FGOキッズが型月世界に転生した末路   作:夜未

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ノルマ未達成(へいわ)回です。


脱出

夢を見る。

俺の夢の結末はいつも同じだ。

自分で死んで、驚いて起きる。

白昼夢を見る、

白昼夢の結末はいつも同じだ。

自分が殺され、目が覚める。

 

 

「こまったな。荒事はあんまり得意じゃないんだ」

 

一文字神父を睨みつける。

服装は神父服、眼鏡をかけて、足には鎧甲。

そんな装備だけのようにみせかけて、彼は袖に小型銃を仕込んでいる。

確信はない。だが経験がある。

その小型銃によって撃ち殺された白昼夢(経験)が。

 

コツコツとわざとらしく神父は床を蹴る。

足元へ視線を集中させようとしているのだろう。

その隙に袖から小型銃を取り出してバンッ!

詐欺師みたいな手だ。

 

「そんなバカみたいなことしでかしてといてよく言うぜ」

 

わざと白昼夢と同じセリフを返す。

注意は足元へ向いているように見せかけながら。

情報とは武器だ。

どんな難しいゲームだろうと攻略(情報)さえ知っていればクリア出来るように、どんな難しい状況だろうと未来(情報)さえ知っていれば打破できる。

ゆえに、知らないフリをする。

小型銃なんて考えてもみない素振りをする。

絶対に相手の手元は見ない。

そもそも見る必要すらない。

 

「だから、僕はこれに頼らせて貰うよ」

 

白昼夢と全く同じセリフ、全く同じ動作で一文字神父が小型銃を飛び出す。

そして、ここまでくればわかるように、その狙いも白昼夢と全く同じ。

身体強化(ドーピング)の酒の効果にモノを言わせて、少し体をズラして弾丸を回避する。

どこにどのタイミングで弾が飛んでくるのかを身をもって知っているのだから、その回避くらい容易い。

 

回避と同時に鞄へ手を突っ込み、驚きからか初めて表情を歪めていた一文字神父の元へ酒瓶を投げる。

赤いラベルが特徴的な雫型の酒瓶、その中身は火炎の酒。

床にぶつかることで瓶が割れた瞬間、一文字神父に激しく燃える炎が襲いかかった。やっぱこの酒の効果ってただの火炎瓶だよな……。

見た目的にも効果的にもマジカル要素が恐ろしく少ない。

次いで鞄からもう一つ酒瓶を取り出し、今度は自分たちの足元に叩きつける。

効果は簡易幻術。

酒の水たまりから向こう側がボヤけて歪んで見えるようになる。

そして、それはあちら(一文字神父)も同じ。

こんな視界じゃあ銃撃もままならないだろう。

再びアリス先輩の手を強く握る。

タイマーを確認すると丁度2分半を過ぎたところだった。

 

「よし、撤退するぞアサシン!」

 

念入りににもう一つ火炎の酒を投げつけ、俺はなんとかアリス先輩を連れて教会から逃げ出した。

 

 

 

 

「ここまで来れば大丈夫かな」

 

教会へ行く道すがら用意しておいた結界へ逃げ込む。

効果は人払いと侵入者探知、それと中の様子をはっきりと認証できなくなる幻術の三つ。この幻術はアサシンの角にかけてやったのと同じ効果である。

場所としては公園、しかも小さくて地味な人気(ニンキ)のない公園だ。

正直教会から抜け出す時にセイバーか追ってくる可能性も考えていくつか対策を考えていたのだが、意外なことに呆気なく見逃してくれた。

 

「おつかれさん。結構上手(うも)ういったねぇ、うち絶対だんなはんが死にかけるくらいはしてくらはると思うとったのに」

 

どこか残念そうな表情を浮かべるアサシン。

声音こそ冗談っぽいが、その表情はガチである。

こいつ人になに期待してんだ。

 

「そんな簡単に死にかけてたまるかよ」

「あらそぉ?じゃあ次に期待しとくわ」

 

次にも期待するなよ。

本来ならなんやかんやと文句を言ってやりたいところだが、我慢しておこう。

なにせ憂鬱そうな推し(アサシン)の顔が素晴らしいからな!

