秘書艦さまが出撃しました。   作:読多裏闇

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 読多裏闇と申します。
 私の他作品を読んで頂いている方はお久しぶりでございます。

 いつも通りの妄想の叩きつけではございますが、楽しんでいただければ幸いです。


1話:働き者の秘書艦さま。

 今日の執務は普段と変わらない通常業務に海上警備の報告、後は建造と開発の報告くらい。基本的なものはただのテンプレートの焼き直しでしかないし、さして難しいものじゃない。自分一人でも処理できるわね。

 その他の報告書とかも内容としてはよくある注意喚起に深海棲艦出現報告。特にこれといって大きな問題もない範囲のもの。多分、戦果欲しさにこぞって他の鎮守府が動くでしょうし、うちとしては慌てなくてよさそう。

 提督さんへ伝える内容はまとまったし、後は報告待ちの分だけかな・・・。

 

「第一艦隊帰投したわよ・・・って、あれ夕立だけ?」

 

「あ、瑞鶴さん。お疲れ様です。報告聞きますよ?」

 

 午前中に任務に出ていた第一艦隊が帰投、特に焦った様子もないから何事もなく終わった感じでしょうね。  まぁ、瑞鶴さん達なら失敗する方が難しい内容だと思うけど。

 

「もう完全に提督業代行しちゃってるわね・・・。報告は後で書類で出すけど、中破以上の損傷無し。私もほぼ無傷だし会敵した深海棲艦は全て殲滅したわ。」

 

「分かりました。

 終わったら上手くローテーション組んで入渠してきて、と提督に言付かっています。」

 

「了解。

 ・・・・・・うー、あー、やっぱり馴れないわね。」

 

 馴れないって・・・あぁ、成る程。

 

「このしゃべり方の事っぽい?」

 

「それ!!それよ!!

 秘書艦モードなのは分かるんだけど前の喋り方の夕立を知ってるだけに違和感がハンパないんだけど!!」

 

 遠回しにまじめ口調が似合わないと言われてるのが少し複雑ね・・・。

 

「まぁ、ここに居る間は素でもいいっぽい?

 ・・・うーんでも結構癖になってきてるから難しいのよね。」

 

「提督の前では比較的素で話してるわよね?」

 

「秘書艦業務の時は丁寧に話していたんだけど、提督さんが『別に普段通りで問題ない』って言うから、折衷として"公的な場面以外での提督さんの前では比較的普段通り”で話すことにしたのよ。」

 

 普段から無意識でも丁寧にしておかないとボロが出ることも多いし。

 

「なんか、日本一の秘書艦の闇を見た気がするわ・・・。

 とりあえず入渠してくるから、夕立もそろそろお昼にしたら?」

 

 時計を見ればヒトフタマルマルをかなり過ぎている。今日の分のお仕事は終わったとはいえ、まだまだ提督さんほどの手際には遠いわね。

 

「そうするっぽい。

 提督さん呼んできましょ。」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 結論から言えば、第三次世界大戦は起きなかった。

 正確には、あらぬ理由で始まりかけたがそれどころではなくなった。

 第二次世界大戦が終わり冷戦を乗り越えた世界はグローバル化への歩みを進め、ネットワークを介して世界が一気に近くなった。多少のいざこざや政治的な対立はあれど、大戦に発展する様な大きな事件は起きていなかった。

 歯車が狂い始めたのはとある事件。

『太平洋石油タンカー爆発炎上事故』

 とある石油産油国の大型輸出タンカーが太平洋上で爆発し、広範囲に広がった石油によって海上が文字通りの火の海になった。

 この事件をきっかけに始まった深海棲艦の侵攻は世界各国を大混乱に陥れ、港周りは大損害。

 挙げ句の果てに増えた深海棲艦は高度な電波障害を発生させるらしく、有線または内陸部以外での通信はほぼ途絶。当初は各国間での会話もままならない事態に発展した。

 制海権を完全に失った各国が空路にてどうにかコミュニケーションを取ろうと画策するも、空母型の深海棲艦が現れ、島国などは完全な孤立状態となる絶体絶命の状況。

 その世界の終わりに救いと可能性を生み出したのが、現代において国防の主力たる艦娘である。

 

「ほーい、ここまででなんか質問あるかー?」

 

「ダー。そもそもなんで司令官が歴史の授業をしているんだい?」

 

 ここは鎮守府のとある一室で鎮守府の長たる提督自身が何故か駆逐艦に歴史の授業を行っていた。

 白い海軍の制服を着た男がどちらかといえば幼い少女達に黒板を背に立つ光景は何ともシュールと言わざるを得ない。

 

「それが、『本来ならば義務教育がある子供にちゃんと権利を与えているのか!!』的な人権保護団体さんが大本営に陳述書出したらしくてな・・・。

 義務教育を少しやって報告書を出せっていう上のお達しだ。」

 

