FGOキッズが型月世界に転生した末路 作:夜未
赤く光る信号。
目の前を通り過ぎて行く自動車。
隣には微笑みを浮かべながら話しかけてくるアリス先輩。
あれ?俺は何をしていたんだっけ?
夢を、見ていたんだっけ?
ああそうだ。白昼夢を見てたんだな。
白昼夢を………
「───!!」
勢いよく背後を振り返る。
アリス先輩が突然の俺の行動に驚いているが、そんなの関係ない。
白昼夢の俺はどうして死んだのか。
血が流れすぎたから?
全身がぐしゃぐしゃになったから?
自動車に轢かれたから?
いいや違う。
俺は、誰かに
不注意からの交通事故ではない。
誰かの明確な殺意によって殺された。
だとしたらその犯人は今どこにいるのか、決まっている。
俺の真後ろだ。
振り返ると、そこには背の高い男性か立っていた。
動きやすそうな格好をしており、年齢は多分20台前半。
そして、その顔には大きな
男性がバツの悪そうな表情を浮かべる。
「あーあ、バレちまったか。まァ、これで殺せたら棚ぼただもんな」
「な、刺青野郎ッ!?」
「おいおい、こんな色男に向かって刺青野郎たァ失礼なガキだぜ」
やれやれと演技がかった動作をする刺青男を睨みつける。
バーサーカーのマスター。クソ野郎。敵。
こいつの事は名前すら知らないが、俺にとってはその情報だけで事足りる。
「あの、谷栞くん?お知り合いですか?」
不思議そうな表情を浮かべるアリス先輩に、手で下がるように指示する。
体は刺青男へ向けたまま目だけ動かして周りを見渡す
放課後の通学路ということもあり、結構な人かいる。
こんなところで英霊がぶつかったら死傷者の数はシャレにならないだろう。
「そんなに警戒すんなって。流石にこんなところじゃ手を出しやしねぇよ」
「人を殺そうとした奴が言うことじゃないだろ」
「ああ?あんなんお前が無防備だからちょっと手を出したくなっただけじゃねぇが。実際にはやってないんだから気にすんなって」
ヒラヒラと手を振って男は笑う。
軽薄な口調、大袈裟な手振り、敵意も感じない。
だが、その瞳は笑っていなかった。
やっぱりこいつは敵だ。
俺の白昼夢の中でも、こいつだけなのだ。
こいつだけがなんの感情もなく、俺を殺そうとする。
殺意も、敵意も、悪意も、愉悦も、失望も。
何もなく、あるがままに俺を殺す。
暗殺者のように感情を抑えてるとかではなく、本当に何も感じていないのだ。
「はァ……。いや全く悲しい限りだね。正直、さっきのはお前も悪いんだぜ?」
「どこがだよ?」
「顔も隠さず戦場に出てきて、昼は間抜け面晒して日常を送ろうなんてしてるところがだ。これは戦争だぜ?殺せるならいつだって殺そうとするに決まってんだろうが」
「アンタだってそんなわかりやすい
「人が親切に忠告してやってんのに反論と来たか。いやァ嫌だね、近頃のガキは。礼儀もクソもなってやがらねぇ。
全く、ぶっ殺したくなるぜ」
どこまでも軽薄に、戯言みたいな口調で殺意を伝える。
けれど、俺には俺にはそれが冗談じゃないことがわかっていた。この男は本当にやる。
少しのためらいもなく、少しの迷いもなく、息をするように殺しに来る。
信用なんてできない。油断なんて出来ない。
アサシンに念話で戦闘準備をするように指示をする。
しばらくの睨み合い。
緊張感のある空気が流れ、唐突に刺青男がニヤっと笑った。
「まァまァ、そうガチになるなよ。さっきも言ったが、俺も流石にこんなところで仕掛けるつもりはねぇ。
「じゃあな」なんて言って軽く手を振って男が歩き出す。
アサシンによると、どうやらバーサーカーもそれについて行っているらしい。
本当に撤退するつもりなのか?
