吾輩は北山雫である。   作:風早 海月

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説明回です。




私は、お母さんを超える。後編

「それで?話ってどうしたんだ?」

 

達也さんの部屋に深雪と来た。

 

ほのかは都合よくエイミィとスバルと菜々美と和美の5人でトランプをやりに行くらしい。

 

「達也さんの裏の顔を借りに来た。」

「「!?」」

「戦略級魔法師、大黒竜也特尉。」

「!?」

「雫、それをどこで知った。」

 

達也さんの顔は一気に険しくなる。

 

「2通りあるけど聞く?」

「…聞こう。」

 

深雪も驚きから離れて少し険しい顔になる。

 

「1つは、お父さんのツテ。元々沖縄防衛戦で戦略級魔法が使われていたのは分かってた。一撃で艦隊を沈められる兵器は核のみ。なら魔法を使ったとしか考えられない。そして、その時のお父さんの会社の航空系の子会社の乗客名簿を本当はダメだけど見せてもらったら、興味深い名前があった。司波深夜。レテ・ミストレスとして有名だった四葉深夜が結婚したのは有力家系には通告されていた。その彼女と一緒にいる司波深雪。そして、1人別の席にいた司波達也。2つ目の理由で、彼らが四葉で、あの魔法の使い手だって思った。だから、兵器や弾薬を軍に売る子会社からのツテを利用して、少しづつ証言を集めた。あの時の魔法の容疑者は、風間玄信、真田繁留、司波達也、桜井穂波の4人。そのうち、古式の風間玄信、魔法力に秀でている訳では無い真田繁留、桜シリーズの調整体、と来れば達也さんしか残らないんだよ。“実力が未知数なのは”。」

「…桜井穂波がなぜ桜シリーズと知っている。」

「政府が関与したシリーズで、第1世代だから記録も政府に残ってる。政府の記録ほど漏れやすいものは無いよ。それがたとえ裏帳簿でもね。」

「……2つ目の理由は?」

「私はこの世界の大まかな“設定”を知ってるから。達也さんは前世とか来世とか輪廻転生…は違うか、転生とかは信じる?」

「いや、ありえない。情報的に亡くなれば、その人間がいるという世界の情報が消える。」

「そっか。じゃあ2つ目の理由はあまり信じれないかな。私は前世の記憶があるんだよ。それも、『この世界が1つの創作物』としての世界を知ってる。作品群に書いてあったことならほとんど分かるよ。もちろんどこに相違点があるかは分かってないけど、達也さんも、深雪も、私北山雫も、みんな小説にもアニメにも漫画にもなっていた登場人物だったよ。例えば、達也さんの分解と再生。例えば、四葉のフラッシュキャスト。トーラス・シルバーは牛山さんと達也さんの連名。他にも達也さんですら知らないことも知ってるよ。達也さんの将来のお嫁さん教えてあげようか?」

「誰ですか!?」

「深雪…」

 

深雪の食いつき具合が…ブラコン過ぎでしょ。

 

「達也さんは、“四葉真夜”の息子として、四葉深夜の娘である司波深雪と婚約するよ。」

「お、お兄様と…!」

 

深雪が頬に両手を当てて体をくねらせてる。ほっとこう。

 

「それは無理だろう。三親等以内での婚姻は不可能だろう?」

「だから、『四葉真夜の息子』って言ってるでしょ?それに、子供のことなら気にしなくていいよ。深雪は完全調整体魔法師。たとえ元が同じ人間からのものでも、調整体だから問題ないよ。」

「深雪が調整体?」

「達也さんの能力を抑え込むために作られた存在。それが深雪だよ。だから達也さんが生まれてから、四葉英作が能力を分析した後に調整されて作られたから11ヶ月の差で生まれたんだよ。」

「ばかな…」

「四葉の技術の粋を集めたから、完全調整体。つまり、寿命とか遺伝子の安定性とかは考えなくてもいいよ。」

「とりあえず、その話は聞かなかったことにしよう。」

「シスコンお兄ちゃんが妹と結婚出来るんだから嬉しいんじゃないの?今日の夜から一緒に寝ちゃえば?もちろん意味深な方で。」

 

私は微妙に表情を動かしてニヤニヤを浮かべる。

 

「それはともかくだ、とりあえず、雫の話は当面は信じよう。それで?俺に何を求めるんだ?」

「棒。」

「…」

「冗談。」

「…」

 

いつものポーカーフェイスに戻していることも、達也さんが何も言わない理由だろう。

 

達也さんいじり楽しい。

 

「大天狗風間玄信少佐と佐伯広海少将、四葉家当主四葉真夜に会わせて欲しい。」

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「なるほどな…それで、1番近い私の所に来たと。」

「はい。」

「ふっ、特尉の足も案外ついてしまうものだな。」

「北山家がいかに手が広いか、身に染みました。」

 

風間少佐と話す達也さんだけど、意外と“司波達也”のPDは誤魔化されているが、ガードはそこまで頑丈ではない。

むしろシルバーの方が徹底的に情報を止めている。

 

「それで、我々にどういう御用かな?お嬢さん。」

「私を国家公認戦略級魔法師として、政府に認知させて欲しい。いや、公認でなくてもいい。“公表”された戦略級魔法師となることが目的。」

「なぜかな?私は思うに、君にメリットは名声くらいしかないだろう?北山家ならそれも得られると思うがね?」

「私の目的は、達也さんのマテリアルバーストを使わせないこと。あの魔法は今後日本魔法界を含む世界が達也さんを狙う元になる。その火種は日本を燃やすことになる。あなた達も達也さん達と対立する可能性が出てくることになる。」

「ふむ。つまりだ。大黒竜也特尉を戦略級魔法師としてではなく戦術級魔法師として運用することを求めるということかね?代わりに君が戦略級魔法師となると。」

「バカな。雫、俺のためにそんなことを―」

「別に達也さんのためじゃないよ。私は私とほのかに火の粉が飛んでこないようにしたいだけ。しかも隣に達也さんと深雪っていう火薬庫があるんだもん。日常を守るためだよ。2つ目の理由で、これから私が動かなければどうなるかは知ってる。もしかしたらクラーク親子は居ないかもしれない。そうだとしても、確実に今年度中に戦略級魔法を使うタイミングが来る。その時に達也さんは使われるし、五輪澪さんも弱い体をおしてまで軍艦に乗る。その時の戦略級魔法を使った人を特定するためにUSNAからスターズが乗り込んでくる。達也さんをこれ以上放っておくことは私たちの日常を損なうことになるよ。」

「…いいでしょう。佐伯少将には私から伝えよう。君の言うことが本当だとすれば、今年度中に君の戦略級魔法を試射出来るようだ。そこで効果が認められなければマテリアルバーストを使う。認められれば、恐らく公認戦略級魔法師として通るだろう。」

「……ありがとうございます。それでは、失礼します。」

 

そっと立ち上がりドアの方に向かう。

 

そこに希望があると信じて。

 

 

 




お気に入り、感想、誤字報告、ありがとうございます。


佐伯や風間という一介の軍人に、公認戦略級魔法師を決めるだけの裁量はない!と仰る方もいると思いますが、裏事情があります。(ご都合だけどネ)
実は元から、達也のマテバは佐伯も危惧していて、晒せる手札が欲しい所でした。さらに、今回の独立魔装大隊の九校戦会場での任務は、将来有望な魔法師のスカウトなので問題ないという扱いでお願いします笑笑
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