デート・ア・ライブ Assassino's Bizzare Adventure 作:キミと永久にただ堕ちていく
どうしても週末は投稿できなさそうです。
「しかし、奇遇だなぁ五河。またお前と同じクラスになれるとは……この殿町 宏人、運命を感じるよォ…」
「そうかぁ…?」
逆立たせた前髪をファサァ、と軽く払い、甘くささやくように話しかけてくる殿町にジト目で曖昧な返答をする士道。
ここは都立来禅高校、士道の通う学校である。
南関東大震災によって更地になった一帯は復興と共に最新鋭の技術のテストも兼ねて開発された。非常に充実した設備と、耐久性、安全性すべてにおいて最新かつ万全のシェルターの設置など、一都立校とは思えないほどの徹底ぶりを誇る。建築されたのは数年前なので、外観も非常に整然としており、内外装共に損傷はほとんどない。
無論、入試の倍率も高い。
中三の時苦労して勉強したのは士道にとって苦い思い出である。
士道のクラスは2年4組、殿町とおなじだった。士道としても気軽に話せる男友達が身近にいることは悪いことではない。尤も、こんな性格でなければなおよかったのではあるのだが。
と会話の最中、殿町のスマホがピリリ、と鳴る。
「おっと、すまん。カノジョだ」
「へぇ、いつの間に」
素直に驚愕する。このセクシャルビーストと呼んでも過言ではない
「紹介しよう、ほら」
春休みの間に一皮むけたんだなぁ、と思いつつ殿町が突き出してくるスマホの画面をのぞき込む。
そこに映っていたのは、セーラー服を着ており、ツインテールを大きなリボンで縛ったピンク髪の少女。可愛らしくこちらに微笑みかけている。その幼げな印象に似合わぬ大きな胸ら辺には『Touch Me!!』という文字、その下にはピンク色のハートマークに『恋して マイ・リトル・シドー』と書かれたタイトルが—————
「って、ギャルゲーじゃあねぇかッ!!」
先程までの感心を返してほしいものである。
「彼女には変わりない、偏見を持つなッ! ギャルゲーには女性への接し方や取るべき行動のすべてが詰まっているッ! まるで恋愛の教科書だ! 特にこの『マイ・リトル・シドー』はアプリが常駐していて…」
あまり聞いていて興味を持てるような話ではなかったし、女性への執着心が限界を突破し、ついに二次元と三次元の区別がつかなくなったのか、と士道は真面目に引いていた。
周りを憚るつもりなど微塵もなく声を張り上げてそんなことをのたまう目の前の
「———五河 士道」
後方から不意に声をかけられた。
「ん……?」
静かで抑揚のない声。聞き覚えのないそれを不思議に思い、士道は振り向く。
そこには
『人形のような』という例えを安直に使うのは非常に不本意なことではあるのだが、この少女の場合は例外であろう。
何せ、それ以外に形容のしようがないのである。
肩に触れるか触れないかくらいの白銀の髪、正確に測量された人工物のような端正な顔つきの彼女は全くと言っていいほど表情という物がなかったのだ。
まるで「感情というものを奪われた」かの如く、彼女は無色であった。
「なんで、俺の名前を…?」
「覚えていないの?」
少なくとも、この場に「イツカ シドウ」と呼ばれる人間が自分しかいないことと、士道がこの少女を知らないということだけは確かであった。
「……」
「……」
したがって何を言ったらよいのかわからず、じっと相手の出方を待つしかなかった。やがて目の前の少女は士道が自分のことを覚えていなかったことに対して特に落胆した様子もなく、
「そう」
と短く言い、士道の隣の席に座り、何かの本を読み始めた。
(なあ、あれ誰だ……?)
できるだけ小さな声で殿町にひっそりと尋ねる。
(お前…超天才、
(とび……いち……?)
やはり知らない名前である。
(成績は常に学年主席、体育も完璧、おまけにあの美人だ。俺調べの『恋人にしたい女子ランキング』でもトップ3から落ちたことのない安定ぶりだ。 この学校で彼女を知らないなんてのは、岸辺 露伴先生の『ピンクダークの少年』を知らないのと同じくらい無知の誹りを免れないんだぞ?)
