『全校生徒の皆さん!』
バカでかくハウリングさせた校内放送に、ほのかと私は思わず耳を塞ぐ。
『し、失礼しました。全校生徒の皆さん!我々は差別撤廃を目指す有志同盟です!』
予想よりもエガリテの行動速度が早かったな…早すぎる男は嫌われるよ?
………ま、遅すぎるよりはマシか。
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翌々日。4月23日。
有志同盟と生徒会の公開討論会が行われることになった。
全校集会とは名ばかりの自由参加であるが、ほのかと雫は風紀委員として警備任務に就いていた。
通常なら七草会長がマルチスコープと呼ばれる知覚系魔法で校内外を監視しているが、今日は討論会に力を入れるのと後進の育成という名目でほのかの光波振動系魔法での監視がメインとなる。
私は全員が全員講堂にいても何かあったら対応できないと言って、部活棟の方でSSボード・バイアスロン部の練習をしつつこちらの方面への警戒を担当していた。
生徒会は背後関係にブランシュがいることを知っていると原作ではなっていたので、この配置を話した時は案外すんなり通った。
ドォン!
部活棟に近い演習林で、競技用のCADで遠距離射撃を練習している時だった。
「なんの音!?」
思わず口走った私の耳に飛び込んできたほかの部員の声。
「何あれ!」
「実技棟から煙が上がってる!?」
いや、ただの煙じゃない…火災なんてものじゃない。あの煙は1度だけ見たことがある。『爆煙』だ。
直ぐにボードとDreamin' Twilight、例の事件の後に買ったトーラス・シルバー作の特化型拳銃形態CAD White Snowを持つ。
「おおおおおお落ち着いて聞いてね?」
部長が震えながら端末を見ながら話す。
「当校は今、武装テロリストに襲われているわ!」
「…マジですか部長!?」
「こんなこと冗談で言わないわよ!護身のために一時的に部活用CADの使用が許可されています。でも、あくまで身を守るためだからね。」
「部長、全周警戒を取るべき。」
私が提案すると、部長は直ぐに全周警戒を部活の実力者に頼む。
「来る!」
演習林の入口方向を警戒していた先輩が声を上げる。
「そこ!」
部活で射撃のみを練習する時の狙撃銃型特化型CADを咄嗟に取って、ドライブリザードを見舞う。
「よし。…部長。私は風紀委員として警備任務を受けていますので、先に行きます。」
「気をつけて!」
ボードに乗ってDreamin' Twilightで加速魔法を使って演習林を抜けていった。
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「北山!」
後ろには森崎が走ってきていた。しかも腕輪型の汎用型CADで魔法加速で走っていた。
「お前は襲われなかったか?」
「ナイフを持った男の人に襲われたけど、バイアスロン部は全員無事。今は部活棟に避難してる。私は風紀委員として図書館棟方面に増援に。」
「ナイフか…どうやら銃を持っているのは一部らしいな。風紀委員経由で報告してくれ。実技棟方面はサブマシンガンで武装していると。こっちは部活棟に応援に行く。」
森崎は部活用のCADであそこまでやっているようだ。
普段からこんなふうだったら部活連推薦枠で風紀委員に来てもらいたいんだけど…たぶん無理か。
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1歩遅かった。
図書館棟には既にお兄様たちが突入したらしい。図書館棟前はレオと上級生数人がテロリスト相手に大立ち回りしていた。
「レオ、その収束魔法…硬化?上手いね。」
「これしか取り柄がねえからな!」
と言いつつも既に2桁のテロリストを落としている。
ドライミーティアを私も撃ちつつ左手の特化型の起動式のマガジンを入れ替える。
このマガジンに入っているのは振動系だ。
振動系に置き換えているドライブリザードで相手を撃ち落としつつ左手首のDreamin' Twilightで適度に加速魔法でスピードを上げる。
図書館棟の制圧が終わると同時に、図書館棟前も完全制圧された。
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達也さんの捕らえた壬生紗耶香という二科生から事情聴取を行っていた。
簡単に言うと、壬生先輩がエガリテしいてはブランシュに加担していた原因は渡辺委員長が言った言葉の誤解…だった。達也さんは洗脳されているだろうと言っていた。
つまり、同盟の背後にブランシュがあることが証言として出てきたという事だ。
「予想通りですね、お兄様。」
「本命すぎて面白みにかけるけどな。」
「委員長、現実なんてそんなものですよ。」
少し暗めの雰囲気の中、七草会長がさらに重めの雰囲気で壬生先輩に告げた。
「残念だけど、今回の件は警察に報告することになるわ。」
「わかっています。それだけの事をしたのですから。」
「待ってください。」
達也さんは待ったをかける。
「今回の事件、首謀者は先輩や司先輩ではありません。そちらを先に叩けば先輩たちのことを不問にできるのではないでしょうか?」
「えっ!無茶よそんな…!私だって助けたいのはやまやまだけど…」
「司波くん、私なら大丈夫だから―」
七草会長と壬生先輩が止めようとする中、目を伏せながら聞いていた十文字会頭が目をゆっくり開いて問うた。
「勝算はあるのか?」
「十文字くん?」
「はい。…別に先輩のためではありません。俺たちはもうこの事件の当事者です。俺たちの平穏な生活を脅かすものがあるなら―――俺は全力で叩きます。」
その眼は戦う者としての覚悟に満ちていた。
「なるほどな。理由は分かった。そういうことなら俺も全力を挙げて協力させてもらう。」
「「ありがとうございます。」」
十文字会頭の言葉に達也さんと深雪が2人で頭を下げた。