吾輩は北山雫である。   作:風早 海月

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ベタ甘なんじゃあ……

ブラックのコーヒー片手に何日も掛けて書きました…




夏祭り 後編

 

 

「リ、リムジンだって…!?」

「この時代に!?」

「きゃは!すごーい!」

 

目を丸くするスバルとエイミィに比べて、早くも菜々美は適応し始めたらしい。

 

新千歳APに到着後、その目の前に現れたリムジンに手早く乗り込む。

 

「桜夜、今日は登別の?」

「はい。」

 

我が北山家は日本各地に別荘がある。

北海道には登別に存在する、温泉付き別荘だ。維持管理は黒沢さんと桜夜の2人で行っている。ホクザングループの子会社の最新鋭3Hの実験兼維持管理も並行して行っているため、桜夜たちは機械の管理や手の届かない所を管理するだけでいいらしい。

 

…ホクザングループのアダルト系部門も3Hらしきものを作っているらしいけど…

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「いつ来ても凄いね〜。」

 

ほのかが私の手を取りつつ別荘の中に入る。

 

「いらっしゃいませ、お客様方。おかえりなさいませ、お嬢様方。」

「……雫、これは3Hかい?」

「うん。最新型の実験兼維持管理に導入してるんだけど…」

 

その3Hは、幼かった。

 

外見年齢では小学生高学年くらいだろうか?10歳前後の容姿の女の子がこちらを見ていた。

 

「小型化の実験でもしてるの?それとも…そっち系?」

「……お嬢様、ここの3Hは…アダルト部門と家電部門の合作です。」

「よく、このサイズに出来たね…」

「無線送電でバッテリーを搭載しないことで対応したらしいです。しかも…『りな、リビングにお客様方を案内しなさい。』」

「かしこまりました、管理者様。お客様方、こちらにどうぞ……っきゃあっ!?」

 

ロリ型3H『りな』は案内しようとして振り向くと、バランスを崩して転ぶ。

 

「痛いですぅ…」

「センサー系が少ないためよくドジをします。その分対衝撃性能は高く耐久性も高いのですが……アダルト部門の技術?で、『ドジっ娘は萌える!』だそうです。」

 

お尻をさする『りな』とその解説をする桜夜に呆れた目を向ける面々。

 

「ちなみに、『ロリふたなり型』も最近作っているらしくて、『淑女』の方々が買っているらしいです。『ロリ型』も女性相手も出来るようにプログラムされているらしいですが…」

 

そして、その情報に発言した桜夜以外の全員が顔を真っ赤にしたのだった。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

アダルト3H事件もあったが、それぞれが客室に案内を所々りなが転びながらも済み、さて何をしようかという段階に入る。

 

「一応現在時刻は16:24で、18:00には準備できるから、30分くらい暇だけど…温泉行かない?」

「いいね!」

 

源泉かけ流しの温泉があるのだ。

 

「私は準備に行きますので…麻里安、お嬢様方のお世話はお願いね。」

「はーい。」

「『りな、ついてきなさい。』」

「かしこまりました、管理者様。」

「転ぶとめんどうだし…『りな、私の腕に掴まりなさい。』」

「分かりました、し、失礼します…」

 

言語シミュレーターとエモーショナルシフトは最新型だ。ホクザングループの技術力は世界一イィィィィィ…

なんか言わなきゃいけない気がした。

 

ちなみに、エモーショナルシフトは表情の変化や態度の変化を司る感情模倣システムだ。

 

(もしかして…『りな』を導入したのって…桜夜?)

 

 

気づきたくないことを知ってしまった気がした。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

温泉は今では珍しい昔ながらの“洗い場”のある温泉スタイルだった。

 

そして…お約束は再び。

 

 

「それ!」

「ひゃん!」

 

エイミィがほのかの胸を鷲掴みにする。

 

「おおー。羨ましい…ふわふわ………!?」

 

でも、今の私がそれを許すとでも?

