刻印虫(ガストレア)   作:ワカメ#たまごすーぷ

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説明会。&オリ幼女。
あと性転換タグを追加したのはこのため。
臓硯(真性)ではないので、魂の問題はない。
というか、蟲を主人公にすえた意味がない。

最後に、私はTSもの大好きです。


chapter2 2回目

影胤と小比奈を見送ったあと、少し歩くと家の玄関が見えてきた。

老人の足は遅々として進まない。もう家も近いし、辺りは真っ暗だし、少しズルをしてもバレないだろう。

ーー足の合成皮膚を分解。足先から雪崩落ちるように蟲が溢れ出す。袴の内側に潜んでいた蟲達が、我先にと飛び出してくる。キチキチと、喜びの声をあげ、主の体を支えて蠢く。

そのまま、スイーと平行移動。気分はまさしくスケート選手。人目のあるところでは殺虫剤待ったなしな姿で、夜の道路を滑る。滑る。

 

ーそうやって調子に乗っていたのが悪かったのか。白衣を着た中年男性が、唖然とこちらを見つめていた。

双方しばらく硬直。

 

「…我が屋敷になに用かな」

「お、お届けものです。室戸先生の使いで…」

 

後ろを見る。彼が乗ってきたと思われるクレーン付トラックと、今下ろしたらしい厳重に封印されたコンテナ。

 

「なるほど、あの引きこもりの遣いか。後のことはこちらで行う。君はもう帰って宜しい」

「はっ、はいっ!!」

 

焦ったような返答を疑問に思うが、体は疲れきっている。急いで車に消えた白衣を尻目に、玄関の扉をあける。ただいま。

 

 

 

 

中年医師、菅谷卓人は怯えていた。

(なんだ!なんなんだアレは!)

震える指でキーを差し込む。何度も繰り返してやっとエンジンを起こし、荒っぽい運転で来た道を戻る。

(人間なのか!アレが!)

ー暗闇から滑るように現れる老人。足先から闇に溶け、老人自体が底無しの威圧感を放っていた。極め付きは虫達の大合唱。明るいとこなら楽しむソレも、ヘッドライトのみの暗闇のなかでは不気味に響く。

(もう絶対行くものか!あんなとこ!)

自分に頼んできた室戸菫を恨む。小間使いにしては高い報酬に飛び付いたが、もう二度とやるものか。

四賢人に意見など恐れ多いが、あんな恐ろしいところに行ってられない。霊安室など、アレと比べればスイートルームだ。

今夜は一先ず飲んで忘れよう。菅谷卓人は決意した。

 

 

 

 

「ただいま」

玄関は自動で点灯し、家主を温かく迎え入れる。

足元を見ると、小さいサイズの靴が2セット。大人の靴が無いことから、家政婦はもう帰ったようだ。

いつもより格段に帰りが遅い。時刻はもう深夜近くで、二人とも寝てしまっているだろう。と思っていたが、

トテトテと足音。

 

「おかえりじっちゃーん!」

「…お帰りなさい、お爺様」

 

うむ、と頷き。二人に後ろを向くよう促す。背を向けたのを確認すると、結合を解除した。

ーーーすべての蟲が体から溢れ、ボロボロとこぼれる。蟲で溢れ帰った玄関とは裏腹に、老人は跡形もなく消え失せる。

直後、脳蟲を核として体を再構成。ミチミチ、キチキチと冒涜的な音がして肉を鋳造する。

一瞬で、白衣の女性が出現した。髪が黒より藍色に近いのを除けば、典型的な日本人だ。

 

「よし。もう見て大丈夫よ」

「…別に、作り直さなくてもいいのに」

「そうだぞじーちゃん。もう大丈夫だ!」

 

首を振る。確実に癒えていると言っても、まだ少し男性恐怖症は抜けていない。そも、不快感を与えることが嫌なのだ。それに、

 

「老人は疲れるのよ。腰が曲がってるから重心を置きづらいし。この前だって重さに耐えきれなくて落っこちた首見てビビってたじゃない」

「…あれは卑怯」

「じーちゃんのあくしゅみー」

 

ムスっとした顔をされるが、眠気を隠しきれていない。

ーほら、二人そろって大あくび。

 

「お出迎えは嬉しいけど、もう寝なさい。お土産もあるけど、また明日ね。」

「…おやすみなさい。お爺様」

「おやすみじっちゃん」

「はい、おやすみ」

 

