 

息を吹き掛けて熱を冷ましてしまおう、と考えた。多分これが一番早いと思うしね。ちょっとひと手間は余計に掛かるけど、まぁ仕方ないことでしょ。

 

十分にたこ焼きの熱を冷ましてから。

 

「よし、はい。あーん」

 

「……あーんっ」

 

「美味しい?」

 

「うんっ、ふぅ…、いつも通りの変わらない味だね」

 

「それは良かったですねー」

 

「ん、何その反応。ちょっと腹立つ」

 

「だって蘭さ、味の感想聞いてもいつも通りーとか言って、全く参考にならないんだもん」

 

「実際いつも通りに美味しいし……」

 

まぁでも、確かに美味しいんだよなぁ……。中に入ってるタコの切り身だって結構大きいの入ってたり、あのおっちゃんは薬味の使い方がすっごく上手いのだ。そう、美味いのだ。

 

「あ、たこ焼き無くなってる……」

 

「俺は十個あったろ?その内の五個しか食ってないけど」

 

「まだあーんして無かったのに」

 

「そっちかよ……。じゃ、また今度かな」

 

「むぅ……、夏の花火大会の時に絶対するから、覚えててよ」

 

「うんうん、覚えとくよ」

 

頬を少しぷくっと膨らませながら、俺にあーん出来なかったことが心底残念そうな顔をしている蘭を軽く宥める。

 

そうそう、まだ夏は始まったばかりなんだ。もうすぐで待ちに待った夏休みが始まるし、花火大会の時だってまた商店街が主催するお祭りがあったり、多分これからも蘭といろいろ何処かに行ったりするんだろう。今からでも楽しみだな。

 

 

それからもいろいろな出店を回ったりした。食べ物でいえば、りんご飴だとかチョコバナナとか、スイーツが多くなったけど。

金魚すくいの時は驚いたな……、何気ないような調子でぽんぽんと金魚を桶の中にすくい上げてしまったのだ。蘭の意外な隠れた才能が垣間見えた瞬間だったな……。

逆に射的とかは俺が割と得意だったりした。蘭が欲しがってたぬいぐるみを集中的に狙って、結果的に見事ゲット出来たし。まぁ、その他は何も取れなかったけど、蘭の喜んだ顔が見られたから十分すぎる収穫だったかな。

 

 

「で、短冊に何書くか、決まった」

 

「そっちこそ、言ってみてよ」

 

時間を忘れてしまうぐらいに祭りを堪能した俺達は、お祭り最後の行程として短冊をそれぞれ書くことにした。俺はもう書く事は決まってるけど、蘭はそうでも無いのかもしれない。

 

聞いてみたら、予想通りの答えが帰ってきたから、先に書いた内容を言ってしまおうか。

 

「俺は…、蘭といつまでも一緒に居られるように、って」

 

「……やっぱりね」

 

予想通りでしたー、みたいな顔をしていても嬉しさを隠しきれずに口元がニヤついていて意味不明な顔をしだす蘭。そういう所で素直になってくれよなぁ……。

 

「そういう蘭は……、って言っても分かるか」

 

「分かるでしょ?あたしも……、同じ事、書いた」

 

そこには、一言一句違う事無く同じ内容が記されている2枚の短冊があった。

 

そのままその二枚をまとめて同じ糸で通して、商店街の中心に飾り付けられたアホみたいに大きい笹に括り付ける。

 

 

この願いが離れないように、消えないように。

 

 

そして、いつまでも続いていくように。

 

 

 

その笹の前で暫く立ち尽くした後。

 

「んじゃ、帰るか。遅くなっても困っちゃうしな」

 

「うん、父さんも心配させたくないしね」

 

「あれ?今日は泊まってかないのか?」

 

「さすがに今日は……。ほら、着物だし、着替えも持ってきてないからさ」

 

「そっか、じゃあ泊まりはまた今度。最後までエスコートさせていただきますとも、お嬢様?」

 

「はぁ……、お嬢様はやめてって言ってるのに……。バカ」

 

 

 

 

 

固く繋がれた互いの手は、ついに離れることは無かった。

 

 

 




とりあえず受験が一段落したので、一本慣らしで投稿しました。



これから投稿が増えたってなれば、大学が決まったって事なんでお祝いメッセージでも飛ばしてみてね


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