ぬらーり ひょーん(G)な異世界旅行記   作:しゃしゃしゃ

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 分割、後半部分です。



第三話「ギフト鑑定、女体地獄」

 

*********************

 

「フォレス・ガロとギフトゲームをする!? なぜそんな急展開に!? 」

 

 ただいま天幕の内側に入り、合流し、ゲームをすることになったと事後報告を受けたところです。

 また黒ウサギが青ざめています。それはともかく、ジン坊ちゃんもなかなか可愛らしいですね。うん、ありだな。自分の中の男性としての意識も女性としての意識も「アリだよっ! 」と激しく主張しています。

 

「「腹が立ったから後先考えずケンカを売った。反省はしていない」」

 

「このお馬鹿様! お馬鹿様! 」

「でもどうしてこんなことに? 」

 黒ウサギ、そのポーズは少年の何かに危ないですよ。

 

「ごめん…でも僕もどうしてもあいつが許せなくて」

 

「お、お気持ちは分かりますが…。

 まぁいいです。フォレス・ガロ相手なら十六夜さん一人でも―――」

 残念。

「俺は出ねぇぞ? 」

 

「―――は? 」

 

「は じゃねぇよ。このケンカはあいつらが売ったんだ。俺が手を出すのは無粋ってもんだろ」

 

「あら、分かってるじゃない」

 

「じゃあ自分もパスで」

 

「もう好きにしてくださぃ…」

 うなだれちゃった。

 

 

 

 

「で、どこに行くんだよ」

 歩きながら、十六夜さんが問いかける。

 

「ゲームは明日ですからね。皆さんのギフト鑑定を、サウザンドアイズにお願いしようかと」

 ジンくんが答える。

 街並みを見回すだけでたのしいな、こりゃ。見るものすべてが新鮮に感じる。

 

 自分の中の何かが満たされていくような、すがすがしい気持ちだ。

 

「サウザンドアイズ? 」

 

「YES! 箱庭の東西南北、上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです! 」

 

「ふ~ん…」

 

 桜のような花びらが降ってくる。

 

「桜? この世界は今春なのね。私の世界では夏だったけど」

 

「私の世界では秋だったよ? 」

 

「「?」」

 小首傾げる美少女二人、後ろからみても分かる可愛さよ…。

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのですよ。時間軸以外にも、歴史や文化など、違う箇所があるはずです」

 

「パラレルワールドってやつか」

 

「正しくは、立体交差並行世界論というものなのですけれど」

 

「へー…」

 

 さっぱりわからん。頭脳面は模倣じゃどうにもならんからなぁ…。

 

 

 

「ねえ、あれがそうかな」

 耀さんが指さす。ん?! 兎!? ラビットハウスが箱庭にも?!

 

「あ、はい。あれがサウザンドアイズの―――」

 言い終える前に、遮る声。

 

「ぃぃやっほぉおおおお!! 久しぶりだ、黒ウサギィィィ! 」

 ロリっ子もとい、白夜叉が黒ウサギにルパンダイブしてそのまま水路に突っ込んでいった。

 

「ほほほ! やっぱり黒ウサギは触り心地が違うのぉ! ほれぇ、ここがええかぁ! ここがええんかぁ! 」

 テラ新井。リアルに聞くこの声はすげぇわ。今度この声にしてみようっと。

 

「し、白夜叉様?! どうしてこんな下層に?! 」

 胸にぱふぱふしてる。いいなぁ、いいなぁ。

 

「―――っていうか、離れてください! 」

 飛んできた。

 

「ごふぅっ! 」

 蹴りで受け止められた。

 

「おんし! 飛んできた美少女を足で受け止めるとは何様じゃっ! 」

 確かに美少女。うむうむ。

 

「十六夜さまだぜ、和装ロリ。以後よろしくな」

 

「うー、私まで濡れることになろうとは…」

 

 っ! チャーンス!

