英雄達の夏休み   作:宇宙人と呼んで

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第6話

そう話しを振ると、剛君は食いぎみに言った。

 

「俺は豊に賛成だ。それに、決行はいつでも良い。うちの親父は、いつも酒呑んでるから、寝るのも早いし、お前らみたいに二人親じゃない。夜中に出ていってもバレないだろうしな」

 

なら、決まりだ。僕と剛君は、ニヤリと笑って頷きあった。あとは、光君だけだ。僕らは揃って光君に目線を流す。

 

「ぼ……僕は……やっぱり……」

 

「光、この中で一番、危ないのは、何度も三人が揃うまで夜中に出なきゃいけない俺なんだぞ。お前と豊はやり取りできるからな。それに、集合は豊の家で、一番安全なお前が、いつまで尻込みしてんだよ」

 

「け……けど……」

 

いつまでも煮え切らない光君が、唇を尖らせれば、我慢の限界を迎えた剛君が机を掌で叩いた。

 

「わかったよ。なら、俺と豊だけでやるから、お前はずっと、なにもしないで、夏休みを終わらせればいいじゃん!」

 

光君が今にも泣き出しそうだ。

きっと、いろんなことが頭の中を駆け巡っているんだろう。お父さんやお母さんに怒られる、もしも、警察に見付かれば学校にも、家にも連絡がいく。光君は、いつも両親に怒鳴られるか、怒鳴られないか、どちらかで行動を決めているみたいな部分がある。だから、学校ではマザコン野郎と馬鹿にされてる。ケガレ、ヨゴレ、マザコン、中学生の三種の神器みたいな言葉だ。

声を震わせた光君が、剛君に言った。

 

「ふ……二人がやるなら……僕もやるよ……」

 

剛君の勢いに負けた光君が、遂に諦めた。仲間外れは嫌だ、これも僕らにとっては見えない魔の手のようなものだ。込められた魔力は、頭に浮かんでいた両親の顔すらも霞ませる。それでも、やっぱり、僕らがやるなら、の一言はズルいと思う。自分一人の決断にしないで、もしものときは、僕らを巻き込もうとしている。

それでも、ようやく意見が一致したことに僕は安堵した。この時点で、集まってから既に五時間が過ぎていて、日が傾き始めていた。貴重な夏休みの初日が無駄にならなくて本当に良かった。と、落ち着いたところで、僕は疑問を抱く。

 

「て、あれ?ねえ、剛君、集合場所って僕の家なの?」

 

剛君は、さも当たり前とばかりに返した。

 

「そりゃそうだろ。言い出しっぺはお前なんだからな。うーー、ワクワクしてきた!なあ、どこにいく?やっぱ、最初は近くのほうが良いよな!なあ、光!」

 

……もしかしたら、今回の件で、一番、危ない役割は僕なのかもしれない。

一人、テンションをあげて、苦笑する光君に絡む剛君の背中を、僕は静かに睨みつけてやった。

そして、今日、下したこの決断により、僕らはとある騒動に巻き込まれることとなる。

このときの僕らは、そんな事態を想像することもなく、ただただ、いつもの日常を過ごしていた。




次回から章を進めます。の前に、ちょっと短編をあげます
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