僕は首を縦に動かす。今更、横になんか絶対に振らない。剛君の両目が不安を現しているみたいに泳いだけれど、僅かな間に止まる。
「俺もさ……本当のこと言うと、真美さんに言われたことが悔しくて堪らないんだよな……こんな気持ち、学校にいるときにもなったことないってくらいにさ……」
そこで一度区切った剛君は、大きく深呼吸を挟んだ。きっと、覚悟を決めていたんだろう。
「分かった、俺もお前と一緒にやるよ。これ以上、真美さんから馬鹿にされるのも嫌だし、なにより、お前に置いていかれたくないからさ」
剛君は、言いながら真美さんへ睨むような一瞥を送る。これは、俺の意思ですから、そう伝えている気がする。それに対しての返しは、真美さんの笑顔だけだったけど。
そして、残った光君は、俯いていた顔をあげている。
「ゆ……豊君は……怖くないの……?」
「怖いよ……」
「なら、なんで……」
「光君……僕はね、このままじゃいつまで経っても変われないってことが分かったんだよ……僕は変わりたいんだ。勿論、怖いし、足だって震えだしてる……けど、ここで何も出来なきゃ、これから先、同じことの繰り返しになるだけだよ」
光君は自分の両手の指を組み合わせて、モジモジしている。それだけで、今、光君がどんな気分なのか良く分かる。
「光君、無理しなくて良いよ。今回のことでなにもしなくても、僕は光君と友達をやめるつもりなんかないから……それに、うまくいったら僕が光君を助けることだって出きるようになれるかもしれない。だけど、危ない目にあう可能性は高いのは確かだから、本当に無理だけはしないで……」
光君の指先が止まり、うん、と呟く。この場で決めろなんてのは、あまりにも酷だから僕からは、これ以上続けない。
一段落がついたとみたのか、部屋の窓が閉じる音が聞こえた。
「豊君、本当に良いの?」
真美さんの問いに、僕は素面を保ったまま返す。
「決心がついたんです。僕が前に進める数少ないチャンスを逃す訳にはいきませんし、多分、剛君もそうです」
わざわざ同意を求めるような真似はしない。それは、真美さんも同じだ。
後から聞いたことだけど、改めて聞くのは、剛君に失礼だろうからって意図もあったらしい。気の遣い方が他人より下手な真美さんらしい言いぐさだと思う。
「そう……ありがとね……」
どことなく安堵した柔和な笑顔を浮かべた真美さんが、横目で光君を盗み見て言った。
「秘密にしてたって訳じゃないのは本当だけど、良いの?」
真美さんは、光君ではなく僕に確認をとる。
トイ・ストーリーを久しぶりに見たらめっちゃおもしろかったw