「大丈夫? 黒ウサギ。はい、タオル」

 ふっふっふ。白夜叉絶賛の黒ウサギの触り心地を体感してやるぜ………!

 

 

「あ、ありがとうございま…いえ、やっぱり遠慮しておきます」

 ?! バカな、気づかれたか?

 く、兎ゆえの危機感知能力とでもいうのか…?

 畜生!

 

 

 中に案内されて、お座り。

「さて、改めて私はサウザンドアイズ幹部の白夜叉だ。四桁の門、三三四五外門に本拠を構えておる。

 そこの黒ウサギとは少々縁があってな。ちょくちょく手を貸してやっている、器の大きな美少女である! 」

 

「外門って、何?」

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強力な力を持つ者達が住んでいるのです。因みに私達のコミュニティは一番外側の七桁の外門ですね」

 

「そして私がいる四桁以上が上層と呼ばれる階層だ。その水樹を持っていた白蛇の神格も私が与えた恩恵なのだぞ」

 

 それを聞いて十六夜さんの目つきが変わる。

 やめなされ。

 

「当然だ。私は東側の”階級支配者(フロアマスター)”。この東側にある四桁以下のコミュニティで並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)だからの」

 それを聞いた途端三人が立ち上がった。

 やめなされ。と思いつつ、ノリで立ち上がってみる。

 

「最強の主催者(ホスト)か、そりゃいいな」

「ええ、ぜひともお相手願いたいわね」

「うん」

「自分は、まぁ…ノリで」

 

「ちょ、ちょっと皆さん! 」

 

「よいよい黒ウサギ。私も遊び相手に窮しておる故な」

 慌てる黒ウサギを諫め、座ったまま3人の問題児たちの視線を受け流す白夜叉。

 

「そいつは奇遇だな。俺も同じだ、少し遊んでくれよ最強の主催者(ホスト)様? 」

 やばいよねー。

 

「ふふん、よかろう。じゃが一つ確認しておくことがある。

 おんしらが望むのは“挑戦”か? もしくは“決闘”か? 」

 白夜叉は懐からサウザンドアイズの紋章が描かれたカードを取り出し、次の瞬間、自分たちは水平に太陽が廻る、白い雪原と凍った湖畔の土地にいた。

 

「ここは? 」

 

「驚くことはない。ここは私が持つゲーム盤の内の一つだ」

 いや驚きますって。とりあえず驚くふりをしておく。

 

「このな土地がゲーム盤?! 」

 

「私は“白き夜の魔王”―――太陽と白夜の星霊、白夜叉。箱庭にはびこる魔王の一人よ。

 今一度問う。おんしらが望むのは試練への“挑戦”か? それとも対等な“決闘”か? 」

 やっべーよなー。自分の力じゃどうやったって勝てる気がしねーぜ。

 

 十六夜さんが苦笑して

「まいった。やられたよ白夜叉。これだけのもんを見せてくれたんだ。今回は黙って試されてやるよ」

 

 

「よかろう、ではゲームに移ろうか」

 白夜叉がそう言うと、黒ウサギとジン坊ちゃんがあからさまにほっと息を吐く。

 

 

「おんしたちには、あれの相手をしてもらおう」

 白夜叉が扇子で指示した方向には、UFO…というかグリフォンがいた。

 

「あれは!…グリフォン!?」

「如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。ギフトゲームを代表する幻獣だ。

 このグリフォンで、おんしらの力・知恵・勇気を試させてもらおうかの」

 そういうと自分たちの頭上から紙が降ってきた。

 

「クリア条件…グリフォンの背にまたがり、湖畔を一周する、か」

「誰がやる? 」

 

「私やる」

 耀さんがすっと手を挙げ、グリフォンに近づいていく。

 

「…え、ぇっと…初めまして、春日部耀です」

 

『―――』

 だーめだ。聞こえないや。

 

『――――――――――――――? 』

 

「命を賭けます」

 その時女性陣に戦慄が走る…! ここ、他の人にはグリフォンの声聞こえなくて話の流れわかんないだから、突然そんなこと言ったら戸惑うよな、普通。

 

「もし転落して生きていても、私はあなたの晩御飯になる。それじゃダメかな? 」

 

「な、なにを言っているのですか! 」

「本気なの? 春日部さ 」

 

「下がれ、二人とも」

 こっわ! 白夜叉こっわ!

