吾輩は北山雫である。   作:風早 海月

7 / 31
探偵なんて、なかなかできることじゃないよ(後編)

数日後。

 

なんの対策も立てられずに勧誘週間を終えた。

 

もうこれで終わり…と思っていた。否、私はまだあると知ってはいた。が、ここまで来てまさかこの展開になるとは思っていなかったのだ。

 

「あっ…」

「えっなに?」

「ほら、あそこ。剣道部の主将だよ。」

「えっあの写真の?」

「あれ、でも今日は剣道部って部活のはずだけど…」

「あやしい!ピンときた!」

 

誰かこの2人のブレーキ役やってくれ。

 

「ちょっとつけてみようか?」

「そうだね、気になるし。」

「はぁ…ついて行くよ。」

「じゃあ…今度こそ、美少女探偵団、活動開始!」

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

まずい。完全に誘導されてる…アンティナイト持ってるんだったよね?サイオンウォールを発動待機させとこう。

 

「家がこっちの方なのかな?」

「いや…朝はキャビネットで登校してたし、違うと思うんだけどね。」

 

その瞬間、司甲は走り出した。

 

へぇー、移動加速系の後押しなくてもかなりのスプリンターじゃない。

 

「気づかれた!?」

「わかんないけどとにかく追うよ!」

 

素人の尾行だからねぇ~。バレてない方がおかしいよね。

 

裏路地に入った瞬間、見失った。

そして…バイクに乗った黒づくめに囲まれた。

 

彼らはバイクから降りると、少女3人と甘く見たのか囲むだけ囲んで余裕ぶっていた。

 

「ふたりとも、私が合図したら走って。あと、CADのスイッチを。」

「うん。」

 

「ふん、コソコソと嗅ぎ回りやがって…我々の計画を邪魔するネズミは―」

 

わざわざ口上を待つのは特撮だけで十分だよ!

 

「GO!!」

 

路地に出る方向に黒づくめの間を抜いて『ほのかとエイミィ』は走り出した。

 

「目を逸らしたら、やられるよ?」

 

それに対して目を奪われていた下っ端ども4人中2人を衝撃砲で吹き飛ばしていく。今回は乱闘騒ぎと違って威力は死なないで怪我しても知らんくらいで、Dreamin' Twilightで発動しているため処理速度もこちらの方が速い。

 

「ただの女子高生だと思って…」

 

さらにそれに振り返った残っていた下っ端残り2人をエイミィが加重系の槌で殴る。

 

「なめないでよね!」

 

そこに、遅れて援軍に来た下っ端5人がいた。

 

「私も!」

 

ほのかの閃光魔法で目潰しをする。

 

「クソ…化け物め!これでも喰らえ!」

「きゃあっ!」

 

ほのかが頭を抑えながら倒れ込み、エイミィは座り込んだ。

 

「ほのか!」

「ふふ、苦しいか。司様からお借りしたアンティナイトによるこのキャストジャミングがある限り、お前達は一切魔法を使えない。」

 

まだ立っていた私と座り込んだだけのエイミィを見て、

 

「まだ効果が足りないようだな…」

 

とアンティナイトにサイオンをさらに流し込んだ。

 

「!…う…」

 

エイミィが倒れた。

 

「な、なぜお前は倒れないんだ!」

「アンティナイトによるキャストジャミングは、魔法式が対象物のエイドスに働きかけるのを妨害する無系統魔法の一種。 無意味で不規則なサイオン波を大量に散布することで、魔法式がエイドスに働きかけるプロセスを阻害する。非魔法師でもサイオンさえ保有していれば運用可能。でもね…そのサイオン波は無系統障壁魔法『サイオンウォール』を事前に展開することで防げる。さらに言えば非魔法師のキャストジャミングは総じてサイオンの扱いがなっていないことから強度が低い。私にその程度のキャストジャミングは効かない。キャストジャミングの強度を超えるサイオン量で魔法式を組み立てればいいだけ。」

「馬鹿な…」

「バイバイ。」

 

衝撃砲で相手の意識を刈り取る。

 

「た、助かった…の?」

「うん。サイオンウォールを張っといて良かった。それと…深雪、盗み見は良くないよ?」

 

建物の角から出てきた深雪。

 

「…分かってたの?」

「気を張ってたからね…疲れた。」

「後片付けは任せて。今大事にしたくない事情があるのだけど…いいかしら?」

「うん、監視カメラにも撮られてないし。」

「そう、ありがとう。」

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「ねえ、雫、なんでキャストジャミングが雫には効かなかったの?」

 

ほのかが帰り道、私に疑問をぶつけてきた。

 

「サイオンウォールだって言ってたけど、あの時展開してなかったでしょ?」

「…要はサイオン波が魔法式がエイドスに働きかけるのを防ぐ魔法がキャストジャミング。私にとって、非魔法師のサイオンの扱いに慣れていないキャストジャミング程度なら干渉力で無理やり魔法を使える。ただそれだけだよ。サイオンウォールは最初はスタンバイしてたけど、破棄しちゃってたからもう一度組むよりも倒した方が早いと思ったんだよ。」

「なるほどねぇ…やっぱり雫って凄いね!」

 

エイミィのその無邪気で眩しい笑顔に勝る干渉力はないと私は思うけどね。

ま、ほのかの方がかわいいけどね。

 

「そんなことないよ。私だけなら達也さんのためにここまでやろうとは思わなかったと思うし。きな臭すぎて。」

「それにしても…軍事物資のアンティナイトを持ってるヤンキーなんて居ないよね?本当にやばい相手ってことだよね?」

「確かに!雫のボディーガードさんもアンティナイトは『レンタル』だもんね…」

 

私達3人はそのまま近くの駅からそれぞれキャビネットで帰宅した。

 

あ、今日はほのかもうちに来るの?

久しぶりの抱き枕!ktkr!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。