英雄達の夏休み   作:宇宙人と呼んで

41 / 72
第5話

厳しい怒気を孕んだ剛君の声が入る。

 

「だから、どういうことだよ!てかさ、そんなに嫌なら、お前だけやんなきゃ良いじゃん!俺と豊だけでやるからよ!」

 

「そんなこと言われても……僕はただ……」

 

光君の目頭に涙が溜まり始める中、真美さんは、二人を静かに眺めていた。なんで何も言わないのか、僕は疑問に思うと共に、光君が僕らになにを言おうとしているか気付いてしまった。

そうだ、光君の指摘が正しいのなら、どうして一緒に行く必要がある。僕らには、動機があっても理由はないような気がする。

真美さんに上手くはぐらかされているんだ。二人が言い争っている以上、ここは僕が言うしかない。

 

「真美さん、僕らに言っていないことが、まだあるんじゃないですか?」

 

真美さんは、小首を傾げて僕を見た。

 

「うん、あるよ。だから、昨日言ったでしょ?三人揃ってからって」

 

「へ?」

 

「え?」

 

僕と真美さんの間に、なんとも言えない空気が流れ始める。挙げ句、言い争っていた二人も僕の方を向いている。

僕は、澱んだ空気を払う為に早口で言った。

 

「なら、どうして早く言わないんですか?」

 

事も無げに、真美さんがゆっくりと言う。

 

「だって、最初は光君を説得しなきゃ意味ないでしょ?私がこうしてあげるから、あれしてくれない?って報酬を提示してあげなきゃ光君だって素直に話しに入れない」

 

「なら、二人の言い争いを止めるべきなんじゃないですか?」

 

「私が?それはまだ早いよ。この報酬を提案したの剛君なんだし、まずは光君が剛君へ納得できない部分を話さないと、先々、齟齬が出るよね?どうしてもまとまらないところには、私が口出ししなきゃだけど、何も始まってない内から口を出しても、揉める原因を作るだけで話しも何も進まないよ?」

 

「そ……それでも、二人を止めて真美さんが間に入って話しを進めれば……」

 

「話しが進んだとしても、結局は元に戻るだけだよ?豊君、人付き合いってね、どちらかが妥協するから成り立ってるんだよ。妥協案も出てない二人は当然、言い合いになる。そこに、報酬を払う私が仲介したとして、片側には納得できない痼が残っちゃう。それって意味があると思う?」

 

「けど!妥協って……」

 

「うん、簡単に言えば諦めること。だけど、納得はしてるから、痼は残らないよね」

 

「諦めるなら、痼は残りますよ」

 

「残さないようにすれば良いだけだし、もしも、口論が止まらなかったら、昨日みたいに剛君が提案してくるよ。それに私がYESかNOを伝えて仲介に入ったら、話しがすんなりまとまる。だから、私が入るのは早いよってことなんだけど、どう?」




リベンジ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。