 

「大丈夫だよ」

 こちらに振り返って笑いかける。美少女はええなぁ。

 

 

 

 で、始まって、すぐに遠くに行ってしまった。

「春日部さん……大丈夫かしら」

 

「さあな。だがあのスピードと山脈から吹き降ろす風。体感温度はマイナス数十度にもなっているはずだ」

 

「それはまずい。大丈夫かなー。不安だなー」

 茶化すように言ったら睨まれた。ごめんなさい。

 

「あっ、山の影に」

 

「あとは、あいつ次第だ」

 

「あれだけ激しく動いていると、身体にかかるGは相当なはずだ。普通ならとっくに失神してる」

 見えてきたと思ったら、急上昇したり回転したり、すっげえ。自分があの場にいたなら失神して落ちてたろうな。

 そんでもって染みになった後はグリフォンにむしゃむしゃされて晩御飯分食われちゃってたろう。

 

 近づいてきた。

「意識が飛びかけています! 」

「がんばってー! 春日部さーん! 」

 

 ゴールまであと十五メートル、十メートル、五メートル……。ゴール!

 そして耀さんの手がグリフォンから離れ地上に落下していく。

 駆け出そうとする黒ウサギを十六夜さんは制止する。

 

 耀さんは空の上で態勢を整え、そのまま空を踏みしめて地上まで降りてきた。

 うん、なかなかに幻想的だ。

 みんなが駆け寄っていくので自分も遅れないようについていく。

「やっぱり。お前のギフトって、他の生き物の特性を手に入れる類のものだったんだな」

 

「違う。これは友達になった証」

 

 そうしてグリフォンと少し話しているのを眺めると、白夜叉が賛辞を述べてきた。

「いやはや大したものだのう。ところで、そのギフトは先天的なものか? 」

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげ」

「木彫り? 」

 

「これ」

 耀さんは自分のネックレスを見せる。

「ほほう。円形の系統図か」

 

「鑑定していただけますか? 」

 

「なに? 鑑定だと…? …もろに専門外なのだが………あ、いや? 」

 何か思いついたような顔になった。

 ついに来るか。

 

「よかろう! 復興の前祝いだ! 受け取るがよいっ! 」

 柏手一つ。そうすると自分たちの目の前に四角いカードが現れた。

 

「まさか、ギフトカード? 」

 

「なにそれお中元? 」

「お歳暮? 」

「お年玉? 」

「えっと、ギフト券? 」

 

「違いますよ! 顕現してるギフトを収納できる上に、各々のギフトネームが分かるといった超高価な恩恵です!! 」

 

 知ってる。要は四次元ポケットなわけだ。

 そんでもって、自分のギフトカードは乳白色のカードに『ぬらりひょん(G)』と書かれている。

 

 Gとは「GANTZ」のGかな? まぁ、なんでもいいけど。

 

「ふーん…じゃあ俺のはレアケースなわけだ」

 

「なに? 」

 

 よし、便乗しよう。

「白夜叉さまー」

 

「………ん、ああ、なんじゃ」

 

「自分の“恩恵(ギフト)”も、ちょっとわからないのがあるんですけどー」

 

「ふむ…どれどれ? 」

 

「この(G)ってなんのことだと思います? 」

 

「むむむ…なんじゃろうなぁ、ってお主――人ではなく、妖怪じゃったのか? 」

 

「妖怪? 」

 

 なんだなんだ と興味を引いたようで、皆が集まってきた。

 

