英雄達の夏休み   作:宇宙人と呼んで

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第7話

「なあ、弘人、一つ頼まれたら二つ成果を出せって言ったよな?」

 

この言葉は、鬼山が新山君に言っていたものだと思い出す。加えて、反論しようとした白木君に新山君が間髪入れずに言った。

 

「なんだよ、俺に言い訳すんの?おい、弘人よぉ!」

 

新山君の語尾が一気に強まると、大場君の慌てる声がする。

 

「おい!やめろよ一毅!やめろって言ってんだろうが!おい!」

 

音だけの判断だから本当のことはわからないけど、誰かが倒れて、三人に起きた事態は一応、収束したみたいだったけど、息切れに混ざって重い声が飛んだ。

 

「お前らがそんなんだから、俺がB.Gに入ったんだろうが!俺らが三年に目をつけられたとき、ビビってるだけだったお前らを助けてやる為によぉ!それを今更、なんだよ!俺が変わった?俺と話してる気がしない?そりゃそうだろうな。けど、俺をこうしたのは、お前らだってことも忘れてんじゃねえ!」

 

一気に捲し立てた新山君に、大場君と白木君は、また口をつぐんだみたいだ。

このとき、僕不思議と胸を細い針で刺されるような痛みが走った。原因を特定することが出来ない奇妙な鋭痛を抱えていると、新山君の携帯に着信が入る。凄く大きな音にしている理由は、すぐに分かった。

 

「鬼山からだ……くそっ、お前ら絶対に黙ってろよ」

 

会話の内容なんて聞こえないけど、新山君の声からして、呼び出しの連絡だったんだろう。

はい、はい、いまからですか、同級生の家の前にいます、十五分以内は厳しいです、いえ頑張ります、たどたどしい敬語で返事をしていた新山君は舌打ちを挟む。

 

「鬼山から呼び出されたから、今日はここで解散する。お前ら好きにしてろよ」

 

心なしか、いつものような覇気がないし、大場君と白木君の返事も曖昧としたものだった。

まあ、僕にとっては、幸運な事態にはなったことには違いない。遠ざかる足音に耳をそばだたせて、完全に聞こえなくなってから、僕はベッドから起き上がり、カーテンに隙間を作って外を窺い、やっと安堵の時間を得られたことに、吐息をついた。

 

「真美さん……もう大丈夫ですよ」

 

押し入れを開いて、ゆっくりと出てきた真美さんは、膨れた頬で言った。

 

「また汗かいちゃったじゃん」

 

僕が、すいません、と詫びれば、真美さんは、溜め息をつき、腕を鼻の位置まであげて自分の匂いを嗅いでいる。

その仕草に、縮んでいた僕の背筋が伸びた。たかが、数時間前に目覚めた性癖に、こんなにも踊らされてしまってるんだから、本当に男って情けないよね。だけど、堪えることが難しいのも確かなんだ。

僕は、多感だから仕方がない、なんて口当たりの良い言い訳を用意して、なんとか自分を取り繕った。




ウォーキングデッド見てたらゾンビ小説を書きたくなる……
遅くなりましたが5月くらいまで更新が遅くなります
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