楔のように、僕の胸に打ち込まれた卑怯者という一言は、なかなかに深く食い込んでいるみたいだ。何も言い返せない。
そうしていると、真美さんは、くるりと矛先を変えて、光君に突き刺すように言った。
「光君、君もだよ。昨日、豊君にメッセージを送ってたよね?」
光君の黒目が震えたのを知ってか知らずか、真美さんは磨いた鋒を逸らさずに続ける。
「あれ、どうして電話じゃなかったの?悠長にラインでメッセージを送る手間を考えたら、それこそ、ラインの通話機能を使うべきだよね?」
「そ……それは……その……」
口ごもる光君の代わりとばかりに、真美さんが切り込む。
「豊君が犠牲になれば、自分はもしかしたら逃げられるかもしれない、そう思ったんだよね。実際、あのあと、君達の天敵みたいな子達がすぐに怒鳴ってたし、豊君の取り乱しかた、尋常じゃなかったよ?」
さっきまで剛君と言い合っていた光君が、途端に喋らなくなる。図星だったのだろうけど、そう聞いていると、なんだが、腹が立ってきそうだ。けど、真美さんに指摘された手前、強くも言えそうにない。
「剛君もさ、一人でやれるって自信がないなら言えば良いのに、どうして強く出るの?」
まさか、といった表情の剛君が首を振った。
「真美さん、俺は違うでしょ?今回の話しを進めたのは、俺ですし」
「なら、どうして?」
「どうして?って……」
「だって、君……さっき言ったよね?俺と豊だけでやるからよってさ。それって、一人じゃ不安だから言ったんでしょ?」
「それは、俺一人でやっちゃったら、コイツらを置いていっちゃうから……」
真美さんが溜め息を吐く。
「だーーかーーらーー、二人にヤル気がない以上、それなら一人でもやるってならないんでしょ?って聞いてるのであって……私はね、君の言い訳を聞きたいわけじゃないの」
「言い訳なんかじゃない!」
ムキになった剛君が目元の剣を強めたけれど、真美さんは一蹴する。
「やってない以上、それは言い訳だよ、剛君」
剛君の頬が動いた。多分、悔しさと怒りと恥ずかしさで、どうしていいか分からず、奥歯を締めているんだろう。真美さんが放った三股の矛は僕ら三人をそれぞれ貫いたんだ。おまけに、鋒で抉るように言った。
「君達三人ってさ、それぞれがそれぞれに卑怯なんだよ。泥棒、臆病、嘘吐きって感じかな」
僕らを順番に指差しながら、真美さんが小首を傾げる。
悔しかったさ。このときばかりは、本当に言い返せない自分が悔しすぎて堪らなかった。
「ま……真美さんに……真美さんに僕らのことを好き勝手に言われたくありません……たった、数日しか一緒にいないのに、何が分かるっていうんですか……」
あーー……ゾンビねぇ……ゾンビ……