「しれぇも大変ですね。

 やっぱり今年のお正月はしれぇの幸運をお祈りしておくべきだったかもしれません。」

 

「雪風ちゃんがそれを言うと洒落にならないような・・・。」

 

 歴史の授業?を受けていたのは艦娘。その中でも駆逐艦に分類される子たち。

 見た目は小学生から中学生といった年齢の子が黒板のある教室に座っている。

 この空間だけ見れば海軍の制服を着ている人間が子供に歴史を語っている。子供たちが着ている制服が海軍系に類似してる等が見られるものの、さしたる不思議さはない。

 だが、もし。この光景を海軍関係者が見たのなら”どこの部隊を壊滅させに行く作戦会議ですか?”と問われかねない過剰戦力が集中していたりする。

 

「そんな事よりテートクー。授業をすンのはいいとして、何でまた半世紀近くも前の内容なンだ?」

 

「半世紀は流石に盛りすぎだぞ、江風。30年前の話だ。」

 

 今年は艦娘を中心として海軍組織が組み直されてから丁度30年になる。

 この組織そのものは艦娘が発見されてから1年で整備された物なので艦娘歴としては31年となるだろうか。

 この期間の短さを見れば当時どれほど切羽詰まっていたかが伺える。

 

「何故この内容にしてたのか、だが、まぁ単純に艦娘自身の歴史ってここ30年の話だからな。

 歴史やるならまずはここだろって話だ。・・・ん?」

 

「提督さん。そろそろお昼だから呼びに来たっぽい。

 報告のためのポージングも十分出来てると思うし、そろそろお昼ご飯にしましょ?」

 

 軽くノックをしてから入ってきたのは夕立。

 秘書艦でもある彼女は提督の補助が仕事だが、現状、書類仕事のほとんどを彼女がまかなっている事もあり、実質的には提督と遜色がないスキルを有している。

 それに加えて、本来の提督のお目付役も日々こなす精力っぷりで、この鎮守府を実質的に回しているのは彼女と言って問題がないだろう。

 彼女がここに来たのも提督のお目付役としての仕事が名目だ。

 

「まぁ事実なんだが、ポージングって言ってしまうのはどうなんだ・・・?」

 

「見た目こそ小学生だけど、実年齢考えたら義務教育って歳じゃないっぽい。

 何より、生まれたときからそこそこの一般常識が頭に入ってる段階で義務教育の必要性も怪しいよ?提督さん。」

 

 事実として、艦娘は建造という処理で生まれ、その瞬間から今と同じ見た目のまま誕生し、一般常識も含めて大まかな知識と知性を持つ。

 義務教育が必要なのか?という問いには疑問が残るのも肯けるだろう。

 

「それを理解している人間は少ないだろうからこういう問題も出てくるんだろうな。

 まぁ、それを言いだしたら子供扱いしている艦娘達に”国の命運を背負わせっぱなし”っていう点の話もしないといけなくなってくる。言いだしたらキリがない奴だな。

 それより飯にしよう。こっちの都合に付き合わせたし、少しくらいはおごって・・・。」

 

 けたたましく鳴り響く警報音。

 深海棲艦の出現を知らせる警告音だ。

 先程までの緩い空気は完全に消え去り、皆、次の行動に備えている。

 一見すれば立ち止まって何もしていないように移るが、ここを動かないのは指示を仰ぐべき存在が目の前に居るからだ。

 皆の視線が提督に集まる。

 

「・・・悪いが、お昼ご飯は仕事が終わってからだ。

 夕立。」

 

「了解。

 これより侵入してきた深海棲艦に対して、対処行動を行います。」

 

 深海棲艦が現れて、艦娘が現れて。

 戦争という野蛮な行為から少しずつ距離を置き、ある種の"一時の平和”とも言える時間を謳歌していた人類への怠惰さを罰するが如く、人類が恐怖を思い出させられてから30年と少し。

 人類は未だにこの地獄の理由を証明できずにいる。

 未だに海の陣取り合戦は終わらず、人類がこの星の覇権を握っているとは言い難い。

 だが、そう遠く無い未来、人類は覇権を取り戻し、真実に手をかけるだろう。

 例えそれがパンドラの箱だったとしても。

 

 これは、この神の不条理への意味も求め、ただ抗い続ける者達が真実に辿り着く物語。

 

 

 

 




 さて、盛りすぎたぞ大丈夫か・・・?
 最初はうちの夕立が可愛いって言いたかっただけなんだが何が起こったんだろう・・・。

 突っ込み、批判、ご指摘、質問、感想等何でも募集中です。
 いかんせん艦これは初めて書くのでやらかしてない自信はありません。
 ですので、いろいろな意見が頂ければと思います。
 ただ、出来れば理由付けは付けていただけないと改善のしようがないのでそこの点だけ何卒お願いいたします。
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