美竹さんはこんなに可愛いんだよ?   作:┌┤´д`├┐

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前置きはいつも通り無しで。

後書きにお知らせがありますので。







空の境界(その向こうに、きっと)

 

届くべき願いは、この世界に収まりきらない程に溢れている。

 

 

決して叶わないと知りながらもなお、天を見る。

 

 

 

そこには、無数の輝きが散りばめられている。

 

 

 

「───────、────。」

 

「─────、────。」

 

 

 

 

その願いを、平々凡々なそんな願いを。

 

誰もが切に望むその祈りを。

 

つまらなくも愛おしい、そんな夢を。

 

 

 

 

果たして彼方に輝く星々は。

 

 

 

――一体、いくつの星々が聞き届けていたのだろうか……。

 

 

──────────────

 

 

今年も、うざったいあの季節がだんだんと近付いてきた。

 

 

けたたましく蝉が鳴き声をあげ始める。ひと月前のような湿気によってジメジメとした暑さではなく、お天道様がめちゃくちゃに張り切ってしまう事によって生まれる本物の熱さ。

 

炎天下に晒され続けてダウンしてしまう奴も少なくは無い。エアコンの効いた屋内から、いきなり外に出ていくからそうなるんだって。

――まぁ、エアコンがぶっ壊れた日には、この世の終わりかと勘違いしてしまいそうな程の大惨事が巻き起こるのだけど。

 

体の至る所から水分を吐き出していく身体。ワイシャツの下に着ているインナーが、汗の影響を受けてぺったりと肌に貼り付いている。不愉快な事この上ない……。

 

顔を滴っていく塩分。まともな精神を少しずつ、しかし確実にボロボロと剥ぎ落としていく大火。

 

 

学校から帰るってだけでこの始末だ。もう夕方だっていうのに、仕事を最後まで全力でこなしていらっしゃるお天道様。

 

――つまり何が言いたいかって言うと、今日もいい天気!

 

 

「はぁ……、暑いぃ……」

 

蘭の口から当たり前の言葉が零れだす。ほんとそれな……。まだ7月の初旬だって言うのにこんな本気出されたら、こっからの夏場生きていけねぇってのに……。

 

「…今、何時だっけ……?」

 

「えっと……、はぁ…。3時半だってさ……」

 

「それで、この暑さかよ……」

 

「…あぁ……。バカじゃないの……、ホントに」

 

地面から反射してくる太陽の光を体に受け止めながら、今日も今日とて蘭と一緒に、愚痴といつも以上に溜息を漏らしながら帰っていた。

 

「まぁ昼時よりはマシだけどな…」

 

「それは言えてる……。学校が用意してくれたイスとかパラソルとかが無かったら、ご飯どころじゃなかった……」

 

「よくこんな暑い中屋上行こうなんて思ったな…」

 

「いや、あたしは止めたんだけど……ひまりが…」

 

うん、まあひまりが言いそうな事ではあるな……。いい天気だから屋上で食べよー!ってセリフは毎日言ってるんじゃないかってくらい聞いてる。やはりこの5人の言い出しっぺは、良くも悪くもひまりだって事が再確認できたよ。

 

 

「それじゃ、あたしここだから」

 

「うん、知ってる」

 

蘭の家まで送り届けてから、自分も帰ろうとしたその時。俺がすっかり忘れていた案件を伝えられた。

 

「それで、さ。今日の七夕祭りはいくんでしょ?」

 

 

あ、そういえば。

 

 

そんな大事な事を、なんで忘れてたのかな…?

 

 

──────────────

 

 

ダイニングキッチンから続く一つの部屋。

 

そこには俺の普段着ないような服だとかが、クローゼットに収納されている部屋だ。いや、その他にも用途はあるけれど、今は全く使うことが無い部屋になっている。

 

俺の小さい頃だとかの色々な写真だったり、果たしていつ買ったものか分からないようなベッドが置かれていた。主に使っているのはダイニングに置いてあるベッドだから、使うような物ではない。偶に泊まりに来る蘭も一緒にそこで寝る事が多くなってきているのは、少し考え物だけどね……。

 

「さて、と。なかなか様になってるんじゃないか?」

 

大型の鏡の前で体を軽く動かしてみて、服が似合っているかどうかを確かめてみる。なんせ、初めて着る服だからなぁ…。少し心配な所はあるな。

 

「それじゃ、行ってきます」

 

誰も居なくなったダイニングに向けて放つ、そんな独り言。それがいつもの癖になってるんだから今更直す事は出来ないし、する必要だって今のうちは無い。不思議と「行ってらっしゃい」って聞こえてきそうだよ、蘭の声でね。

 

玄関で下駄を履いてから、飾られた写真や短冊を少し見つめる。

 

 

――――。

 

 

 

 

小さい頃の俺の願いは、とうとう天には届かなかったなぁ……。

 

 

 

──────────────

 

 

重く、力強い和太鼓の音が響く。煙の匂いに混ざって、ソースや甘い香りが俺の鼻先を僅かに刺激させる。

 

商店街と地域の神社が協力して毎年行っている大きなお祭り。それが、この七夕祭りだ。

この祭りには有志の出店だったり商店街の出張店が多く出揃うが、その他にも企業が参加をしてくるという、ちょっと変わった催しなのだ。

 

つまりは企業を誘致して、商店街をさらに振興させようっていう目的があるんだろう。毎年どんどんと規模が大きくなっているような気がするんだよなぁ……。

 

 

そんな祭りの場への入口、商店街の大門の辺りに。

 

俺と彼女の待ち合わせの場所に。

 

一際目立つ、麗しい着物を着こなした美少女が、そこに佇んでいた。

 

 

「早かったね…って……」

 

「そうかな?……これでも色々と手間が掛かったけどね」

 

「それ……!」

 

「どう?似合ってる……かな?」

 

「…うん!その紺色の着物、凄く似合ってる……!」

 

「ほ、ホント?良かった!その言葉が聞きたかったんだよー!そういう蘭こそ、見事に着こなしてるじゃないか」

 

「ま、まぁ、あたしは偶に着たりしてるからね」

 

軽口を叩き合いながらも、共に着てきた着物を褒め合った。

 

そういう事だ。俺は今日、七夕祭りに着物を用意していたのだ。何故なのかと言えば、それは蘭が大きく関係している。一昨年、去年も蘭と一緒に祭りに来ていたのだけど、その時も蘭は美しい着物でやって来た。

 

それなら俺も合わせなきゃな、って思って今年思い切って新しく新調したのだ。着物店の店員には似合ってるとは言われたけど、正直言って蘭に見せるまではドキドキしまくってた。

 

「それじゃ、突っ立ってるだけって訳にもいかないし、ぼちぼち行こっか」

 

右手を蘭の前へと差し出す。

 

「そうだね。エスコート、よろしくね?」

 

蘭もそれに合わせて、左手を俺の右手の上へと載せる。

 

「おう、任せときな」

 

「あたしの手、ちゃんと握っててよ?」

 

「お前に離せって言われたって離すもんかよ」

 

「…もうっ…!恥ずかしいけど、嬉しい…かな……」

 

手をがっしりと、指を一本ずつ交差させて。俗に言う恋人繋ぎって奴で。長い時間を掛けて揃った足並みで、俺と蘭は祭りの中に繰り出して行った。最初は何を食べるかー、なんて相談をしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お知らせというのはですね。


しばらくの間休載させて頂きます、っていうだけです。


Twitter見てれば分かるでしょうけど、いろいろ忙しくなってしまったので。


知りたければ、私のユーザーページにTwitter置いてあるんで勝手に見に来てください。


では。
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