「あァ、そうだ。刺青野郎とかいうクソダセェ呼び方やめろ。俺は、そうだな……
「ただいまー」
誰に言うわけでもなく、そう口にする。
最期まで実家暮らしをしていた癖というか、一人暮らしにそんな挨拶は必要がないのに玄関を
いつもはそんな癖を気にする事はないのだが、一緒に玄関を潜ったアリス先輩にそれを聞かれてしまったことに気づいて、無性に恥ずかしい気分になる。
「お邪魔します」
「あー、いらっしゃいませ?」
今まで人を家に招いたことなんて一度もなかった為、作法がよくわからない。
とりあえずそれっぽくやっとけばいいのかな。
「ふぅ、やっぱ霊体化してたら窮屈やわ」
アサシンが何もない空間から姿をあらわす。
いつのまにか芋ジャージに着替えていた。
もしかして気に入ったんだろうか。
「あ、キャスターちゃんも出てきて良いよ」
「そうなの?じゃあお言葉に甘えて」
声をかけてやると、アサシンと同じようにキャスターがスッと現れる。
透明人間がそばにいるというのもどうにも気になってしまうし、俺としても家ではサーヴァントに霊体化を解いてもらっていた方がありがたい。
どこにいるかわからないとか怖いし、おちおち部屋でお宝鑑賞も出来ない。
「おう、おかえりツトム。急にどっか行って心配してたぞ。って、なんだナンパしてきたのか?」
玄関かにわかに賑やかになったことに反応したのか、家の奥から
後半のセリフはアリス先輩をガン見しながら言っている。
この狩人ほんと俗っぽいな。
どこを見てるのかよくわかない人形eyeでスーッと俺たちを見渡し、キャスターを見た途端ピタリと動きが止まった。
「ダーリンどおしたのー?お客さん?」
遅れてやってきたアルテミスもまた、キャスターを凝視し出した。
というかこの女神サラッと
我が家がドンドン奪われていく……。
「あなた、アーチャー?どうしてここに?」
キャスターもまた、アーチャーに話かける。
あれ?この二人って面識───あっ!?
いやいやいや面識どころではないじゃないか!
アーチャーのマスターを殺したのは他ならぬキャスターだった筈だ。
そんな重要なことを、アリス先輩のことで頭がいっぱいですっかり忘れていた。
やばい、猛烈に嫌な予感がしてきた。
「あ、あー!その、キャスターとは同盟を組むことになったんだ」
「同盟ぃ?おいツトム。悪いことは言わねえからそいつと手を組むのはやめとけ」
「え?いやでも……」
人形でもクマはクマ。
強く言われたら迫力があって少し怖い。
思わず口籠ってしまう。
「……谷栞くんも、私を捨てるのですか?」
「え?」
「そうですか。あなたも、私を捨てるんですね……」
そんなことをしていると、今度はなんかアリス先輩が不穏な雰囲気を出している。
殺意とか悪意はないけど、なんというかキャスターの雰囲気にも似た嫌な感じ。
「ふふ、優柔不断やと嫌われてまうで?はい、がぁんばれ、がぁんばれ」
愉快に茶々をいれるアサシン。
その声でそんなこと言われたら脳が蕩けるからやめてくれ。芋ジャージが似合っててかわいい。
「ねえ、ダーリン。見覚えある気がするんだけど、その娘誰だっけ?」
「キャスターだよ!?マスターの仇の!お前本当に他人に興味ないな!?」
「ああ、カミサマ……」
「一人でに動く人形……浮世離れした女性……淫らな格好……もしかしてアーチャーって魔──」
「ところでだんなはん、昨日の
ガヤガヤと各々が思い思いのことを話しはじめる。
なんだこの混沌具合……。
オリオンはキャスターを敵視はしてません。どっちかというと危険視です。キャスターの秘める狂気を正確に見抜いて誰よりもキャスターの危険性に気づいているからです。アルテミスは誰この娘状態です。彼女の脳のキャパシティは全て愛しのダーリンのために使われているので。
キャスターはアーチャーのマスターは魔女として断罪しましたが、現状アーチャーは魔女宣告してません。
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