FGOキッズが型月世界に転生した末路   作:夜未

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0日目
召喚


俺、谷栞(ヤシオリ) (ツトム)(17歳)は転生者である。

信号無視の大型トラックに愉快なオブジェにされたと思ったら赤ん坊になっていた。

まあ、よくある話である。

 

そしてここからが重要なのだが、どうやらこの世界はFate/Grand Orderの世界らしい。

なぜ判断出来たかと言うと、実家が魔術師の家系だったからに他ならない。

魔術回路とか魔術刻印とかどっかで聞いたことあるなーって思ってたが、こないだようやくこの世界がFGOの世界だと気づいた。

いや、FGOでは魔術回路とか魔術刻印とかマイナー設定もいいとこだったし、俺がわからないのも実に仕方がない事である。

むしろこの二つだけで気づけたらそれは相当のマニアだろう。

うんうん、仕方ない仕方ない。

脱線はともかく、俺は先日ある要因によって初めてこの世界がFGOだと知った。

その要因とはズバリ!───聖杯戦争のお誘いである。

 

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

魔術回路からバリバリと持っていかれる魔力。

ギラギラと光る魔法陣!

前世で少しだけみたzeroの召喚シーンと瓜二つ。

ジルとか言う雑魚が出てきて萎えて見るのは辞めてしまったが、1話だけでも見ていてよかった!

というかあんな雑魚召喚しても即負けるだろ。

キャスター召喚するならちゃんと人権3人組の誰かを召喚しなきゃ意味ないよな。

あ、でもイリヤちゃんは許す。

 

 「───Anfang(セット)

 

横目で魔法陣に添えられた触媒を確認。

前世でもガチャの際にお目当てのサーヴァントに関係あるものを用意するのが流行っていたが、どうやらこの世でもそれが通用するらしい。

 

「───告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

我が家の家宝たる、()()()()()()()()が魔法陣の光を浴びてキラキラ光る。

俺は本当に幸運だ。

なにせ、推しの触媒にぴったりな物が家に転がってるんだから。

 

「誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

より一層魔法陣が輝きを放つ。

そして、光が収まると───

 

「ふふ、うちを召喚してくれて、おおきにありがとう」

 

佇んでいたのは紫の着物を申し訳ない程度に纏った半裸の少女。

額から伸びる二本の角は彼女が人外であることを表していた。

 

「好きにやるけど───かまへんね?」

 

御伽噺に語られる鬼の御大将。

FGOが誇るはんなりロリ。

酒呑童子が、そこにいた。

 

ぉぉおおお!!すげぇ!ホンモノだ!

前世では〇〇万かけてやっと来てくれた最愛の推し!

聖杯も金フォウも夢火も全部突っ込んだのはいい思い出だ。

すごい!かわいい!なんか甘い香りがする!

 

「あの、旦那はん?聞いてはる?」

 

意識をトリップさせていたら心配した酒呑が俺の顔を覗き込んでいた。

チカイアザトイカワイイ!!声もカワイイ!蕩ける!

 

「あ!えっと、俺は谷栞 勉って言います!えっと、その、握手してもらっていいですか!?」

「なんや、えらい喜んでくれるんやねぇ。握手くらいええよええよ」

 

差し出された酒呑の手のひら。

思った以上に小さく、すこし戸惑う。

おおおお!触れられる!柔らかい!すごい!夢じゃない!

 

「ふふ、そんな喜んでくれると、あの子思い出して」

 

握手に感激する俺をみて酒呑は見惚れるような笑顔で微笑む。

そして───

 

「つい、手ぇだしてしまうわ」

 

笑顔のまま俺の腕を引きちぎった。

 

「──ァァァァァアアアアアア!!!!」

 

痛い !

空中に赤い鮮血が舞う。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い!

投げ捨てられた腕がグロテクスな音を立てる。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

肩口を残った手で押さえるが、そこには何もない。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ!

 

「な、なんで……」

「ん?旦那はんがあんまり喜んでくれるものやさかい、ついな」

 

酒呑は笑っていた。

酒呑童子は笑っていた。

 

「辛いなぁ、痛いなぁ。これじゃもうくっつかへんねぇ」

 

鬼は嘲笑(ワラ)っていた。

血を浴びて嘲笑(ワラ)っていた。

 

「あぁ───かんにんなぁ?」

 

鬼が謝る。

自分の指についた血を舐める傍らに。

なんでもないことのように。

興味がないことかのように。

ちょっと肩がぶつかっただけかのように。

 

───俺が死のうがどうでもいいかのように。

 

「たすけ……」

 

それでも俺は彼女に助けを求めるしかない。

零落しきった我が家の魔術ではこんな怪我を治せない。

この町外れに訪れる人もいるはずがない。

間違っても召喚を見られないように、自分で選んだのだから。

令呪を使えばいいのだと気づいたが、その令呪は引きちぎられた腕の上でぼんやりと光っていた。

もう血が流れすぎていた。

頭はもう朦朧としており、意識なんてフラフラとどこかに飛んでいきそうだった。

 

「たすけて……」

 

縋り付く。

跪いて、助けを乞う。

 

「かんにんなって、うちでは助けられへんわぁ」

「でも、痛いよなぁ?辛いよなぁ?解放されたいよなぁ?」

「そやさかい───」

 

酒呑童子が俺の胸ぐらを掴む。

仕方がないな。全くこの子は。

そんな声が聞こえてくるような苦笑を浮かべていた。

 

「───このくらいはしてあげるわ」

 

 

 

そして、腕と同じように、首を引きちぎった。

 

 

 

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