エイミィの足元には穴が空いていた。

 

「うっそ…CADなしでフォノンメーザー…」

 

撃たれたことにではなくフォノンメーザーに驚くとは…エイミィ…最近肝が据わった気がする。

 

「エイミィ、ちょっとO☆HA☆NA☆SHIしようか?」

「ちょっと雫の後ろに魔王が見えたんだけど!?女の子の!」

 

それは多分幻覚だよ。決して精神干渉系魔法で『少し頭冷やそうか…』の人を見せたわけじゃないよ?ホントだよ?

 

「それ!」

 

ほのかに背を向けてエイミィに向けて右手を伸ばした時、ほのかが私の胸を“摘んだ”。

 

「…っ!!!」

 

“最近感じることの多くなったビビビっとする感覚”に私は座り込む。

 

「雫…やりすぎは良くないよ?」

 

ほのかは私を背中から抱く。

たわわに実った果実が潰れて、先っぽの硬さを感じる。

 

とは言え、みんなのいるこんな所で大胆なことは出来なくて、悶々としながら温泉から上がった。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

午後6時になって、妙にツヤツヤした桜夜と少し髪がボサついているりなにはあえて視界に入れないようにしながら、夏祭りの会場を眺める。

 

凄い。

 

ボディガード兼警備員としてうちで雇われているC級魔法師の森谷さんと島田さん、雑務を担当している鴨井さん、メイドの榊梨沙ちゃんに直江夕姫ちゃん、更にはシェフの山城咲桜さんまでが出店を出していた。

 

てか、山城さん以外の出店が高校生の文化祭レベルなのは仕方ないのか…

それとも元二つ星料理人たる山城さんが出店レベルを大きくかけはなれているのか…

 

私たちは出店を楽しんだ。

梨沙ちゃんのわたあめに、夕姫ちゃんのクレープ、山城さんのケバブとトルコアイス、鴨井さんの唐揚げとたこ焼きと。

 

え?服装?

もちろんみんな浴衣ですよ。特にほのかは部屋に帰ってこのまま襲いたいくらいかわいいよ。色違いの花柄で、ペアルックだし。ちなみに私は黄緑、ほのかはオレンジだよ。

 

ほのかは着る時大変そうだったなぁ…こういう時ばかりは小柄で胸が小さくてありがたいと思ったよ。

 

ふふん…浴衣は寸胴体型が似合うのだ…言ってて悲しくなった。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「さて、そろそろです。」

 

麻里安が出店役の人も含め全員に告げた。

するとぞろぞろと店から出てきた。

 

「なにが始まるんだい?」

「なになに?」

「きゃはははは!」

 

な、菜々美が壊れた…

 

とにかく、特設された観客席に座る。

私はこのことを知っている。桜夜も麻里安も隠していたらしいけど、準備している本人を抑えないと。

家の庭を手入れしている庭師の村井さんが、道具小屋の中でコソコソしていたのを見て覗いてみると、6号玉やら5号玉やらが出来上がっていた。

 

あの人、庭師も出来るし、大工も出来るし、火薬もいじれるとは…

 

 

打ち上がった花火にみんなで「たーまやー!」と叫んだり、ひときわ大きな1尺を打ち上げたのか大きな花火の下でほのかと唇を交わしたり、エイミィがそれを見て私の唇を奪ってきたり、それに思わずビンタしたり、何故か山城さんの呑んでた酒を菜々美が呑んで脱ぎだしたり、それを見てしまった男性陣を魔法師組が制裁したり、菜々美が全裸でスバルを襲って唇を奪ったり、打ち上げ花火を打ち終わって戻ってきた村井さんが頬に煤を付けていたり、山城さんが酔いつぶれたり。

 

楽しい時間はあっという間だった。

 

 

 

 

 

朝起きたら、そんな楽しかった記憶と思い出を思い出し、そして起きていたほのかの腕の中だったこともあり、私は精一杯微笑んでほのかに「おはよう、ほのか。」と言ってキスをするのだった。

 

 

 




さあ!次は夏休み編最後の話である小笠原諸島の別荘に参りますよー。

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