そう言った真美さんは、昨夜のことを話し始めた。
詰まるところ、昨夜の集団は、チーマーに当たる人達だということ。そして、近場にある黒崎っていう街を根城なようにして夜に活動していること。周辺の不良達をまとめあげて、黒崎のボスとして振る舞っていること、チーム名は、ブラック・ガーデンで、今のリーダーは鬼山という男とのこと。
新山君が言っていたことに納得した。ブラック・ガーデン、略してB.G、そのチームに新山君は所属している。その理由は、大場君と白木君を上級生から守る為にだ。けど、自分を犠牲にしてまで二人を庇うくらいなら、僕らへの暴力はなんなのだろう。ただの憂さ晴らしなのかな……そう考えると、すごく悲しくなった。
誰かを傷付けて、自分の中にあるものを発散する。それって、自分以外の人は、どうなっても良いってことだよね。登校拒否になろうが、たとえ、死んだとしても、なんの感情も抱かないってことだ。そんなの、人として生きる意味なんかない、ただ人の形をしているだけだ。この感情は、僕ら自身へ向けられているのか、はたまた、新山君へ向かっているのか、それとも、両方なのか。分かるのは、胸の中心が萎んでいくにつれ、僕の股間が縮まっていき、そこから昇ってくる何かが顔に集まってくる、そんな訳の分からない感覚だけだ。
唇を一文字にしていた僕の顔を窺っていた真美さんが楽しそうに続ける。
「そこでね。どうかな?そのブラック・ガーデンから、私を守ってみない?」
「……は?」
だしぬけな提案に、テーブルの小さな埃を吹くような間の抜けた声を出した剛君は、聞き間違いかもしれないとでも思ったのか、一回、首を傾けて元の位置に戻す。
「あの……いや……あれですよね?冗談で言ってるんですよね?」
「え?冗談に聞こえた?なら、ごめんね。改めて言うけど……」
「いやいやいや……いやいやいや……えっと、俺達が?」
「うん、そうだよ?君達が私を守るの」
「え?じゃあ、その……あの人達に追われてたのって、ナンパとかじゃなくて……?」
「それは、豊君がそう言っただけだよ?」
あっ、と僕が口を塞ぐのと、剛君が横目で睨みつけてきたのは同時だった。そうだ、確かに、僕は尋ねている。てっきり、認識がそのままになってしまっていた。それと、最悪な展開を迎えてしまったことに気付く。
それは、昨夜、僕らは、そのブラック・ガーデンとかいう集団に顔を見られてしまっていることだ。真美さんは、僕らにとって逃げ場のない提案、いや、これは提案じゃなく、脅しと変わらない。
すいません……ちょっと別ジャンル書いてみようと思います……