吾輩は北山雫である。   作:風早 海月

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私にとっては前哨戦だよ。

大会4日目。

 

とうとう新人戦のスタートである。

この日の一高最初の競技は私のスピード・シューティングだ。

 

私としては“あくまで前哨戦”だけど。

 

 

「新人戦トップバッターは雫だな。CADの調子を確かめてくれ。」

 

 

待機室にCADを持ってきてくれる達也さん。少しサイオンを流してみるが、すばらしい出来である。

 

「すごくいい。完璧だよ。達也さん、やっぱりウチで雇われない?こんな腕のいい技師はいないよ。」

「そんな軽口が出るくらいリラックスしているなら大丈夫だな。」

「本気なのに…」

 

そう、FLTごと買収してもいいんだよ。お兄様。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

スピード・シューティングのユニフォームは色こそ自由だが、形はほとんど同じだ。

 

裾がミニ丈で襟が首周りまでチャックの着いた長袖ワンピースにブーツとタイツ。

あえてミントっぽい色を採用した。

 

視聴覚照準補助のHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)もお揃いの色にした私はCADを胸に抱きしめる。

 

あの舞台に、あの九校戦に、私が立つ。

 

行こう。私の名前を轟かせる戦いに…!

 

 

シューティングレンジに入り、立射の構えを取る。

たが、まだブザーが鳴らない。

 

カメラの調整に手間取っている。魔法を可視化するカメラなので繊細な扱いが必要なのである。

 

カメラが整い、改めてCADを構える。

 

照準は照準補助がやってくれるから、私は引き金を引くだけ。

 

 

 

開始。

 

この魔法を見た他校の技術者や作戦スタッフは思うだろう。『北山雫は精密な照準が苦手』と。

 

それこそ思うつぼであるのに。

 

 

『アクティブエアーマイン』または『空中能動機雷』。

 

“私のアイデア”を達也さんが作り上げた魔法だ。

原作に比べて私のすることは無いに等しい。

 

CADの照準補助に使用するポイントは全て任せているからだ。

 

「私に達也さんのCADがあれば、鬼に金棒だよ。」

 

 

100/100。パーフェクトを新人戦トップバッターにして達成した私に観客が沸いた。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「お疲れ様!すごかったよ雫!」

「ありがとう。」

 

ほのかが走ってきてその勢いで抱きついてくる。

 

潰れた胸の質量感が…羨ましくも妬ましくもありながら嬉しくもあるその感触に加え、ほのかが抱きついてくるくらいのプレーが出来たことに満足感が胸の中に溢れる。

 

「達也さんのおかげだよ。空中能動機雷(アクティブエアーマイン)―さっきの魔法もインデックスの登録申請が来るかもって話だよ。“達也さんの技能がなかったら作れなかったあの魔法がだよ。”」

「インデックスって…!あの魔法大全だよ!?魔法史に名前が残っちゃうレベルじゃない!」

「身近にインデックス登録される人が出るなんてね。」

「雫も達也さんも快挙だね!」

「いや、まだ登録申請が来るかもって段階だから。」

 

私がわざとギリギリの線を話したところをそのままみんなスルーしたが、達也さんは多分色んな考えが渦巻いているだろう。

 

『まもなくスピード・シューティングBグループの予選を開始します。』

 

来たね。十七夜栞。私が倒すべき最初の壁。

 

「見に行ってもいいかな?気になる選手がいるから。」

「三高の?」

「うん。ほぼ必ずあの人には当たるだろうから。」

「よし、じゃあ行こう!」

 

ほのかは午後試合だけど…気分転換になるかな。それに、私が頑張るところ見せれば、ほのかもきっと…!

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「なんかお客さん多くない?」

「優勝候補筆頭っていう選手だから。事前情報だとね。」

「へー。」

 

エイミィはそろそろCADの調整行った方がいいんじゃないの?Cグループの予選だよね?

 

『次は女子スピード・シューティング予選Bグループ!第三高校、十七夜栞選手!先程は第一高校の北山選手がパーフェクトを記録して大いに驚かされましたが、前評判では優勝候補筆頭の十七夜栞選手!どんな魔法で魅せてくれるのでしょうか!?』

 

ブザーと共にスタート。

 

やっぱりか。

 

「これは…!?」

「クレーが次々に連鎖して破壊されている!」

 

観客が思い思いに驚く中、この人と戦うかもしれない私とエイミィは分析をする。

 

「1つ目のクレーを破壊するのは振動魔法として、どうして次々とほかのクレーにその破片が飛ぶのかな?」

「多分、移動と加速の複合だね。クレーは比較的脆いから慣性で壊れる。破片ならさらに。」

「まさかあれだけの破片の数を全て把握してそれぞれ移動させてるの!?」

「移動する物体の位置の把握だって難しいのにあのコンマ秒でそれぞれの破片を認識してるんだね。」

「そんなのスーパーコンピュータでもなきゃ無理だよ!」

 

会話を聞いていたほのかが冷静にとは言えない勢いでツッコミを入れる。

 

「でも…それを把握してるっていうの…?」

 

怖がるエイミィ、カワユス。

 

でも、これは実際に見ると凄いね。アリスマティックチェイン(数学的連鎖)

 

100/100。パーフェクト。

 

「それにしてもこの…金沢魔法理学研究所のものか…三高はクリムゾン・プリンス、カーディナル・ジョージ、エクレール・アイリ、そして十七夜栞に四十九院沓子…学生の大会にしてはいささか反則的な顔ぶれだな、三高の新人戦メンバーは。」

「…お兄様、それは人の言えた義理ではありませんよ。」

 

深雪がクスッと笑いながら達也さんに言う。

 

「そうかな?」

「そうですよ。」

「達也さんがついてますもんね!」

「同感。」

 

これで予選Bグループもラスト数人になった。

 

「エイミィ、そろそろ行った方がいいんじゃない?」

「そうだね!達也さん、行こう!」

 

 

予選Cグループのエイミィの次は予選Dグループの和美で最後だ。

 

そろそろ私も準々決勝の準備と行こうかな。




ついに来た…週間ランキング2桁!98位!

感謝です!
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