剛君は、トイレに行くからと離れていき、僕は首回りが緩くなった服を脱いでいく。途中、また顔が熱くなってきたから、急いで浴室に入るとシャワーのノズルを高い位置にかけて、頭から一杯に冷水を浴びた。
最初こそ息を呑んだが、次第に身体が慣れていくにつれ、熱が冷めていく。
黒崎での一件から、沢山の涙を流したから、頬に跡が残っていないかと鏡で確認する。
よし、残っていない。僕は、シャワーを止めて、用意していた服に着替えて剛君を呼んだ。
すぐにトイレから出てきた剛君の眼がさっきよりも赤くなっていることに気づいたけれど、僕はシャワーを勧めるだけに止どめて、緩まった服を、誰もいないリグングのゴミ箱に放ろうとして思い止まった。お父さんやお母さんに見付かったら、きっと、追及されてしまう。こんなこまで考えなきゃいけない状況を作り上げた白木と大場の顔が浮かび、僕はゴミ箱から取り上げた服を、力の限りゴミ箱の中へと叩きつけた。
まあ、そんなことをしても、情けないだけだと思われちゃうかもしれないけど……
深い溜め息を挟んで、ゴミ箱から服を拾うと部屋に戻ると、ベッドに座って本を読んでいた真美さんが、ぱっと僕を見た。
「どう?少しは気分もよくなった?」
僕は精一杯の笑顔を作った。
「ほんの少しですけど、まあ、なんとかですかね……」
「そう。なら、剛君を待ってる間に、ちょっと二人でお話しでもしよっか」
ちょいちょい、と軽い様子で手招きをされ、僕は前のめりなって椅子に座った。組んだ両手を股間の上に置いて真美さんの言葉を待ちながら、時計を見上げる。時刻は、夕方三時十五分、あと数時間でお母さんが帰ってくる。
僕一人だったら、シャワーを浴びるよりも先に、部屋にこもって泣いていただろう。そして、お母さんを不安にさせる。そうならないようにしてくれたのかと思い、真美さんにお礼を言おうとすると、僕らは同時に声を出した。ほんの僅かに流れる気まずさを感じた僕は、真美さんに右手を向けて譲った。
真美さんは、小さく頷いて口を開く。
「晒は、その彼らに持っていかれたんだったっけ?」
「はい……ごめんなさい、せっかく真美さんがお金を預けてくれたのに……」
「それは、どうして?さっきは驚いて細かく聞けなかったけど、理由は?」
僕が唇を締めると、真美さんは優しい声音で言った。
「大丈夫、責めてる訳じゃないよ。ただ、なにがあったのかを訊いてるだけだから……話したくないほど嫌なことでもあった?」
僕は首を横に振った。
「違うんです……ちょっと、なんて言うか……」
TWD見てたらゾンビ書きたくなってきた……w