厳しい怒気を孕んだ剛君の声が入る。
「だから、どういうことだよ!てかさ、そんなに嫌なら、お前だけやんなきゃ良いじゃん!俺と豊だけでやるからよ!」
「そんなこと言われても……僕はただ……」
光君の目頭に涙が溜まり始める中、真美さんは、二人を静かに眺めていた。なんで何も言わないのか、僕は疑問に思うと共に、光君が僕らになにを言おうとしているか気付いてしまった。
そうだ、光君の指摘が正しいのなら、どうして一緒に行く必要がある。僕らには、動機があっても理由はないような気がする。
真美さんに上手くはぐらかされているんだ。二人が言い争っている以上、ここは僕が言うしかない。
「真美さん、僕らに言っていないことが、まだあるんじゃないですか?」
真美さんは、小首を傾げて僕を見た。
「うん、あるよ。だから、昨日言ったでしょ?三人揃ってからって」
「へ?」
「え?」
僕と真美さんの間に、なんとも言えない空気が流れ始める。挙げ句、言い争っていた二人も僕の方を向いている。
僕は、澱んだ空気を払う為に早口で言った。
「なら、どうして早く言わないんですか?」
事も無げに、真美さんがゆっくりと言う。
「だって、最初は光君を説得しなきゃ意味ないでしょ?私がこうしてあげるから、あれしてくれない?って報酬を提示してあげなきゃ光君だって素直に話しに入れない」
「なら、二人の言い争いを止めるべきなんじゃないですか?」
「私が?それはまだ早いよ。この報酬を提案したの剛君なんだし、まずは光君が剛君へ納得できない部分を話さないと、先々、齟齬が出るよね?どうしてもまとまらないところには、私が口出ししなきゃだけど、何も始まってない内から口を出しても、揉める原因を作るだけで話しも何も進まないよ?」
「そ……それでも、二人を止めて真美さんが間に入って話しを進めれば……」
「話しが進んだとしても、結局は元に戻るだけだよ?豊君、人付き合いってね、どちらかが妥協するから成り立ってるんだよ。妥協案も出てない二人は当然、言い合いになる。そこに、報酬を払う私が仲介したとして、片側には納得できない痼が残っちゃう。それって意味があると思う?」
「けど!妥協って……」
「うん、簡単に言えば諦めること。だけど、納得はしてるから、痼は残らないよね」
「諦めるなら、痼は残りますよ」
「残さないようにすれば良いだけだし、もしも、口論が止まらなかったら、昨日みたいに剛君が提案してくるよ。それに私がYESかNOを伝えて仲介に入ったら、話しがすんなりまとまる。だから、私が入るのは早いよってことなんだけど、どう?」
リベンジ……