WITCHER Ⅲ BERSERIA   作:影絵師

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第一話

 ラフィと共に旅に出て、どこかで会ったような人を知り、故郷に帰ってアーサー義兄さんとセリカ姉さん、そして二人の子供――フィーと一緒に過ごす夢を見ていたベルベット・クラウ。

 だが、吹雪と骸骨の騎士に襲われる悪夢を見せられる。 

 

 

―――

 

 ラフィとフィーが骸骨の騎士に斬られる直前に目を覚ましたベルベット。深呼吸をして自分を落ち着かせ、周囲を見渡した。

 全く知らない草原。焼け焦げた匂いと何かの腐臭が鼻につき、現実だと教えてくれる。共に封印されたはずのラフィ――姿をしたカノヌシを思い出し、探すか周りにはいなかった。

 

「お目覚めかい、お嬢さん」

 

 呼び掛けに反応し、すぐに身構えるベルベット。彼女が振り向いた先にいたのは見知らぬ男性だ。

 

ベルベット「何者よ」

 

「そう警戒するな。ただの鏡を取り扱っている商人、“鏡の達人”と呼ばれているゴウンター・オーディムさ。お嬢さんこそ何だ? 怪物や外道が彷徨いている戦場で野宿だなんて家族が心配するぞ」

 

ベルベット「……あんたには関係ないでしょ。守ってくれたとしても礼は言わないわ」

 

オーディム「そう言うと思ったぜ、お前さんはしっかりしているな。しかし、ここで話しているのも危険だ。近くにホワイト・オーチャードという村がある、そこの酒場で話をしようじゃないか」

 

 オーディムの提案を賛成する気はないベルベット。しかし、カノヌシと封印されたはずの自分が「ホワイト・オーチャード」という知らない場所で目覚め、その上世界の驚異であるカノヌシが見当たらないことに危機感を感じ、状況整理するために彼の提案を飲んだ。

 

ベルベット「いいわ。あんたを信用してないけど、全く知らない所を動くよりはマシだわ。ただし、妙な真似を見せたら――」

 

オーディム「篭手に仕込んでいる剣で、それともその左腕に隠されたナニカで俺を切り裂いてやってもいいぞ。まあ、そうされる真似を見せるつもりはないがな」

 

 オーディムの言葉に驚くベルベットだが、その感情を隠しながら問い詰める。

 

ベルベット「さっそく見せているじゃない。あたしの体を調べたかしら? もしそうだったら――」

 

オーディム「おいおい……そんなの見ただけでわかるだろ? そんな怖い顔をするなって」

 

 そう言いながらあるものをベルベットに投げ渡すオーディム。受け取ったベルベットは自分の顔が映っているそれを見つめる。

 鏡だ。それに映っている顔は少々土で汚れていたが、封印される前に見た時とは変わらない。自分の目は三白眼だとフィーに言われたことあるけど、どういう意味かしら? 

 鏡を見てから時間が経ってない時、オーディムに声をかけられた。 

 

オーディム「おい。そろそろ返してくれないか? 大事な商品でな」

 

 返そうとした時、周囲の異変に気づいた。

 戦場に立っていたはずの自分が、建物の中でテーブル席に座っていた。どうやらここがオーディムが言ってた酒場のようで、女店主が男性客達に酒を運んでいる。自分の向かい側の席にはオーディムが座っていて、酒を飲みながらこちらを見ている。

 ……ここまで来る間の記憶が全くない。ベルベットはなんとか思い出そうとすると、鏡を返してもらったオーディムが言った。

 

オーディム「ずっと鏡を見ていたからな。人間は集中すると他のことに目を向けられなくなる、お前さんは人間ってことだよ」

 

ベルベット「……あたしを人間として見てなかった言い方ね。この左腕のこともわかっていたようだし」

 

オーディム「ここでは人間じゃない連中はゴロゴロいるさ。人間に近いエルフやドワーフ、ハーフリングといった非人間族、人間に化ける吸血鬼やドップラー、ついでに悪魔、人間だった人狼、そして……怪物を殺すために怪物に近い存在に変えられた者――ウィッチャーとかな。もちろん、人間と仲良しってわけでもなく、きっかけがあれば虐殺が起こるがな」

 

 オーディムの説明に疑問を感じるベルベット。ベルベットが知る怪物――業魔の多くは元人間であり、心の負の感情が溢れた結果が理性を失った怪物だ。

 だが、その後続いたオーディムの説明ではここの怪物は別の世界から来た存在であり、人間が怪物になるのは迷信らしい。「本当に怪物になる人間もいる」と付け出したが。

 その説明にベルベットは言った。

 

ベルベット「まるで『世界はいろんな世界と繋がって出来ました』っておとぎ話ね」

 

オーディム「おとぎ話じゃない、真実さ。魔法、怪物、人間、様々な他世界の要素が大変動『天体の合』によって一つの世界に集まって出来たわけさ。あんたもその一人だろ、『災禍の顕主』ベルベット・クラウ」

 

ベルベット「……そこまで知ってるとはね」

 

 仕込み剣を出す準備をしてから質問するベルベット。

 

オーディム「正確には知り合いから聞いただけだ。冗談で言ってみたんだが、まさか他世界の魔王だったとはな……」

 

 冷や汗をかいているようなオーディムから聞き出そうとするベルベットの口が開いた時だった。

 酒場の扉が開き、そこに立っている人物を見た男性客がこう言った。

 

「なんだ? ウィッチャーか」

 

 傷が目立つ顔、猫のような瞳孔、背中に背負っている二刀。

 このウィッチャーは他世界からの喰魔と旅をするとはまだ誰も知らなかった。

 

to be continued

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