(マジか……)
『ピンクダークの少年』は天才漫画家、岸辺 露伴が週刊少年ジャンプで連載している、老若男女問わずに大人気の漫画作品だ。サスペンス・ホラー的な作品であり、人によって明確に好き嫌いが分かれる。だが、「漫画を全く読んだことがない者でも名前くらいは知っている」、ピンクダークの少年は確かにそれほど知名度が高い。
士道も中学のころから読み始めて以来、単行本が出たら定期的に購読するようになったくらいである。
(でも、なぜ鳶一はお前のこと知ってるんだ?)
(そんなの俺が知りたいよ……)
チラ、と横目で折紙を覗きみるが、士道と殿町の陰口に反応するそぶりはない。あるいは聞こえないふりをしているだけなのかもしれないのだが。
チャイムが鳴ったので、生徒たちは各々が集まっていたグループの会話を中断させ席に戻っていく。殿町も士道の前にある自分の席に座った。
そして、ガラガラと教室の前方の扉が開かれ、担任の教師が入ってくる。縁の細い眼鏡をかけた小柄な女性だ。
「タマちゃんだ……」
「ああ、タマちゃんだ」
「マジで、やった!」
「はい! 皆さんおはようございます。これから一年、皆さんの担任を務めさせていただきます、
間延びした声で頭を深々と下げた岡峰教諭は眼鏡がずり落ちるのを慌てて押さえる。
生徒と同年代にしか思えない童顔に小柄な体格、のんびりした性格は生徒たちの間でも絶大な人気を誇っている。
生徒が独自に作った『担任ガチャあたりランキング』の中の『sssランク』の先生の一人にあたったことに沸き立つクラスメイト達の中、
「……っ」
士道は隣から送られてくる視線に気が付いた。
鳶一 折紙だ。
話かけてくるわけでもなく、かといって目線が合ってしまったことで目をそらすこともなく、ただじーっ、と士道を見つめてくるのである。相変わらず何を考えているのかがわからない表情でだ。
(鳶一 折紙……)
……。
何とも落ち着かない。
(何で俺のこと知ってる? 何で俺を見てる?)
新学期早々変な奴に目をつけられたなぁ、と。
(何なんだ……何なんだ、何なんだ一体……!?)
士道はこころの中でそう呟き、汗を一筋垂らした。
「五河、一緒に帰ろうか」
三時間後。
始業式は無事に終わり、生徒たちは次々に教室から出ていく。
士道も帰り支度が終わり、教室を後にしようとした所、殿町が話しかけてきた。
「ああ、悪い。先約がある」
「ほう? 女子か」
「まあ一応、琴里だけどな」
ニヤニヤと尋ねてくる殿町にそう答えると、何故か訳知り顔で、
「わかっている。俺の調査によれば、お前と昼飯の約束をするほど好感度の高い女子はいない」
「お前……一言多いな」
確かに事実ではあるのだが、
「ははは。ま、俺も兄妹の仲を引き裂くほど野暮な男じゃねぇよ。行ってきな……都条例に引っかからない程度にな」
「ほんっと一言多いよな!」
そろそろ本気でキレそうになってきた士道である。
「だってお前、琴里ちゃん超かわいいじゃん! あんな子が妹とか最高だろ」
「お前に妹がいればその意見は絶対変わるぜ」
「そういうもんかねぇ」
「そういうもんだ。『妹』という漢字を見てみろ。『女未満」って書くじゃあないか」
「姉は?」
「女市?」
「女性専用都市かよ!?」
漫才のような掛け合いに士道も殿町も可笑しくなってつい笑ってしまう。
————とその瞬間。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ———————————————
不快なサイレンの音が、町中に響き渡った。
「な……っ!?」
「これは……!?」
その音に次いで、機械的な女性の声が響いてきた。
『これは訓練ではありません。これは訓練ではありません。空間震の発生が予測されます。近隣住民の皆さんは速やかに、最寄りのシェルターに避難してください。繰り返します———』
先週のメローネはヤバかったですねぇ。あんな奴にホントに十香が救えるのか、自分でも不安になってきました。
展開的に今週はついにギアッチョが登場しそうですね!岡本さんの迫真の演技であの『根掘り葉掘り』のくだりを早く聞きたいです。
デートの方では、七罪編の後編をやっていますね。確か彼女を救う担当はアイツだったような……。しょ~がねぇ~なぁ~。