言い淀む僕に痺れを切らしたのか、オールバックの男が新山君に振り向いて言った。
「一毅、お前、あっこみてこい」
「はい」
二つ返事で歩きだした新山君が、僕と光君の間を抜けていくとき、小さく呟く。
「ケガレとマザコンとヨゴレがこんな時間に外に出てるなんて、何、イキってんの?」
ぞわり、と背中に冷たい汗が溢れだした。嫌悪感からくる拒絶が最高潮に達している。それでも、僕は言い返すこともできず、ただ居心地の悪さを誤魔化すように愛想の良い笑みを浮かべるだけだ。
「一毅、さっさと見てこいや!」
新山君の肩が大きく上がり、走り出す。もしかしたら、あの新山君もこのグループでは使いパシりなのかもしれない。だとすると、この五人は、新山君よりも怖くて強いんだ。
「で、お前らここでなにしてたの?」
話しを振られた剛君は、分かるくらいに奥歯を絞めている。
「お……俺らは、特に何もしてなかったよ……ここには、行く場所がなかったから来ただけで……」
どうにか、そう返した剛君だけど、男は興味もなさそうに、ふーーん、とだけ言った。
この差は、なんなんだろう。同じ人間で、年齢もそこまで離れていないのに、どうしてこんなに惨めな気持ちにさせられなければいけないのか理解できない。そうこうしていると、新山君が戻ってきた。
「おう、一毅、どうだった?」
少しだけ息を整えながら、新山君が首を振る。
「誰もいませんでした、鬼山さん」
鬼山と呼ばれたオールバックの男の目付きが鋭くなると、あまりの迫力に新山君が身を引いた。
「お前、ちゃんと探したの?」
「は……はい!ちゃんと探しました!そ、その証拠に、これ、見付けてきましたから!」
そう言って差し出したのは、剛君が持ってきていた煙草の箱だった。飛び出したときに、落としたのだろう。
鬼山は、箱を受けとってマジマジと見詰める。
「で?」
「……え?」
新山君は鳩が豆鉄砲をくらったような顔になっていた。それも当然だと思う。
新山君は、探した証拠を持ってきているのに、鬼山は満足のいかない成果に、もっとなにかを出せと、我が儘と変わらないことを言っている。
狼狽しつくした新山君の胸ぐらを掴んだ鬼山は、煙草を一本取り出すと馴れた手付きで火を点けてから、一気に引き寄せた。
「あのさぁ、一毅よぉ……俺、何度もお前に言ってるよな?一つ何かを任されたら相手に二つは返せってよ。それが男として目上の奴と接する礼儀だって、教えてるよなぁ?」
煙で目が染みているのか、涙目の新山君が苦しそうな声を出す。
「で……でも……」