WITCHER Ⅲ BERSERIA   作:影絵師

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今回と次回にかけてアンケートがあります。


第九話

 

 十字路の宿屋からシリの情報を掴んでいる諜報員ヘンドリックがいるヘザートンへ向かうウィッチャー&災禍の顕主一行。しかし、遠くに村が見えた瞬間、異変に気づいた。

 

ライフィセット「屋根に雪が積もってる……?」

 

マギルゥ「こーんなお日様があっちあちの天気におかしいのう。霧も出とるし」

 

エレノア「それに人の気配が感じません……店主が言っていた例の光とはこのことでしょうか?」

 

 息が白くなるほど寒くなっているヘザートンを調べ回る。地面と屋根には季節外れの雪が積もっており、人の姿が全く無い。

 いや、一人いた。獰猛な犬たちに松明で抵抗している男性だ。それぞれ馬から飛び降り、犬たちを蹴散らしていく。致命傷を負った犬は地面に転がり、残った犬はゲラルトたちに怯えて逃げ出した。

 犬に襲われていた男に近づくが、未だ松明を向けて警戒している。

 

「あっち行け! 誰かは知らんが、ほっといてくれよ!」

 

エレノア「お、落ち着いてください。私たちは危害を加えません」

 

 そう宥めるが、松明を気にせず近寄る彼らに男は腰を抜かしてしまう。ゲラルトが指先を向けて動かし始める。

 

ゲラルト「落ち着け、もう終わったんだ」

 

 洗脳魔法――アクスィーで男の精神を正常に戻すと、男は諦めた表情で言った。

 

「ああ……終わった……一度こぼれた水は元に戻らない……忘れることなどできない……」

 

 村の中心にある雪が積もった井戸の縁に座る男にベルベットが質問した。

 

ベルベット「あたしたちはヘンドリックを探しに来たけど……ここの様子じゃあ期待できそうにないわね」

 

「ああ……あんたの言う通り殺された。奴らはあの小屋で彼を捕まえて……人間があんな叫び声をあげるなんて……何をされたか想像もできん……」

 

 その言葉にエレノアは口を手で覆い、他の者たちも暗い表情をした。

 

アイゼン「ここで何かあったか話せ。言える範囲でな」

 

「みんな連れて行かれたんだ……」

 

 

 

 ……陽が落ち始めて……血のように赤い夕焼けに変わった。「おかしいな。蛙の声が聞こえない」と思った。その時、暖炉の火が突然消えてしまい、窓から何故か雪が吹き込んできたんだ。まだ冬じゃないのに。

 そしたら外から悲鳴が聞こえたんだ。外を見ていたら吹雪の中を何かから走って逃げる奴、子供を家に避難させる奴、そして……氷に覆われた馬に乗った骸骨の鎧を着た騎士共がいた。その騎士の中に、王冠の兜をつけたような奴が恐ろしかった……そいつらはヘンドリックが住む家に入っていった。

 その時、何が起こったかはわからん……ヘンドリックが叫んで……許しを求めたが……最後にはうめき声しか聞こえなかった。

 そのあと……ヘンドリックだけでなく、村人も殺されるか連れてかれてしまい、建物に火をつけられてしまった……

 

 

 

「奴らはすぐ去ったが、村は真冬みたいに凍った……」

 

 ワイルドハントが起こしたヘザートンでの惨劇を聞き終えたゲラルト達の表情は険しかった。特に故郷を滅ぼされた過去があるベルベットとエレノアの二人は怒りで拳を握りしめていた。災禍の顕主は滅ぼす側であると同時に滅ぼされた側でもある。

 ゲラルトは聞いた。

 

ゲラルト「その後、ヘンドリックの家を覗いてみたか?」

 

「いや……あそこには入らない。何があってもな……」

 

ロクロウ「わかった……お前はこれからどうするんだ?」

 

「十字路に行く。ここでは生活できないだろうし……」

 

エレノア「そうですか……あなたに平穏を」

 

 男と別れ、ヘンドリックの家へ向かう一行。入り口まで近づいたところでゲラルトが立ち止まり、ベルベットが尋ねる。

 

ベルベット「どうしたのよ?」

ゲラルト「ヘンドリックは拷問で死んだ。この中に彼の死体があるはずだ、あまり見たくない状態のがな」

 

ライフィセット「……ゲラルト、僕は大丈夫だよ。世界を見守る聖主になったからには残酷から目をそらしたら駄目なんだ。それにロクロウが斬ったので慣れてるからね」

 

ロクロウ「おっ! 流石はライフィセットだ。戦う者が一々エグいのを見ただけで隙を見せたら笑いものだぞ」

 

エレノア「ライフィセットに変な影響を与えないでください、ロクロウ!」

 

 三人の掛け合いを見ていたゲラルトにアイゼンが「俺たちはこういう感じだから気にするな」と声をかける。改めて単なる子連れ女連れではないと考えたゲラルトは先に家に入っていく。