「ぬらりひょん? 『奴良』って名字からして、子孫とかなのか? 」

「ぬらりひょん…ってなんだったかしら、妖怪? 」

「たしか、商人みたいな恰好をした妖怪」

「人の家に勝手に上がり込んでお茶を飲んだりする妖怪…でございましたっけ、奴良さんのギフトと全然かみ合わないような気がするのですが」

「そういえば、奴良さんのギフトってどんな力なんですか? 」

 

 ジンくん、よくぞ聞いてくれました。

 

「自分のギフト? はねー………こんなの」

 言って、自分の手のひらを皆に向ける。

 

 ?マークが浮かんだのを見て、自分の手のひらに極小の口を無数に生やす。

「ヒッ! 」

 

 イメージとしては手のひらが超小さな粒粒(つぶつぶ)に覆われて、そのすべてに歯があり舌が見え、がちん、がちん、と不規則に開いたり閉じたりして蠢いている感じ。

 集合体恐怖症の人が一瞬で正気度(SAN値)ピンチ! になる感じを思い浮かべてもらえれば。

 

「他にも~」

 キモくしていない方の手を野球のグローブみたいに膨らませ、顔を隠す。そして

 ぼとぼとり。

 

「ッ! 」

 眼球や鼻を落とし、口は顎ごと外して落とす。顔のパーツを落下させて、

じゃーん

 

「 ! 」

 

 今の自分の顔、パーツの向きを変えてみましたー。FGOのラフムや不安の種のオチョナンさんみたいな感じで。向きを変えただけなのにねー。生理的恐怖を感じずにはいられない顔面になっているのですー。

 

 さーらーにー。

 

「 ! 」

 

 あえてボキボキ音を出しながら肉体を変身させていく。特にモチーフはなく、なんとなくナイスバディな美女。それに伴い顔面と手も治して、完璧な美女に変身してみる。ちなみに全裸。

 白夜叉の目が怪しくなった。黒ウサギとジン坊ちゃんが照れてチラ見状態になった。

 

 そこで終わるはずもない! 腹からもう一人生やす! そしてもう一人! もうひとぉり!

 本家ぬらりひょんがなった女体地獄に変身!

 

「………」

 ポカーンとした目で見てくる。

 動いてみる。ぐねぐねぬるぬる動いて、頭を引きちぎって空に投げる!

 

「!」

 

 投げた頭 巨大鉄球になってもらって体をつぶす。

 桃太郎的に、パッカーンして中から元の自分登場!

 

「………」

 

「どうよ、驚いた? 」

 

「驚いたというかなんというか…なんじゃったんじゃ今のは」

 

「頭が追い付かないわ…」

 

「不思議な体験…奴良はやっぱり妖怪? 」

 

「いえ、妖怪と言ってもぬらりひょんという妖怪はあのような変身能力は持ち合わせていないと思います」

 

「まぁ驚いたけど、これぐらいは予想の範囲を超えてないな。こいつバラバラになったのに再生したし。なぁ黒ウサギ」

 

「えっ!? あ、はい」

 

 わいのわいの言ってる。話題の中心にある、注目されるって気持ちいいなぁ…。

 

「今見せた肉体変身能力がおんしのギフトという訳か? 」

 

「そうですね。もっとも、姿だけで、そのものの持っているギフトまでは真似できないようですけど」

 十六夜さんに目を向けながら言う。

 

「ふむ…すまぬが私にもさっぱりじゃ。ラプラスの紙片がそう名を差し示したのなら、ソレだけの理由があるのだろうが…」

 

「そうですか…」

 

 

 

そんなこんなでサウザンドアイズを後にし、自分らはノーネームの本拠地へと向かった。

 

 あー楽しかった。

 

 

 

 

 




 急上昇・回転で失神すると言っていましたが、初めの一回だけです。
 経験すれば、補強されます。再生能力は負傷全般に効果ありますので。
 最初のブラックアウトでも一瞬意識が遠のく程度。二回目以降は失神しそうになると、オートで再生能力(というか再起動? )が働きます。

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