WITCHER Ⅲ BERSERIA   作:影絵師

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第五話

 ニルフガード軍駐屯地からヴェセミルが待つ宿屋へ戻ってきたゲラルトとベルベット。太陽が沈む中、宿屋へ入った二人はテーブル席に座るヴェセミルを見つけ、彼と同じ席に座った。

 ゲラルトが駐屯地で聞き出した情報をヴェセミルに教える。

 

ゲラルト「イェネファーはヴィジマにいる、ベルベットが探している者もな。現地で話を……」

 

 ヴェセミルが聞いていないことに気づき、尋ねてみる。

 

ゲラルト「どうした?」

 

ヴェセミル「周りを見ろ。一触即発だ」

 

 周囲を見渡すと、広げた手の指の間をフォークで連続に刺している男とそれを見ている男達が近くのテーブル席にいる。

 彼らに気づかれないようにベルベットがヴェセミルに聞いた。

 

ベルベット「あいつらは何者よ?」

 

ヴェセミル「愛国者さ。テメリアに7回ほど乾杯して、拳をうずいてる」

 

ゲラルト「ニルフガード人はいないようだが」

 

ヴェセミル「他の相手を探すだろうな」

 

 ……どうやらその“他の相手”がウィッチャーになることが多いようね。怪物を狩ってもらってるのに、とんだ恩知らずね。

 ベルベットがそう思うと、ヴェセミルは言う。

 

ヴェセミル「旅に必要なものを買い揃えよう。支度ができたら出発だ」

 

ベルベット「そうね、あたしも何か買っておくわ」

 

 席を立ち、女店主に向かおうとするベルベットにヴェセミルは釘を刺す。

 

ヴェセミル「ベルベット……面倒には関わるなよ、絶対だぞ」

 

 「わかってるわ」と返し、女店主の所まで行く。駐屯軍隊長からもらった金を出し、女店主に尋ねた。

 

ベルベット「これで買える物はある?」

 

「あら、これだけあれば多く売ってあげられるわ。何をお求めかしら?」

 

ベルベット「そうね……人参にじゃがいも、それと豆腐はある?」

 

「トウフ? そんな食材は聞いたことないわ」

 

ベルベット「大豆で作られた白くて四角いものよ。普通に売ってると思ったけど」

 

「ごめんなさいね、お嬢さんがどこの人なのかは知らなくて」

 

 女店主のその言葉に、ここは違う世界であることを思い出したベルベット。

 ゲラルトとヴェセミルにマーボーカレーを作ってあげようと思っていたけど、他の世界に同じ食材があるとは限らない。

 ベルベットが女店主に謝ろうとした時だった。

 

「こんなニルフガード人でもない女にも何か売るつもり!?」

 

 すぐ近くのカウンター席に座っていた女性が声を上げた。どうやらテメリアの愛国者のようだ。

 ベルベットは彼女を見るが、女店主が女性に落ち着いて話しかける。 

 

女店主「ここは旅人が来る宿屋よ、多くの場所から様々な人が来るのよ。この子に迷惑をかけないで」

 

「テメリアを滅ぼしたニルフガードにも売るってこと?」

 

女店主「……そうよ」

 

 その答えを聞いた直後、女性が女店主の頭を掴んだ。頭に血が上った女性は女店主の頭をカウンターに叩きつけようとするが、ベルベットが女性の腕を包帯に巻かれた左手でワシ掴みして阻止した。

 女店主は解放され、女性はベルベットから逃れようと暴れる。

 

「放っといて!」

 

ベルベット「いい加減にしなさい」

 

 力を込めて痛みを与えると、女性はうめき声を上げて動きを止める。あとは解放するだけで収まる、そう思っていた。

 だが突然、誰かに押されベルベットは女性を解放してしまった。別に女店主を攻撃するわけでもなく、その場を去っていった。

 自分を押したのは愛国者の一人である男性だと分かり、その人物を睨むベルベット。それを見たゲラルトとヴェセミル、他の愛国者達が席を立った。ウィッチャーはベルベットの方に行き、愛国者達はベルベット達を逃さないように出入り口への道を塞いだ。

 

ヴェセミル「このメダルが見えるか? その意味が分かったら下がっていろ」

 

ゲラルト「大丈夫か?」

 

 ヴェセミルは愛国者に警告し、ゲラルトは女店主に声をかける。女店主はなんとか頷く。

 愛国者達は次々と罵倒する。

 

「ウィッチャーは子供をさらうらしいぞ」

「本当か?」

「あの女は化け物だ! 左手を化けてウィッチャーと一緒にグリフィンを殺したのを見たぞ!」

「報酬に皇帝から何をもらった? 領地か? エルフがもらったみたいに?」

 

ヴェセミル「失せろ、全員だ」

 

「どこへも行かねえぞ」

「お前らも逃さねえ」

 

 得物を取り出す愛国者達。それを見たゲラルトとヴェセミルは人間用の鋼の剣を抜刀し、ベルベットも刺突刃を出して構える。

 

ヴェセミル「引く気はなさそうだな」

ゲラルト「そのようだ」

ベルベット「全く、勇気があるのかバカなのか」

 

 戦いは始まったが、それは一方的だった。

 怪物を殺せるウィッチャーのゲラルトとヴェセミル、普通の人間では倒せない業魔のベルベットとはレベル違いの愛国者達は次々と血を散らして宿屋の床に倒れていく。

 最後の愛国者の腕を斬り落とし、首を斬り飛ばしたゲラルト。それを見届けたベルベットは女店主に近づき、手を差し出す。

 

ベルベット「大丈夫よ、もう終わったわ」

 

 しかし、女店主は逃げるように離れ、こう言った。

 

女店主「出ていって。もう二度と来ないで」

 

 その言葉に動きを止めるベルベット。戦いに参加しなかった客からも同じように言われる。

 

「あいつらの顔を見ろ……恐ろしい……」

「放っといて! 出ていって!」

 

 ……復讐のためなら手段を選ばず、それで災禍の顕主と恐れられることには慣れていた。殺したとはいえ、人を助けても恐れられるなんてね……

 そう思うベルベットにヴェセミルが話しかける。

 

ヴェセミル「巻き込まれるのは懲り懲りだ……さあ、行くぞ」

 

 先に宿屋を出るゲラルトとヴェセミル。ベルベットも恐怖が込められた視線を浴びながら宿屋を出た。

 

ゲラルト「あの乱闘は、俺たちのせいじゃない」

 

 ゲラルトのその言葉が耳に入り、出ても面倒に巻き込まれるかと思い、待ち伏せしている者たちを見る。

 それは意外な人物達だった。思わず彼らの名を呼ぶ。

 

ベルベット「ロクロウ、マギルゥ、エレノア、アイゼン、フィー!? どうしてあんたがここに?」

 

ロクロウ「やっぱりベルベットだったか! MGMのリンカーンから聞いた時は疑心暗鬼だったが、本当にお前がいるとはな」

 

マギルゥ「じゃから言ったろう。儂の100億万ガルドがかかっておるからじゃの!」

ビエンフー「ボクのことも忘れないでほしいでフ〜〜!」

 

エレノア「でも、まさかベルベットがこの世界にいたなんて想像もつきませんでした」

 

アイゼン「俺たち自身もこの世界に流れ着くとは想像つかなかったがな」 

 

ライフィセット「でもベルベットに会えるなんて僕は嬉しいよ!」

 

To Be Continued

 

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