英雄達の夏休み   作:宇宙人と呼んで

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第12話

それから、鬼山を味方につけた真美さんは、同級生達との立場を逆転することに成功したらしい。やられていたこと以上の仕打ちを与え、これまでとは比べ物にならない刺激を覚えた。

同時に、変わっていく自分を不安に感じたこともあった。間違ったほうに進んでいってしまっているんじゃないのか、自分は本当にこのままで良いのか、悪事に手を染め、他人を痛め付けて、両親と不仲になってまで、変わったさきにいる自分の姿は、本当に正しいのか。ハッキリと間違っていたと気付いたのは、五年前のことだったという。

父親が早くして亡くなった日も、真美さんは鬼山達と会っていた。母親から携帯に連絡が入っても、いつものように無視をした。その結果、とても大きく、かけがえのない者を失ってしまったらしい。もう二度と言葉を交わすこともできず、間際まで自分の名前を呼んでいた父親に謝ることもできなかった。イジメに気付かずに、同級生を真美さんの友達として自宅に入れてしまっていたことを責めた時期もあったけど、自身が一歩でも正しく変わっていたら、父親に相談もできていたかもしれない。母親とは、それっきり、ろくに会話もなく、高校を卒業すると貯めていたお金で家を出たこと。その頃には、ブラック・ガーデンを発足し、忙しく暴れていたことを口実に、鬼山と距離を置き始め、上京の当日に、一方的に別れを告げたこと。お金が無かったから、手っ取り早く稼げそうな仕事に就いたこと。そして、四年の月日が経過した現在、母親が入院したと病院から連絡があり、繰り返したくないと戻ってきたところ、運悪くブラック・ガーデンの古株メンバーに見つかってしまい、僕らと出会ったことまで、真美さんは教えてくれた。

話しが長くなり、終わる頃には、もう夕日が傾き始めていたけど、僕も剛君も光君も、真美さんでさえも、誰一人として、その場を立ち上がろうともしない。いや、出来なかったんだ。見えない重石が肩に乗っているかのように、苦しかったからだ。まとめてしまえば、真美さんの自業自得と言ってしまえる。だけど、少なくとも僕は、他人事だとは思えなかった。変わりたい、変われば良いことがある、そう決めつけていた僕にとって、変わっていく自分が怖いだなんて想像もしていなかった。変わるってことには、誤った道に歩み続けて大切なものを失ってしまう、そんなリスクもあるんだ。

真美さんの体験を僕に置き換えて、お父さんが死ぬ前に会えなくて、もう二度と会話ができないって考えてみる。途端に、深い暗闇が胸の中に広がっていく。

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