連れだって部屋へと戻る二人を見送る。

いつもはお団子にしている蜂蜜色の髪。それを寝るために降ろしている小柄な少女。小春。

紫髪を靡かせ、片時もマスクを外さない少女。梅。

ワタシの大事な娘たちであり、『呪われた子供達』だ。

 

 

届けられたコンテナを、地下にある蟲蔵に運び込む。

過去に研究室として使われた名残か。複数あった机と機材はほぼ撤去され、剥き出しのコンクリートを晒している。

壁面には複数の穴。人工の巣穴には、赤い光が瞬いていた。

ーーコンテナの中身を地面に空ける。転がり出るのは巨大な蜘蛛型ガストレア。よほど強い衝撃を受けたのか、四肢はバラけ、頭蓋は両断されている。途端に強くなる腐臭は、ガストレアの死体から漂っていた。

蟲の時なら芳しい匂いも、人の時だと不快に思う。この時だけ、人の感性は不便だ。普段は擬態に最適なのだが。

それじゃあ、イタダキマス。

 

 

キチキチ、という鳴き声と、グチグチと響く咀嚼音。

地面に投げ出されたガストレアの死骸に、数多の蟲達がびっしりと集る。集る蟲すべてが人間のような歯と歯茎をもち、甲殻に覆われた流線型のフォルムは、肉に潜り込むのに適している。強靭な顎で肉骨関係なく砕き、飲み込む。

 

そうやって腐肉に無数のトンネルを作り、コンテナの中にこぼれた体液も舐めきっていると、電話が鳴る。

瞬時に臓硯としての肉体を再構成。助手の体は公的には死亡扱いになっているので、電話に出るわけにはいかないのだ。

 

「さて。夜分になに用かな。四賢人殿」

「…ただの確認だよ。遣いに出した物がなかなか帰ってこなくてね。今週分のガストレアはもう届いたかい」

「おうとも。なかなかに美味であったぞ。この分だと、いつもより少し多目に産まれるじゃろうて。納期はいつも通りでよいかな?」

「構わないよ。むしろ量が増える分には大歓迎さ」

 

電話しながら穴を覗く。内部に設置したウエハースのような建材には、びっしりと青白い卵がくっついている。

世代交代のサイクルが早いということは、その過程で突然変異が起こる確率も上がることを示している。

ガストレアでありながら侵食抑制剤を体内に含むことは苦痛の極みだったが、耐性がついた個体が生まれればなんということはない。今では持ち前の繁殖力を生かしてすべての個体が耐性持ちに生まれ変わっている。

産んだ卵を精製し、希釈して常用すれば()()()()()()()()()()()()侵食抑制剤の出来上がりだ。

民警が存在する限り需要がある。まさしく金の卵を生むガチョウ(ガストレア)だった。

 

「それにしても変なモノを食べるねぇ。食いでは有るだろうけど、味は最悪だろう」

「あいにく、そんな高尚な舌ではなくてな。それにお主に言われたくはない。死体の消化物を食べるなど、常軌を逸しておるではないか」

「『グロック』というれっきとした料理だよ。それに私は()()()()()()()()()()()()()()

「…ぬかせ。狂人めが」

「そうかい。じゃあ納期はいつも通りで頼むよ。カッカしすぎると体に障るよ、御老体」

 

返事はせずに電話を切る。

…ワタシに同類はいない。ガストレアとしての同胞(ウイルスに犯されたモノ)は数多くいても、それを同類として認めない。認められない。

会話が通じない生き物を、ワタシと同列視することはどうやったって、ムリだった。

 

 

 

室戸菫は持っていた受話器を耳から離す。

「…切られた」

ついで、机の上のアンダーギー(死体の胃袋産)に手を伸ばす。思い出すのは、昼間の少年との会話内容。

『ガストレアには知能がないというのが日本ではなぜか定説になっているが、これはもうほとんど否定されている。』

「否定されている、ねぇ…。里見くん、私はたった今その生き証人と喋ったところだよ」

 

自らを外道と称する女医の独り言は、霊安室の中で寒々と響き渡った。




ボリューム増えてしもうた。こっから先のこと考えてない、つらい。

作者の脳内イメージでは

主人公:臓硯or結界士の藍緋
小春:プリヤの獄間沢龍子
梅:花札の幼女桜

の見た目となっております。オリ幼女なんて作れなかったんよ。というか、十歳て幼女なの?もう少女だと思うんですが。感想で幼女派が多かったら幼女に変更します。(露骨な乞食)
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