英雄達の夏休み   作:宇宙人と呼んで

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第4話

ここで一つ面白くもない話しをするけど、実際に女性が原因で友情破裂なんてことはありえるから、注意したほうがいい。前に、映画で見たのだけれど、孤島に残された三十数人の男性達が、たった一人の女性を巡って殺し合ったなんて話しが残っている。それが、実際に起こった事件だと知ったのは、随分、後のことだし、そんなバカな話しがあるか、とも思った。

けど、目の当たりにしたら、僕らが嫌う暴力を光君に振りかざそうとしてしまっていて、あの映画の内容に納得してしまうと同時に、やっぱり僕らも動物なんだと理解した。テレビなんかで流れる映像でライオンのオスが一匹のメスを奪い合って闘っている場面を思い浮かべてくれたら、僕と同じ感想を持つはずだ。

真美さんが光君の身体から離れたところで、思い出したように、剛君が背中に声を掛ける。

 

「そういえば、真美さんが昨日言ってた、もう一つの条件ってなんすか?」

 

剛君がしたその質問を僕は忘れてしまっていた。そうだ、剛君の家の掃除を手伝ったあとからの展開で、言っていた気がする。僕は、ベッドのスプリングが軋む音すらも聞き逃さないように耳を澄ませた。水気が残った薄くて綺麗な真美さんの唇が開く。

 

「簡単なことだよ。私のお母さんが黒崎の年金病院に入院してて、会いに行きたいから一緒に連いてきてってだけ」

 

なんだ、そんなことか。難しいことじゃなくて良かった、と楽観していた僕と剛君と違って、光君の顔色がみるみると悪くなっていく。

 

「あれ?光?どうした?」

 

気付いた剛君が軽く尋ねると、顎に重りでもちけられたみたいに、光君の唇が鈍く動いた。

 

「いや……え?二人とも……それがどういう意味か分かってないの……?本当に……?」

 

試すような口調に、むっ、としたのか、剛君が少しだけ荒く言った。

 

「なんだよ、どういう意味だよ。俺にも分かるように丁寧に説明してくれ」

 

光君は怯えたように肩を上げ、小さく、ごめん、と挟んでから返す。

 

「新山君が入ってるブラック・ガーデンってチームは、黒崎が本拠地なんだよ?そこに僕らのほうから向かうなんて……危なくない?」

 

光君の弱腰に対して、剛君は深い溜め息をした。

 

「光、お前さぁ……」

 

「そ……それに!年金病院に入院してるのってお母さんなんだよね……?それなら、僕らが一緒に行く必要あるのかな……?」

 

このとき、ぴくっ、と真美さんのこめかみが動いたのを僕は見た。加えて、冷静に考えてみると、光君が言っていることも一理ある。仮に真美さんのお母さんの病室に着いていくにしても、僕らには、お見舞いにいく理由はなかった。




短編……
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