FGOキッズが型月世界に転生した末路 作:夜未
共同生活
俺の必死な説得と話し合いにより、なんとかオリオンに納得してもらうことに成功した。
横で話を聞いていたアルテミスが援護射撃してくれたのも大きいだろう。
アリス先輩について説明していると、急に目を輝かせながら「つまり、恋ね!?」と騒ぎ出し、そこからは何故か積極的に援護射撃を行なってくれた。
まさか
アリス先輩とキャスターには本来アーチャーに貸そうと思っていた空き部屋で暮らしてもらうことになった。
少しばかり日当たりの悪い部屋だが、広さ自体はそれなりにあるので気に入って貰えたらしい。
お泊まり用の荷物と称して布団やヒーターなども持っていたので、それなりには快適な夜を過ごせたことだろう。
一つ問題があるとすれば、家主の俺が何故リビングで震えながら寝なければいけないのだろうか……。
安物の寝袋って、とてもさむい。
窓から入ってくる微かな朝日と、なんだか美味しそうな匂いで目が覚める。
実家暮らしの前世でよく嗅いでいた、良い匂いだ。
蛍光灯に惹かれる蝶のごとくフラフラとキッチンを向かうと、そこには1人の女性。
金糸を思わせる美しい金髪に、人形のように整った顔立ち。そして母性を感じる巨乳。
そんな女性が、いやアリス先輩が制服エプロン姿でキッチンに立っていた。
良い匂いの正体とは、アリス先輩が作っている朝食から香っていたのだ。
「あ、おはようございます谷栞くん。お台所お借りしてますけど、大丈夫だったでしょうか?」
「………おはようございます。朝食を作ってくださっていたんですか?」
「はい、一方的にご厄介になるわけにはいきませんし、せめて自分ができることをしようと思ったんです」
「でも冷蔵庫すっからかんじゃありませんでした?」
「ある程度は実家から持ってきていたので。まさか冷蔵庫にウィダリンゼリーしか入ってないとは思いませんでしたが……」
アリス先輩は困ったように笑う。
日常用品に衣類、布団と暖房、果てには食材まで持ってくるとは彼女は一体どれだけの荷物を我が家に運び込んだのだろうか。
「もう少しで完成だから待っていて」と伝えられて、大人しくリビングで待機していると、匂いにつられたサーヴァントたちが続々と集まってきた。
気づけば全員集合だ。
ガヤガヤと騒がしくなるリビングの中、朝食を携えたアリス先輩の登場して朝食が始まる。
総勢5人(+
女神と熊が日本食に感動していたり、キャスターが納豆に本気で拒否反応を起こしたり、アサシンが酒の催促して来たり。
騒がしくて五月蝿くて、今日は久々にテレビをつけずに朝を過ごした。
「あれ?」
「どうかされましたか?」
それに気づいたのは、ちょうど13時を回った頃。
朝のうちにこじつけた約束通り、アリス先輩と二人で昼食を取ろうと集まった時だ。
ざわざわと
初めは小さな違和感だった。
間違い探しを俯瞰して、薄っすら覚えるような違和感。
なんとなく、おかしい。その程度の違和感だ。
両手で目を軽く擦り、もう一度廊下を見渡す。
漫画を貸し借りしている男子生徒、たわいもない話題で盛り上がっている女子生徒、生徒に絡まれて困っている新任教師、誰かを探している
何も
どこの学校にだってある
そのはずなのに、頭の奥が酷くいたんで、本能が何かを警告し続けてくる。
目の奥がチクチクするような嫌な違和感。
アサシンに確認をしようと思ったが、そういえば彼女はまたも単独行動をとっていたのだったと思い出す。
また町を探索したいと言い出したので、今は自由にさせてやることにしたのだ。
とはいっても自由にさせるのは学校の間だけで、送り迎えは勿論やって貰う予定である。
「あの、アリス先輩」
「はい」
「なにか、変じゃないですか?」
「変?」
俺の言葉を聞いてアリス先輩がキョロキョロと周りを見渡し始めた。
生真面目にもその場でゆっくりと一回転するように、目を凝らす。
そして一通り見終わると暫く暝目し、首を傾げた。
「なにかおかしいですか?」
「キャスターもそう言ってますか?」
「はい。キャスターちゃんも何もおかしくない、と」
「俺の気のせい、なのかな……」
今度は俺が首を傾げる番だった。
脳の奥がチリチリと疼く。
何かがおかしいのだ。
何かがおかしいのに、
聖杯戦争でずっと気を張っているから、疲れが出たんだろうか?
まあ、学校のような人が多い場所では、流石に相手も仕掛けてこないだろう。
刺青男ならあり得そうな気もするが、昨日手を出さなかったということは彼も最低限のルールは守るつもりのはずだ。
わざわざ学校なんていう場所に忍び込むよりも、昨日あの場所で戦った方がメリットが多いからな。
そもそも人が多いところで戦闘するメリットなど本来皆無なのだ。
神秘の秘匿に関しては、俺も親から口を酸っぱくして言われ続けた。
某漫画においても魔法をばらしてしまったらオコジョに変えられてしまうなんて設定もあるのだし、きっとこの世界でも相応のペナルティがあるはず。
一般人の多いところでは戦闘を仕掛けないというのは、聖杯戦争参加者の中でも暗黙のルールといってもよい。
故に、この学校内においてはなんの心配もないのだ。
そのはず、なのだ。
弱気になり始めているのを自覚して、両手で挟むように頬を叩く。
アリス先輩が俺の突然の行動に、アリス先輩が目を丸くしているが、気にしない気にしない。
警戒というのは確かに必要だが、必要以上に神経を尖らせていると疲れがたまっていざという時に反応できないかもしれない。
たかだか小さな違和感など気にする必要もないのだ!
「よし、じゃあ食堂行きましょうか。急がないといっぱいになっちゃいますし」
「そ、そうですね。早く行かなきゃ席が埋まっちゃいます」
アリス先輩を迎えに来たため、今は三年生の教室がある三階にいる。
3-Bのホームルームからチラ見えしている掛け時計を見るに、少し急げば席に座れないなんて事態にはならないだろう。
さあ、行こう!と歩みだそうとして、思いっきり人にぶつかる。
「あ、すみません」
考えごとに夢中になっていたからか、その
……あれ?この人いつのまにこっちに来たんだ?
「いや、気にすることはないよ。僕のほうも不注意だったからね」
狐のような目を更に細めて男性が笑う。
それを認識した途端、頭痛がより強くなる。
ぐわんぐわんと脳が揺れるようだった。
おかしいぞ、おかしいはずなんだ。
なのに、なんでなにも
何がおかしい?何がおかしくない?
神父の男を見る。狐目の男を見る。瓶底眼鏡の男を見る。
何が──────
「谷栞くん?急がなきゃ席なくなっちゃいますよ?」
「あ、はい。すみません」
先輩に声をかけられて目が醒める。
そうだ、今は
神父服の男にぺこりと会釈し、彼に背を向けてアリス先輩とともに食堂を目指す。
そして、
灰色の鎧甲を纏った足によって、俺の頭はトマトのように蹴り潰された。
「学校が安置だなんて誰が言った?」という内容の回でした。
主人公が明らかにおかしいのは、神父の魔術によって認識を弄られていたからです。
同じくアリス先輩も弄られてますし、キャスターも魔術の効果を食らってます。
サーヴァントのくせに魔術食らうのかよって思うかもしれませんが、キャスターは宝具とスキルを抜いたら唯の一般人レベルのステータスなのでこんなことが起きました。
対魔力なんてそんな便利なもの持ってません。
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