英雄達の夏休み   作:宇宙人と呼んで

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第15話

「そんなに、不機嫌になるなら、聞いてみたいんだけど、君達は普段とは違うことをした?」

 

「したに決まってるじゃないっすか!真美さんが飛び込んでこなければ……」

 

「つまり、してないってことだよね?」

 

「いや、だから……!」

 

「私は、したのか、していないのか、それだけを聞いてるだけだよ?それじゃ、私が来たから出来なかったのなら、結局はしてないってことだよね」

 

僕と剛君は、そのまま押し黙った。なにを言っても、重石みたいに真美さんの声が乗っかってくる。それも、戦争映画のワンシーンみたいにマシンガンを放ちながらだ。重たい弾丸は、僕らの肺を貫いて言葉を奪っていく。

 

「夜にしか特別なことがないって思ってるなら、それは間違いだよ。むしろ、少ないんだから、やるなら、昼間に遠出でもしたほうがマシ」

 

言い切った真美さんの目を見れなかった。

僕らが、夜に何を求めていたのかも分からなくなりそうだ。いや、実際は、求めるものなんかなかったんだろう。夜中に出歩き、英雄になる。突き詰めていけば、ただ舌触りが良いだけの口実だ。彼女を作るのであれば、昼間に、それも、どの中学校も夏休みの期間に入っているのだから、よっぽど都合がいい。

僕らが夜に歩いた理由は、ただの好奇心、それだけだと突きつけられた。消沈した僕と剛君が、胸に黒いものを抱えながら話しを訊いていた。すると、不意に真美さんが言った。

 

「ねえ、私がさせてあげようか?特別なことってものを」

 

僕と剛君は、どきり、として揃って顔をあげる。テーブルの茶色しか映っていなかった瞳に、真美さんの肌色が優しく溶け込んでくる。あとになって気付いたのだけれど、きっと、甘い誘惑ってこういうことを指していうのだろう。様々な憶測が僕の脳みそに次々と突き刺さってくる。それは、剛君も同じらしく、顔だけは動かさずに、目線が上から下へと落ちていっていた。それを目敏く発見した真美さんが呟く。

 

「……言っとくけど、君達が期待してるようなことじゃないからね」

 

「え!?いや、その……」

 

曇った声音を誤魔化すように、大仰な仕草で両腕を振っていた剛君は、言葉に詰まって天井を仰ぐ。残された僕は、緊張で乾いた喉に、どうにか唾を滑らせて訊いた。

 

「その特別なことって……なんですか?」

 

イタズラな笑みってこういうことなんだろう。

真美さんは、唇の両端を僅かにあげて、ナメクジみたいなヌメリをもった目で僕を視界にいれる。

 

「きっと、君達が目指してる場所よりも、遥かにスリルがあることだよ」




ゾンビ系書きたい気持ちが膨らんでくーーるね
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