 ヘンドリックはすぐ見つかった。血まみれの死体で。

 

エレノア「酷い……」

 

ゲラルト「何か見逃してるかもしれない……」

マギルゥ「じゃが、ワイルドハントが探られて持っていかれとるかもしれんのう」

 

 死体を調べて分かったのは真冬の凍死体のように硬直していること、上着とズボンのポケットには何もないことくらいだ。

 

ライフィセット「……ねえ、このブーツおかしくない? 片方の靴底が厚いよ」

 

 彼の指摘にブーツの靴底を掴んでみた。すると、靴底が取れて鍵が隠されてあった。

 

ゲラルト「いいぞ、ライフィセット。さて、鍵があるなら、鍵穴もあるはずだ」

 

ロクロウ「それに隠されたままってことは、ワイルドハントには気づかれてねえようだ。わざわざブーツの中に戻さねえだろうな」

 

エレノア「しかし、それを使う鍵穴はどこにあるでしょう? 機密書類が入った箱だとしたら持っていかれたら……」

 

 周囲を見渡していると、床に乱れたカーペットと散らかった家具を見つけた。そこから何かを感じてきた。

 

マギルゥ「風が感じるのう……ここの地下にありそうじゃな」

 

ベルベット「先に掃除が必要そうね。この人も弔ってやらないと」

 

 カーペットと家具を外に片付け、ヘンドリックの死体を埋めて墓標を立てたゲラルトたち。カーペットの下に隠された隠し扉にある鍵穴を先程見つけた鍵で差し込むと開けられた。

 隠された地下室に飛び降りるゲラルト。仲間が次々と降りていく中、壁の蝋燭立てが気になり、動かしてみた。すると、壁にある別の隠し扉が開いた。

 

ゲラルト「これは……面白い……」

 

ライフィセット「そうだね。こういうのってワクワクするよ!」

 

ロクロウ「ゲラルトもそういう方か。今度いろいろ話さないか」

 

アイゼン「こういったのが嫌いな野郎はいねえだろうな」

 

ビエンフー「ほんとでフ! ボクがいつも隠してる貴重な本もこういう感じで、隠してるでフ!」

 

 男のロマンを語り合おうとする男性陣。

 

ベルベット「どうして男はこういうのが好きなのかしら」

エレノア「本当です。掃除が面倒なだけなのに」

マギルゥ「ビエンフー、お主が言った本、どこにあるんじゃ~」

 

 冷ややかなに言う女性陣。

 「ビエーン!」とマギルゥの手でヘンドリックの二の舞になりそうなビエンフーを残して開いた隠し扉に向かう。そこに隠されていたのは帳簿だった。

 

ゲラルト「穀物の代金……木炭の出荷量……ヘンドリックは商人に偽装していたのか……」

 

ライフィセット「帳簿の間にメモがあるよ。重要なのか書いてあるかも」

 

 

 捜索状況……対象(シリ)はスケリッジ、及びノヴィグラドで確認された。外見に変化なし、灰色の髪、顔に傷痕。他人との接触を避けている。

 

 酔っぱらい……男爵と呼ばれる人物が自分の城に対象を招いた。城というより、不法に占拠した砦だが……理由は不明。クロウパーチで男爵と接触予定。

 

 魔女と遭遇……対象は沼地に降り立ち、魔女と遭遇した。争いが起こったようだ。原因は不明。魔女を見つけろ、ミッドコプスの村で村人と話せ。

 

 警戒……私は監視されている。相手も目的も不明。不安だ。犬が逃げた。バケツの水が凍った。空に妙な光が見える。村人は凶兆だと言う

 

 

ゲラルト「ワイルドハントはヘンドリックがシリを探していると知った……だから拷問を……」

 

 メモに書かれた内容を読み終えたゲラルトは口に出す。

 

ベルベット「口封じかもしれないわ。今わかってるのは、シリを招いた血まみれ男爵と、争いがあった魔女が何かを知ってることぐらいよ」

 

アイゼン「男爵はともかく、魔女を探すにはミッドコプス村の連中から聞き出さないといけねえようだ」

 

 

 シリの情報を持つヘンドリックは殺されてしまった。残された手がかりは血まみれ男爵、そして魔女だ。

 ゲラルトたちが次に取った行動は……

 

・血まみれ男爵に会いに行く

・魔女のことをミッドコプスで情報収集する




 今回はアンケートを取ります。次のルートはどれにしてほしいかです。それぞれのルートには参戦作品が関わる予定です。

・血まみれ男爵に会いに行く(星のカービィorゼルダの伝説)※スマブラ設定で
・魔女のことをミッドコプスで情報収集する(東方プロジェクトor魔法少女まどか☆マギカ……orINheritage)

 ちなみに参戦作品のリクエストは引き受けていますが、情報が少ない作品、出したら様々な理由で崩壊する作品は断らせていただきます。

 次回もお楽しみに。

次のルートはどちら?

  • 血まみれ男爵に会う
  • 魔女を探す

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