 

「あの、谷栞くん?その、色々説明してもらってもいいですか?」

 

アサシンと戯れていると、アリス先輩が自信なさげに話しかけてくる。

その側にはちゃんとキャスターも一緒だ。

というかキャスターがとても不気味だ。

これまでの白昼夢だとこんな時は即襲ってきていたのたが、今回は羊の人形を抱きしめて何も言わずに佇んでいる。

大切そうに羊の人形を持っている辺り少し嬉しかったが、そこはまあ割愛。

 

 

アリス先輩に説明を行なっていると、驚きの事実が浮き彫りになった。

なんとアリス先輩はマスターであるのに関わらず、聖杯戦争について殆ど何も知らなかったのである。

自分のサーヴァントであるキャスターすらも、神の使いだと信じていたらしい。

どんだけ信心深いんだこの人。

彼女の言い分としては神の使いであるキャスターが何かしてるのは知っていたが、詳しくは把握していなかった。

神様から任された仕事をしているのだろうと思っていた。

魔女は殺すべし。

だいたいそんな具合だ。

 

「……と、まあこんな感じですね」

「聖杯戦争……そんな事が起きていたのですか。ああカミサマ……」

 

祈り出した先輩を横目に、今度はキャスターと向かい合った。顔を覗き込むと、その瞳が揺れる。

けれど、その瞳がアサシンを捉えると、キャスターは覚悟したかのような顔つきで俺に尋ねた。

 

「ねぇ、ツトムおにいちゃんは」

「魔女じゃないぞ」

 

なんとなく嫌な予感がしたので食い気味に答える。

いや、彼女の質問が魔女関連かどうかはわからないが、これまでの白昼夢(経験)上、先に否定しておく方がいいと思ったのだ。

 

「ほんとうに?」

「本当だとも」

 

キャスターが不安げな表情を浮かべるので、あえて大袈裟に自信満々の様子で答えてやる。

ここで黙ったり、自信なさげにしたらロクでもないことになるのは薄々わかってるのだ。

 

「じゃあ、証明できる?」

「ああ、証明できると……証明?」

「そう。証明」

 

だんだんと白昼夢で見た雰囲気に近づいてゆくキャスターに、嫌な汗が流れる。

チラリとアサシンへ目を向ける。

楽しげに手を振ってくれた。違うそうじゃない。

だが、どうやら俺とキャスターの会話には注目しているようなので、いざとなったら助けてはくれるだろう。

しかし、キャスターの能力は未だ不明なのだが、敵対した時点で地獄を見るのは白昼夢でよく知っている。

 

「えっと、証明って何すればいいのかな?」

「ふふ、大丈夫。おにちゃんが本当に魔女じゃないならなんともないはずだわ」

「そ、そうだね」

 

魔術師って魔女じゃないよな?

そもそも俺、男だし。大丈夫だよな?

 

キャスターがどこからともなく取り出した儀式槌(ガベル)を振る。

すると、今まで何もなかったはずの空間に巨大な鍋が現れた。

焚き火のような火にかけられ、グツグツと煮えたぎっている。

 

猛烈に嫌な予感がしてきて、本格的に冷や汗が吹き出る。

ブリキのようなぎこちない動きてキャスターを見ると、彼女の雰囲気はもう完全に白昼夢で見たものと同一になっていた。

昨日一緒に遊んだ時とは違う、どこか妖艶さ漂わせた笑みでキャスターが告げる。

 

「神明裁判よ。神のご加護があるならば、熱湯に手を浸しても火傷し(醜くなら)ないはずだわ」

 




銃弾避けるとかおかしいだろってツッコミか来るかもしれないので補足しておきます。
まず主人公が魔術酒のんでドーピングしているというのもありますが、他にも主人公の起源も関係してます。
主人公の起源は「回避」
死亡フラグを一度の死に戻りで避けられるのもこの起源のおかげです。もし主人公が起源覚醒したら流水制空圏みたいなことができるようになるかもですね。起源覚醒予定はないですけど。

魔女狩りっていうのは性別関係なく行われたらしいですね。
日本語では魔女と訳していますが、本来はWitchなので別に女性に限らず、怪しげな者なら男だろうが女だろうが対象にされたそうです。

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